ボクのおじさん探偵は調子パズレでいつもヘトヘト 『ディドリームビリーバーとハードディズナイト』

Ann Noraaile

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第2章 漂流、相互干渉多世界

21: 疑惑のブログ

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 宋はメールに騙されてみる積もりで、真亜子のブログを覗いてみた。
 ブログタイトルが「私が炊事用ゴム手袋なしで生きられないわけ」・・恐ろしく長い、ガキ共が読むラノベみたいだ。
 逆に、記事のエントリー数は、ほとんどない。
 ブログ運営自体が目的ではない事は一目瞭然だ。

 記述があっても「ゴムの頭のマスク初めて、あれ気持ちいですね。デリバリーで相手の人から貰ってきちゃいました。さすがに夫の前では、被れないけど。私って、どんどん変態になってく。炊事用ゴム手のスーパーロング填めると腕がゾクゾクしてくるし。」といった自己完結調の文章で、まとまりのないものが多い。

 注目はコメント機能だった。
 ブログ運営催者だけが閲覧できるコメント機能が搭載されていた。
 宋に送られてきたあのメールと、このコメント機能、、完全な商用や引っかけなら、もっと辿り着き易いシステムを選ぶ筈なので、いかにもそれは素人が既成のサービスブログを使った、自分専用の誘導装置のように宋には思えた。
 
・・・つまり今度も、宋の「運」は、間違いなく彼を奇妙なセックスの世界に運んで行くようだった。




 ほっそりとした顔面の某女優に似た、何処か儚げな美貌の持ち主である真亜子が、別れ際に宋にこう言った。
 「とっても良かったです。又、私のブログを覗いて下さいね。もう一度会いたいから、、。」と。

 3日後、真亜子のブログが更新されていた。
 真亜子とのセックスは、予想外の淡泊なもので、何故か裏切られたような思いもあって、宋はもう二度はあるまいと思っていたのだが、終わってみると彼の記憶の中に何かざらざらとしたものが残っていた。
 宋はそれが気になっていたのだ。
 そのざらざらを確かめたくて、真亜子のブログに接続を重ねていたのだ。

 「私が炊事用ゴム手袋なしで生きられないわけ」、、長いタイトル、、嘘だと宋は思った。
 確かにあの日、真亜子は、肩口まで届きそうな炊事用ゴム手袋を使った。
 だがそれはぎごちなく、とても宋の知るフェチスト達の所作ではなく、職業用の動作でもなかった。
 唯一、真亜子に偏執的な部分があるとするなら、そのゴム手袋で宋のアナルを刺激した時に見せた「部分」への執着のみだった。

 ブログトップを下にスクロールした途端、宋は脳天をハンマーで直撃されたような衝撃を受けた。
 ブログ記事には、宋の実名がイニシャルで記載されていたのだ。
 下手をすると、組の名前まで晒されかねない。
 真亜子には、宋の名前は告げていないし、ビザールセックスハンターの自負を持つ宋は、ホテルで自分の身元が相手に判るようなへまはしない。
 宋はブログへの直接の書き込みは、わざわざインターネット喫茶や、トーアでするような人間なのだ。
 ではどうして、真亜子は宋の名を知ったのだろう。


 【T・Sさんとの一夜】

 はじめて男性とホテルで逢い引きし、唇を女のように開き精を受け止め・・・自分がとんでもない人間に思えた日。
 あの日から間もないというのに、また誘いに乗ってしまった・・・もう自分を止められない。 
 チャットで知り合ったT・Sさんと指定されたホテルの部屋へ行った。
 メイクしていると背徳感が薄れ、これからの事を妄想し少しずつカラダが熱くなってくる。 
 遠距離恋愛中の恋人達の再会のように、立ったままの激しいキスを交わす。

 Sさんの硬く尖った舌が真亜子の唇の中へ出入りして、同時にパンストの中に手を差し込まれ、恥ずかしくも硬くなった真亜子のをゆっくりと上下に撫でられる。
 他人の手だと、男のごつごつした手がとっても気持ち良い。
 仰向けに寝かされて、上からキスの雨、パンストを脱がされた真亜子のショーツの中でゆっくり上下に撫でさするSさんの手。

 凄くイイ・・・、頭の中が甘くとろけるみたい。 
 「口を空けろ」と言われ、それに従った真亜子の口の中に、T・Sさんの唾液がたくさん流し落とされ真亜子の喉を次々と通っていく。 
 ボーっとしてくる頭の中、何でも受け入れられる思った。

 カラダ中が敏感になりつつある真亜子の胸の上にT・Sさんが跨る。
 本物の肉の詰まっていないブラが悔しい。

「真亜子、気持ちいいぞ」とSさん。 
 T・Sさんが「そろそろ欲しいだろ」と・・・腰の下に枕を入れ、真亜子の後ろを恥ずかしい格好に高く上げる。 
 はじめて本物の男性を受け入れて・・・後ろが熱くて、おなかの奥まで犯されている感覚・・・私の痴態を楽しみながら、ゆっくり動き始めたSさん。
 真亜子は首を振り、シーツをつかみながら、その刺激に耐える。
 そうしているとカラダの奥から湧き出てくるような快感が・・津波のように真亜子を押し流していく・・。 

「あうっ、あっ、あっ、あっ」と、Sさんの動きにあわせる。おぞましい牝の声が抑えられない。 
「真亜子は、いい声で泣くな、気持ちいいだろ?」
「いっいいです」
 時折、奥まで突き込まれて、女の声を作るのも忘れて絶叫してしまう。 
 正常位でずっと突かれている。 

「真亜子、そろそろイキたいか?」 
「はっい、イかせてっ、イカせて下さい」 
「あっうっ、あっうー、あっあーっいっいいー」と、男の中で露出した牝の恥ずかしい声が、私の別人格のように呻いている。 

「真亜子、俺もそろそろイクぞ」と激しく動くSさん。 
 急に気が登り始めて快感が頂点に達したとき・・・普段ならこれでイけるのに、真亜子の後ろが収縮して、T・Sさんの男性を締め付けるだけ。
 真亜子は、Sさんによって心底、エロいオンナに剥かれてる。  

「真亜子、俺もイクぞー」とSさんも激しく突き入れて来ます。 
 ・・男性と後ろで交わるなんて。
 こんな快感ははじめて・・こんな快感を知ってしまった私は、これからどうなっていくんだろう・・・。 


 ・・・おかしい、実際の真亜子とのセックスは、こんなものではなかった。
 ではこの記事は、別の男との違うセックスを書いているのか。
 では何故、「宋」の名前が出てくるのだ?
 その他にも、不振な点がいくつかある、この記事の文体は、今までの真亜子のそれではない。
 第一、真亜子は、正真正銘の女性であって、ここに登場するようなペニス願望のある女、もしくは女装者やニューハーフ等ではない。

 真亜子の背景に別の誰かがいるのか、、。
 ビザールセックスハンターなどと名乗るような、職業ずれしたすれっからしを嫌うという、ヤクザのくせして甘い部分があるから、俺は、馬鹿げたやばい罠に落ちてしまったのか?
 宋の頭の中で、様々な最悪のケースと、それに対する対応策が猛烈な勢いで駆けめぐった。
 駄目だ、、実名を知られている。
 宋は既に、宋に関する幾ばくかの情報を真亜子に握られているのだ。

 だが待て、今回に限り、俺は犯罪を犯したわけではない、と宋は思い直した。
 少なくとも、真亜子との関係で言えば、事が終わった後、宋は報酬を手渡し彼女はそれを受け取っている。
 罪を問われても微罪だ。
 そんなものが役に立つかどうか判らないが、真亜子からの誘いのメールも保管してある。

 ゴシップさえ畏れなければ、場合によっては自分のヤクザの顔をむき出しにして反転攻勢だって可能な筈だ。
 そう考える内に、宋の動悸は、薄まる不安と共に収まってきた。
 ヤクザが素人の女に怯えてどうする、、何も出来ないようにシャブでも喰わせちまえばいいんだ。
 宋の頭の中がクリアになった。
 ・・そう、宋の中にある、たった一つのあるひっかかりを除いては。



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