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序章
プロローグ
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3年前に始まった王国と魔物の国の戦争、王国の城下町で商人たちが喧嘩をしたのが発端だ。
~3年前~
『お前! この前金額は7割だって決めただろ!!』
ゴブリンの商人が声を張り上げる。対して目の前の王国商人はそっぽを向きながら、
『知らないね、とにかく9割じゃないと売ってやらない、お前らの果物は買ってやらないね』
とゴブリンの商人を突き放した。しかし、ゴブリンの商人はこの前の取引をしっかり覚えているので引き下がることはない。王国商人はため息をついて言った。
『まったく、これだからゴブリンは……いいぜ7割で売ってやるただしお前らからの果物は8割引きで買ってやるよ』
どこか魔物を見下すような言い方にゴブリン商人は完全に頭に血が上った。いつしかその大声の言い合いには人だかりができている。
『何だと お前!!』
ゴブリンが王国商人の胸ぐらをつかむ、そのまま持ち上げて彼の足が地面から浮いたその時だった、
『憲兵だ! 何をしている!!』
憲兵隊はその場にいた無抵抗の魔物商人隊のうち6人を無慈悲にも切り捨て、胸ぐらをつかんでいたゴブリンを罪人として捕らえたのだ。王国は元々憲兵隊の法律に‘’魔物が万が一国民を殺害、またはそれに準ずる行為をしていた場合捕らえること(ただし急を要する場合は抗戦することを許可す)‘’という法律があるのだがそれが問題になった。
ー王国国賓館・1階調停室ー
『で、我々の憲兵隊が捕らえた商人の解放と、殺した商人隊の謝罪をしろ……と?』
王国の調停者は頬杖をつきながら魔物の国の国王の国書を見る。コボルトの魔物の国調停者は真剣に訴えた。
『そうです! 彼らは命を奪われる必要はなかったはずです。どうかお願いできませんか!』
彼は必死にそう訴えるが王国の調停者はあくびをしながら冷たく言い放つ、
『そうはいってもですねぇ……残念ながら彼は今日処刑になったんです。広場に行かれたらわかると思いますよ、それに、先に手を出したのはそっちでしょう?』
王国調停者は鼻で笑う。まるで完全にコボルトの調停者を見下しているような……いや、完全に見下した目だった。コボルトは声を荒げたいのをぐっとこらえてひねり出すように言った。
『わかりました……それがあなたたち人間の答えですね、王に伝えおきます……残念です』
コボルトは涙を目に浮かべながらその場を後にした。王国調停者は扉が閉まるのと同時にため息をついた。
そして調停者同士の話し合いの二日後、同じコボルトの調停者と100人の戦士団が宣戦布告書をもって再び訪れた。戦線理由は王国民には知らされず、一方的な宣戦だとして国中に知らせた、かくして7年にもわたる魔物と人間の戦争は始まったのである
~現在~
「レイ! いつまで寝てるの! おいてくわよ!」
「ユナ待ってよ~今準備するから~」
ユナとレイ、彼らは王国戦士団の第1軍で前線に配属された少年兵だ。近年は兵士たちの損耗が激しくなり、少年兵を前線へ送らなければならないほどに困窮していた。もちろんそんなことを知らない彼らは前線へ送られ、何一つ帝国を疑うことなく戦火に身を投じる。戦火は徐々に広がり、隣国をも巻き込むことになるのをこの時ユナとレイ、そして前線指揮官も思っていないだろう。
~3年前~
『お前! この前金額は7割だって決めただろ!!』
ゴブリンの商人が声を張り上げる。対して目の前の王国商人はそっぽを向きながら、
『知らないね、とにかく9割じゃないと売ってやらない、お前らの果物は買ってやらないね』
とゴブリンの商人を突き放した。しかし、ゴブリンの商人はこの前の取引をしっかり覚えているので引き下がることはない。王国商人はため息をついて言った。
『まったく、これだからゴブリンは……いいぜ7割で売ってやるただしお前らからの果物は8割引きで買ってやるよ』
どこか魔物を見下すような言い方にゴブリン商人は完全に頭に血が上った。いつしかその大声の言い合いには人だかりができている。
『何だと お前!!』
ゴブリンが王国商人の胸ぐらをつかむ、そのまま持ち上げて彼の足が地面から浮いたその時だった、
『憲兵だ! 何をしている!!』
憲兵隊はその場にいた無抵抗の魔物商人隊のうち6人を無慈悲にも切り捨て、胸ぐらをつかんでいたゴブリンを罪人として捕らえたのだ。王国は元々憲兵隊の法律に‘’魔物が万が一国民を殺害、またはそれに準ずる行為をしていた場合捕らえること(ただし急を要する場合は抗戦することを許可す)‘’という法律があるのだがそれが問題になった。
ー王国国賓館・1階調停室ー
『で、我々の憲兵隊が捕らえた商人の解放と、殺した商人隊の謝罪をしろ……と?』
王国の調停者は頬杖をつきながら魔物の国の国王の国書を見る。コボルトの魔物の国調停者は真剣に訴えた。
『そうです! 彼らは命を奪われる必要はなかったはずです。どうかお願いできませんか!』
彼は必死にそう訴えるが王国の調停者はあくびをしながら冷たく言い放つ、
『そうはいってもですねぇ……残念ながら彼は今日処刑になったんです。広場に行かれたらわかると思いますよ、それに、先に手を出したのはそっちでしょう?』
王国調停者は鼻で笑う。まるで完全にコボルトの調停者を見下しているような……いや、完全に見下した目だった。コボルトは声を荒げたいのをぐっとこらえてひねり出すように言った。
『わかりました……それがあなたたち人間の答えですね、王に伝えおきます……残念です』
コボルトは涙を目に浮かべながらその場を後にした。王国調停者は扉が閉まるのと同時にため息をついた。
そして調停者同士の話し合いの二日後、同じコボルトの調停者と100人の戦士団が宣戦布告書をもって再び訪れた。戦線理由は王国民には知らされず、一方的な宣戦だとして国中に知らせた、かくして7年にもわたる魔物と人間の戦争は始まったのである
~現在~
「レイ! いつまで寝てるの! おいてくわよ!」
「ユナ待ってよ~今準備するから~」
ユナとレイ、彼らは王国戦士団の第1軍で前線に配属された少年兵だ。近年は兵士たちの損耗が激しくなり、少年兵を前線へ送らなければならないほどに困窮していた。もちろんそんなことを知らない彼らは前線へ送られ、何一つ帝国を疑うことなく戦火に身を投じる。戦火は徐々に広がり、隣国をも巻き込むことになるのをこの時ユナとレイ、そして前線指揮官も思っていないだろう。
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