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ショッキングな朝と、ドキドキの答え合わせ

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 とっても濃厚だったお泊り会が終わり、週明け!
 もちろん、俺たちの抱える不安や問題は、なんにも解決してないんだけどさ。お友達に悩みを聞いて貰ったり、相談に乗ってもらうって、すっごくココロがすっと軽くなる感じがするんだね。
 他のふたりにとってもそうだったみたいで、またちょこちょこお泊り会したいねってことになった。
 …まあ、過保護なアルファ2人が、あんまりいい顔をしないような気がするけどね。ヘタをすると、次からは一緒に泊まるって言って乗り込んで来ちゃいそう。
 そんなことになったら、かえでくんは猛アプローチ中の紅林先輩に怯えて、泊まりに来てくれなくなる気がする。すみれくんも参加を辞退しちゃいそう。…はあ。
 
 でも、今回のお泊り会のおかげで、やるべきことがいっこ、はっきり決まった。

 雅孝が、俺のことをどう思ってるのか。…つまり、その、俺がそう望むように、俺を親友として見てくれてるのか、それとも、将来の伴侶として、うなじをガブっとしたいと考えているのか。自分だけで判断せずに、本人とちゃんと話し合って、確認する!

 かえでくんにアドバイスをもらったので、週明けの今日、雅孝に会えた時に思い切って聞いてみようと思うんだ。

「おっはよ~!」

 俺は、元気が有り余るちくわぶに足にまとわりつかれながら、制服に着替え、お顔を洗い、くうくう鳴ってるお腹をサスサスしながらみんなのいるダイニングに向かった。

「あっ…あっ…。(ピッ)…みつき、おはよう!」

 いつもの食卓。だけど、ちょっとだけ雰囲気が妙だ。
 姉ちゃんが、俺の顔を見るなり慌ててテレビのチャンネルを変えた。…チャンネルを変える前、一瞬だけ知ってるお顔が見えた気がしたんだけど。

「みつき様、おはようございます。今日はみつき様の大好きな、フレンチトーストをご用意しましたよ」

 スッと大柄な屈強さんが、たまらない甘い香りのするフレンチトーストのお皿を持って来てくれた…んだけど、なんだかさりげなく、テレビを体で隠してるような立ち位置。

 …んんっ?

 たまにあるんだよね。俺に見せたくないものがテレビで流れたとき、家族がそ~っとチャンネルを変えちゃうことが。ラブシーンとか、ショックを受けちゃうような残酷なニュースとか。
 いつもなら「あ、察し」って思うだけなんだけど…今日はちょっと気になって、確かめなきゃって思った。

「あっ、みつき!ダメッ…」「みつき様、ダメです…!」

 母ちゃんと屈強さんが止めるのも構わず、俺は隙をついてリモコンを取って、チャンネルをポチポチ変えてみた。
 …すると、一つの朝の情報番組に目が釘づけになった。
 あった。多分、これだ。

 そこには、いつもは見慣れないパリッとした正装に身を包んだ雅孝が、ステージ上で真剣にバイオリンを弾いている姿が。
 苦しそうに見えるぐらい、キリキリに張り詰めた表情で、時に繊細に、時に焼け付くほどに情熱的に旋律を紡いでいくその幼い姿は、音楽のことがほとんどわからない素人の俺から見ても、天才。音楽に愛された非凡な存在に見えた。
 とても…輝いていた。

「雅孝…すごい」

 興奮した様子のキャスターやコメンテーターが、天才少年の快挙と、その演奏のすばらしさを誉め称えている。
 どうやら、昨日まで二日間にわたって行われた子供向けの音楽コンクールの特集みたいだ。入賞者上位三名が最後にエキシビジョンの演奏をする様子ということで、バイオリン部門のグランプリを受賞した雅孝の演奏の一部のシーンが放送されたらしい。
 そう、俺たちがお泊り会をするとき、一緒に来られないことをめちゃくちゃ悔しがっていた雅孝と紅林先輩。その大切なご用事とは、この子供向けの音楽コンクールへの参加だったんだ。
 この日のために、ふたりとも凄く練習しているという話を聞いていたし、結果については、雅孝はバイオリン部門で、紅林先輩はピアノ部門でそろってグランプリを受賞。昨日の発表の時点で屈強さん経由で聞いてはいたんだけど。いざ受賞してエキシビジョンの曲を演奏している姿を見ると、胸がぽっぽと温かく、嬉しくなるのを感じた。

 …でも、これの何を俺に見せたくなかったんだろう?

 俺からリモコンを奪おうと、手を伸ばしてくる姉ちゃんや屈強さんを巧みに身をよじよじしてよけつつ、不思議に思っていると。

『彼女』が、画面に映った。

 それは、ほんの一瞬。尺にしてほんの数秒のことだったと思う。
 美しい秋空の色のドレスに身を包んだ、妖精のような美少女が、雅孝の伴奏をする姿が映った。その姿に、思わず見惚れる。
 俺は、すみれくんが言っていた、『人間離れして可愛い』ってうのは、本当はこういう子のことを言うんだ、って確信した。

「…あっ…」

 思わず声が出た。…彼女の顔に、見覚えがある。といっても、俺の記憶の中の顔よりも、随分幼いころの顔だけど。そうか…あれは、前世の。

 その小柄な体には、ピアノはあまりにも大きく見えた。全身全霊で雅孝の演奏に応え、音に寄り添う姿は、雅孝とペアであることが、まるで当然であるかのようにしっくりと似合っていて…。

「稀代の天才との呼び声も高い、東雲雅孝くんの演奏も素晴らしいですが、伴奏の桜庭あやのさんの技術も素晴らしいですね。…プライベートでも、なんとお二人はご婚約を結ばれているご関係だとか」
「ええ~っ、まだ小学生でしょう?セレブの世界ってすごいですねえ!」
「ええ、とっても、可愛らしくてお似合いのお二人ですね」

 ほほえましい天才キッズカップルとして、番組は二人を取り上げていた。
 画面は、すぐに受賞後のインタビューの光景に切り替わる。

「東雲様の、素晴らしい演奏の伴奏を担当させて頂けて、とても嬉しいです。演奏の足をひっぱってしまわないか、不安だったわたくしを、彼はとても優しく気遣ってくださって…」

 精巧なビスクドールのような美貌の頬を、ほんのり赤く染めて桜庭さんはちらっと隣に立つ雅孝を見る。雅孝もにっこり笑って、

「彼女が支えてくれたおかげで、練習の成果が出せました。」

 と応えて、二人で視線を交わしていた。

「えっ…」
 
 俺は、呆然として画面を見続けた。すぐに二人の姿から、他の受賞者の紹介へと画面は切り替わっていたが、情報は俺の耳を素通りした。
 屈強さんがそんな俺から、そっとリモコンをとりあげ、別の番組にチャンネルを変えてしまった。

「メディアが、勝手に騒いでいるだけですよ。みつき様、あんなの気にしちゃあいけませんよ」
「そっ…そうよ!面白おかしく、脚色してるだけなんだから!あんなの嘘っぱちよ」
「番組側に抗議の連絡を入れておきますね。まあ、東雲様の家から、すでに厳重に抗議されているとは思いますが。…あの番組関係者も局も、ご愁傷様です。」

 ぼんやりと、自分の前に置かれた、次第に湯気を失っていくフレンチトーストを見つめる。
 作ってくれた屈強さんにはとても申し訳ないけど、食欲は、まったく無くなっていた。

 雅孝が…婚約?『彼女』と…?

 …ズキンッ…

『…っえてっ…!わたくしたちの前から、消えてよっ…!』

 遠い記憶から、かすかに悲痛な声が蘇ってきた。

『誰からも愛されて、やりたいことだけを、ただダラダラとむさぼってきたあなたには判らないでしょう?その甘え切った表情、虫唾が走りますわ!…お願い、わたくしたちの前から消えて頂戴!…並河みつきっ…!』

 焼けつくような憎悪。…あんなに憎まれたのは、生まれて初めてだった。その悪鬼のような表情を見て…俺は…
 
…ズキンッ…ズキンッ…

 頭が…痛いよ…

「みつき様?大丈夫ですか?お顔の色が…」
「クンキュン~?」
「あら、ほんとね。大変。…今日はお休みする?」

 心配してくれるみんなに、朝食が食べられなかったことを謝って、俺は大丈夫だから、と学校に行く事にした。
 みんなをなだめて、いつもよりしつこく引き留めようとしてくるちくわぶをなでなでして、玄関へ向かう。そこには…

「おはよう、みつき!…どうしたんだい?元気がないね?」

 満面の笑顔で、いつもの雅孝が待っていた。両手を広げて、全身でおいで~!のポーズ。
 近付くと、俺の様子がちょっと違うことに気が付いたのか、しんなりと形のいい眉毛を下げた。

 雅孝に、聞きたいことがいっぱいある。お胸がドキドキして、ズキズキして、張り裂けそう。
 …どうして?どうして、親友が女の子と婚約してたかもっていうテレビを見たぐらいで、こんなに悲しい気持ちになっちゃってるの?
 俺、俺…変だ。

「ふえっ…雅孝ぁっ…。」

 気が付いたら、心配そうに顔をのぞき込んでくる雅孝に抱き着いていた。

「みつき…?どうしたの?落ち着いて。大丈夫だよ、よしよし」

 ぷるぷる震えながらしがみつく俺を、雅孝はとまどいつつ、優しく抱きしめて、背中をぽんぽんしてくれた。
 すんすん泣きながらそのままハグしていると、雅孝の子供体温が温かくて、ちょとずつ落ち着いてくる。

「もしかして、テレビで余計なもの、見ちゃったかな…?」

 ギクッ…。
 悪い事したわけじゃないのに、俺はビクッとした。
 雅孝の声は優しくて、お顔もにっこり優しく微笑みかけてくれてるんだけど、なんでかな。その声には背後に暗雲が立ち込めるような影があった。
 もしかして、知っちゃいけない雅孝の秘密を知っちゃって、怒ってる…?
 それに、俺、今日雅孝に会えたら、何を聞こうと思ってた…?婚約者がいるかもしれない相手に、

『ねえ、俺のこと、親友だと思ってる?それとも、お嫁さんにしたいと思ってる?将来的に、うなじをガブっとしたいと思ってたりする~?』

 ギャアアアアア!!
 …俺はっ…バカだっ!勘違いもはなはだしい!

「ごめん、雅孝…っ。俺、雅孝が婚約してるなんて、知らなかった…。それなのに俺、俺、とんでもない勘違いしちゃってて、すごく見当違いなこと、聞いちゃいそうになってた…っ。
あ、だいぶ前に、エッチな夢とかも見ちゃって、俺、なんてとんでもない事をっ…ほ、ほんとにごめんなさい…っふええっ」
「えっ?いや、待って待って、みつき。落ち着いて。一人で暴走しないで。ちゃんと落ち着いて呼吸して。一個一個、整理してお話しよう?ね?」

 自分が恥ずかしくて、ふええんって泣いてる俺に、雅孝がハンカチを出して、優しく涙を拭いてくれた。
 そうだね、落ち着かないと、お話ができない。おちつけ、俺。ひっ、ひっ、ふ~。
 それに、かえでくんも言ってたじゃない。自分だけで判断しないで、ちゃんと話さないとダメだって。
 ぶっちゃけ、穴があったら入りたいぐらい恥ずかしいし、逃げ出したいけど。俺はぐっと踏みとどまって、まっすぐに雅孝を見つめた。

「つまり、みつきは今朝のテレビで、例のコンクールの特集を見たってことでいいかな?」
「…うんっ…。可愛い女の子と、雅孝が婚約してるって言ってた…。すっごく、仲良しさんに見えた…」

 まだグスグス涙の余韻を残しながら、俺はこっくり頷いた。
 そっか…こうして口に出してみると、わかる。俺、雅孝が、俺に内緒で婚約してたってことが、やっぱりとってもショックだったみたい。…でも、どうして?
 親友にそんな大事な事をナイショにされていたのが寂しいから?それとも…もしかして、大好きな雅孝を取られちゃう気がして、悲しい…?

「あれ、嘘だから。あの女の子と婚約なんてしてない。仲良くもないよ。テレビ局と彼女の家が流したデマだよ」
「えっ?」

 えっ…?テレビって、ちゃんと大人の人がいろいろ調べてから作って放送してるんでしょ?そんなウソが流れるなんてこと、あるの?

「彼女は母の会社の大切なスポンサーの娘さんでね。エキシビジョンの伴奏は、いつもはプロの伴奏者の方にお願いするんだけど、スポンサー権限で彼女に伴奏させてほしいって直前にねじ込まれたんだ。僕はイヤだってごねたんだけど、どうしてもって、周りがね」

 いかにもイヤそうに顔をしかめる雅孝。スポンサー。お金を出してくれる人ってこと?
 わかった、大人の都合ってやつでしょ?雅孝や東雲ママの会社も、大変なんだね。
 東雲ママの会社って、世界的に大きなレコード会社だよね。東雲ママって、ばりばりのやり手経営者さんで、東雲パパも雅孝も、その会社に所属してるんだよね。

 でも…でもさあ。

「すっごく、仲良しさんに見えた…よ?」
「…よしてよ、あんなの台本に書いてあったから、その通りに言わされただけだよ」

 雅孝は、すねて可愛く唇を尖がらせた。

「今朝、僕もテレビを見てはじめて知ったんだけど。あんなふうに不快な脚色をして放送されるだなんて…やられたって思ったよ。きっと、スポンサー側がメディアとグルになって、俺と彼女をくっつけたくて、仲良さそうに見えるように放送したんだ。実際の婚約の打診なんて、とっくに断ってるっていうのにさ。諦めないんだ。…はあ、こんなことなら、大人の対応なんてせずに、子供らしく本音でしゃべってやればよかった。『は?キミ、誰?強引にねじ込んできたくせに、演奏ヘタだね、いつものプロのひとに頼みたかったよ』って。次からはそうしよっと」

 んぶっ…
 そんなこと言ったら、大っ変なことになっちゃわない?俺が伴奏の彼女だったら、ギャン泣きするよ?

「いやいや、彼女も彼女なりにすごく練習して来てるんだと思うから、それはかわいそうだよ。…そりゃあ、プロの人と比べたらアレなのかもしれないけど。それに、めっちゃくちゃかわいい子だったじゃない?雅孝も男の子なら、まんざらでもなかったり…」
「みつき」

 抱きしめられていた体をちょっと放して、遮るように名前を呼ばれる。怒りの気配を感じて、びくんとして、黙る俺。

「いい?よく聞いて。…僕にとって、世界はみつきか、みつきじゃないか、でしかないから。みつき以外がどうだろうと、興味がないんだよ」

 ふぇっ?

「この世で、みつきだけが可愛くて大切で愛おしい。それ以外なんて、目に入らない。」

 すごい事を言われている。…それって、つまり?

「えっ?えっ?…ご病気?」
「…ふふっ。そうだね。きっと、もうずっと前からおかされてるんだよ。…随分キザな言い方になっちゃって、自分でも笑うけど。『恋の病』としか言いようがない」

 恋の…病。誰に…俺に?いや、まさか。

「大好きだよ、みつき。お嫁さんにしたいと思うのは、みつきだけだよ」

 甘い笑顔でそう言って、ぎゅっと抱きしめられる。
 
 えっ、えっ!?ちょっと、それはあのっ…

 脳裏に、お泊り会の時の二人の声が蘇る。
『多分、あの東雲くんの雰囲気。みっちゃんを見る目つき。ただのお友達だと思ってるの、みっちゃんだけだと思うぜ。』
『そうそう!友達にしては距離感おかしいって!絶対、東雲様は将来的には思いっきりガブっと行くつもりでいるよ』

 …ふたりとも、大正解!?
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