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第4章 前哨基地・養鶏場惑星

33: アンサー

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「何を?、、どうしてお前のでないと、駄目かって?、、、あああ、、、奴らは俺のも確かめたさ。だが吐き出しやがった。味が違うんだろう、、。」
 僕の背中全体に密着してる考え屋の身体が凄く熱くなっている。
 彼の身体は、まるでそのまま溶けて、僕の身体に染みこんで来そうだった。
 僕の身体の前にまわされた考え屋の手の動きは、何がどうなっているのか、まったく判らなかった。
 ただその指が、僕の肉の聖衣をかいくぐって、身体の中に潜り込んでいるという感覚だけはあった。

「味が違う?」
「そうだ、味で何かを確かめたんだろう。」
 何かを確かめる?どういう意味だ、、。
 でも僕の思考は途切れてしまった。
 まったく新しい快楽、「僕」をかきまわして欲しいという突き上げて来るような欲望が、僕を襲って来たからだ。

「んん、気持ちいい、、。」
 思わず本当の気持ちが、口から飛び出た。
 下を向いて目を閉じて、この初めて味わう快感を堪能した。

「助かった。見つけたぞ、、お前のあれだ。こんな所に押し込まれている。感じるか。」
 感じるどころじゃなかった。
 これ程、アレに力が漲った事はなかった。
 僕のお尻の穴の中にある、考え屋の生殖器のせいなのか?
 なんだか、何かを噛み千切らないと「噴出」を我慢できないぐらいの欲望が、僕のアレに凝り固まっている。
 まるで池の中の鯉が跳ねるみたいに、僕のアレが、偽物の女性器から飛び出してきた。
 でも僕のアレは、何かの半透明の鞘のようなものに覆われていたのだ。

「なんなんだよ?これ!」
「心配するな。下専用の搾乳機だよ。それでお前の精液を搾り取るんだ。そら。」
 メイドは自分の腰を使いながら、同時に僕のアレにも搾乳機の鞘ごと刺激を与え始めた。
 お尻の穴に生殖器を挿入された上に、同性の手で刺激される、これも初めて体験する強烈な快感だった。
 余りの快感に僕の意識は白熱し、消し飛んだ。
 ほんの数秒の空白だったに違いない。

 しかし、もしかしたらその空白は、本当の所、快楽なんかじゃなくて、見知らぬ世界に迷い込み、挙げ句の果ては女性の格好をさせられて、犯されてしまった自分からの逃避だったのかも知れない。
 けれどそんな空白をあざ笑うかのように、今度は考え屋のラブドールの顔が、僕の目の前にあり、僕の下半身は、やはり彼に蹂躙され続けていた。
 考え屋の男性器が引き抜かれたお尻の穴が、痺れたようになっている。
 ああ、なんて無様な、感覚なんだ。

「まだだ。まだなんだよ、あれぽっちじゃ足りないんだ。」
 ラブドールの口の中のゴム皮膜がへらへらと動き、僕に考え屋のつぶやきを送ってくる。
「なにして?なにしてるんだ!?」
 考え屋は、自分のアレと僕のアレを二本併せて握りしめていた。

「おぼこいな。こういう楽しみ方もあるんだぜ。お前はきっと気に入るはずだ。」
 僕は腰を引こうとしたが、考え屋は空いた方の腕で僕を抱き止めている力をますます強めるだけだった。
 信じられない考え屋の腕力、いやそれとも僕が気持ちの上で女性化して力まで出せなくなっているのだろうか。
 奇妙な気分だった。

「・・・いやらしい。」
「ほう。いやなのか。だったらやめてやろうか。」
 止めて欲しくなかった。
 僕はメイドの肩に顔を埋めてそっと首を振った。
 僕は新しい地獄に堕ちていくんだ、、。そう思った。


 気が付いたら僕は床の上に横たわっていた。
 戒めが解かれたのかと思い、一瞬喜んだのだが、僕の両手首は相変わらず革の手かせが填められており、それが手錠のようにチェーンで繋がれていた。
 それでも、さっきの宙吊りと比べたら素晴らしく自由だ。
 自分自身でも、少しだけ気力が回復しているのが判る。
 そして考え屋が僕の顔を覗き込んでいた。
 心配しているのか、笑っているのか、勿論、そのB・Bから抽出されたラブドールの表情からは判る筈もない。

「君が降ろしてくれたの?」
「ああそうだ。お前から絞りとるために、ある程度の裁量は任されているんだ。」
「だったら僕を逃がして、、いや、一緒に逃げよう。一人じゃ無理でも、二人ならなんとかなるかも知れない。」
「だめだよ。お前は本当に判っていないな。さっき神は、俺の口を使って喋ったんだぞ。お前、その意味が判るか?俺の命は、俺がどこにいようが、神が握っているんだよ。命令が頭の中に直接飛び込んできて、俺はそれに逆らえないんだ。俺がお前を降ろしてやったのは、お前をもっと感じさせる為だ。」
 僕は赤ちゃんのように両脚と両腕を縮こめて自分を守った。

「俺を拒否するのか?お前どういうつもりだ。さっきは感じていたじゃないか?恥ずかしくなったのか、、。それはお前が、俺の女に近づいた証拠だそ。ほら、今度はお前が銜えるんだ。」
 考え屋の口調が、どう猛になって来ていた。
 さっきは僕を愛玩していたのに。
 僕の身体が反応するともうこれだ。
 僕を支配しようとしている。
 僕は少しだけだが、女の人の気持ちがわかるような気がした。

 考え屋のスカートの下から勃起した男性器が僕の目の前に見えた。
 その根本には、人工的な白い肌と陰毛があったが、それは明らかに生の男性器との肌合いや形が違って見えた。

 そうなんだ。
 考え屋は僕と同じように、メイドコスチュームの下に、神々が作った「女性」を着ているのだった。
 僕の口の上に、考え屋の男性器が置かれたが、僕は食いしばってその侵入を拒否した。
 だれが男のものなんかくわえるものか。

「このエリアにいる人間は、俺とお前だけだ。アストレインで変な侵入をしてしまったからな。そして残念な事に、俺達は男と男だ。だから神は、俺達から体液を絞り取る為に、俺達を女に似せた。奴らは、男は女に発情するものと思いこんでいるのさ。元からお前が好きだった俺にはあまり関係なかったがな、、奴らはバイとかゲイとか人間の微妙な性について本当はあまりよく理解していないようだ。それに何をやっても、それは奴らの座興にしか過ぎない。その気になれば人間なんて、いくらでもゲージから攫って来れる。ゲージって、俺達がディドリームって呼んでる場所だ。俺達の本来の居場所だよ。奴らは、奴らのエリアに、自力でやって来た俺達に興味が湧いたんだろうさ。」
 考え屋が僕のホッペタを摘み上げて、なぶって遊ぶ。

「、、、俺達は、檻から逃げ出した知恵のある猿ってわけさ。」
 今度は僕の鼻を抓んでこねくり回した。

「二匹もいるなら、ここは同じ動物同士で掛け合わせてやれと考えたわけだ。奴らはさっき言ったようにあまり人間の性別の事を理解していないんだ。だが、俺やお前のことを少し観察して見て、考えを変えたんだろう。」
 そう言いながら、考え屋は僕の瞼の上下に指を当て無理やり僕の目を開かせた。
 考え屋は、変顔になった僕の顔を見て楽しんでいる。
 確かにこんな奇妙な性癖は、神でも理解できないだろうと僕は思った。

「で、俺達の心は男だから、お互いの女の姿に興奮するだろう考えたわけだ。、、だが実際は違うな。こうなったら、どっちかが、女になるだけでいい。」
 とうとう、考え屋は僕の顔に跨りながら、執拗に僕の偽女性器から飛び出したものを弄っている。

「女になるのはお前の方だ。判るだろう?それはさっき、お前が選び取ったことなんだ。」
 考え屋の男性器が僕の頬の上をはい回る。

 、、、駄目だった。
 半開きになった僕の唇の端に、考え屋の男性器の先端がふれた瞬間、僕の理性は今度こそ本当に瓦解した。
 僕はそれを、初めは、おずおずと、やがて貪るように口に含んだ。

「つぅ、、ううん。いいぞ。そうだ、その調子だ。」
 考え屋の身体が、快楽に包まれて僕の上でのけぞっている。
 頭の中がくらくらした。
 僕は「この男を射精させてやりたい」と思ったのだ。
 それは、僕の感情全てを支配する圧倒的な欲望だった。

 考え屋の男性器を舌で感じながら、僕のアレは考え屋の手を逃れ、外的な刺激なしに勃起し始めていた、、。
 考え屋との際限もない淫行を繰り返して、僕は概念上の「女」になり、そして「女」である事に満足し始めていた。


 長く激しい行為の果てに、考え屋も僕も疲れ果てていた。
 考え屋の化学的な匂いのする豊満な偽の乳房に顔を埋め、その胸を抱いて眠ろうとした時、僕の身体に悪寒が走った。
 考え屋の胸の側面、つまり脇の下に何か細くて固い黒色の棒状のものがある事に気がついたからだ。
 しかも、それには所々、関節のようなものさえある事に気づいた。
 よく見ると細かな突起付いた黒い棒状のモノは、その関節を使って、緩やかな折り畳みの動作を繰り返していた。

 巨大な昆虫のイメージが頭の中でその羽根を広げる。
 それに、考え屋が示した、今まで僕の身体を弄んでいた時の信じられない程の力。
 あの奇妙な食感のある考え屋の体液。
 僕は今までに男の精液なんか飲んだ事はないから、あんなものかと思ったけれど、、よくよく思い出して見れば、あれじゃまるで、何かの粒粒を混ぜ込んだゼリーだ。

 ひょっとしたら、僕が今まで抱かれていた相手は、あの時の考え屋じゃないのかも知れない。
 騙された!?
 どこかで入れ替わった!?
 B・Bが使う腹話術のトリックで、僕はメイドの中身を考え屋だと思いこまされたのかも知れない。
 瞬間的にB・Bの従者のマーロン・ブランドを思い出した。
 いやB・Bだって、マーロンだって、こいつらが身に纏っている皮の表面の形の差にしか過ぎない。
 彼らがお互いの被っているモノを取り替えて、入れ替わっていても、僕にはそれがわからないんだ。
 そして絶望的な事に、僕にはその中身の「本当の正体」だって知らないのだ。

 僕は自分の発見を相手に気取られないように、そっと甘えた振りをして、相手の顔をもっとよく見るために、下から覗きあげた。
 ところが、僕の視線は、その考え屋の視線とまともにぶつかってしまった。
 僕の考えは読まれていたのだ。

「ちっ、あれが出たんだな、油断しちまったな、、。」
 あれって何の事なんだ?
 まさか、あの関節のある脚のことなの?

「そんなに、本当の俺の顔が見たいのか?」
 考え屋は陰気な声で言った。
 その口調は、僕の初めて聞く奇妙なイントネーションに満ちていた。


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