31 / 79
第2章 乙女ゲームの矯正力は強いのか
中級ダンジョン11階層〜
しおりを挟む10階層の中ボスの宝箱は、鮫の歯を使用したという短剣で、自分が作って貰ったミスリルの短剣よりも良い物らしいけど……
売り案件だな。と思ったのは、伝説級の武器の様だったので。
ただ……
11階層に降りても、通常ルートと合流する様な処がなくて、このままボスだと、海のAランクの魔物だよね。と思ってた。
今日中に、ボスに辿り着けるとは思えないので、何処にセーフポイントがあるかで、小屋を出した方が良いよね。
そう思いながら、ダンジョンという箱庭の中の海の中で、上を見上げれば、息の泡が上がって行く。
太陽の光が地上に届く距離って、確か、何mだっけ?
昆布の柱が並び、刈り取って、インベントリに収納する作業を一旦止めて、見上げてた。
たまに、昆布の柱に隠れて、魔魚が襲って来るので、要注意ではあるの。
昆布の収穫が済んだら、11階層のmapは出来たので、12階層に行くつもりで居る。
魚はタラに、鮭を取ってたら、ニシンの群れが居た。
それを追う様に、カツオが居て、割と沖合の海の中の様だった。
まるで、海中の水族館の中に、ダイバー姿で居るみたいだったよ。
襲って来ても、単体が多く、銛で対応出来るもん。
12階層も、海の中だったんだけど……
隠れる場所が多い岩場、岩礁地帯で、索敵をちゃんとしてないと、潜んでいて襲われる。
海中のギャングと呼ばれてた2m近いサイズのウツボや、同サイズのタコとか……
そうそう、驚きだったのが、タコの鑑定が、「クラーケンの雌」になって、「はあ?!」だよ。
意味がわかんないよ!
ちっちゃいタコは、オクパーでタコ認定の様だったけど。
あと、3mサイズの蟹は、どうみてもタラバガニで!
ただ、ドロップ品になるので、蟹味噌はなかった。
まあ、直ぐに食べれる加工になってるのは、good jobだよ。
13階層にセーフポイントがあって欲しいなあ。
あったら、夕飯で蟹食べる~!
そう思ってたのに、今の処、13階層も海の中で、セーフポイントは見付からず。
12階層同様、岩場が多いなあと思ってたら……
あちこちに散って、追いかけたり、食べたりしてた従魔が寄って来た。
何やら、強い魔力で覚えがあると思ってたら、やっぱりか。
シーサーペントのお出ましだよ。
ウミヘビというより、海蛇の方だね。
それより、シーサーペントってAランクでしょ、何でボスじゃないのよ!
レイクサーペントは紺色に近い青い蛇皮だったけど、シーサーペントと同類ではないんだねえ。
感心してる場合ではないけど、海の様に青い、それも南国の海のエメラルドグリーン色よりも濃い色の皮の上に、やや虹色がかってる鱗があるみたいなんだもん!
討伐しちゃったら、直ぐにドロップ品に変わっちゃうから、じっくり見ておきたかったの。
だから、自分が動かず、シーサーペントが動いた事で、レイトルやブレンダが範囲魔法を撃てずに居た。
自分を締め付ける様に囲み、口を大きく開けたので……
口の中に、大きな土球を突如出して、放りこんだ。
モゴモゴ言って、暴れるシーサーペントに、採集用のミスリルのナイフを取り出して、鱗を採集。
やはり、とても綺麗な虹色の鱗で、魔力も充分に籠っていて、生きてる内は採集品扱いなので、沢山毟っていた。
土球を噛み砕く気配がした処で、雷魔法を触れてる状態で出せば、術者は勿論、他に影響は与えない。という記述があったのを思い出し、放出。
ビクビクと震えた後、姿が消えて、ドロップ品に。
案の定、鱗が付いていない大きな青緑色の蛇皮と、何キロあるのか分からない、たぶん1t以上はある肉塊があった。
前回のレイクサーペントでも、2t以上あって、結局、王家が買い取ったらしいんだよねえ。
あれから1年だけど、買い取ってくれるかな?
ダメなら、小分け対応しようかねえ。
そう思ってたら、召喚獣たちから呆れてる様な感情が伝わって来た。
だって、魔石を食べて強くなろうとしてるレイトルが固まってるんだよ。
さてさて、エメラルドグリーンに近い鮮やかな青緑色の皮は、おいくらになるんだろうねえ。
うふふ。オークションが楽しみだよ。
そう思いながら、14階層に向かえば……
ようやく、海の中から出るようで、ホッとした。
14階層に降りる処に、セーフポイントの開けた岩場があって、小屋を出して、中に入った。
海の中が、外気温より温かめだとしても、ずーっと海の中にいれば、体は冷える。
ので、フレスベルグのブレンダまで、小さいサイズで、家の中に設けた巣に入り込んだ。
イベルダは、ちゃっかり果樹を採ってから、家の中。
レイトルだけは、元々体温高めなので、そういう心配はしなくても大丈夫。
さあ!蟹!焼くか、煮るか!
うきうきしながら、夕飯の用意をしたんだけど……
ダンジョン内だって言うのに、ベッドで寝れるって、召喚獣の小屋、万歳だ。
次の朝、小屋の中の海をチェックをしてから、小屋を出たんだけど、昨日とった魚介類の大半が居た。
まあ、大型魔魚は見てないけど。
今日には、ダンジョンを出る予定だけど、出張所じゃなく、領都ベーゼルのギルドに行った方が良いだろうな。
そう思いながら、14階層に降りれば、水が流れる音がするって事は、海に流れ込む地下水路がある様だった。
まだ目にはしてないけど。と思った瞬間、トビウオの時と同じ気配がして、飛び退けば……
トビウオ以上に長い魚が暴れてる。
この形の魚って、アマゾン川流域のガーじゃなかった?
あ、そっか、海水から真水になったのか!
そう思ってる時には、ガーは切り身になってるけど、飛び込んで来る気配は消えない。
従魔も、前回で学んだのか、無茶に前に進まず、止むのを待ってる。
止んでから、先に進めば、地底湖らしき物が見えて来た。
ただ、ガー処じゃない大物が居る気配がする。
そう思っていれば、水弾が飛んで来た。
水の中から放てるって事は、魚系だなと思いながら、同じ水弾で併殺させた。
見渡す限りの地底湖であれば、考えなかったけど、それほど大きくなく、川の流れが急流の音じゃなかったので……
「グレイシアス!」氷河で覆った自分。
魚が打ち破ろうとしてるのか、ドンドンと音がしてるが、レイトルが上書きしたので、氷の厚さが一段と増えたよ。
氷魔法の氷は、消さないと消えないので、自分は時間設定して掛けるのよ。
討伐で使う時は、対象が死ぬまで。
なので、死んだのか、氷の厚さがボコって、いきなり減ったので、レイトルの代わりに、氷を除くのに、土球を放って、氷を砕いた。
そうしたら、ドロップ品が水面に浮かんでる。
沈んでいそうな大きな肉の塊までが!
どういう仕組みだ。と思いながら、ドロップ品を風魔法で集めて、インベントリに入れてた。
あれ?だけど、魔石は沈むんだ。
そう思ったのは、魔石を探したレイトルが、深そうな湖に飛び込んだから。
大きな個体だけでなく、ガーもいっぱい居たのか、切り身もいっぱい浮いてたの。
その分の魔石も底にあって、魔石で埋め尽くさんばかりで、苦笑したんだけど……
中々、幻想的な光景だったよ。
カメラがあれば、是非とも残して置きたい1枚だね。
そう言えば、イルラが自分の影響で、魔道具作りにのめり込んでいて、カメラモドキを作ろうとしてたな。
そう思い出しながら、今、自分が出来る事をした。
「フレーム」
指で枠を決め、その中の光景を絵として、記憶する魔法で、魔法学園の図書室にあった魔導書の中にあったの。
複合魔法で、光と風と無の魔法を使用してて、理解出来ないと、成功しない括りがあるので、難しいんだよ。
ボス部屋に入るまでに、魔石を食べ尽くそうとするレイトルとひと騒動あっただけじゃなく、湖の底の片隅に宝箱があったの!
ひっそりとあったけど、木の箱だったので、気にしてなかったら、中にあったのは、一見干からびた木。
宝箱に入る様な代物なのかな?
そう思いながら、鑑定すれば、香木だった!
冷たく湿気た環境なので、近付かなきゃ香りはしなかったけど、確かに、薫香と言えそうな匂いがする。
この世界でも、伽羅や白檀、黒檀という木の香りはあって、上流貴族では香合とかいう遊戯が嗜みであるそうなのだけど……
うん、知識としては知ってるけど、した事ない。
精油関係が趣味だったので、乳香没薬などと同列で知ってただけで、詳しくはないけど、龍仁香と呼ばれるマンゴー大の楕円形の石?でも、5000万円の値になったとニュースになってた。
あれは、鯨の吐瀉物が海水で洗われて出来た物らしいけど、一時期CHANELNo.5に入ってたと聞いた覚えもあった。
そう、香合はした事はないけど、調香には手を出してたと思い出した。
通りで、コーンタイプの虫除け香を作るのが上手かったのか、理解した。
ちなみに、この世界でも香水はあり、貴族の女性では必須の様になってるけど、一応TPOはあるの。
使って良いのは夜会の時だけって
午後のお茶会では、お茶の香りを妨げる物はルール違反になるの。
そのくらいのルールなら、ちょっと考えれば分かるルールだし、ラノベから教わったルールも覚えてるけど……
香と呼ばれる物は、国王陛下が下賜する様な1品だった気がしないでもないんだよねえ。
その様な品が、伽羅の香木が10gで数万円した日本の記憶が残ってるだけに、ずっしりと重い、コレは幾らになるのか、判断がつかない物だった。
インベントリに入れる段階で、その香木の下にも色々入っていて、鑑定する前に、箱ごとインベントリに収納した。
だって、鑑定してたら益々、ボス部屋に行くのが遅くなるじゃない!
それに、自分が呆然としてる間にも、魔石を食べるのを止めないレイトルも居るし!
心残してるとばかりに、後ろを振り返るレイトルを連れて、ボス部屋の土壁を触れた。
だけど、気だけが急いてたのか、ボスだと言うのに、緊張感がなかった。
でも、開けた瞬間、ボスの威圧で我に返った。
たださあ、中級ダンジョンだよねえ?
なんで、大きさによれば、Sランクにもなるバジリスクが居るんでしょうか?!
目を見たら石化するので、バリア替わりにミラーの反射魔法を、全員に掛けた。
自分は、更にミラー反射の眼鏡を掛けた。
妖精の羽根を使用した物は、更に幻惑魔法が掛かるって話だけど、妖精たちを狩るのは禁忌なので、似せた物を作ったの!
姿は子供中は大人な探偵が掛けてた眼鏡ほど高性能ではないけど、この世界では高性能だとは思う。
そんな事を考えてる間にも、レイトルは氷、ブレンダは雷、イベルダは風魔法による防御と、攻撃が始まっていた。
自分が「アイスランス!」で、腹側が柔らかい弱点の地面から氷の槍で突き刺した。
容赦なく攻撃するのは、ダンジョンゆえ。
死ねば、ドロップ品になるから。
それに、バジリスクの肉は毒を含んでるので食用不可なだけに、切り刻んでも大丈夫!
バジリスクはトカゲ系なので、寒さに弱いけど、大きさによればSランクだけに、しぶとい。
氷と風と雷の魔法が飛んでるので、更に上書きして、「ブルームストーム!」
春の嵐は、雪と春雷に暴風なんだよ!
桜散らしの嵐とはよく言ったもんだ。
0
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
〖完結〗私が死ねばいいのですね。
藍川みいな
恋愛
侯爵令嬢に生まれた、クレア・コール。
両親が亡くなり、叔父の養子になった。叔父のカーターは、クレアを使用人のように使い、気に入らないと殴りつける。
それでも懸命に生きていたが、ある日濡れ衣を着せられ連行される。
冤罪で地下牢に入れられたクレアを、この国を影で牛耳るデリード公爵が訪ねて来て愛人になれと言って来た。
クレアは愛するホルス王子をずっと待っていた。彼以外のものになる気はない。愛人にはならないと断ったが、デリード公爵は諦めるつもりはなかった。処刑される前日にまた来ると言い残し、デリード公爵は去って行く。
そのことを知ったカーターは、クレアに毒を渡し、死んでくれと頼んで来た。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全21話で完結になります。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
比べないでください
わらびもち
恋愛
「ビクトリアはこうだった」
「ビクトリアならそんなことは言わない」
前の婚約者、ビクトリア様と比べて私のことを否定する王太子殿下。
もう、うんざりです。
そんなにビクトリア様がいいなら私と婚約解消なさってください――――……
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~
一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、
快楽漬けの日々を過ごすことになる!
そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!?
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる