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探検
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この150階層にもなる地下都市、各地にある地表から流れ込む水にその身を投じて観光するものや、各国の異なる都市の作りを写真に収めるものもいる。その中でも最深部、150階層へ降りる人間はそういない。なぜなら140階層より下はかつて地上資源を求め各国が兵器や軍用食料を作っていた工場群の跡地だからである。地上資源戦争の無意味さに気が付いた大国は、和平を結び地下での人工的な食料の生産、家畜や野菜、果物といったものの生産を協力して行った。そのため必要とされなくなった軍事的な機械工場は閉鎖、廃墟となった。今では地下なのに雪が降る現象により、150階層は地上と大差ない極寒の地となっている。が、そんな場所でも物好きな冒険者が訪れることがある。今まさに廃工場の扉を開け、かじかんだ手をこすりながら入ってきた彼もその一人である。手袋に旧軍用耐寒装備と30キロバックパック。すべてこの階層で彼が見つけたものだ。150階層は立ち入り禁止になるわけでもなく、また残されたものの利用も禁止されていない。人が一人くらい生活するには温度を除けば十分すぎるほどだろう。
彼が入り込んだのは軍事食料工場跡地、廃工場となった後も機械や植物はそのまま残されている。バックから小型核ジェネレーターを取り出して一つの機械に接続する。スイッチをONにするとギギギときしみながら動き始めた。彼は隣の栽培倉庫から自然に育ったジャガイモをいくつか見繕って機械の投入口に放りこむ。ガコガコと音を立てながら作動する機械からの熱で暖を取りつつ出来上がりを待つ。ビープ音が数十分後に鳴り響き、ラッピングされたレーションが排出口から10個出てくる。これだけあれば1週間はもつだろう。日本本土全域ほどの広さがあるこの地下都市には当然いくつも工場が存在している。かつては銃などを盗みに入り込む者もいたとか、食料が困窮してた時代はここの食料工場から配給もしていたという。しかしそれはもう過去の話。今は冒険を楽しむ彼一人としんしんと降る雪の世界だ。工場の扉を開けて外に出る。耐寒装備なだけあって体は全く寒くはないが、露出しているところには冷気が当たる。ふと横を見ると人のような何かが壁にもたれるように座っていた。雪の積もり方を見るにこの工場が廃棄される前からここにいたのかもしれない。それの雪をかき分けのぞき込む。顔の横辺りに弾痕があり、氷が付いて表面はおおわれているが、それは貫通している。半分程度白骨化をしている遺体であった。首から下がったドックタグには彼の名前と、所属していた軍の名前が書かれている。旧日本語と旧英語の混じった名前で冒険者の彼は読むことができなかったが所属が日本軍ではないため恐らくスパイ活動をしていた工作員の一人だろう。こういった遺体を発見するのは珍しいが初見の時よりかはだいぶ慣れていた。これで5人目だ。なぜ5人かはっきり覚えているかというと彼は黙祷をささげたのち、首から下がるドックタグをそっと引き抜いた。今生活圏で売ればドックタグというレア物は高い値段で取引される。それも150階層産は割高なのでこれを持って帰らないわけにはいかない。外にシートをかぶせてあった二人乗りの耐雪戦車と呼ばれる特殊な乗り物に乗ってエンジンをかける。これも廃工場から数日前に拝借したものだ。なぜか1台だけ残されていたこれを整備し、利用している。
アクセルを踏み、雪が積もっているがかつて道路であったであろう場所をガタガタと進む。
「そろそろ上がるか」
独り言をつぶやきながら今は利用されていない旧軍事用140階層直通エレベーターへ向かう。こうして生計を立てるものも、この地下都市という昔は誰かがあこがれた世界ではいるという事なのだ。
彼が入り込んだのは軍事食料工場跡地、廃工場となった後も機械や植物はそのまま残されている。バックから小型核ジェネレーターを取り出して一つの機械に接続する。スイッチをONにするとギギギときしみながら動き始めた。彼は隣の栽培倉庫から自然に育ったジャガイモをいくつか見繕って機械の投入口に放りこむ。ガコガコと音を立てながら作動する機械からの熱で暖を取りつつ出来上がりを待つ。ビープ音が数十分後に鳴り響き、ラッピングされたレーションが排出口から10個出てくる。これだけあれば1週間はもつだろう。日本本土全域ほどの広さがあるこの地下都市には当然いくつも工場が存在している。かつては銃などを盗みに入り込む者もいたとか、食料が困窮してた時代はここの食料工場から配給もしていたという。しかしそれはもう過去の話。今は冒険を楽しむ彼一人としんしんと降る雪の世界だ。工場の扉を開けて外に出る。耐寒装備なだけあって体は全く寒くはないが、露出しているところには冷気が当たる。ふと横を見ると人のような何かが壁にもたれるように座っていた。雪の積もり方を見るにこの工場が廃棄される前からここにいたのかもしれない。それの雪をかき分けのぞき込む。顔の横辺りに弾痕があり、氷が付いて表面はおおわれているが、それは貫通している。半分程度白骨化をしている遺体であった。首から下がったドックタグには彼の名前と、所属していた軍の名前が書かれている。旧日本語と旧英語の混じった名前で冒険者の彼は読むことができなかったが所属が日本軍ではないため恐らくスパイ活動をしていた工作員の一人だろう。こういった遺体を発見するのは珍しいが初見の時よりかはだいぶ慣れていた。これで5人目だ。なぜ5人かはっきり覚えているかというと彼は黙祷をささげたのち、首から下がるドックタグをそっと引き抜いた。今生活圏で売ればドックタグというレア物は高い値段で取引される。それも150階層産は割高なのでこれを持って帰らないわけにはいかない。外にシートをかぶせてあった二人乗りの耐雪戦車と呼ばれる特殊な乗り物に乗ってエンジンをかける。これも廃工場から数日前に拝借したものだ。なぜか1台だけ残されていたこれを整備し、利用している。
アクセルを踏み、雪が積もっているがかつて道路であったであろう場所をガタガタと進む。
「そろそろ上がるか」
独り言をつぶやきながら今は利用されていない旧軍事用140階層直通エレベーターへ向かう。こうして生計を立てるものも、この地下都市という昔は誰かがあこがれた世界ではいるという事なのだ。
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