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12.公爵夫人に侍るリスク
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【騎士団長 side】
『ごくり。』
口の中に溜まった唾液を飲み下して、俺の喉仏は上下を繰り返す。
ベロ入れて、舐りまわしたいな・・・。
俺は静かに眠る夫人の唇を、護衛しながらチラチラと盗み見る。あかん、エロい事考えとる場合ちゃう。
「護衛中やぞ、しっかりせぇ、オレ。」
俺は頬をペチリと叩いて、雑念を追い出す。
すうすうと聞こえる、夫人の規則正しい寝息の音。ブランケットを押し上げる豊かな乳房が、微かに上下する。今は下着、着けとるよな?
寝顔だけなら、こんなにおぼこいのにな・・。時々、心臓を鷲掴みされてしまうみたいにエロい顔すんねん。
彼女が死なんで、ほんまに良かった。
初めはコイツの事、何も感じひん鋼鉄製の人形なんちゃうかと思ってたのに、それは全部フリやった。
防御スキルは、万能と違う。首絞めたり、ナッツ食べただけで、簡単に死んでしまいそうになる、か弱い女なんや。
夫人は、今までずっと本心を隠しとった。誰も自分に近づけへん様に、冷酷な仮面を被って。孤独に1人で戦っとった。
黒い髪をきっちりと引っ詰めて、いつも地味な色の服を着てた。こんなにエロいのに貞淑なフリして、何度も浮気されとるのに顔色ひとつ変えへん。
でも、あの晩は違った。そもそも何であんな人気のない場所へいったんや。本心では浮気に傷ついとったって証拠やな。
伯爵の愛人にでも、いびられたんやろか。あの夜、愛人が夫人と接触したんは目撃者がおるからわかっとる。
コイツを知れば知るほど、不憫で。俺が包み込んで、甘やかな愛を教えてやりたくなる。
人が羨む地位に、神話級のスキルも持っとる。でもその心はいつも孤独で、自殺するほどに壊れてしもてて、まるで薄幸の美女みたいやな。
俺やったら、嫌なコト忘れるくらい、女の悦びを毎日その身体に教えてヤれるのに。
「まぁ、たかだか騎士爵の俺にはそんな資格なんて無いんやけど。」
彼女が望むんやったら、舐め犬に堕ちてもええ。
なんてな・・。
俺にだけ向ける、あの笑顔の意味は?いくら、心が不安定やったからって、キスしたり俺のアソコ撫で回したりするモンなんか?
コイツは絶対、俺を好ましく思ってるはずや。
そやなかったら、あんなキス・・・。
せえへんやろ?
夫人は、公爵の事を愛してるんやろか。その鋼鉄の仮面に隠された本心を、俺は読み解く事ができひん。
あんなクズの何処がええんや。
確かに顔はええ、領地経営の能力も高い・・。
でも、それだけや。
伯爵は、夫人を抱いてない。
紅い花びらみたいな、あの唇の柔らかさを俺は知っとる。その口内に隠された、いやらしく蠢く舌も。
思い出すように俺は、自分の唇を指でなぞった。
俺のベロを柔い唇が喰んで、それを夫人がちゅこちゅこと、舌先を使うていやらしく吸う・・
もっかい、交わしたいな。
あの口淫を。
俺は吸い寄せられるみたいに、カツカツと夫人の側に歩み寄りその唇に触れた。
俺は卑しくも、そのふにふにとしたリップの隙間に中指をつぷりと浅く差し込む。
「んっ。」 すう、すう。
病室には、護衛の俺と眠る夫人2人きり、メイドもいてへん。
夫人の髪を一房掬って、その柔らかい毛先に口づけを落とす。彼女の、イランイランの甘い香りを、胸いっぱいに吸い込む。
普通やったら、高貴な人妻と密室で2人なんてありえへん。不貞を疑われてしまうからや。
でも昨日、その許可を貰った。
2人きりになってもいいって許可や。
それは鍵を閉めて部屋に篭っても、夫人のベットに俺が潜り込んでもええって事なんや。
前王弟で彼女の祖父でもある、閣下から直接言葉を頂いた。閣下は王国騎士団の現相談役で、最高責任者や。その言葉は夫人の夫で、婿である公爵本人よりも重い。
夫人が望めば、俺が胎ましてもええって許可やで?
それは、俺と夫人の子が時期公爵になるかもしれんって事や。
俺は舞い上がっとった。日陰の身なれど、夫人を正式に愛する許可を貰ってんで?そんなん、浮かれるに決まってる。
俺はアホみたいに、夫人にイかれとった。
目の前に餌をぶら下げられた無様な犬みたいに、周りが見えてへんかった。
夫人の無垢なカラダを、俺がひらいてみたい。
その快楽を俺が少しずつ引き出して、彼女にまた最高って言って貰いたい。
でも俺は、本当の意味で夫人の側に侍るって意味を理解出来てへんかった。
夫人が今まで、仮面を被っとった理由を考えれば簡単に理解できたはずやのに。
思春期の少年みたいに、禁断の恋に浮き足立ってた。
*****************
『コン、コン、コン。』
ノックの後、白衣を着た眼鏡の女が入って来た。その背後にもう1人、やけに印象の薄い男が心音を測る魔導機を部屋に運び込もうとしとる。
「あんたらは?医局長はどないしたんや。」
見知らぬ奴を部屋に入れる訳にはいかん。短剣を突きつけ、俺はこの女を入り口で押し返す。
「すみません医局長より、申しつかって来ました。朝の診察です。」
医局長の通行証を持っとるけど。
「悪いけど、医局長と一緒でないと通せへん。決まりなんや、出直せ。」
その時不意に、公爵が室内に押し入って来て、なし崩し的に前の2人が室内に入り込む。
「チッ、どういうつもりですか?公爵。夫人に危険が及ばんよおに室内に、他の者は入れんよおにしとるんです。邪魔せんといて下さい。」
「ははっ。君は何か勘違いをしている。妻は、簡単に死ぬような女とは違うんだよ。それに僕は、君が妻に不貞を働かないように見張ってなきゃいけない。」
この男は、一体何を考えとるんや。夫人が死んでもええって事なんか。
「は!?よくそんな事が言えますね。公爵は、夫人が心肺停止してたんを見てましたよね。」
「だから?それがどうした。妻のお爺様に、認められたからって調子に乗るなよ。この騎士風情が。」
公爵は、憎々しげに俺を睨む。だが、一瞬で表情を、青ざめさせる。なんだ・・・?
『カチリ』
公爵の視線の先、入り口付近にいた男が心音を測る魔導機のスイッチに電源を入れたのだ。
「ひっ。や、やばい。死の臭いが・・・」
公爵は、不穏な言葉を発したと思ったら、口元を押さえた。そして一目散に俺や男を押し退けて、扉から駆け出し去った。
公爵の訳のわからん行動に気を取られて、入って来てしもた2人の行動を把握できてへんかった。
気がつけば、白衣の女が夫人に注射針を刺そうとして、バリアに塞がれ四苦八苦しとる。コイツ、何しとるんや、刺せる訳無いのに。
昨日点滴したのを知っとるけど、そのやり方は知らんちゅうことか?夫人は自分の意思で、発動したバリアに小さい穴を開く事が出来るんや。
だから起こして、注射してもええか確認してからでないと無理やねん。
騒ぎに目を覚ました夫人が、白衣の女の腕を掴んだ。ギリリと爪を立てたのか、女の腕に深い引っ掻き傷が出来る。
夫人と女は視線を交わし合い、グッと手の力を強める。ぽたりぽたりと床に女の血が滴り落ちた。
「あらぁ?ふふふっ。貴方だったのねぇ。」
夫人の知り合いなんか?
「チッ、クソビッチが!さっさと死ね!」
白衣の女は、注射器を振りかぶって、夫人の首に針を突き立てようとした。
『カン』
夫人のバリアが発動して軽々とその攻撃を防ぐ。
しまった。暗殺者か、夫人にみすみす近づけてしもた。俺は剣を抜いて女の首目掛けて振り上げる。そこへ印象の薄かった男が、瞬時に飛び出し短剣でそれを受け止めた。
『ガキン』
男が仲間の女を睨みつける。夫人はそれを見て、女の手を離しゆったりと起き上がる。
「何してる、さっさと行くぞ。なっ!?」
そして夫人は、男の背後に静かに近づいた。
クスクスと笑いながら、男の耳元で何かを囁く。
「・・・?」
夫人は、何を言ったんや??なんか無性に腹が立って、俺は動揺して隙だらけになっとる男に再び斬りつけた。
男は俺の剣先をかわそうとしたけど、夫人に当たりそうやと判断したのか、何故か肩で受け止める。俺が彼女を切りつけるなんて、そんなミスする訳無いやろ。その男の訳のわからん行動も俺を更に苛立たせた。
暗殺者の女が扉の前まで逃げて、叫ぶ。
「ヴァク!」
「ちっ、呼ぶんじゃねえ。クソが。」
男は片腕を押さえながら、逃げ出した。
扉の外に出た男とはっきり目が合う、男は口の端を上げてニヤリと笑うと、(しね)と俺に向かって口を動かした。
『ガチャリ』
扉の外から鍵を掛けられる。
『ダン、ダン。』
身体強化をつこて扉を蹴り上げるけど、びくともせぇへん。
「チッ。しもたな。」
この部屋はビップ仕様で、頑丈にできてるんやった。それが仇になるなんてな。
夫人はハッとした顔をして、親指の爪を噛みながら浸入者が運び込んだ魔導機を睨んだ。その後、悲しげに俺を見る。
「ごめんなさい。アタシ、どうかしていたわ。元のアタシより今のアタシの方がバカだなんて笑っちゃう。対策を練るまで、仲良くするべきじゃなかったのよ・・。誰ともね。」
この部屋は最上階で、扉は魔鉄製。しかもここの窓はハメ殺しや。魔導機の魔動音がピッ、ピッと、規則正しく音を刻む。
そう。たぶんあれは、中にでかい魔弾がセットされているんやろう。俺は死ぬんか?嫌な汗が脇の下を伝う。
「ねぇ?ほら。」
焦る俺を見て、夫人が患者衣のガウンの紐を解いた。見せつけるように開いて、俺にたわわなバストを晒す。
やっぱりな、夫人はブラジャーを着けてへんかった。そんな気ぃ、しとってん。これは、触ってもええってことやろか?
いや、今はそんな場合とちゃうねん。俺が夫人を助けんと・・・。
でも俺は、おれは、どないしたら?
ああ、そやけど、ええおっぱいしとるな。
俺はこの時、かなり混乱してて思考が纏まらへんかったみたいや。
「わんちゃん、さあ、こっちにおいで?名前を聞いて無かったわ。アタシに教えてくれるでしょ?」
夫人は、笑顔で俺を呼ぶ。
それだけで、俺は何も考えられんようになる。
「酷いな、アレスやんか。俺はお前の先輩で、同じ図書委員やってた事もあったやろ?」
「ふふふっ。そうだったわぁ。ねぇ、アレスぅ。サリーって呼んでちょうだい??」
俺は震えながら、サリーの乳房に飛び込んだ。
サリーは、俺を抱きしめて、部屋端の太い梁の奥、窪んだ所に俺を押し込んだ。
サリーが俺に蓋をするみたいに覆い被さる。
「アレスぅ?良い?よく聞いて。今から何も考えないで、アタシの言う通りにするのよ?もし破ったら、貴方とは2度と合わないから。間違ってもアタシを守ろうとしてはダメよ?」
夫人は俺を守ろうとしてるのに・・
俺はどうせ死ぬんやったら、すぐにでも彼女を抱きたくなったんや。それでつい、アホな我儘が口を突いて出る。
「サリー。さりぃ。何でも言う事聞くさかい、セックスさせてぇや??俺、今すぐしたいねん。なぁ、ええやろ?」
「ふふふっ。せっかちなわんちゃんね。いい?手はここ乳首から指を離しちゃダメよ?顔はアタシのおっぱいの間ね?脚は小さく折り畳んでアタシの太ももの間から出しちゃダメよ?後で、何でもシテあげるから、ねっ?」
「絶対ヤらせてくれる?約束してぇや。」
サリーは小さくうずくまる俺の額に優しくキスを落として、俺がはみ出てないか確認した後、俺の頭を守るように密着して抱きしめた。
「息を止めて?今から何も考えないで、イイ子にしてたら、ねっ?」
穏やかな声で囁かれたのに、サリーの心臓は壊れてまいそうなほど早く、そして不規則なリズムを刻んでいる。
『ドッ、ドッ、ドッ。』
俺は夫人を守る事もできひん、足手纏いやった。只ただ、小さく縮こまる事しかできん無様なオレ。
その刹那。
目の奥が焼けそうなほど明るくなって、サリーの防御壁が発動する。夫人の二の腕が俺の鼓膜を守ってるからか、爆発音が遠くの方で聞こえる。
夫人の魔力が、肌を這うように俺を包む。
じっとり汗ばんだ熱い乳房に押し潰されて、俺はこのまま窒息死するんやろか。でも、そんな死に方も良いかもな?遠征で魔物に喰い殺されるより、遥かに幸せな死に方や。
そんなアホな事を考えてたら夫人の温もりが、ゆっくりと離れた。
「ぷはっ、はぁ、はぁ。」
俺は止めてた呼吸を再開する。瞑ってた瞼を開くと、病室は瓦礫の山と化してた。
サリーが俺を見つめる。瞳から水滴が溢れて、細められた目から、ぽろぽろ、ポロリと滴り落ちてゆく。
夫人の着てた服は灰と化して、ひらひらと舞い落ち、彼女は膝をついたまま、俺の身体を撫で回してオレの無事を確認する。
俺は軽いやけどを追ってるみたいや、彼女が優しく触れた背中がひりついてる。
魔弾の爆風は部屋全体を高温で焼いた。
でも、サリーは傷一つ付いてへん。
髪の毛一本さえも焼ける事なく、艶めいていて俺みたいに煤まみれになってへんかった。
割れた窓から強い風が吹き込んで、煙が晴れる。
目の前の彼女は何も着てへんかった。
長い髪が風に揺らいで、舞い上がる。サリーはまるで神話に出てくる、シャボンから産まれ出たヴィーナスみたいやなって、思った。
彼女は、瞳を涙で濡らしながら、俺を見つめてにっこり笑う。俺は片方の頬にだけ出来る笑窪を見つけて、なぜか嬉しくなる。
今までの作られた笑顔とは明らかに違う。自然な笑顔や、この笑窪を見たんは、絶対に俺だけ。
そんな気がするねん。
「サリー。好きや。」
俺は彼女の可愛らしい笑窪をつんつんとつついた。
------------------------------
あけまして、おめでとうございます!!
今年もお目汚し、宜しくお願いします。
実家でおせち食べすぎて太りました。
しかも七草食べてない・・
また続きを読んで貰えると、嬉しいです!!
感想貰えたら更に嬉しいっす!!
文章の流れで、わかりにくかった所とか、理解し難い所とか教えて貰えると今後の励みになります。
宜しくです。
『ごくり。』
口の中に溜まった唾液を飲み下して、俺の喉仏は上下を繰り返す。
ベロ入れて、舐りまわしたいな・・・。
俺は静かに眠る夫人の唇を、護衛しながらチラチラと盗み見る。あかん、エロい事考えとる場合ちゃう。
「護衛中やぞ、しっかりせぇ、オレ。」
俺は頬をペチリと叩いて、雑念を追い出す。
すうすうと聞こえる、夫人の規則正しい寝息の音。ブランケットを押し上げる豊かな乳房が、微かに上下する。今は下着、着けとるよな?
寝顔だけなら、こんなにおぼこいのにな・・。時々、心臓を鷲掴みされてしまうみたいにエロい顔すんねん。
彼女が死なんで、ほんまに良かった。
初めはコイツの事、何も感じひん鋼鉄製の人形なんちゃうかと思ってたのに、それは全部フリやった。
防御スキルは、万能と違う。首絞めたり、ナッツ食べただけで、簡単に死んでしまいそうになる、か弱い女なんや。
夫人は、今までずっと本心を隠しとった。誰も自分に近づけへん様に、冷酷な仮面を被って。孤独に1人で戦っとった。
黒い髪をきっちりと引っ詰めて、いつも地味な色の服を着てた。こんなにエロいのに貞淑なフリして、何度も浮気されとるのに顔色ひとつ変えへん。
でも、あの晩は違った。そもそも何であんな人気のない場所へいったんや。本心では浮気に傷ついとったって証拠やな。
伯爵の愛人にでも、いびられたんやろか。あの夜、愛人が夫人と接触したんは目撃者がおるからわかっとる。
コイツを知れば知るほど、不憫で。俺が包み込んで、甘やかな愛を教えてやりたくなる。
人が羨む地位に、神話級のスキルも持っとる。でもその心はいつも孤独で、自殺するほどに壊れてしもてて、まるで薄幸の美女みたいやな。
俺やったら、嫌なコト忘れるくらい、女の悦びを毎日その身体に教えてヤれるのに。
「まぁ、たかだか騎士爵の俺にはそんな資格なんて無いんやけど。」
彼女が望むんやったら、舐め犬に堕ちてもええ。
なんてな・・。
俺にだけ向ける、あの笑顔の意味は?いくら、心が不安定やったからって、キスしたり俺のアソコ撫で回したりするモンなんか?
コイツは絶対、俺を好ましく思ってるはずや。
そやなかったら、あんなキス・・・。
せえへんやろ?
夫人は、公爵の事を愛してるんやろか。その鋼鉄の仮面に隠された本心を、俺は読み解く事ができひん。
あんなクズの何処がええんや。
確かに顔はええ、領地経営の能力も高い・・。
でも、それだけや。
伯爵は、夫人を抱いてない。
紅い花びらみたいな、あの唇の柔らかさを俺は知っとる。その口内に隠された、いやらしく蠢く舌も。
思い出すように俺は、自分の唇を指でなぞった。
俺のベロを柔い唇が喰んで、それを夫人がちゅこちゅこと、舌先を使うていやらしく吸う・・
もっかい、交わしたいな。
あの口淫を。
俺は吸い寄せられるみたいに、カツカツと夫人の側に歩み寄りその唇に触れた。
俺は卑しくも、そのふにふにとしたリップの隙間に中指をつぷりと浅く差し込む。
「んっ。」 すう、すう。
病室には、護衛の俺と眠る夫人2人きり、メイドもいてへん。
夫人の髪を一房掬って、その柔らかい毛先に口づけを落とす。彼女の、イランイランの甘い香りを、胸いっぱいに吸い込む。
普通やったら、高貴な人妻と密室で2人なんてありえへん。不貞を疑われてしまうからや。
でも昨日、その許可を貰った。
2人きりになってもいいって許可や。
それは鍵を閉めて部屋に篭っても、夫人のベットに俺が潜り込んでもええって事なんや。
前王弟で彼女の祖父でもある、閣下から直接言葉を頂いた。閣下は王国騎士団の現相談役で、最高責任者や。その言葉は夫人の夫で、婿である公爵本人よりも重い。
夫人が望めば、俺が胎ましてもええって許可やで?
それは、俺と夫人の子が時期公爵になるかもしれんって事や。
俺は舞い上がっとった。日陰の身なれど、夫人を正式に愛する許可を貰ってんで?そんなん、浮かれるに決まってる。
俺はアホみたいに、夫人にイかれとった。
目の前に餌をぶら下げられた無様な犬みたいに、周りが見えてへんかった。
夫人の無垢なカラダを、俺がひらいてみたい。
その快楽を俺が少しずつ引き出して、彼女にまた最高って言って貰いたい。
でも俺は、本当の意味で夫人の側に侍るって意味を理解出来てへんかった。
夫人が今まで、仮面を被っとった理由を考えれば簡単に理解できたはずやのに。
思春期の少年みたいに、禁断の恋に浮き足立ってた。
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『コン、コン、コン。』
ノックの後、白衣を着た眼鏡の女が入って来た。その背後にもう1人、やけに印象の薄い男が心音を測る魔導機を部屋に運び込もうとしとる。
「あんたらは?医局長はどないしたんや。」
見知らぬ奴を部屋に入れる訳にはいかん。短剣を突きつけ、俺はこの女を入り口で押し返す。
「すみません医局長より、申しつかって来ました。朝の診察です。」
医局長の通行証を持っとるけど。
「悪いけど、医局長と一緒でないと通せへん。決まりなんや、出直せ。」
その時不意に、公爵が室内に押し入って来て、なし崩し的に前の2人が室内に入り込む。
「チッ、どういうつもりですか?公爵。夫人に危険が及ばんよおに室内に、他の者は入れんよおにしとるんです。邪魔せんといて下さい。」
「ははっ。君は何か勘違いをしている。妻は、簡単に死ぬような女とは違うんだよ。それに僕は、君が妻に不貞を働かないように見張ってなきゃいけない。」
この男は、一体何を考えとるんや。夫人が死んでもええって事なんか。
「は!?よくそんな事が言えますね。公爵は、夫人が心肺停止してたんを見てましたよね。」
「だから?それがどうした。妻のお爺様に、認められたからって調子に乗るなよ。この騎士風情が。」
公爵は、憎々しげに俺を睨む。だが、一瞬で表情を、青ざめさせる。なんだ・・・?
『カチリ』
公爵の視線の先、入り口付近にいた男が心音を測る魔導機のスイッチに電源を入れたのだ。
「ひっ。や、やばい。死の臭いが・・・」
公爵は、不穏な言葉を発したと思ったら、口元を押さえた。そして一目散に俺や男を押し退けて、扉から駆け出し去った。
公爵の訳のわからん行動に気を取られて、入って来てしもた2人の行動を把握できてへんかった。
気がつけば、白衣の女が夫人に注射針を刺そうとして、バリアに塞がれ四苦八苦しとる。コイツ、何しとるんや、刺せる訳無いのに。
昨日点滴したのを知っとるけど、そのやり方は知らんちゅうことか?夫人は自分の意思で、発動したバリアに小さい穴を開く事が出来るんや。
だから起こして、注射してもええか確認してからでないと無理やねん。
騒ぎに目を覚ました夫人が、白衣の女の腕を掴んだ。ギリリと爪を立てたのか、女の腕に深い引っ掻き傷が出来る。
夫人と女は視線を交わし合い、グッと手の力を強める。ぽたりぽたりと床に女の血が滴り落ちた。
「あらぁ?ふふふっ。貴方だったのねぇ。」
夫人の知り合いなんか?
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『カン』
夫人のバリアが発動して軽々とその攻撃を防ぐ。
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『ガキン』
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「何してる、さっさと行くぞ。なっ!?」
そして夫人は、男の背後に静かに近づいた。
クスクスと笑いながら、男の耳元で何かを囁く。
「・・・?」
夫人は、何を言ったんや??なんか無性に腹が立って、俺は動揺して隙だらけになっとる男に再び斬りつけた。
男は俺の剣先をかわそうとしたけど、夫人に当たりそうやと判断したのか、何故か肩で受け止める。俺が彼女を切りつけるなんて、そんなミスする訳無いやろ。その男の訳のわからん行動も俺を更に苛立たせた。
暗殺者の女が扉の前まで逃げて、叫ぶ。
「ヴァク!」
「ちっ、呼ぶんじゃねえ。クソが。」
男は片腕を押さえながら、逃げ出した。
扉の外に出た男とはっきり目が合う、男は口の端を上げてニヤリと笑うと、(しね)と俺に向かって口を動かした。
『ガチャリ』
扉の外から鍵を掛けられる。
『ダン、ダン。』
身体強化をつこて扉を蹴り上げるけど、びくともせぇへん。
「チッ。しもたな。」
この部屋はビップ仕様で、頑丈にできてるんやった。それが仇になるなんてな。
夫人はハッとした顔をして、親指の爪を噛みながら浸入者が運び込んだ魔導機を睨んだ。その後、悲しげに俺を見る。
「ごめんなさい。アタシ、どうかしていたわ。元のアタシより今のアタシの方がバカだなんて笑っちゃう。対策を練るまで、仲良くするべきじゃなかったのよ・・。誰ともね。」
この部屋は最上階で、扉は魔鉄製。しかもここの窓はハメ殺しや。魔導機の魔動音がピッ、ピッと、規則正しく音を刻む。
そう。たぶんあれは、中にでかい魔弾がセットされているんやろう。俺は死ぬんか?嫌な汗が脇の下を伝う。
「ねぇ?ほら。」
焦る俺を見て、夫人が患者衣のガウンの紐を解いた。見せつけるように開いて、俺にたわわなバストを晒す。
やっぱりな、夫人はブラジャーを着けてへんかった。そんな気ぃ、しとってん。これは、触ってもええってことやろか?
いや、今はそんな場合とちゃうねん。俺が夫人を助けんと・・・。
でも俺は、おれは、どないしたら?
ああ、そやけど、ええおっぱいしとるな。
俺はこの時、かなり混乱してて思考が纏まらへんかったみたいや。
「わんちゃん、さあ、こっちにおいで?名前を聞いて無かったわ。アタシに教えてくれるでしょ?」
夫人は、笑顔で俺を呼ぶ。
それだけで、俺は何も考えられんようになる。
「酷いな、アレスやんか。俺はお前の先輩で、同じ図書委員やってた事もあったやろ?」
「ふふふっ。そうだったわぁ。ねぇ、アレスぅ。サリーって呼んでちょうだい??」
俺は震えながら、サリーの乳房に飛び込んだ。
サリーは、俺を抱きしめて、部屋端の太い梁の奥、窪んだ所に俺を押し込んだ。
サリーが俺に蓋をするみたいに覆い被さる。
「アレスぅ?良い?よく聞いて。今から何も考えないで、アタシの言う通りにするのよ?もし破ったら、貴方とは2度と合わないから。間違ってもアタシを守ろうとしてはダメよ?」
夫人は俺を守ろうとしてるのに・・
俺はどうせ死ぬんやったら、すぐにでも彼女を抱きたくなったんや。それでつい、アホな我儘が口を突いて出る。
「サリー。さりぃ。何でも言う事聞くさかい、セックスさせてぇや??俺、今すぐしたいねん。なぁ、ええやろ?」
「ふふふっ。せっかちなわんちゃんね。いい?手はここ乳首から指を離しちゃダメよ?顔はアタシのおっぱいの間ね?脚は小さく折り畳んでアタシの太ももの間から出しちゃダメよ?後で、何でもシテあげるから、ねっ?」
「絶対ヤらせてくれる?約束してぇや。」
サリーは小さくうずくまる俺の額に優しくキスを落として、俺がはみ出てないか確認した後、俺の頭を守るように密着して抱きしめた。
「息を止めて?今から何も考えないで、イイ子にしてたら、ねっ?」
穏やかな声で囁かれたのに、サリーの心臓は壊れてまいそうなほど早く、そして不規則なリズムを刻んでいる。
『ドッ、ドッ、ドッ。』
俺は夫人を守る事もできひん、足手纏いやった。只ただ、小さく縮こまる事しかできん無様なオレ。
その刹那。
目の奥が焼けそうなほど明るくなって、サリーの防御壁が発動する。夫人の二の腕が俺の鼓膜を守ってるからか、爆発音が遠くの方で聞こえる。
夫人の魔力が、肌を這うように俺を包む。
じっとり汗ばんだ熱い乳房に押し潰されて、俺はこのまま窒息死するんやろか。でも、そんな死に方も良いかもな?遠征で魔物に喰い殺されるより、遥かに幸せな死に方や。
そんなアホな事を考えてたら夫人の温もりが、ゆっくりと離れた。
「ぷはっ、はぁ、はぁ。」
俺は止めてた呼吸を再開する。瞑ってた瞼を開くと、病室は瓦礫の山と化してた。
サリーが俺を見つめる。瞳から水滴が溢れて、細められた目から、ぽろぽろ、ポロリと滴り落ちてゆく。
夫人の着てた服は灰と化して、ひらひらと舞い落ち、彼女は膝をついたまま、俺の身体を撫で回してオレの無事を確認する。
俺は軽いやけどを追ってるみたいや、彼女が優しく触れた背中がひりついてる。
魔弾の爆風は部屋全体を高温で焼いた。
でも、サリーは傷一つ付いてへん。
髪の毛一本さえも焼ける事なく、艶めいていて俺みたいに煤まみれになってへんかった。
割れた窓から強い風が吹き込んで、煙が晴れる。
目の前の彼女は何も着てへんかった。
長い髪が風に揺らいで、舞い上がる。サリーはまるで神話に出てくる、シャボンから産まれ出たヴィーナスみたいやなって、思った。
彼女は、瞳を涙で濡らしながら、俺を見つめてにっこり笑う。俺は片方の頬にだけ出来る笑窪を見つけて、なぜか嬉しくなる。
今までの作られた笑顔とは明らかに違う。自然な笑顔や、この笑窪を見たんは、絶対に俺だけ。
そんな気がするねん。
「サリー。好きや。」
俺は彼女の可愛らしい笑窪をつんつんとつついた。
------------------------------
あけまして、おめでとうございます!!
今年もお目汚し、宜しくお願いします。
実家でおせち食べすぎて太りました。
しかも七草食べてない・・
また続きを読んで貰えると、嬉しいです!!
感想貰えたら更に嬉しいっす!!
文章の流れで、わかりにくかった所とか、理解し難い所とか教えて貰えると今後の励みになります。
宜しくです。
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