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2話
しおりを挟むー翌日ー
「1限目は数学だから、休み時間の内に教科書とか準備しとけよ」
どこの学校で、入学した次の日から授業をやるのだろうか。入学式の翌日ぐらい、授業をやらないでクラスメイトとの仲を深めてもいいと思う。この学校の先生はどうなっているんだ!
えっ?なんでこんなに怒ってるかって?答えは簡単教科書を忘れたから。
バカか昨日の俺はー!ちゃんと準備しとけよ!てか、ほんとになんで翌日から授業があるんだよ!
一回落ち着こう。まぁ、忘れたことは仕方がない。大事なのはその後どうするかだ。答えは一つ!隣に見してもらうだ!!
えっと………確か名前は………二瓜さんだっけ?多分合ってるはず。
「あのー、二瓜さん」
「はい?」「どうしたのー?」
あっやべ、二人とも二瓜だった。ここは、あくまで最初から二人を呼んだことにしよう。
「あのー、どっちか数学の教科書持ってない?俺忘れちゃって」
「あー、私も忘れちゃった」
「私は持ってますよ」
「さすが葵!じゃあ見せて!」
「茜待って、この人もいるでしょ。えっと名前なんだっけ。自己紹介してました?」
グサッ。君の前にしてたわ!
「葵、流石にそれはひどいよ。名前ぐらい覚えてあげて。この人の名前は………。えっと………たかしだよ。たかし」
正義だわ!双子の姉妹揃って酷すぎる。
「そうだ!たかしさんだ。よく覚えてたね。茜もさすが!」
「えっへん!」
「あの、俺正義です」
「………………………………………………………」
気まずい空気が流れる。その気まずい空気のまま授業の始まりのチャイムが鳴り、授業が始まる。
教科書は俺の机に置かれ、二瓜さんたちの机は俺の机とぴったりとくっついている。普通なら、両隣に女子がいたら天国だろう。しかし、今は地獄だ。気まずい。
そして、授業と地獄の終わりを告げるチャイムが鳴る。
「二瓜さん、教科書ありがとう」
「いえいえ、全然」「どういたしましてー」
「なんで茜が言うのよ」
「二瓜さんって言われたから、反応しちゃって。たか、じゃなかった。正義くんさぁ、私達のこと名前で呼んでよ。紛らわしいから」
絶対たかしって言おうとしてた。もう、たかしに名前変えようかな。
「分かったよ。えっと………」
やばい、名前覚えてない………。
「レムさんと、ラムさんだっけ?」
「「うわっ、、この人最低」」
二人同時に言わなくても……。二瓜さんたちだって間違ってたくせに。
「右の席にいる私が、姉の二瓜 葵です」
「で、左側にいる私が妹の茜だよー!まぁ妹って言っても同じ日に生まれたけどね」
「でも、私のほうが1時間早く生まれたから」
「でも双子じゃん。誰もどっちがお姉ちゃんとか気にならないよ」
「まぁまぁ」
俺は喧嘩になりそうなので、止めたつもりだったのだが二人にすごい目つきで睨まれた。なんで、俺が睨まれなきゃいけないんだ。
「右の席にいるのが葵さんで、左にいるのが茜さんね。よし覚えた!」
どっちがお姉ちゃんかという情報は今は言わないでおこう。言った瞬間、あの獲物をとらえるようなライオンの目つきで噛み殺される…………。
「二人の名前は分かったんだけどさ、どうも見た目で見分けがつかなくて…………」
「あっ、見分け方ならあるよー! 私の方は左目の下にほくろがあって、葵の方は左目の下にほくろがあるの!」
「あっほんとだ!よく見たらほくろがある!」
一応それっぽい反応はしたけど、ほくろめっちゃちっさいんだよなー。よく見ないと分からないぐらいのサイズ。やっぱり見た目では見分けがつかない。しかしそれはあくまで、『見た目』ではの話。話してしまえば口調とか、雰囲気で分かる。
クールなのが葵さんで、元気いっぱいなのが茜さん。意図して嫌味を言ってきそうなのが葵さんで、意図せず嫌味を言っちゃいそうなのが茜さんだ。これを頭の中で考えていると、左右から視線を感じた。恐る恐る視線を感じた方を見ると、そこには双子のライオンが。心を読まれたらしい。
二人共嫌味なんか言わなそうです。お二人共優しいです。これを心のなかで何回も唱えている内に、双子のライオンはゆっくりと通常の姿に戻っていった。
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