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第6章 ケルベロスにはパンを、もしくは
45: 取り憑かれる
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気がついた時、斬馬と宗司はロビンの空間転移能力によって、まぼろし号ごと某ホームセンターの大駐車場に出現していた。
しかも、駐車率の少ない目立たない場所にだ。
「おお、気が利いてるなぁ。こんな場所を選ぶとは、兄ちゃん若いのに苦労人だの。」
斬馬は気を失ったままの宗司の向こう側に座っているロビンに話しかけた。
まぼろし号の座席幅は広い、前一列で三人が余裕で座れる。
すっかり脱力した宗司の肩が、自分に倒れかかってくるのに、うんざりした様子でロビンが言った。
「俺はここで失礼するよ。譲治が向こうで待ってる。」
「それは判るんだが、せっかくここまでしてくれたんじゃ。もうひとつ頼みを聞いてくれないか?」
「なんだよ、頼みって?断っておくが成り行きでこうなっちまったが、俺達は正真正銘の悪党なんだぜ。それを忘れるなよ、爺。」
「この男のことじゃよ。気絶したままだ。これ、儂の見立てだと、あの魔眼の譲治さんが、この男の力を消し去ったことと関係あるんじゃないかな?つまり、心の中にある大きなモノが引っこ抜かれたんだ。このままだと、幾らたっても、こやつは目が覚めない。あの譲治さんなら、なんとかなるんじゃないかと思ってな。」
この宗司の状態は、元はと言えば斬馬が譲治に、お祓いをしてくれと言ってけしかけた結果だったが、斬馬はそんな事を気にするような老人ではない。
「爺さん、あんたこの世界の事を色々知ってそうだから教えてやるが、譲治はこいつの力を抜いた訳じゃない。譲治の能力は、俺達みたいな人間の力を目覚めさせたり、大きく伸ばしたりする力だ。で、その逆の事も出来る。能力者の力を減退させて効力を封じる、完全に消し去ってしまう訳じゃない。力はその個人に与えられたものだからな、他の人間が奪ったりは出来ないんだよ。それにな、俺は譲治が一旦力を枯らせた相手をもう一度復活させてやったのなんて、見たことがねえ。譲治だって、そんな事はやったことはないだろう。何度も言うが、俺達は悪党なんだぜ。そんな事をやると思うか?一度潰すと決めた相手は、それっきりなんだよ。」
「ほう、そうか、、やっぱりな。いやダメ元で言ってみただけだ。」
「やっぱりだと?言ってみただけだと?このくそ爺が!」
ロビンはそう怒鳴ったが、斬馬のニコニコ顔を見てそれ以上言えなくなってしまった。
「俺はもう行く。、、、、爺、この件じゃダメだが、他の事でなんかあったら、俺達の名前を出していいぞ。たぶん譲治も、あんたの事は気に入ってる筈だ。俺達はMウェイストゥズって呼ばれてる。憶えときな。」
次の瞬間、ロビンの姿はまぼろし号の座席から消えていた。
「Mウェイストゥズ、、医療廃棄物か。、、哀しいチーム名じゃのう。さてと、この男どうしたもんかのう。」
隣にいたロビンの身体がなくなって、座席に横倒しになった宗司を見つめながら斬馬は頭をかいた。
・・・・・・・・・
宗司はかかりつけの精神科医の紹介で、ある病院を訪れていた。
診察や検査めいたものを含めて、今回で三度目になる。
だが今日は、いつもの診察室での面談ではなかった。
応接室と思われる部屋には精神医以外に、もう一人の男がいた。
その男が桃田喜一だった。
紹介では、特殊精神治療に関わって政府から派遣されたスーパーアドバイザーという事だった。
「、、、と言うことで結論から言えば、貴方の根本的な治療は、現行の医療行為では不可能という事になります。」
「そ、そんな!あなたの仰っていたサイラボは!?サイラボは、駄目なんでしょうか?」
「可能性としてあるかもしれませんが、、、今、申し上げているのは、あくまで制度上の問題なんです。ですから今日は、桃田先生にお越し頂きました。私の権限では、これ以上の話をしても、進展はありませんので。それにもう一つ、サイラボで扱っている特殊患者達は若者達ばかりです。それは、彼らの特異性がその成長段階において可塑性が見込めるからです。貴方は、その年齢的な上限に達しようとしておられる。その事を、もう一度思い出して下さい。この治療にかかる費用は莫大なものだ。国家事業でないと、とてもまかなえない。そこに色々な制約が出ても致し方ないでしょう?」
「まあまあ斎田君、そう杓子定規に言ったものでもないだろう。それでは、この私が此処に出向いて来た意味がないのでは、ないのかね?」
桃田喜一が柔らかな口調で会話に加わった。
・・・なるほどのう。上手い具合に、食い込んでくるもんじゃのう・・・
斬馬は宗司の記憶の中に潜り込みながらそう呟いた。
そして宗司が見せたあの攻撃を思い出す。
昔なら、宗司はバケモノ女狐ではなく、カマイタチに取り憑かれたという事なのだろう。
実際は、宗司の中にあった空間断裂への能力が、あるタイミングで発現され、宗司はそれを理解する事が出来ず、自分の精神疾患として処理しようとしていたのだ。
無理もない、ある日突然、自分の身の回りで意味のない透明な「切り裂き」や「断裂」が所構わず発生するのだ。
その現実と、折り合うには、自分の精神を疑うしかなかったのだろう。
そしてそんな宗司は、最後にサイラボに突き当たった。
だが宗司の能力は、斎田が言ったとおり、その制御を効かせる為には年齢的な上限に達しつつあった。
サイラボの目的は、医療治療ではなく、あくまで使いでの良い特殊能力の加工にあったのだ。
宗司の場合、今からその能力を伸ばしても、近隣空間を中規模程度の範囲で自在に切り裂く程度しか引き上げる事は出来ない。
それでもそれには、莫大な費用がかかるのである。
宗司にかける費用が在れば、他のもっと可塑性のある若い能力者にそれを回す方がよい。
普通なら、その筈だった。
それに、裏で待ったをかけたのが桃田喜一だった。
その理由は、極めて簡単だった。
宗司貴宗が欲しかったのある。
サイラボ取り扱い対象者リストは、桃田喜一にも上がってくる。
桃田喜一は宗司貴宗のデータを見て一目で彼を気に入り、サイラボに問い合わせをした。
そして、宗司貴宗の詳細を知れば知るほど、更に彼が欲しくなった。
しかも宗司貴宗の力を安定させれば、その身体は愛人用だけではなく、自分のボディガード用として使える、そう考えたのだ。
・・・だがそれだけでは、ないのう。婆様が孫が女狐に憑かれたと言ったのは・・・
斬馬はもう少し、宗司の記憶を探ることにした。
とにかく、宗司を目覚めさせる為のキィを探さなければならないのだ。
人の意識に潜る、これは斬馬にとって、なれない仕事だったが、老婆になんとかしてやると言った限りには力を尽くしてやる必要があった。
どうやら宗司は思索的で几帳面な青年だったようだ。
彼の記憶は、他の人間に多く見られるように印象や感情の起伏の強弱のせいで、こんがらがっている様子が少なかった。
ちゃんと整理されていて、「それ」は、日記を読むような感じに似ていた。
・・・・・・・・・
特殊精神治療スーパーアドバイザーの桃田喜一さんと2人きりになった時に抱かれて以来、ボクはこの人の虜になった。
喜一さんは、ちょうど他の男性と別れたばかりと言うこともあったのか、もの凄くボクの体を可愛がってくれた。
喜一さんは、見た目は押しが強くて我が強く、相手の反応など何も自分の考えに入れない、そういうイメージの人だ。
ところが、セックスでは全然違った。
押しはやはり強いが、相手の反応をちゃんと見ていた。
それが僕にはピッタリだったのかも知れない。
初めは、これは機密に属する事だからとホテルの一室で話をしていたのだけど、その内、喜一さんが「キスしていいか?」と聞いてきた。
僕はこういうタイプの男性を密かに憧れていたし、興味もあったから「いいですよ」と簡単に答えてしまった。
魔が差したというよりも、いつかは男性と、こういう事になるだろうと思っていたのが、それが向こうから唐突にやって来たという感じだった。
初めは、普通の軽い唇が触れるくらいのキスだった。
喜一さんは、それだけではやめなかった。
気がつくと喜一さんは、ボクをベッドの上に押し倒していた。
ボクも何がなんだかわからなくなってきて、喜一さんにしがみついていた。
もう喜一さんのキスは唇ではなく、首筋に移っていた。
その時のボクは、ただ「気持ちいい」って、言い続けてたそうだ。
そっとスーツの上から股間を撫でられて、体がビクビクしていた。
段々声が溢れ始めた時、喜一さんが耳元で「声が廊下に響くぞ」って笑っていた。
ハッと自分の浅ましい姿に気付いたボクは、喜一さんを押しのけて、起き上がろうとした。
ところが喜一さんは想像できないほどの力を出してボクを押し返して来た。
「私の事が嫌いになったか?」
そう聞いてくる言葉は、信じられないくらい強気で、「そんなハズはない」という自信が込められていた。
「嫌い…じゃない」
「これ、いやか?」
「いやじゃない…」
「じゃ、させるんだな」
「でも…」
「何もしなくていい。私にさせろ、それでいい。」
そう言われて、今までのとは違う凄く深いキスをされた。
喜一さんの舌がボクの舌に触れた時、もうどうなってもいいと思った。
ワイシャツのボタンが外され、胸を直接手で撫でられ、ただ喘ぐしかなかった。
喜一さんの唇が段々と下に下りてきて、右の乳首を口で、左を手で転がされていた時には、もうボクの勃起はビンビンで、ガマン汁でグチャグチャになっていた。
ボクは足で喜一さんの腰を、手で喜一さんの頭を抱きしめて、おかしくなりそうなくらい感じていた。
喜一さんがボクのスーツと下着を一緒に脱がしてくれた時、早くして欲しくて、自分から抱きついて、ボクも喜一さんの服を脱がせた。
喜一さんはボクサーブリーフを穿いていた。
ボクはボクサーブリーフを脱がし、喜一さんの勃起にしゃぶりついていた。
「おっ!!」
喜一さんがを出して、ボクを抱きしめてきた。
そのままずっと舐めていると、喜一さんの息もドンドン荒くなってきて、突然ボクの肛門に触れてきた。
そこはもうトロトロになっていたので、喜一さんの指が簡単に滑ってきた。
喜一さんは、ボクのトロトロのガマン汁を指に取ると、それを肛門にそっと塗って擦り始めた。
気持ちよくって、気持ちよくって、恥ずかしいのも忘れて腰を振っていた。
「寝て」そう言われて、もう一度仰向けに寝た。
喜一さんは、ボクの両足を大きく開かせた。
すぐに閉じようとしたが、喜一さんの体が入り込んでいたので無理だった。
それどころか、膝に手を当てると、肛門を上に向けるようにして僕の足を押して来た。
僕は恥ずかしくて恥ずかしくて、堪らなかった。
しかも、駐車率の少ない目立たない場所にだ。
「おお、気が利いてるなぁ。こんな場所を選ぶとは、兄ちゃん若いのに苦労人だの。」
斬馬は気を失ったままの宗司の向こう側に座っているロビンに話しかけた。
まぼろし号の座席幅は広い、前一列で三人が余裕で座れる。
すっかり脱力した宗司の肩が、自分に倒れかかってくるのに、うんざりした様子でロビンが言った。
「俺はここで失礼するよ。譲治が向こうで待ってる。」
「それは判るんだが、せっかくここまでしてくれたんじゃ。もうひとつ頼みを聞いてくれないか?」
「なんだよ、頼みって?断っておくが成り行きでこうなっちまったが、俺達は正真正銘の悪党なんだぜ。それを忘れるなよ、爺。」
「この男のことじゃよ。気絶したままだ。これ、儂の見立てだと、あの魔眼の譲治さんが、この男の力を消し去ったことと関係あるんじゃないかな?つまり、心の中にある大きなモノが引っこ抜かれたんだ。このままだと、幾らたっても、こやつは目が覚めない。あの譲治さんなら、なんとかなるんじゃないかと思ってな。」
この宗司の状態は、元はと言えば斬馬が譲治に、お祓いをしてくれと言ってけしかけた結果だったが、斬馬はそんな事を気にするような老人ではない。
「爺さん、あんたこの世界の事を色々知ってそうだから教えてやるが、譲治はこいつの力を抜いた訳じゃない。譲治の能力は、俺達みたいな人間の力を目覚めさせたり、大きく伸ばしたりする力だ。で、その逆の事も出来る。能力者の力を減退させて効力を封じる、完全に消し去ってしまう訳じゃない。力はその個人に与えられたものだからな、他の人間が奪ったりは出来ないんだよ。それにな、俺は譲治が一旦力を枯らせた相手をもう一度復活させてやったのなんて、見たことがねえ。譲治だって、そんな事はやったことはないだろう。何度も言うが、俺達は悪党なんだぜ。そんな事をやると思うか?一度潰すと決めた相手は、それっきりなんだよ。」
「ほう、そうか、、やっぱりな。いやダメ元で言ってみただけだ。」
「やっぱりだと?言ってみただけだと?このくそ爺が!」
ロビンはそう怒鳴ったが、斬馬のニコニコ顔を見てそれ以上言えなくなってしまった。
「俺はもう行く。、、、、爺、この件じゃダメだが、他の事でなんかあったら、俺達の名前を出していいぞ。たぶん譲治も、あんたの事は気に入ってる筈だ。俺達はMウェイストゥズって呼ばれてる。憶えときな。」
次の瞬間、ロビンの姿はまぼろし号の座席から消えていた。
「Mウェイストゥズ、、医療廃棄物か。、、哀しいチーム名じゃのう。さてと、この男どうしたもんかのう。」
隣にいたロビンの身体がなくなって、座席に横倒しになった宗司を見つめながら斬馬は頭をかいた。
・・・・・・・・・
宗司はかかりつけの精神科医の紹介で、ある病院を訪れていた。
診察や検査めいたものを含めて、今回で三度目になる。
だが今日は、いつもの診察室での面談ではなかった。
応接室と思われる部屋には精神医以外に、もう一人の男がいた。
その男が桃田喜一だった。
紹介では、特殊精神治療に関わって政府から派遣されたスーパーアドバイザーという事だった。
「、、、と言うことで結論から言えば、貴方の根本的な治療は、現行の医療行為では不可能という事になります。」
「そ、そんな!あなたの仰っていたサイラボは!?サイラボは、駄目なんでしょうか?」
「可能性としてあるかもしれませんが、、、今、申し上げているのは、あくまで制度上の問題なんです。ですから今日は、桃田先生にお越し頂きました。私の権限では、これ以上の話をしても、進展はありませんので。それにもう一つ、サイラボで扱っている特殊患者達は若者達ばかりです。それは、彼らの特異性がその成長段階において可塑性が見込めるからです。貴方は、その年齢的な上限に達しようとしておられる。その事を、もう一度思い出して下さい。この治療にかかる費用は莫大なものだ。国家事業でないと、とてもまかなえない。そこに色々な制約が出ても致し方ないでしょう?」
「まあまあ斎田君、そう杓子定規に言ったものでもないだろう。それでは、この私が此処に出向いて来た意味がないのでは、ないのかね?」
桃田喜一が柔らかな口調で会話に加わった。
・・・なるほどのう。上手い具合に、食い込んでくるもんじゃのう・・・
斬馬は宗司の記憶の中に潜り込みながらそう呟いた。
そして宗司が見せたあの攻撃を思い出す。
昔なら、宗司はバケモノ女狐ではなく、カマイタチに取り憑かれたという事なのだろう。
実際は、宗司の中にあった空間断裂への能力が、あるタイミングで発現され、宗司はそれを理解する事が出来ず、自分の精神疾患として処理しようとしていたのだ。
無理もない、ある日突然、自分の身の回りで意味のない透明な「切り裂き」や「断裂」が所構わず発生するのだ。
その現実と、折り合うには、自分の精神を疑うしかなかったのだろう。
そしてそんな宗司は、最後にサイラボに突き当たった。
だが宗司の能力は、斎田が言ったとおり、その制御を効かせる為には年齢的な上限に達しつつあった。
サイラボの目的は、医療治療ではなく、あくまで使いでの良い特殊能力の加工にあったのだ。
宗司の場合、今からその能力を伸ばしても、近隣空間を中規模程度の範囲で自在に切り裂く程度しか引き上げる事は出来ない。
それでもそれには、莫大な費用がかかるのである。
宗司にかける費用が在れば、他のもっと可塑性のある若い能力者にそれを回す方がよい。
普通なら、その筈だった。
それに、裏で待ったをかけたのが桃田喜一だった。
その理由は、極めて簡単だった。
宗司貴宗が欲しかったのある。
サイラボ取り扱い対象者リストは、桃田喜一にも上がってくる。
桃田喜一は宗司貴宗のデータを見て一目で彼を気に入り、サイラボに問い合わせをした。
そして、宗司貴宗の詳細を知れば知るほど、更に彼が欲しくなった。
しかも宗司貴宗の力を安定させれば、その身体は愛人用だけではなく、自分のボディガード用として使える、そう考えたのだ。
・・・だがそれだけでは、ないのう。婆様が孫が女狐に憑かれたと言ったのは・・・
斬馬はもう少し、宗司の記憶を探ることにした。
とにかく、宗司を目覚めさせる為のキィを探さなければならないのだ。
人の意識に潜る、これは斬馬にとって、なれない仕事だったが、老婆になんとかしてやると言った限りには力を尽くしてやる必要があった。
どうやら宗司は思索的で几帳面な青年だったようだ。
彼の記憶は、他の人間に多く見られるように印象や感情の起伏の強弱のせいで、こんがらがっている様子が少なかった。
ちゃんと整理されていて、「それ」は、日記を読むような感じに似ていた。
・・・・・・・・・
特殊精神治療スーパーアドバイザーの桃田喜一さんと2人きりになった時に抱かれて以来、ボクはこの人の虜になった。
喜一さんは、ちょうど他の男性と別れたばかりと言うこともあったのか、もの凄くボクの体を可愛がってくれた。
喜一さんは、見た目は押しが強くて我が強く、相手の反応など何も自分の考えに入れない、そういうイメージの人だ。
ところが、セックスでは全然違った。
押しはやはり強いが、相手の反応をちゃんと見ていた。
それが僕にはピッタリだったのかも知れない。
初めは、これは機密に属する事だからとホテルの一室で話をしていたのだけど、その内、喜一さんが「キスしていいか?」と聞いてきた。
僕はこういうタイプの男性を密かに憧れていたし、興味もあったから「いいですよ」と簡単に答えてしまった。
魔が差したというよりも、いつかは男性と、こういう事になるだろうと思っていたのが、それが向こうから唐突にやって来たという感じだった。
初めは、普通の軽い唇が触れるくらいのキスだった。
喜一さんは、それだけではやめなかった。
気がつくと喜一さんは、ボクをベッドの上に押し倒していた。
ボクも何がなんだかわからなくなってきて、喜一さんにしがみついていた。
もう喜一さんのキスは唇ではなく、首筋に移っていた。
その時のボクは、ただ「気持ちいい」って、言い続けてたそうだ。
そっとスーツの上から股間を撫でられて、体がビクビクしていた。
段々声が溢れ始めた時、喜一さんが耳元で「声が廊下に響くぞ」って笑っていた。
ハッと自分の浅ましい姿に気付いたボクは、喜一さんを押しのけて、起き上がろうとした。
ところが喜一さんは想像できないほどの力を出してボクを押し返して来た。
「私の事が嫌いになったか?」
そう聞いてくる言葉は、信じられないくらい強気で、「そんなハズはない」という自信が込められていた。
「嫌い…じゃない」
「これ、いやか?」
「いやじゃない…」
「じゃ、させるんだな」
「でも…」
「何もしなくていい。私にさせろ、それでいい。」
そう言われて、今までのとは違う凄く深いキスをされた。
喜一さんの舌がボクの舌に触れた時、もうどうなってもいいと思った。
ワイシャツのボタンが外され、胸を直接手で撫でられ、ただ喘ぐしかなかった。
喜一さんの唇が段々と下に下りてきて、右の乳首を口で、左を手で転がされていた時には、もうボクの勃起はビンビンで、ガマン汁でグチャグチャになっていた。
ボクは足で喜一さんの腰を、手で喜一さんの頭を抱きしめて、おかしくなりそうなくらい感じていた。
喜一さんがボクのスーツと下着を一緒に脱がしてくれた時、早くして欲しくて、自分から抱きついて、ボクも喜一さんの服を脱がせた。
喜一さんはボクサーブリーフを穿いていた。
ボクはボクサーブリーフを脱がし、喜一さんの勃起にしゃぶりついていた。
「おっ!!」
喜一さんがを出して、ボクを抱きしめてきた。
そのままずっと舐めていると、喜一さんの息もドンドン荒くなってきて、突然ボクの肛門に触れてきた。
そこはもうトロトロになっていたので、喜一さんの指が簡単に滑ってきた。
喜一さんは、ボクのトロトロのガマン汁を指に取ると、それを肛門にそっと塗って擦り始めた。
気持ちよくって、気持ちよくって、恥ずかしいのも忘れて腰を振っていた。
「寝て」そう言われて、もう一度仰向けに寝た。
喜一さんは、ボクの両足を大きく開かせた。
すぐに閉じようとしたが、喜一さんの体が入り込んでいたので無理だった。
それどころか、膝に手を当てると、肛門を上に向けるようにして僕の足を押して来た。
僕は恥ずかしくて恥ずかしくて、堪らなかった。
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