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番外編

蜂蜜飴(ロルガ視点)生々しいRです

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 肉王子の肉は肉欲の肉でもある。
 散々不埒なことをしてきた俺が、ナルセの前では余裕をなくす。童貞を捨てた交わりだってこんなにひどくなかったはずなのに。ナルセの小さな体を気づかいたいが、そんなことはすぐ忘れてしまう。
 唇をやわらかく食んでいたはずが、気づけばナルセを強く抱きしめていた。すると、急に弾かれたように重ねた肌を押し返された。
「うぁ、ここヒリヒリする……」
 ナルセが気にしているのは胸の先だった。いつも見ていたはずのそこは、俺の愛撫を受け一夜にして淫らに熟した。いまも俺を誘うように真っ赤に尖る。思わず手を伸ばすと、ナルセが慌てて制止した。
「痛いのはいやだって……」
「気持ち良いのは好きだろう?」
 俺の問いかけに返事はないが、肩を押し返していた腕から力が抜ける。不安をほぐすように指先に口付けたあとで、俺の髪を触らせると、感触を楽しむように指を通した。
 初めて肌を重ね、ナルセの意外な一面を知った。知識も経験もない中での営みだったようだが、ナルセはすぐに身を任せる思い切りの良さを見せた。そして、その体はおそろしいほど快楽に従順だった。
「ん……」
 俺の言葉に期待を隠さず胸をそらす貪欲さにめまいがする。すぐには触れず息を吹き掛ければ、それだけで甲高く鳴いた。たまらず舌を伸ばし、ねっとりと包み込む。
「あ、あ、あぁ!」
 俺の頭を小さな手が抱え込む。腹に触れるナルセの興奮が次々にぬめりをこぼし、快感の強さを伝えた。自分に口がふたつないことを残念に思いながら、開いたままになったナルセの口で指先を濡らし、刺激を待つ反対の尖りを摘んだ。
「んん……ッ!」
 ナルセの体が硬直した後で腹が濡れる。早くも一度目の絶頂を味わい、丸い瞳は潤みを増した。こぼれる寸前の涙を舌ですくい上げるとじくじくと下腹が脈打つように熱くなる。
 まだ入れるわけにはいかないが、存在を知らせるように欲望を太ももに押し付ければ、ゆるりとナルセの足が開いた。
「あまり煽るな。本当にいやらしい男だ……」
 呼吸するのに忙しく声を出せないナルセは俺の言葉が不満なのか、小さくにらむ。
「だから、煽るなと言っている」
 ベッドサイドから油の小瓶を手に取ると、ナルセを裏返しクッションを抱えさせた。小さな丸い尻は白いが、狭間を少し開けば真っ赤に色付いている。油を指にまとい窄まりに押し当てると、吸い付くように動いた。少し力を入れれば柔らかに飲み込み始めるが時々思い出したように強く締め付ける。
「すっかり、元に戻ってしまった。昨夜は俺を求めてゆるんでいたのに。またここに入れてくれるか? ナルシィ」
 声はないが、代わりに赤い肉が応えるように強く締め付けた。熱い。柔らかい。俺だけの場所。昨夜見つけたささやかなふくらみをこすりあげながら、指の数を増やす。
 なるべく負担を減らそうとふんだんに油を使ったせいで、指を動かすたびにいやらしい水音が部屋に響いた。しかし、それもすぐにナルセの悩ましげな悲鳴にかき消されてしまう。
 覆い被さるようにして首筋を吸い、耳を食む。焦点の合わなくなった目が俺を振り返り、「ルル」と吐息混じりに俺を呼んだ。
「どうした?」
「これやだ」
「なにが?」
「ルルのことさわりたい。かおがみたい」
 ナルセの脚への負担を考えるとこのまま繋がるのが良いが、ナルセの願いを無視したくない。
 俺はヘッドボードに寄りかかりあぐらをかくと、向かい合うようにナルセを膝に乗せた。すでに射精を繰り返し、脱力した体はぺたりと胸に寄りかかる。
「これなら良いか?」
「うん」
「ただ、昨夜より苦しいかもしれない。ここが」
 ナルセの腹をゆるり、となで上げる。これからの快感を想像したのかナルセの尻が締まった。たった一晩で俺を欲しがるようになった従順な体が愛しい。
 まだ俺の半分しか入れていないと知ったら、怯えるだろうか。
 今は全てを収めることはできないが、少しずつ体を開き、いつかは完全につながる快感を小さな体に刻みつけたい。
「きっと気に入るはずだ。俺がもう少し奥まで入る。気をやるほど気持ち良いから心配するな」
「ルルも?」
 ぼんやりとした目が俺を見る。
「ルルもきもちよくなる?」
「もちろんだ」
 興奮に血が沸く音が聞こえてくるようだった。
 ナルセを首につかまらせ、尻を抱え上げる。柔らかくなった赤い肉に興奮を押し付ければ、歓迎するように吸い付いた。
「ん、あ、あぁ……」
「そのままゆっくり息をしていろ。うまく飲み込んでいる。ナルシィ、愛している」
「ふ、あっ」
 一番太い場所を飲み込んだところだった。
 短く悲鳴をあげてナルセは精を噴き上げた。
 止められない拍動する締め付けに良いところを押しつぶされるのか、次々に白濁が飛び散る。興奮をなだめようと髪に口付け、背筋をなでたが、それさえも快感に変え小さな体は悶えた。
「ルル、きもち、いい」
「……ッ!」
 甘く淫らな言葉に雄としての欲望が煽られるのを感じた。
 衝動を殺す暇も無く、腰が勝手に動く。急速に体を開かれるナルセの負担を和らげるには、さらなる官能の海に溺れさせるほかない。縮こまった陰嚢ごと興奮をこすりあげ、悲鳴をあげる口を塞いだ。数度の突き上げの後、再びナルセの興奮が拍動する。
「んぐぅ……ッ」
 今までにない強い締め付けの後で、ナルセはグッタリと力を抜いた。蕩けた腹の奥は熱く、誘うように俺の興奮を引き絞る。
「ナルシィ、ナルシィ……!」
 返事も、もっととねだる言葉もないままだったが、夢中で腰を突き上げ続けた。
 昨夜よりも奥深くに精を注ぎ込んだとき、小さな体は再び快感に体を震わせ、俺を強く抱きしめた。朦朧とする意識の中で俺の口付けをねだるナルセがどうしようもなく愛しかった。

 思いがけずに準王都の滞在は長くなったが、出発の時がやってきた。ナルセは街道の入り口で立ち止まると、街を振り返る
「俺、この街のこと何にも知らないんだけど。広場を出て走り回った後は、宿の中しか見てない」
「それも浴室とベッドルームだけだな」
「ルル、ちょっと黙って……!」
 何を思い出したのか、ナルセはその場にしゃがみ込み頭を抱える。真っ赤に染めた首筋を無防備に見せ俺の興奮を煽っているなんて、きっと想像もしていないだろう。
 小さな後頭部をなでる。
「ほら、宿のものが餞別に蜂蜜を固めた飴をくれたぞ」
「え、おいしそう!」
 あっという間に立ち上がり、俺の手から飴を食べる。気に入ったらしく、頬を丸くして満足そうに目を細めた。
「ここ蜂蜜が名産なの?」
「いや、大声を出して疲れた喉に良いからだろう」
「??」
 意味がわからないらしく首を傾げている。
 長い道中、いつ教えてやろうか、どんな顔をするかと想像するだけで口元がゆるむ。ナルセとの旅に飽きることはまだまだなさそうだ。
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