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全ての始まり
【第1話】朝
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目を覚ますと、そこはいつもと同じ俺の家だった。
生活に必要な最低限のものしか置いていない、小さくて質素な家。この家の取り柄はほとんどない。あるとしたら、この眩しいくらいに部屋に入ってくる日光くらいだろう。まだ朝早く、外はとても静かで、この世界が自分だけのものになったような気分になる。
「さて、そろそろ支度するか……」
まだ眠い目を擦り、俺は出かける支度を整える。軽めの朝食も摂り、支度を全て終わらせる。
食料を確認すると、ほとんどなかった。
「食料は帰りに商業区で買っていくとして……
……と言うかお金も今ほとんどないんだけどな……
仕方ない。お客さんが多く来てくれるのを願うしかないか……」
そう言いながら俺は家を出て、商業区の方へ向かう。
歩いて、歩いて、歩いて、歩いて……1つの建物の前で俺は、ようやく足を止めた。
商業区の奥の小さな骨董品店。ここが俺のバイト先だ。
俺はドアの前に立ち止まり、深呼吸を1つしてからドアを開けた。
「おはようございます」
……しかし、誰もそこにはいない。結局俺は店の準備に取り掛かることにした。
すると上から足音が聞こえ、商品を並べていた手を止め、振り返った。
するとそこには、ベビーピンクの髪の少女が立っていた。
「……おはよぅ……クロ君が来るの待ってたよぉ……」
そう言って彼女は眠そうな目を擦る。
「おはようございます、先輩。また、練習してたんですか……?無理して本業に影響が出たら困るのは先輩なので、ちゃんと寝てください」
彼女はこの店で働く唯一の先輩であり、店長だ。彼女いわく生まれつきとある素質があるようで、ここ最近睡眠時間を削って練習をしているらしい。何の練習だか、どんなに聞いても教えてはくれないのだが……。
「うん……ごめんねクロ君……。明日からはちゃんとするね……」
そう言って彼女は軽く自分の頬を叩いた。
「……さ!そろそろ始めようか、クロ君!」
「はい、先輩。」
──俺が開店の支度をほとんど終わらせたのにな……
そして顔を洗いに行く彼女に俺はずっと言いたかったことを告げた。
「明日からじゃなくて今日からちゃんと寝てください!それと、俺の名前はクロノなのでクロ君って言わないでください!」
「わかってるよ、クロ君!」
生活に必要な最低限のものしか置いていない、小さくて質素な家。この家の取り柄はほとんどない。あるとしたら、この眩しいくらいに部屋に入ってくる日光くらいだろう。まだ朝早く、外はとても静かで、この世界が自分だけのものになったような気分になる。
「さて、そろそろ支度するか……」
まだ眠い目を擦り、俺は出かける支度を整える。軽めの朝食も摂り、支度を全て終わらせる。
食料を確認すると、ほとんどなかった。
「食料は帰りに商業区で買っていくとして……
……と言うかお金も今ほとんどないんだけどな……
仕方ない。お客さんが多く来てくれるのを願うしかないか……」
そう言いながら俺は家を出て、商業区の方へ向かう。
歩いて、歩いて、歩いて、歩いて……1つの建物の前で俺は、ようやく足を止めた。
商業区の奥の小さな骨董品店。ここが俺のバイト先だ。
俺はドアの前に立ち止まり、深呼吸を1つしてからドアを開けた。
「おはようございます」
……しかし、誰もそこにはいない。結局俺は店の準備に取り掛かることにした。
すると上から足音が聞こえ、商品を並べていた手を止め、振り返った。
するとそこには、ベビーピンクの髪の少女が立っていた。
「……おはよぅ……クロ君が来るの待ってたよぉ……」
そう言って彼女は眠そうな目を擦る。
「おはようございます、先輩。また、練習してたんですか……?無理して本業に影響が出たら困るのは先輩なので、ちゃんと寝てください」
彼女はこの店で働く唯一の先輩であり、店長だ。彼女いわく生まれつきとある素質があるようで、ここ最近睡眠時間を削って練習をしているらしい。何の練習だか、どんなに聞いても教えてはくれないのだが……。
「うん……ごめんねクロ君……。明日からはちゃんとするね……」
そう言って彼女は軽く自分の頬を叩いた。
「……さ!そろそろ始めようか、クロ君!」
「はい、先輩。」
──俺が開店の支度をほとんど終わらせたのにな……
そして顔を洗いに行く彼女に俺はずっと言いたかったことを告げた。
「明日からじゃなくて今日からちゃんと寝てください!それと、俺の名前はクロノなのでクロ君って言わないでください!」
「わかってるよ、クロ君!」
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