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6.オカマの変身カワバンガ!

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『ある朝、サリー(本名:けいいちろう)38歳が、なにか気がかりな夢から目を覚ますと、自分が寝床の中で女の肉体に変わっているのを発見した。』

「な、な、なんじゃこりゃぁーーーん!?」

剛毛でジョリジョリとした青い髭を剃ろうかと頬に手を当てて見れば、ありえないほど滑らかな手触り。

チ○毛の様な縮れたスネの毛が1本も生えていない。そう、一本もだ!

毎日マッサージしなければ、すぐにガチガチになってしまう硬い人工パイオツが、天然モノの様な柔らかで豊かなバストに変わっている。

そして股間に手をやると、切り落とそうか悩んでいた自身のち○こが無くなっている・・・

「い、い、いったい、なにが起こったっていうのぉ~ん??」

オカマは、転がり起きて鏡を覗き込む。

「う、う、うそでしょぉん・・。」

そこには、若く美しい女がガニ股で佇んでいた。

サリーは、とりあえず全裸になって自身の身体を隅々まで確認する。

ま、ま、まんこがあるわ、モノホンのね。
なんとなく、よろチクビのポージングをしてみた。

「やだぁん!何しても可愛いなんて、あり得るの??あーん。夢なら、覚めないでぇぇん。」

でもどうしてこうなったんだっけ??

サリーは、1番最後に残っている自身の記憶を呼び出す。

あれは確か・・・。

二丁目のオカマバーで半裸で乳首にスパンコールを貼り付けて、周囲を爆笑の渦に巻き、踊り狂ってフィーバーした楽しい夜だった。

その後、常連のお客さんが首絞めセッ●スをしてみたいって言うから、二つ返事でOKしちゃったのよぉ。

つい、興奮してヤりすぎちゃったのよねぇ。
アタシ、死んじゃったんだわぁ。
あの人、警察に捕まってなきゃ良いけど?

死んだ事に気がついた瞬間、この体で生きた18年間もゆっくり思い出していく。

「ぐすん。ずびっ。」

今までのアタシは、ウブだったのねぇん。可哀想に。アタシの命を狙う親戚、愛してると言いながら浮気を続ける夫。そして親しい友もいないなんて。

前世では、カマ友が沢山いたわぁん。みんなライバルだったけど、楽しかったわねぇん。女の戦いよりもド派手で破廉恥でドロドロとして、卑猥な会話ばかりなのよぉん。

「ズビっズビっ。チーン。ぐずっ。」

サリーは前世の記憶が戻るまでの自分に涙を流した。でも、オカマだって、本当はデリケートなのょん?元のアタシだって色んな事がありすぎて、強くなるしか無かったのよぉん。

オカマは、皆んなそうなの。下ネタでも言ってなきゃやってられないのょん!

今のアタシには、もうバカやってたオカマの記憶があるの。今更、怖いモノなんてないわぁ。

もう、ウブな小娘には戻れない、戻らないわ。

それに昨夜の事、夢じゃ無かったんだわぁ。
前世のアタシと今世のアタシが混ざって、流されるまま素の自分で過ごしていたの。

だって全然リアリティが無くて、アタシ、ずっと夢を見てるんだと思ってたの。変だけど刺激的な夢。だってあの殺し屋さんの名前ヴァクって言うんだもの。

夢を食べる空想の生き物、ヴァク。
彼にもう一度会いたいわぁ。


オカマは、イイ男が大好きなのぉ。はぁ、彼をペロリと食べちゃいたいわぁん。でもアタシ、今人妻なのよねぇん。

ふぅん。
どうにかして夫と離婚、出来ないかしらぁ。

「クスクス。うふふっ。あははははぁん!」

だってアタシ、ヴァージンなのよ?
しかも、ティーンエイジャーよ?
それにこの美貌、最強ね。

「カワバンガーーー!!」


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ー解説ー

*カワバンガの意味:やったぜ!
ティーンエイジャーミュータントタートルズの決めゼリフです。

厨二病患者が、一度は思いっきり叫んでみたい言葉の一つですね。

ちなみに、冒頭はカフカの変身を引用。
ナンジャコリャーは、何度も叫びたくなるテンプレ言語ですね。
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