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第2章 漂流、相互干渉多世界
20: 宋智仁との因縁
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俺は目の前に見える、やや青みがかった十龍城をストローをくわえながら見つめ、宮崎駿のアニメに登場するラピュタ城の姿を連想していた。
十龍城は、丘のような形をしており、所々に、人工的な庭園を抱えている巨大商業ビルだ。
開発された当時は、その庭園もよく手入れが行き届いていて、洒落た都会のオアシスのように見えていたのだが、今は、草木が伸び放題で、ジャングルのような有様になっている。
植物の構成は常緑樹が多く、所々にイミテーションプラントが混ぜ込んであるから、季節を問わず緑が濃い。
それがオシャレどころか、今までは逆に、十龍城の異彩の一つの原因なっている。
俺が陣取っているカフェの屋外テーブルからは、十龍城の威容の全体がよく見えていた。
テーブルの上にある待合いの時間つぶしの為に注文したジンジャーエールはもう殆ど残っていない。
俺は、こんなホコリぽい場所で、コーヒーを飲む趣味はない。
アルコールを頼みたかったが、流石にそれは諦めた。
リョウが新しい情報を次々と拾ってくるのに対して、俺の捜査状況はジリ貧だった。
俺は、煙猿と沢父谷の二つの線で捜査を進めていたのだが、不思議な事に、姫子の足取りは、リョウが彼女と会えなくなった日を区切りとして、完全に途絶えていた。
その途切れぶりは、まるで姫子など最初からこの世に存在しなかったと言わんばかりだった、、、。
沢父谷関係で手に入れた情報と言えば、あのDVDに出ていた沢父谷のレズ友役から、姫子の初恋の相手の名前を聞き出せていて、それが「香代」という少女だったということぐらいだった。
その香代は、沢父谷に言わせると、物静かで常に色々な事を考えている芯の強い女の子だったそうだ。
・・・そんなある日、俺のもとに蛇喰という男から電話がかかってきた。
そいつが今、俺が待っている相手だ。
自己紹介の際に「ジャクイ」と名乗られて、直ぐに漢字が思い浮かばず、次にその漢字を教えられてゾクリとしたおぼえがある。
どうやら俺の窮状を見るに見かねて、オカルト仲間である辰巳組の宋が、俺を助けようとジャクイに橋渡しをしてくれたようだ。
俺には自覚はないのだが、最近の俺は、相当、荒れていたようだ。
普通の捜査なら、無責任を絵に描いたようなこの俺・目川が、他人を動かすほどの焦燥を見せる筈がない。
そんな普段の俺の姿を知っている宋が動いたのだから、相当だったのだろう。
他ならぬリョウが持ち込んできた「依頼」という事実が、俺に大きなプレッシャーを与えていたのだ。
表面的には、それを見かねた宋の登場なのだが、宋にしても蛇喰にしても暴力団組織の人間だ。
彼らの行動ベースが、純粋な善意だけ、なんて事は全くなく、そこから生まれる提案もしかりだった。
焦燥しきった俺を哀れに思ったのは事実かも知れないが、そこから次には裏があるのだ。
そこには、こちらが一つ間違いを犯すと、大きな火傷を負いかねない計算がある。
だが今の俺には、それを斟酌している余裕はなかった。
俺に蛇喰とのツナギをつけてくれた辰巳組の宋智仁は怖い奴だ。
俺と会うと「目川ちゃーん」と粘っこい調子で、ゆで卵を逆さにしたような顔から声をかけてくれるのだが、その目がちっとも笑っていない。
1ヶ月ほど前、俺は宋と一緒に、大阪は梅田のかっぱ横丁に、何かオカルト関係の面白い出物はないかと古書漁りにいった事がある。
宋はオカルト情報誌を集めるのが趣味という妙な男なのだ。
それに自分で自分の事を、副業ビザールセックスコレクターなどと平気で言ったりするが、要するに女性をシャブ漬けにしたり、借金で嵌め身動き撮れなくしてから変態の限りをやったりする男だ、、。
結局その日は、大した収穫もなく、新梅田食道街のお好み焼き屋の「きじ」で腹に何かを入れてから京都に帰ろうという話になった。
お好み焼きに、正統も亜流もあったもんじゃないが、俺は、一応「きじ」のお好み焼きは、大阪トラディショナルだと思っている。
山芋やら、伊勢湾の海老やら、A5の和牛やら、キャベツの分量への拘りやら、『一昨日来やがれ』だ。
お好み焼きだぞ、良く使い込まれた鉄板と、焼き上げのカンどころさえあれば良い、「きじ」はヘンにあれこれ弄っていないところが良い。
それに、新梅田食道街の持っている、キタにミナミが紛れ込んだような感じも好きだ。
問題は「きじ」に入店するまでだった。
こういう時の宋は、気を利かせて、一般人に見えるようなスタイルで来るのだが、宋の持っているオーラというか、なんというか、時代劇で言うと殺気のようなものが、地元の「ソレ系」の人々を呼び寄せてしまうのだ。
結局、そんな時は、俺が緩衝材にならざるを得ない。
宋智仁が、イケイケ過ぎるからだ。
同じヤクザでも常識的な奴は結構いる。だが宋は真性でイケイケだった。
だから宋が暫く雑踏の中を歩いているだけで、宋に相応した人間が吸い寄せられてくる。
、、最初は目力を使った殴り合いだ。
これが俺みたいな半分ヤサぐれた探偵ではなく、一般人なら間違いなく小便をちびってしまうような場面が出てくるのだ。
普通、中年オタクが二人組でケッタナイな街遊びをしたって、せいぜい笑いを誘うのが良いところなのに、どうして俺達の場合は、「覚悟」がどうとか「組同士の」なんて話になるんだ、、。
最後は、俺がピエロ役回りをして、宋がしぶしぶ身を引くという形で収めるしかなかった。
俺がそんなヤバイ奴と、ある程度の親交を確立できたのは、宋智仁が体験した怪異を、俺がほんの少しだけ解明してやったからだ。
宋智仁は、ヤクザな世界に身を置いているくせに、隠れた趣味はオカルトという妙な人間だったが、そんな共通点だけでは、奴も俺に手を差し伸べてやろうと思うほどの仲には、なっていなかっただろうと思っている。
宋智仁と俺を結びつけた怪異とは、こんなものだった。
もしこの話に、タイトルを付けるなら「怪談・女装女」って、ところか、、女性が女装してる所がミソだ。
それと、なんとなくだが、この話、雰囲気としてはスティーヴン・キングが1987年に発表した長編小説の「ミザリー」に似ていなくもない。
女の狂い具合は、あちらが血の滴る巨大なステーキなら、こちらはせいぜい頑張っても「いきなりステーキ」の1.6kg程度だが、「閉鎖・拘束」感は、良い勝負だったように思う。
「ミザリー」は宋も読んでいて、後にその話をした時には、彼は苦く笑っていた。
・・・・・・・・・
ある日、宋智仁の元にスパムメールがやってきた。
最近のヤクザはもちろん、スマホもパソコンも使う。
どちらかというと宋智仁はパソコンの方が得意だ。
『私、真亜子です。炊事用ゴム手袋マニアで、主婦のデリバリーヘルスごっこやってます。30代後半、夫の出張中にその気になってオナニーしようとしたんだけど、かなり長く爪を伸ばしていたので、炊事場にあったゴム手袋を使って以来、ゴム手袋の触感と滑り止め模様の中毒に。今では(炊ゴ手=Hな気分)くらいになってます。そんなこんなで、出張の多い夫の留守に、趣味と実益を兼ねてデリバリーやってます。炊事用の手袋でしごくのがメインですが、その他、炊ゴ手とカッパと黒革ロングブーツとかのフェチぽいスタイルもOKだし、お口も、ブーツで踏み踏みとかもリクエスト次第で。詳しくは真亜子のブログで。』
近頃のスパムメールは仕掛けが巧妙というか悪辣というか、度が過ぎているものが多いのだが、何故か、宋はこのメールが気になって仕方がなかったようだ。
特に『長く爪を伸ばしていたので』の下りに引っかかったようだ。
その部分が、宋の自称ビザールセックスコレクターの勘がこれは「当たり」だとサインを送ったらしい。
「勘」といったが、それは宋の持っている特別な「運」と言い変えた方が良いかも知れない。
恥ずかしげもなく、あるいはヤクザらしくもなく、ビザールセックスコレクター等と気取った言い回しをしているが、宋は、彼の持っているやくざとしての暴威を存分に使い、欠損なしの十本の指では数え切れない程の残忍なセックスの体験を幾つも体験している。
それでも彼が世の中に埋もれるビザールセックスな行き当たるのには、結構な運が必要なのだ。
なぜなら人々は、そういったモノを抱え込み、決して外に出そうとはしないからだ。
宋の場合、こういったセックスに数多く巡り会えるのは、必ずしも彼がヤクザだからという事だけではなく、たまたま仕事上で知り合った男性が女装癖があって、いつの間にかその男と寝てみたりとか、その他、あまり大きな声では言えないけれど、金や暴力を使わずに、ロリータセックスに巡り会うというような事もあるらしい。
それらの体験は、宋が努力して引き寄せたものではなく、気が付いたらそういう状況にあったわけで、やはりそれは「運」としか言いようがないものなのだ。
その運が又、真亜子という女を引き寄せたのかも知れない。
十龍城は、丘のような形をしており、所々に、人工的な庭園を抱えている巨大商業ビルだ。
開発された当時は、その庭園もよく手入れが行き届いていて、洒落た都会のオアシスのように見えていたのだが、今は、草木が伸び放題で、ジャングルのような有様になっている。
植物の構成は常緑樹が多く、所々にイミテーションプラントが混ぜ込んであるから、季節を問わず緑が濃い。
それがオシャレどころか、今までは逆に、十龍城の異彩の一つの原因なっている。
俺が陣取っているカフェの屋外テーブルからは、十龍城の威容の全体がよく見えていた。
テーブルの上にある待合いの時間つぶしの為に注文したジンジャーエールはもう殆ど残っていない。
俺は、こんなホコリぽい場所で、コーヒーを飲む趣味はない。
アルコールを頼みたかったが、流石にそれは諦めた。
リョウが新しい情報を次々と拾ってくるのに対して、俺の捜査状況はジリ貧だった。
俺は、煙猿と沢父谷の二つの線で捜査を進めていたのだが、不思議な事に、姫子の足取りは、リョウが彼女と会えなくなった日を区切りとして、完全に途絶えていた。
その途切れぶりは、まるで姫子など最初からこの世に存在しなかったと言わんばかりだった、、、。
沢父谷関係で手に入れた情報と言えば、あのDVDに出ていた沢父谷のレズ友役から、姫子の初恋の相手の名前を聞き出せていて、それが「香代」という少女だったということぐらいだった。
その香代は、沢父谷に言わせると、物静かで常に色々な事を考えている芯の強い女の子だったそうだ。
・・・そんなある日、俺のもとに蛇喰という男から電話がかかってきた。
そいつが今、俺が待っている相手だ。
自己紹介の際に「ジャクイ」と名乗られて、直ぐに漢字が思い浮かばず、次にその漢字を教えられてゾクリとしたおぼえがある。
どうやら俺の窮状を見るに見かねて、オカルト仲間である辰巳組の宋が、俺を助けようとジャクイに橋渡しをしてくれたようだ。
俺には自覚はないのだが、最近の俺は、相当、荒れていたようだ。
普通の捜査なら、無責任を絵に描いたようなこの俺・目川が、他人を動かすほどの焦燥を見せる筈がない。
そんな普段の俺の姿を知っている宋が動いたのだから、相当だったのだろう。
他ならぬリョウが持ち込んできた「依頼」という事実が、俺に大きなプレッシャーを与えていたのだ。
表面的には、それを見かねた宋の登場なのだが、宋にしても蛇喰にしても暴力団組織の人間だ。
彼らの行動ベースが、純粋な善意だけ、なんて事は全くなく、そこから生まれる提案もしかりだった。
焦燥しきった俺を哀れに思ったのは事実かも知れないが、そこから次には裏があるのだ。
そこには、こちらが一つ間違いを犯すと、大きな火傷を負いかねない計算がある。
だが今の俺には、それを斟酌している余裕はなかった。
俺に蛇喰とのツナギをつけてくれた辰巳組の宋智仁は怖い奴だ。
俺と会うと「目川ちゃーん」と粘っこい調子で、ゆで卵を逆さにしたような顔から声をかけてくれるのだが、その目がちっとも笑っていない。
1ヶ月ほど前、俺は宋と一緒に、大阪は梅田のかっぱ横丁に、何かオカルト関係の面白い出物はないかと古書漁りにいった事がある。
宋はオカルト情報誌を集めるのが趣味という妙な男なのだ。
それに自分で自分の事を、副業ビザールセックスコレクターなどと平気で言ったりするが、要するに女性をシャブ漬けにしたり、借金で嵌め身動き撮れなくしてから変態の限りをやったりする男だ、、。
結局その日は、大した収穫もなく、新梅田食道街のお好み焼き屋の「きじ」で腹に何かを入れてから京都に帰ろうという話になった。
お好み焼きに、正統も亜流もあったもんじゃないが、俺は、一応「きじ」のお好み焼きは、大阪トラディショナルだと思っている。
山芋やら、伊勢湾の海老やら、A5の和牛やら、キャベツの分量への拘りやら、『一昨日来やがれ』だ。
お好み焼きだぞ、良く使い込まれた鉄板と、焼き上げのカンどころさえあれば良い、「きじ」はヘンにあれこれ弄っていないところが良い。
それに、新梅田食道街の持っている、キタにミナミが紛れ込んだような感じも好きだ。
問題は「きじ」に入店するまでだった。
こういう時の宋は、気を利かせて、一般人に見えるようなスタイルで来るのだが、宋の持っているオーラというか、なんというか、時代劇で言うと殺気のようなものが、地元の「ソレ系」の人々を呼び寄せてしまうのだ。
結局、そんな時は、俺が緩衝材にならざるを得ない。
宋智仁が、イケイケ過ぎるからだ。
同じヤクザでも常識的な奴は結構いる。だが宋は真性でイケイケだった。
だから宋が暫く雑踏の中を歩いているだけで、宋に相応した人間が吸い寄せられてくる。
、、最初は目力を使った殴り合いだ。
これが俺みたいな半分ヤサぐれた探偵ではなく、一般人なら間違いなく小便をちびってしまうような場面が出てくるのだ。
普通、中年オタクが二人組でケッタナイな街遊びをしたって、せいぜい笑いを誘うのが良いところなのに、どうして俺達の場合は、「覚悟」がどうとか「組同士の」なんて話になるんだ、、。
最後は、俺がピエロ役回りをして、宋がしぶしぶ身を引くという形で収めるしかなかった。
俺がそんなヤバイ奴と、ある程度の親交を確立できたのは、宋智仁が体験した怪異を、俺がほんの少しだけ解明してやったからだ。
宋智仁は、ヤクザな世界に身を置いているくせに、隠れた趣味はオカルトという妙な人間だったが、そんな共通点だけでは、奴も俺に手を差し伸べてやろうと思うほどの仲には、なっていなかっただろうと思っている。
宋智仁と俺を結びつけた怪異とは、こんなものだった。
もしこの話に、タイトルを付けるなら「怪談・女装女」って、ところか、、女性が女装してる所がミソだ。
それと、なんとなくだが、この話、雰囲気としてはスティーヴン・キングが1987年に発表した長編小説の「ミザリー」に似ていなくもない。
女の狂い具合は、あちらが血の滴る巨大なステーキなら、こちらはせいぜい頑張っても「いきなりステーキ」の1.6kg程度だが、「閉鎖・拘束」感は、良い勝負だったように思う。
「ミザリー」は宋も読んでいて、後にその話をした時には、彼は苦く笑っていた。
・・・・・・・・・
ある日、宋智仁の元にスパムメールがやってきた。
最近のヤクザはもちろん、スマホもパソコンも使う。
どちらかというと宋智仁はパソコンの方が得意だ。
『私、真亜子です。炊事用ゴム手袋マニアで、主婦のデリバリーヘルスごっこやってます。30代後半、夫の出張中にその気になってオナニーしようとしたんだけど、かなり長く爪を伸ばしていたので、炊事場にあったゴム手袋を使って以来、ゴム手袋の触感と滑り止め模様の中毒に。今では(炊ゴ手=Hな気分)くらいになってます。そんなこんなで、出張の多い夫の留守に、趣味と実益を兼ねてデリバリーやってます。炊事用の手袋でしごくのがメインですが、その他、炊ゴ手とカッパと黒革ロングブーツとかのフェチぽいスタイルもOKだし、お口も、ブーツで踏み踏みとかもリクエスト次第で。詳しくは真亜子のブログで。』
近頃のスパムメールは仕掛けが巧妙というか悪辣というか、度が過ぎているものが多いのだが、何故か、宋はこのメールが気になって仕方がなかったようだ。
特に『長く爪を伸ばしていたので』の下りに引っかかったようだ。
その部分が、宋の自称ビザールセックスコレクターの勘がこれは「当たり」だとサインを送ったらしい。
「勘」といったが、それは宋の持っている特別な「運」と言い変えた方が良いかも知れない。
恥ずかしげもなく、あるいはヤクザらしくもなく、ビザールセックスコレクター等と気取った言い回しをしているが、宋は、彼の持っているやくざとしての暴威を存分に使い、欠損なしの十本の指では数え切れない程の残忍なセックスの体験を幾つも体験している。
それでも彼が世の中に埋もれるビザールセックスな行き当たるのには、結構な運が必要なのだ。
なぜなら人々は、そういったモノを抱え込み、決して外に出そうとはしないからだ。
宋の場合、こういったセックスに数多く巡り会えるのは、必ずしも彼がヤクザだからという事だけではなく、たまたま仕事上で知り合った男性が女装癖があって、いつの間にかその男と寝てみたりとか、その他、あまり大きな声では言えないけれど、金や暴力を使わずに、ロリータセックスに巡り会うというような事もあるらしい。
それらの体験は、宋が努力して引き寄せたものではなく、気が付いたらそういう状況にあったわけで、やはりそれは「運」としか言いようがないものなのだ。
その運が又、真亜子という女を引き寄せたのかも知れない。
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