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しおりを挟む俺の目の前には、優雅に座っている男であり、同時に敵国の王子がいた。
ソラ・マクレガー。
月の光をそのまま閉じ込めたかのような白銀の髪をしている。流れるように長い髪が肩を優雅に覆い、その先端がさらさらと風に揺れていた。
まるで絹糸のように柔らかそうな髪が、光を反射してキラキラと輝いていて、どこか幻想的な雰囲気をまとっている。
肌はまさに「睡蓮なる月」の異名に相応しい白さで、雪が降り積もったかのように透明感がある。毛穴なんて一つも見当たらない。彫刻のように完璧な肌で、そんな姿を見ていると本当に人間かどうか疑いたくなる。
瞳は深い紫色をしていて、静かに光を放っていた。じっと見ていると、こちらを見つめるその視線に吸い込まれそうになる。
ソラはいつものように黒と銀を基調にした衣装を着ている。上品なデザインで、どこか貴族的な気品が漂っているんだが、その笑みのせいで軽やかに見える。
睫毛も長く、まるで絵から抜け出してきたかのような美貌を持ちながら、その無邪気な笑顔が全部を和らげている。
正直、こいつは見た目だけなら完璧な王子だ。なのに、いつもこうして俺をからかいにくるってのがどうにも納得いかない。
「で、今日は何しに来たんだ」
「決まっているじゃないか。ライアンに会いに来たんだよ」
「ならもう会ったな。早く帰れ」
「冷たいなぁ」
「お前見つかったらマジで殺されるんだぞ……」
昔は本当に仲が良かったんだ。俺たちは小さい頃、よく一緒に遊んだ。俺がどんなに無茶な遊びを思いついても、ソラは不思議な魔法でそれをなんとかしてくれた。まるで遊びの天才だったんだ。
でも、今や俺とソラは「敵国同士の王子」だ。
あいつが俺の部屋にいるなんて、もし見つかったら大変なことになる。親父が知ったらソラを捕らえさせるか、最悪、処刑されかねない。
でも、そんなことは百も承知だろうに、ソラはこうやって転移魔法を使って、ちょくちょく俺の部屋に現れる。
本当、何でこいつは俺のところへ来るんだろうな……。
嫌いになれない不思議な魅力が、ソラにはある。
そして俺も、ソラと一緒にいて安心するときが……まぁ、たまにはある。たまにだけどな。
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