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2 マッチングクエスト②
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【プロジェクト・テルース 開発ラボ】
青い空に伸びる超高層ビルディング。
まるで集積された電子回路のような街のなかで、ひとりの男が窓の外を眺めていた。
手にはスマホを持ち、ニヤリと笑っている。
その画面には、
『tucchi1017*** ログインしました』
とあった。
男は振り返りフロアを歩く。
周囲では、様々な人種の人間たちが英語を話し、男に手を振って挨拶する女性たちがチラホラ。そして男は、壁に貼られている絵画を見つめ、
「待ってたよ、ツッチー……」
と言った。
その絵画は、満天の星空の下、背中に黒い翼の生えた男と頭に角のある女が見つめ合っている、素晴らしく神秘的な芸術作品であった。
一方、そのころツッチーは……。
「宝箱、発見!」
絢爛豪華な城の最上階、牢屋のなかに宝箱が眠っている。
俺は鍵を持っていないので、もちろん開けられないのだけど、試したいことがあるんだ。
へへへ、王様のやつ、“宝箱は玉座の奥の部屋じゃ、魔物を倒したら褒美にやろう” なんて偉そうなこと言っていたけど、先に頂いちまうか。
さて、魔法はどうやって使うのかな?
「ふぅ……」
意識を集中させていく。
するとコマンド画面が開き、魔法が選択できるようになった。
「どれどれ……」
【 石を砂に変える魔法 サブルム 】
【 物質を重くする魔法 グラウィ 】
【 砂と石を凝集させる魔法 ルペス 】
【 岩を積んで壁を作る魔法 ムルス 】
ふーん、俺ってレベル1なのにもう色んな土魔法が使えるんだな。
おそらく装備しているこれ【泥の仮面】のおかげだろう。ガチャ回しといて、よかった~。
「よし、石を砂に変える魔法を使ってみるか……サブルム!」
唱えると、目の前に魔法陣が現れ、まるで時計の針のように回転を始めた。どうやら詠唱時間が必要らしい。だが、それはすぐに終わりを告げた。
「ん?」
何も起こらない。
他の魔法、グラウィ、ルペス、ムルス、すべて試したが使えなかった。
「なんでだ?」
すると背後で、ニヤリと笑う影が現れた。王様だった。
「ふぉふぉふぉ、城や街のなかは魔法禁止じゃ」
「え? じゃあ魔物が侵入したらどうするんだ?」
「心配せんでいい、ものすごい結界が張られておるから、魔物は入って来られん」
ふーん、納得した。
王様は、ビシッと指をさす。
「そんなことより魔物を倒してくれ、制限時間、あと5分じゃぞ?」
「え?」
驚いた。
頭上をよく見ると4:58という数字がカウントダウンしながら浮かんでいる。
「やべっ! じゃあ魔物を倒してくるわ!」
「ふぉふぉふぉ、どうせ、お主の能力はハズレじゃ、死なんようにがんばれ」
「うっせぇわ、じじい」
まさかNPCが俺をバカにしてくるとはな。
アイツ、とんでもないゲームを作ったもんだぜ。
全速力で階段を降りて、バカみたいに広い廊下をぬけ、城の外に飛び出した。
【 城下町 フルゴル 】
青空にこのような文字が浮かぶ。
「うわ~! 綺麗だな~!」
城は丘の上に建っていて、そこから眺める街はとても素晴らしかった。サラサラと流れる川にかかる橋の向こうに、城下町が伸びている。まるで古代ギリシャ文明のような雰囲気のなかに、神秘的で巨大な建造物が建ち並ぶ。
行き交う人々の頭には、プレイヤーネームが表示され、俺と同じ冒険者だということを証明していた。逆に頭に何もないの人々はNPC、いわゆる人工知能で動くモブキャラだ。
「きゃーーー!」
「げっ、裸で歩いてる」
「地雷だぞ」
「関わらないほうがいい」
ふむ、キミたちとても素直ですね。
俺を見た冒険者たちが、ネガティブな表現で騒いでいる。たしかに裸で全速疾走する仮面の男なんて、さぞキモイことだろう。
道具屋、武器屋、レストランなどが並ぶ商店街らしき通りをぬけ、街の出口にさしかかる。門番が俺を見て、びっくりしていた。街の外、つまりフィールドに出る。自然豊かな草原が広がっていた。
【 コーデリア草原地帯 北 】
そのまま走っていると、聞き覚えるのある声がする。ミルクとモツナベだ。
「まかせてモツ、背後は打つっす」
「あいよー」
なるほど、同じクエストをやっているプレイヤーの声は、ある程度の距離に近づくと優先的に聞こえてくるシステムのようだ。
「ん?」
複数のゴブリンと戦っている冒険者たちがいる。
テキストチャットもあらわれた。ヴェリタスだ。
『ツッチーさん、来ないですね』
ドキッとした。俺のことを気にしてくれていたのか!
ヴェリタスの剣撃は見事で、まるで美しく踊るようにゴブリンたちを倒している。
「あんな地雷ほっておきましょう」
モツナベが、さらっと言う。
地雷ってたしか迷惑なことをするプレイヤーのことだ。やっぱり裸がいけなかったのか。乳首は描かれていないのに。
どうしよう? 参加すべきか否か。
シュッ、ガッ、と剣撃と弓が放たれる音が響く。
ゴブリンと戦闘している冒険者たち、モツナベ、ミルク、ヴェリタスを見つけたけど、近寄りにくい。子供のころ、サッカーをしてるクラスメイトたちのなかに、うまく参加できなかった想い出がよみがえる。
ええい、しかし俺はもう大人だ。首を振って自分を否定し、勇気を出して声を出す。
「すいません、初めてログインしたので、ちょっと城のなかを見ていました……」
モツナベは、ギャギャッと襲いかかるゴブリンを斬りながら、
「観光ですか? 戦闘の邪魔だけはしないでくださいね」
と吐き捨てた。
岩の上で弓を構えるミルクは、俺のことを冷たい目で見てくる。
「あーあ、運悪っ! やっぱり四人で協力していないとボスゴブリン出てこないんっすよ~」
なんか、すごく申し訳ない気持ちになる。
俺のせいで迷惑かけちまった。ここから頑張らないと。よし、ゴブリンたちの足元の地面を砂に変えてやれ。
「石を砂に変える魔法 サブルム!」
詠唱して、土魔法を発動させる。
今度はうまくいったようだ。周辺の石が砂に変わっていく。
しかし、あれ? グララララ、とミルクが立っている岩が崩れていく。
「いててて、なんすかこれ~?」
ずっこけるミルクの瞳がぐるぐる回っている。
「わ~すいません、すいません」
やべっ、謝るしかない。俺は完全な地雷になってしまった。
「ツッチーさん、どっかいって」
モツナベがそう吐き捨てつつ、すべてのゴブリンを倒していった。両手に持っている双剣からは、ダラダラと血がしたたっている。ついでに俺も斬られそうな感じだな。こえぇぇ。
『あれを見てください』
突然、ヴェリタスが刀をあげて切先でしめす。
多数の鳥が逃げるように飛び立っていく。バキバキ、と木々が破壊され、巨大な黒い影が鬱蒼とする森から出てきた。
「ボスゴブリンだー!」
ミルクは嬉しそうに叫びながら飛び跳ねた。か、可愛い。妖精エルフっていいな。
グゥオオオオオ!
ボスゴブリンの雄叫びが響く。
「えい!」
ミルクがトリプルアローを放つ。
三本の矢が、まるでロケットのように飛んでボスゴブリンに命中した。
しかし、ノーダメージ。
逆に怒らせてしまったようで、頭に血管が浮き出ていた。大木を引っこ抜くと、ぶんっとこちらに投げてくる。
「うわぁぁぁ!」
「ぎゃぁぁぁ、あんなデカイの無理っすよ!?」
モツナベとミルクは怯えて立ちすくむ。
飛んでくる大木が強風とともに、俺たちに黒い影を落とした。これをくらったら、パーティーは全滅だろう。よし、土魔法の壁を作ろうか。そう思った瞬間、ヴェリタスが飛んだ。
「……」
彼は沈黙のまま、踊るように超高速で剣を振る。複数の斬撃が弧を描くように放たれた。
【三日月宗近 乱舞】
と、青く光るエフェクトの文字が、ヴェリタスに帯びる。
大木は、木っ端微塵になり、風に吹かれて消えていった。
かっこよすぎる。まるでアニメを見ているようだ。俺もミルクもモツナベも、ヴェリタスを尊敬の眼差しで見つめていた。彼のポニーテールにした髪が風にゆれている。冷静なテキストチャットは、こう告げていた。
『さあ、一緒に倒しましょう!』
青い空に伸びる超高層ビルディング。
まるで集積された電子回路のような街のなかで、ひとりの男が窓の外を眺めていた。
手にはスマホを持ち、ニヤリと笑っている。
その画面には、
『tucchi1017*** ログインしました』
とあった。
男は振り返りフロアを歩く。
周囲では、様々な人種の人間たちが英語を話し、男に手を振って挨拶する女性たちがチラホラ。そして男は、壁に貼られている絵画を見つめ、
「待ってたよ、ツッチー……」
と言った。
その絵画は、満天の星空の下、背中に黒い翼の生えた男と頭に角のある女が見つめ合っている、素晴らしく神秘的な芸術作品であった。
一方、そのころツッチーは……。
「宝箱、発見!」
絢爛豪華な城の最上階、牢屋のなかに宝箱が眠っている。
俺は鍵を持っていないので、もちろん開けられないのだけど、試したいことがあるんだ。
へへへ、王様のやつ、“宝箱は玉座の奥の部屋じゃ、魔物を倒したら褒美にやろう” なんて偉そうなこと言っていたけど、先に頂いちまうか。
さて、魔法はどうやって使うのかな?
「ふぅ……」
意識を集中させていく。
するとコマンド画面が開き、魔法が選択できるようになった。
「どれどれ……」
【 石を砂に変える魔法 サブルム 】
【 物質を重くする魔法 グラウィ 】
【 砂と石を凝集させる魔法 ルペス 】
【 岩を積んで壁を作る魔法 ムルス 】
ふーん、俺ってレベル1なのにもう色んな土魔法が使えるんだな。
おそらく装備しているこれ【泥の仮面】のおかげだろう。ガチャ回しといて、よかった~。
「よし、石を砂に変える魔法を使ってみるか……サブルム!」
唱えると、目の前に魔法陣が現れ、まるで時計の針のように回転を始めた。どうやら詠唱時間が必要らしい。だが、それはすぐに終わりを告げた。
「ん?」
何も起こらない。
他の魔法、グラウィ、ルペス、ムルス、すべて試したが使えなかった。
「なんでだ?」
すると背後で、ニヤリと笑う影が現れた。王様だった。
「ふぉふぉふぉ、城や街のなかは魔法禁止じゃ」
「え? じゃあ魔物が侵入したらどうするんだ?」
「心配せんでいい、ものすごい結界が張られておるから、魔物は入って来られん」
ふーん、納得した。
王様は、ビシッと指をさす。
「そんなことより魔物を倒してくれ、制限時間、あと5分じゃぞ?」
「え?」
驚いた。
頭上をよく見ると4:58という数字がカウントダウンしながら浮かんでいる。
「やべっ! じゃあ魔物を倒してくるわ!」
「ふぉふぉふぉ、どうせ、お主の能力はハズレじゃ、死なんようにがんばれ」
「うっせぇわ、じじい」
まさかNPCが俺をバカにしてくるとはな。
アイツ、とんでもないゲームを作ったもんだぜ。
全速力で階段を降りて、バカみたいに広い廊下をぬけ、城の外に飛び出した。
【 城下町 フルゴル 】
青空にこのような文字が浮かぶ。
「うわ~! 綺麗だな~!」
城は丘の上に建っていて、そこから眺める街はとても素晴らしかった。サラサラと流れる川にかかる橋の向こうに、城下町が伸びている。まるで古代ギリシャ文明のような雰囲気のなかに、神秘的で巨大な建造物が建ち並ぶ。
行き交う人々の頭には、プレイヤーネームが表示され、俺と同じ冒険者だということを証明していた。逆に頭に何もないの人々はNPC、いわゆる人工知能で動くモブキャラだ。
「きゃーーー!」
「げっ、裸で歩いてる」
「地雷だぞ」
「関わらないほうがいい」
ふむ、キミたちとても素直ですね。
俺を見た冒険者たちが、ネガティブな表現で騒いでいる。たしかに裸で全速疾走する仮面の男なんて、さぞキモイことだろう。
道具屋、武器屋、レストランなどが並ぶ商店街らしき通りをぬけ、街の出口にさしかかる。門番が俺を見て、びっくりしていた。街の外、つまりフィールドに出る。自然豊かな草原が広がっていた。
【 コーデリア草原地帯 北 】
そのまま走っていると、聞き覚えるのある声がする。ミルクとモツナベだ。
「まかせてモツ、背後は打つっす」
「あいよー」
なるほど、同じクエストをやっているプレイヤーの声は、ある程度の距離に近づくと優先的に聞こえてくるシステムのようだ。
「ん?」
複数のゴブリンと戦っている冒険者たちがいる。
テキストチャットもあらわれた。ヴェリタスだ。
『ツッチーさん、来ないですね』
ドキッとした。俺のことを気にしてくれていたのか!
ヴェリタスの剣撃は見事で、まるで美しく踊るようにゴブリンたちを倒している。
「あんな地雷ほっておきましょう」
モツナベが、さらっと言う。
地雷ってたしか迷惑なことをするプレイヤーのことだ。やっぱり裸がいけなかったのか。乳首は描かれていないのに。
どうしよう? 参加すべきか否か。
シュッ、ガッ、と剣撃と弓が放たれる音が響く。
ゴブリンと戦闘している冒険者たち、モツナベ、ミルク、ヴェリタスを見つけたけど、近寄りにくい。子供のころ、サッカーをしてるクラスメイトたちのなかに、うまく参加できなかった想い出がよみがえる。
ええい、しかし俺はもう大人だ。首を振って自分を否定し、勇気を出して声を出す。
「すいません、初めてログインしたので、ちょっと城のなかを見ていました……」
モツナベは、ギャギャッと襲いかかるゴブリンを斬りながら、
「観光ですか? 戦闘の邪魔だけはしないでくださいね」
と吐き捨てた。
岩の上で弓を構えるミルクは、俺のことを冷たい目で見てくる。
「あーあ、運悪っ! やっぱり四人で協力していないとボスゴブリン出てこないんっすよ~」
なんか、すごく申し訳ない気持ちになる。
俺のせいで迷惑かけちまった。ここから頑張らないと。よし、ゴブリンたちの足元の地面を砂に変えてやれ。
「石を砂に変える魔法 サブルム!」
詠唱して、土魔法を発動させる。
今度はうまくいったようだ。周辺の石が砂に変わっていく。
しかし、あれ? グララララ、とミルクが立っている岩が崩れていく。
「いててて、なんすかこれ~?」
ずっこけるミルクの瞳がぐるぐる回っている。
「わ~すいません、すいません」
やべっ、謝るしかない。俺は完全な地雷になってしまった。
「ツッチーさん、どっかいって」
モツナベがそう吐き捨てつつ、すべてのゴブリンを倒していった。両手に持っている双剣からは、ダラダラと血がしたたっている。ついでに俺も斬られそうな感じだな。こえぇぇ。
『あれを見てください』
突然、ヴェリタスが刀をあげて切先でしめす。
多数の鳥が逃げるように飛び立っていく。バキバキ、と木々が破壊され、巨大な黒い影が鬱蒼とする森から出てきた。
「ボスゴブリンだー!」
ミルクは嬉しそうに叫びながら飛び跳ねた。か、可愛い。妖精エルフっていいな。
グゥオオオオオ!
ボスゴブリンの雄叫びが響く。
「えい!」
ミルクがトリプルアローを放つ。
三本の矢が、まるでロケットのように飛んでボスゴブリンに命中した。
しかし、ノーダメージ。
逆に怒らせてしまったようで、頭に血管が浮き出ていた。大木を引っこ抜くと、ぶんっとこちらに投げてくる。
「うわぁぁぁ!」
「ぎゃぁぁぁ、あんなデカイの無理っすよ!?」
モツナベとミルクは怯えて立ちすくむ。
飛んでくる大木が強風とともに、俺たちに黒い影を落とした。これをくらったら、パーティーは全滅だろう。よし、土魔法の壁を作ろうか。そう思った瞬間、ヴェリタスが飛んだ。
「……」
彼は沈黙のまま、踊るように超高速で剣を振る。複数の斬撃が弧を描くように放たれた。
【三日月宗近 乱舞】
と、青く光るエフェクトの文字が、ヴェリタスに帯びる。
大木は、木っ端微塵になり、風に吹かれて消えていった。
かっこよすぎる。まるでアニメを見ているようだ。俺もミルクもモツナベも、ヴェリタスを尊敬の眼差しで見つめていた。彼のポニーテールにした髪が風にゆれている。冷静なテキストチャットは、こう告げていた。
『さあ、一緒に倒しましょう!』
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