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逃走と闘争と痘瘡
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全身に現れる水疱を掻きむしり、流血し、発熱し、いずれ死ぬ。かろうじで取れる防衛手段は、彼らと距離を置くこと。ただ、そんなことですら容易ではない。
既にこのスラムには、この病が蔓延している。いつから、どこから始まっまたかも分からないこの病は、長い間貧民を喰いものにして繁栄をしている。
未舗装な道を裸足で歩く。高台から見下ろすと、高くそびえるビル群を覗ける。あそこには天上の暮らしがあるのだろうか。少なくとも、泥水をすすり、荒んだ世界で見つけた友が腐っていく姿を見ることはないだろう。
人間未満のヒトには相応しい生活だと聞いたことがある。ヒトを人間たらしめる要因とは一体何なのか?知性か?金か?血筋か?地位か?焼ける元友人の酷い臭いを嗅ぎながら思う。
雨風を防げるボロ屋に戻ると、母も息をもうしていなかった。
なぜ母は私を産んだのか。別に母を恨んでなんていないが、疑問は尽きない。売春でてきてしまったのか。ならば堕ろせばよかった。そうすれば、まだ生きていられたかもしれない。
私を産みたいと思わせるほど、良い男でも居たのだろうか?もしそう思った男の姿はここには無い。だとすれば母の人を見る目は余りにも節穴すぎる。そうまでして掴みたい希望だったのかもしれないが…。
友を焼いた穴で、母を焼く。そして私は一人になった。
揺れる火を眺めていると、不意に酷い頭痛に襲われる。頭が割れる様な痛みの中で、声を喉でにぎりつぶす。そんな中でもどこか冷めきった心が、死ねるかもしれない可能性に熱を持つ。
が少なくとも私が死ぬことは無かった。逆に大事な友を持つことになった。そして、気づいた時には私の手には銃が握られ、志を共にする多くのヒトの前に立っていた。
「我らは決して多くは望まない。明日、希望を持って起き、綺麗な水を飲み、お腹が空いたと子供が泣かなくて済む世界が欲しいだけだ。その世界のために我々は今日死ぬのだ。大義などという綺麗事はいらない。よく産まれ、よく生き、よく死ぬためだ。それ世界のために我々は天秤を傾けなければならない。死体が必要なら、魂が必要ならくれてやる。我々は成し遂げるぞ!」
男たちの歓声を背にステージを下りる。そして、貧民たちは生活への闘争を始めた。この動きは全国に広がりを見せた。
既にこのスラムには、この病が蔓延している。いつから、どこから始まっまたかも分からないこの病は、長い間貧民を喰いものにして繁栄をしている。
未舗装な道を裸足で歩く。高台から見下ろすと、高くそびえるビル群を覗ける。あそこには天上の暮らしがあるのだろうか。少なくとも、泥水をすすり、荒んだ世界で見つけた友が腐っていく姿を見ることはないだろう。
人間未満のヒトには相応しい生活だと聞いたことがある。ヒトを人間たらしめる要因とは一体何なのか?知性か?金か?血筋か?地位か?焼ける元友人の酷い臭いを嗅ぎながら思う。
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私を産みたいと思わせるほど、良い男でも居たのだろうか?もしそう思った男の姿はここには無い。だとすれば母の人を見る目は余りにも節穴すぎる。そうまでして掴みたい希望だったのかもしれないが…。
友を焼いた穴で、母を焼く。そして私は一人になった。
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が少なくとも私が死ぬことは無かった。逆に大事な友を持つことになった。そして、気づいた時には私の手には銃が握られ、志を共にする多くのヒトの前に立っていた。
「我らは決して多くは望まない。明日、希望を持って起き、綺麗な水を飲み、お腹が空いたと子供が泣かなくて済む世界が欲しいだけだ。その世界のために我々は今日死ぬのだ。大義などという綺麗事はいらない。よく産まれ、よく生き、よく死ぬためだ。それ世界のために我々は天秤を傾けなければならない。死体が必要なら、魂が必要ならくれてやる。我々は成し遂げるぞ!」
男たちの歓声を背にステージを下りる。そして、貧民たちは生活への闘争を始めた。この動きは全国に広がりを見せた。
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