3 / 3
母親の隠し事
しおりを挟む
「お母さん、私全部知ってるんだからね……
なんでお母さんが、あの人のお母さんとの関係を気にしているか」
「………………」
母親は黙り込んでしまった。母親も全てを隠し通せているとは思っていなかったのだろう。
半年ほど前だろうか私が、実家に帰った時母親の部屋の机の上に1冊のノートが置いてあった。
私は見てはいけないとは頭の中では分かっていても、気付いたら私の手はそのノートに伸びていた。母親に見つかると、面倒な事になるので周りを気にしながら、ノートのページをパラパラとめめくってみる。ノートの中身は半分ほど埋まっており、日記のように1ページ一日みたいな形式で文章が書かれていた。
そしてノートの1ページ目、つまり一日目を開いて読んでみる。
『今日であの人が無くなってから1年、そろそろ貯金が尽きそうです。私は一体どうすればいいのでしょうか。私だけならともかく、大切な娘もいます。せめて娘だけでも不自由ない生活をさせてあげたい』
あの人と言うのは、私の父親のことだろう。母親は父親が亡くなった時とても悲しんでいた。
決して綺麗な字ではなく、文章の量も多くない。しかし、まだ娘への愛情は感じられる。そう、まだ感じられる……
なんでお母さんが、あの人のお母さんとの関係を気にしているか」
「………………」
母親は黙り込んでしまった。母親も全てを隠し通せているとは思っていなかったのだろう。
半年ほど前だろうか私が、実家に帰った時母親の部屋の机の上に1冊のノートが置いてあった。
私は見てはいけないとは頭の中では分かっていても、気付いたら私の手はそのノートに伸びていた。母親に見つかると、面倒な事になるので周りを気にしながら、ノートのページをパラパラとめめくってみる。ノートの中身は半分ほど埋まっており、日記のように1ページ一日みたいな形式で文章が書かれていた。
そしてノートの1ページ目、つまり一日目を開いて読んでみる。
『今日であの人が無くなってから1年、そろそろ貯金が尽きそうです。私は一体どうすればいいのでしょうか。私だけならともかく、大切な娘もいます。せめて娘だけでも不自由ない生活をさせてあげたい』
あの人と言うのは、私の父親のことだろう。母親は父親が亡くなった時とても悲しんでいた。
決して綺麗な字ではなく、文章の量も多くない。しかし、まだ娘への愛情は感じられる。そう、まだ感じられる……
0
お気に入りに追加
13
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!
ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。
幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。
婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。
王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。
しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。
貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。
遠回しに二人を注意するも‥
「所詮あなたは他人だもの!」
「部外者がしゃしゃりでるな!」
十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。
「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」
関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが…
一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。
なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…
転生先のご飯がディストピア飯だった件〜逆ハーレムはいらないから美味しいご飯ください
木野葛
恋愛
食事のあまりの不味さに前世を思い出した私。
水洗トイレにシステムキッチン。テレビもラジオもスマホある日本。異世界転生じゃなかったわ。
と、思っていたらなんか可笑しいぞ?
なんか視線の先には、男性ばかり。
そう、ここは男女比8:2の滅び間近な世界だったのです。
人口減少によって様々なことが効率化された世界。その一環による食事の効率化。
料理とは非効率的な家事であり、非効率的な栄養摂取方法になっていた…。
お、美味しいご飯が食べたい…!
え、そんなことより、恋でもして子ども産め?
うるせぇ!そんなことより美味しいご飯だ!!!
マッパーは転移してもマッパー ~異世界転移してハズレスキル【マッピング】を獲得したイノーが世界を統べる全能帝と呼ばれるようになるまで~
たっすー
ファンタジー
「マッピングって冒険者スキルじゃないぞ。おとなしく城壁の内側にこもって地図でも作ってるんだな」
世界を歩いてみて回る━━そう決めたイノーだったが、立ちはだかったのは、戦闘で役に立たない彼はパーティに入れてもらえないという難問だった。
こうなったら仕方ない。一人でも旅をして世界地図を完成させてやる!
これは後に全能帝として世界を統べることになる一人の転移者の旅の記録である。
転生おばさんは有能な侍女
吉田ルネ
恋愛
五十四才の人生あきらめモードのおばさんが転生した先は、可憐なお嬢さまの侍女でした
え? 婚約者が浮気? え? 国家転覆の陰謀?
転生おばさんは忙しい
そして、新しい恋の予感……
てへ
豊富な(?)人生経験をもとに、お嬢さまをおたすけするぞ!
平民と恋に落ちたからと婚約破棄を言い渡されました。
なつめ猫
恋愛
聖女としての天啓を受けた公爵家令嬢のクララは、生まれた日に王家に嫁ぐことが決まってしまう。
そして物心がつく5歳になると同時に、両親から引き離され王都で一人、妃教育を受ける事を強要され10年以上の歳月が経過した。
そして美しく成長したクララは16才の誕生日と同時に貴族院を卒業するラインハルト王太子殿下に嫁ぐはずであったが、平民の娘に恋をした婚約者のラインハルト王太子で殿下から一方的に婚約破棄を言い渡されてしまう。
クララは動揺しつつも、婚約者であるラインハルト王太子殿下に、国王陛下が決めた事を覆すのは貴族として間違っていると諭そうとするが、ラインハルト王太子殿下の逆鱗に触れたことで貴族院から追放されてしまうのであった。
【完結】捨てられ正妃は思い出す。
なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」
そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。
人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。
正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。
人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。
再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。
デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。
確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。
––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––
他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。
前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。
彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。
浮気者な婚約相手との関係を精算したら、大事件になったお話
キョウキョウ
恋愛
男爵令嬢のシエラ・パークスと、男爵家の長男であるイアン・ダウズウェルは婚約中だった。
パークス家とダウズウェル家は領地が隣同士で、息子と娘の婚約をキッカケに協力し合うようになる。
学園に入学する年齢になったイアン。シエラは一歳年下で、翌年に入学する予定だった。
離れ離れになって、イアンは何人も恋人を作って浮気していた。
一年後に遅れて入学してきたシエラは、その光景を見て愕然とする。
浮気の証拠を集めて、イアンに婚約破棄を切り出した。
最初は余裕だったイアンは、徐々に慌て始める。
この婚約破棄が原因で、大きな事件が起きることになる。
※恋愛要素少なめです。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる