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朝を迎えたら、一人の世界に逃げたくなる
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何度も同じベッドで眠り、朝を迎えてきた。それでも、今日の朝はどれとも違う。
いつもより、お互いの肌が吸い付くように馴染む気がする。目覚めてもそのままロルガの胸の上でじっとしていた。髪を梳く指の感触がロルガの目覚めを知らせる。
もう少しこのままで、と思ったのに、わずかに身じろいだ刺激で俺の腹がグゥと鳴いた。
「……これは自分でも情緒がないと思う」
「まぁ、これはこれで味わいがある」
額に唇が押し当てられると、勝手に体が震えた。
「ほぅ、ナルシィ。これは良い体——む」
「やめてください。昨日のことを口にしたら恥ずかしくて死んでしまう自信がある」
話せないようにロルガの口をふさぐと、押さえたてのひらを軽く吸われた。
「ひぃ!」
「はは、これくらいでなんだ」
「俺にとっては大事件なの!」
「俺にとっても大事件だぞ?」
にやり、と浮かべる笑顔が少し意地悪でも、嬉しくなってしまう。
これが心も体もつなげるということか。
一夜にして進んだ関係に満足した俺はベッドを降りようとした。
「ご飯食べ——え?」
足が床についたのまではよかったが、そのまま立ちあがろうとしても力が入らずに、床に座り込んでしまった。
「本当に初めてだったのだと、よくわかる。ベッドにいろ。食事を持ってきてやる」
「…………ッ!」
ベッドの上に引き上げてもらうが、しばらくロルガの顔を見られないだろう。布団を頭からかぶって一人の世界に逃げた。
いつもより、お互いの肌が吸い付くように馴染む気がする。目覚めてもそのままロルガの胸の上でじっとしていた。髪を梳く指の感触がロルガの目覚めを知らせる。
もう少しこのままで、と思ったのに、わずかに身じろいだ刺激で俺の腹がグゥと鳴いた。
「……これは自分でも情緒がないと思う」
「まぁ、これはこれで味わいがある」
額に唇が押し当てられると、勝手に体が震えた。
「ほぅ、ナルシィ。これは良い体——む」
「やめてください。昨日のことを口にしたら恥ずかしくて死んでしまう自信がある」
話せないようにロルガの口をふさぐと、押さえたてのひらを軽く吸われた。
「ひぃ!」
「はは、これくらいでなんだ」
「俺にとっては大事件なの!」
「俺にとっても大事件だぞ?」
にやり、と浮かべる笑顔が少し意地悪でも、嬉しくなってしまう。
これが心も体もつなげるということか。
一夜にして進んだ関係に満足した俺はベッドを降りようとした。
「ご飯食べ——え?」
足が床についたのまではよかったが、そのまま立ちあがろうとしても力が入らずに、床に座り込んでしまった。
「本当に初めてだったのだと、よくわかる。ベッドにいろ。食事を持ってきてやる」
「…………ッ!」
ベッドの上に引き上げてもらうが、しばらくロルガの顔を見られないだろう。布団を頭からかぶって一人の世界に逃げた。
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