戦場の花

こあめ(小雨、小飴)

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戦場の花は舞う

防衛戦

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 銃声が鳴り響く。それは、マシンガンのような連射されるけたたましい音や、単発式ライフルの重たい音などが聞こえる。お互い大砲を持ってきていない、弾切れという理由で使っていないのでそれが使用されているときよりかは、軽い音のする戦闘だった。
「9mm弾薬持ってこい!」
「弾薬はまだか!?」
「救護兵急げ!」
 など様々な声が飛び交っている。こちらは城壁に加え、その上に空いている穴などから迎撃しているため被害が大きくなることはない。また、帝国兵の数もそこまで膨大というわけではなく、1~2師団程度の規模が攻めに来ているようだ。唯一心配事があるとすれば、弾薬が底を尽きかけていることか。この戦闘は開始されてからすでに2日が経過している。帝国側も破壊された砲の残骸などを盾にせているのでなかなか全滅するに至らない。おかげで昼夜問わずに打ちまくって補給が来なかったので弾薬が足らないのだ。兵士たちも疲弊するため、交代で迎撃している。

 αは指令室で指揮を執っていた。と、いうのも彼女の愛用武器ではそもそも射程が足りないからだ。一応ライフルで屋上からスナイプをしていたものの、帝国兵の機関銃に狙われ始めたために戻ってきたのだ。
トキとαが意見を出し、それを司令部の指揮官とともに検証していく。そして、最新の指令を各防衛指揮所に伝える。これも帝国にはなかった伝声管と呼ばれる声を遠くまで送る装置だ。それを利用して作戦を伝えた。
 そして、烈火の高高度からの偵察により相手の大まかな兵力と居場所を把握したαたち防衛軍は比較的効率よく防衛を行った。それに加え、作戦立案もスムーズに進み前線にも逐次最新の指示が飛ぶことによって防衛を行うことが出来た。丸1日の戦闘が終えるころ、要塞の周りには、帝国兵の死傷者の山が築き上げられていた。
 その後3回にわたって帝国軍歩兵部隊の襲撃があったが、そのすべてをことごとく撃退した。この3回目の攻勢で帝国兵の充足率がかなり下回ったことにより構成が完全に止まった、作戦指揮所の公国指揮官が進言してくる。
「αさん、敵は補給が切れていると見えます、ここは攻勢に出てもよいのではないのでしょうか?」
 アロメルニアの部隊長も同様の意見を言ってくる。
「彼の言う通りです。相手には銃を持っていない兵も多く見受けられます。ここは打って出るべきかと。」
αもそれに同意する。
「よし、その案を採用する。最低限の防衛師団を残し帝国兵を追撃する。」
 公国の指揮官がさらに進言してくる。
「では、我々とアロメルニアの兵を半々で編成しましょう。」
 その提案にα含めその場の指揮官が同意する。

 編成完了後に出撃するのは、アロメルニア第1,2歩兵大隊、公国半機械化歩兵、第3砲兵大隊がでることになった。この作戦は、公国本国にも通達され、本国からも公国の部隊が派遣されることとなった。輸送部隊は要塞に残り公国からの物資輸送をすることになった。
「また、しばらく会えませんね…」
 トキは少し悲しそうな顔をする。ここからα率いる部隊とトキの指揮する輸送部隊は再びここで別の動きをすることになる。
「お互いの役割を果たすだけだ、後ろは任せたぞ。」
 αはそうトキに言って彼女の肩を叩き、輸送車両に搭乗する。

 そうしてアロメルニアの攻略部隊は要塞を出撃する。
…その時だった、突如戦闘の輸送車が爆発、銃声が発生が発生する。要塞上から見ていた兵士の目に映ったのは爆発した車両からαがゴムまりのように跳ね飛んでいくところだった。
「いったい何が起こったんですか⁉」
 トキは叫びながら指揮所に駆けこむ、そこへ報告に入って来ていた見張りの兵士から絶望的な報告が入る。
「ほ、報告します。輸送車列を帝国軍の砲撃が直撃、指揮官及びアロメルニア、公国兵多数死傷、負傷者を場内に運び込みましたが、全員意識不明の重体です。」
「αは?αはどうなったんですか!?」
「α大尉も現在意識不明です、砲撃が車両に命中した後爆発中に宙を舞って外に放り出されたことで死を免れたようです、一命はとりとめたようですが意識が戻っていないので、現状の最高指揮権は、トキさん…あなたです。」

 各方面から被害報告が入って来ており、状況は深刻化していた。
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