日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

１１

　数日後。

　あれから玲央と別れ、僕はいつものように学校生活を送っている。少しだけ、気持ちが軽くなっているのを感じた。

　玲央がしきりにお礼をしたいと言ってきたけど、僕は逃げるようにその場を去った。だってあのまま玲央の言葉を聞いていたら、何かしらのお礼をされる可能性が高かったからだ。

　僕としては、自分の過去を聞いてくれただけで、掛け替えのないお礼をもらったようなものなのだ。

「これで良かったんだ……。玲央には、もう充分すぎるほどのものをもらった」

　授業が始まる前、緊急で体育館に全校生徒が集められていた。

　何か特別なことがあるのだろうか。僕は何も知らずに、他の生徒たちと一緒に体育館の中に並んだ。校内に集められた生徒たちは、いつものようにざわざわとした空気が漂っていたが、校長先生が壇上に上がると、会場内が一気に静まり渡った。

「おはようございます」

　校長の声が体育館中に響く。生徒たちの視線を受けたまま、校長の挨拶が続く。

「今日は皆さんに、大切なお知らせがあります。新たに転校生が来ることになりました。彼は、少し特別な事情もあり、こちらの学校に転入することとなったのです」

　校長がにこやかに言うと、生徒たちの間でひそひそとした話し声が漏れる。
　転校生が来るなんて、普段はあまりなかったことだ。さらに、校長の言い方に少しだけ不安を覚える。わざわざ「全校生徒集めて転校生の紹介」などするだろうか。何か普通じゃない感じがする。

「それでは、転校生に自己紹介をしてもらいましょう。どうぞ」

　そう言って、校長は手を挙げ、壇上の隅に立っていた転校生の名前を呼んだ。



「白銀玲央さん」