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第4章 前哨基地・養鶏場惑星
28: 奇蹟とフィスト
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その時、僕は改札口前で出会った考え屋の言葉を突然、思い出した。
『噴射口が閉じきらない内に、自分の肩口まで奥深く腕を突っ込むんだ。そしてその手でアストレインの内壁を掴む。』
どうして、突然それを思い出したのか、、。
信じられない事に、今、僕の目の前にあの「お気に入り」があるからだった!
それは考え屋の計画への「賛同」じゃなく、「衝動」だった。
あの「お気に入り」が、僕の待機していたプラットホームにやって来たのだ。
「お気に入り」が現れた事は、「奇跡」の実在の可能性を示している。
願っても決して叶えられない筈の事が起こる、それが「奇跡」の本当の意味だ。
願いを誰が叶えたか、神?神なんていやしない。
それがどうして起こったか?理由や原因なんて関係ない。
つまり「奇跡」、それ自体が、意味であり価値なんだと思う。
だから僕は、考え屋のやり方を実行してみよう、そんな気になったんだ。
でも僕は考え屋のような馬鹿じゃない。
僕がしたいのは、この世界から逃げ出す算段じゃなくて、お気に入りのアストレインの全てをじっくり鑑賞する事だった。
そうさ、女の子を好きになったら、相手のことをすべて知りたくなるのと一緒だ。
僕は、僕の内側から、わき上がってくる猛烈な餓えを押さえるのに苦労した。
その飢餓感に流されては、やっと出会えた「お気に入り」の姿を一瞬しか見ることが出来ない。
豚は目の前に食べ物を置かれたら、それ以外の事は考えられない。
僕は豚よりは少しはましな筈だ。
じっと我慢するんだ。
一食ぐらい抜いたって死にはしない。
僕の「お気に入り」の噴出口が、ゆっくりと隆起し始める。
その中央から白いものが押し出されるように顔を覗かせる、マッシュポテトだ。
僕のお腹は、条件反射でググゥと鳴き始めた。
でも我慢するんだ。
次の瞬間、僕は大量のマッシュポテトの噴流で押し流されていた。
いつもならそのまま床に這い蹲ってマッシュポテトを貪り食うのだが、今日の僕は、膝まであるマッシュポテトの海から立ち上がる事が出来た。
全ては「お気に入り」の噴出口の蠱惑的な動きと、アストレイン自体が見せる豊潤な色彩と形状のお陰だった。
何だろう?このアストレインの形と質感は、、僕にここに来いと誘っている、、いや、その後どうするのかは判らない。
僕はその「お気に入り」に頬ずりをするべく、アストレインに近づいていった。
アストレインの表面はヒンヤリとしていた、そのくせ、それは機械の表面等の無機質な冷たさではなかった。
アストレインはずっと金属で出来ていると思っていたけれど、そうじゃないのかも知れない。
こいつは一体、何で出来ているんだろう?
僕は自分の全身を強くアストレインに押しつけてみる。
とても気持ちが良かった。
ガムの服を着ていても、これなのだから裸ならどんなだろう。
そう思いながら僕は、チェリーレッド色のガムで覆われた右手でアストレインの噴出口を弄った。
その手は濡ら濡らとテカった淫靡な生き物のようで、何だかいやらしく見えて僕の手じゃないみたいだった、、、
そして、驚いた事に、僕の手の接触でアストレインの噴出口がビクンと震えたのだ。
僕は熱にうなされた子どものように、自分自身の行為も定かでないまま、ガムに覆われた腕を、思わずアストレインの噴出口に押し込んでしまった。
それは最初、強い動物めいた抵抗を示したものの、暫くすると僕の腕の侵入を許したのだった、、。
噴出口の内部は熱かった。
そして僕の腕を快く締め上げていた。
僕は思わずアストレインの表面に身体を強く擦り付ける。
すると驚いた事に、アストレイン自身が蠕動したのだ。
まさかアストレインが僕の愛撫に反応したのだろうか?
いや、違った。アストレインがプラットホームから離岸する時刻が来たのだ。
知らぬ間に、10分経ったという事だ!
僕はかたく目をつぶって、アストレインの噴出口に突っ込んだ腕の手で、噴出口の柔突起が感じられる内壁を掴んだ。
考え屋のように、この世界から逃げたいわけじゃなかった。
反対だ。
僕はこのアストレインを逃がしたくなかったのだ。
一瞬の後に、僕の周囲の空気がなくなった。
そして何処か遠くの方で、人間の悲鳴が聞こえたような気がした。
タイミングから考えて、その悲鳴は、おそらくこの世界から脱出すると言っていたあの考え屋のものだった筈だ、、、。
彼は失敗したんだろう。
アストレインとプラットホームの間にある筈だと言っていた隙間で、身体を磨り潰されてミンチ肉、、けれど、それは未来の僕の姿でもある。
次の瞬間、僕はアストレインの進行方向に背中を向けたまま、物凄い勢いで引き摺られて、意識を失っていた。
『噴射口が閉じきらない内に、自分の肩口まで奥深く腕を突っ込むんだ。そしてその手でアストレインの内壁を掴む。』
どうして、突然それを思い出したのか、、。
信じられない事に、今、僕の目の前にあの「お気に入り」があるからだった!
それは考え屋の計画への「賛同」じゃなく、「衝動」だった。
あの「お気に入り」が、僕の待機していたプラットホームにやって来たのだ。
「お気に入り」が現れた事は、「奇跡」の実在の可能性を示している。
願っても決して叶えられない筈の事が起こる、それが「奇跡」の本当の意味だ。
願いを誰が叶えたか、神?神なんていやしない。
それがどうして起こったか?理由や原因なんて関係ない。
つまり「奇跡」、それ自体が、意味であり価値なんだと思う。
だから僕は、考え屋のやり方を実行してみよう、そんな気になったんだ。
でも僕は考え屋のような馬鹿じゃない。
僕がしたいのは、この世界から逃げ出す算段じゃなくて、お気に入りのアストレインの全てをじっくり鑑賞する事だった。
そうさ、女の子を好きになったら、相手のことをすべて知りたくなるのと一緒だ。
僕は、僕の内側から、わき上がってくる猛烈な餓えを押さえるのに苦労した。
その飢餓感に流されては、やっと出会えた「お気に入り」の姿を一瞬しか見ることが出来ない。
豚は目の前に食べ物を置かれたら、それ以外の事は考えられない。
僕は豚よりは少しはましな筈だ。
じっと我慢するんだ。
一食ぐらい抜いたって死にはしない。
僕の「お気に入り」の噴出口が、ゆっくりと隆起し始める。
その中央から白いものが押し出されるように顔を覗かせる、マッシュポテトだ。
僕のお腹は、条件反射でググゥと鳴き始めた。
でも我慢するんだ。
次の瞬間、僕は大量のマッシュポテトの噴流で押し流されていた。
いつもならそのまま床に這い蹲ってマッシュポテトを貪り食うのだが、今日の僕は、膝まであるマッシュポテトの海から立ち上がる事が出来た。
全ては「お気に入り」の噴出口の蠱惑的な動きと、アストレイン自体が見せる豊潤な色彩と形状のお陰だった。
何だろう?このアストレインの形と質感は、、僕にここに来いと誘っている、、いや、その後どうするのかは判らない。
僕はその「お気に入り」に頬ずりをするべく、アストレインに近づいていった。
アストレインの表面はヒンヤリとしていた、そのくせ、それは機械の表面等の無機質な冷たさではなかった。
アストレインはずっと金属で出来ていると思っていたけれど、そうじゃないのかも知れない。
こいつは一体、何で出来ているんだろう?
僕は自分の全身を強くアストレインに押しつけてみる。
とても気持ちが良かった。
ガムの服を着ていても、これなのだから裸ならどんなだろう。
そう思いながら僕は、チェリーレッド色のガムで覆われた右手でアストレインの噴出口を弄った。
その手は濡ら濡らとテカった淫靡な生き物のようで、何だかいやらしく見えて僕の手じゃないみたいだった、、、
そして、驚いた事に、僕の手の接触でアストレインの噴出口がビクンと震えたのだ。
僕は熱にうなされた子どものように、自分自身の行為も定かでないまま、ガムに覆われた腕を、思わずアストレインの噴出口に押し込んでしまった。
それは最初、強い動物めいた抵抗を示したものの、暫くすると僕の腕の侵入を許したのだった、、。
噴出口の内部は熱かった。
そして僕の腕を快く締め上げていた。
僕は思わずアストレインの表面に身体を強く擦り付ける。
すると驚いた事に、アストレイン自身が蠕動したのだ。
まさかアストレインが僕の愛撫に反応したのだろうか?
いや、違った。アストレインがプラットホームから離岸する時刻が来たのだ。
知らぬ間に、10分経ったという事だ!
僕はかたく目をつぶって、アストレインの噴出口に突っ込んだ腕の手で、噴出口の柔突起が感じられる内壁を掴んだ。
考え屋のように、この世界から逃げたいわけじゃなかった。
反対だ。
僕はこのアストレインを逃がしたくなかったのだ。
一瞬の後に、僕の周囲の空気がなくなった。
そして何処か遠くの方で、人間の悲鳴が聞こえたような気がした。
タイミングから考えて、その悲鳴は、おそらくこの世界から脱出すると言っていたあの考え屋のものだった筈だ、、、。
彼は失敗したんだろう。
アストレインとプラットホームの間にある筈だと言っていた隙間で、身体を磨り潰されてミンチ肉、、けれど、それは未来の僕の姿でもある。
次の瞬間、僕はアストレインの進行方向に背中を向けたまま、物凄い勢いで引き摺られて、意識を失っていた。
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