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戦場の花は儚く脆く
~潜入~
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かくして小隊は、ステーション内に潜入した。ステーションは自動化が進んでおり、中には起動していない装輪車が所狭しと並んでいた。αは、北側そして他の小隊は、各方面にある起動用ドッグに時計式爆弾を仕掛けた。
爆発時間は3分後だ。
「時計爆弾のセットはどうだ?」
「は!しっかりセットしました!!」
「よし、それでは撤退する。素早く迅速にだ。いいな?」
彼女たちはそのまま入ってきたところからステーションを抜け出そうとしたその時だった。
「おぉっと、そこを動くな!」
野太い声が出口のほうから聞こえる。そこには、公国の軍服に、いかにも階級の高そうな階級章をつけた、がたいのいい男と、その後ろに続く3個中隊規模の公国兵が行く手を阻んでいた。マッケンリーと名乗った男は、話しかけてくる。
「いやぁ参った参った、まさかステーションに侵入する奴がいるなんてなぁ!」
「……なぜ分かった」
αがそう聞くと、彼は思った以上に簡素に答えた。
「ステーションにはセンサーがあって、そいつでお前らをとらえた。気づかずにのこのこ入ってゆっくりしかけてるうちにこっちは準備ばっちりってわけだ」
そこまで聞くとαは口を、開く。
「ところで中将殿、あなたは私たちがおとなしくつかまるとでも?」
「あ?強がってんじゃねぇぞ。ここ以外に出口はねえんだ、大人しく降伏しろ!」
そう言って、マッケンリーは拳銃を向け、引き金を引こうとしたその時だった。
時計爆弾の手動起爆装置をαが起動し、ステーション内の各ドックがすべて吹き飛んだのだ。さらに爆風と炎は、備蓄弾薬などを吹き飛ばし、威力を増してドック内の装輪車群へ突っ込んだ。結果、装輪車や武装の弾薬に引火、大爆発したのだ。
その爆風は、一か所しかない出口に向かいそこに居た兵を、まとめてぼろ雑巾のように弾き飛ばした。無論ここまでの規模で、小隊に被害がないはずもなく、1名が暴発した装輪車から飛んできた機銃の銃身に薙ぎ払われ、そのまま外へ向かう爆風に、さらわれた。
爆風が収まったころ、建物は大炎上し、倒壊寸前だった。さらに、出口には装輪車の残骸が積み重なっており、これでは外に出られない。
「まずい……このままでは倒壊に巻き込まれます!」
「どうするんですか隊長!」
「あいつ以外は全員無事でしたが、今度は全員仲良く天国ですよ!」
小隊員たちは、この状況下ですでに絶望していた……仲間は吹き飛ばされ、唯一の出口も通れない。だが、αは違った。
「落ち着け、ここには非常用の通路が地下にある。それを利用して脱出するぞ」
αが言った通路……それは、かつて公国が自動化前に使用していた人間用の非常通路だった。小隊一行はここを通って地上に脱出。戦線へ復帰した。
結果、指揮電波を失った装輪車は停止し無力化、火力と装甲を同時に失った公国は、撤退と追撃による後退を余儀なくされた。
戦闘は、帝国の勝利に終わった。αは、タマに短く挨拶を済ませ、一人戦場を後に歩き出した。
タマは別れる前に、
「ここから20km行った戦線が酷いらしい……俺たちも後で向かうが、よければ行ってくれ、それにその戦線にはな……」
話を聞いた彼女は第3連隊より早く向かうことにした。タマから言われた人物が本当にそこにいるというのなら……
そう思いながら、駆け足で目的地までの道のりを急ぐのだった。
爆発時間は3分後だ。
「時計爆弾のセットはどうだ?」
「は!しっかりセットしました!!」
「よし、それでは撤退する。素早く迅速にだ。いいな?」
彼女たちはそのまま入ってきたところからステーションを抜け出そうとしたその時だった。
「おぉっと、そこを動くな!」
野太い声が出口のほうから聞こえる。そこには、公国の軍服に、いかにも階級の高そうな階級章をつけた、がたいのいい男と、その後ろに続く3個中隊規模の公国兵が行く手を阻んでいた。マッケンリーと名乗った男は、話しかけてくる。
「いやぁ参った参った、まさかステーションに侵入する奴がいるなんてなぁ!」
「……なぜ分かった」
αがそう聞くと、彼は思った以上に簡素に答えた。
「ステーションにはセンサーがあって、そいつでお前らをとらえた。気づかずにのこのこ入ってゆっくりしかけてるうちにこっちは準備ばっちりってわけだ」
そこまで聞くとαは口を、開く。
「ところで中将殿、あなたは私たちがおとなしくつかまるとでも?」
「あ?強がってんじゃねぇぞ。ここ以外に出口はねえんだ、大人しく降伏しろ!」
そう言って、マッケンリーは拳銃を向け、引き金を引こうとしたその時だった。
時計爆弾の手動起爆装置をαが起動し、ステーション内の各ドックがすべて吹き飛んだのだ。さらに爆風と炎は、備蓄弾薬などを吹き飛ばし、威力を増してドック内の装輪車群へ突っ込んだ。結果、装輪車や武装の弾薬に引火、大爆発したのだ。
その爆風は、一か所しかない出口に向かいそこに居た兵を、まとめてぼろ雑巾のように弾き飛ばした。無論ここまでの規模で、小隊に被害がないはずもなく、1名が暴発した装輪車から飛んできた機銃の銃身に薙ぎ払われ、そのまま外へ向かう爆風に、さらわれた。
爆風が収まったころ、建物は大炎上し、倒壊寸前だった。さらに、出口には装輪車の残骸が積み重なっており、これでは外に出られない。
「まずい……このままでは倒壊に巻き込まれます!」
「どうするんですか隊長!」
「あいつ以外は全員無事でしたが、今度は全員仲良く天国ですよ!」
小隊員たちは、この状況下ですでに絶望していた……仲間は吹き飛ばされ、唯一の出口も通れない。だが、αは違った。
「落ち着け、ここには非常用の通路が地下にある。それを利用して脱出するぞ」
αが言った通路……それは、かつて公国が自動化前に使用していた人間用の非常通路だった。小隊一行はここを通って地上に脱出。戦線へ復帰した。
結果、指揮電波を失った装輪車は停止し無力化、火力と装甲を同時に失った公国は、撤退と追撃による後退を余儀なくされた。
戦闘は、帝国の勝利に終わった。αは、タマに短く挨拶を済ませ、一人戦場を後に歩き出した。
タマは別れる前に、
「ここから20km行った戦線が酷いらしい……俺たちも後で向かうが、よければ行ってくれ、それにその戦線にはな……」
話を聞いた彼女は第3連隊より早く向かうことにした。タマから言われた人物が本当にそこにいるというのなら……
そう思いながら、駆け足で目的地までの道のりを急ぐのだった。
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