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3 俺の秘密のウズウズと、マメシバ親衛隊※

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※冒頭、軽く背後注意です

※※※

 あれは、いつのことだったっけ。
 
 フランス人のママさんと、高身長のパパさんのDNAをこれでもかと受けついだ雅孝は、小学校高学年あたりから、俺を追い越してぐぐんと大きくなった。
 あれは、すでに雅孝の背も手もおっきかったから、相当お兄さんになってからの事だったと思う。

「な~、雅孝~」

 俺は、週末に遊びに来て、そのまま泊まってくことになった雅孝に、風呂上りにいつもの保湿クリーム用のワセリンのケースを持っていった。

「んっ?ああ、いつもの?・・・ウズウズするの?」
「・・・・ん。ちょっとな。ちょっとだけな」

 あらためてウズウズする?なんて聞かれると、恥ずかしくて、俺はポポポッとほっぺの血行が良くなるのを感じた。

「泊まりに来た時に、よく頼んじゃってわるいけど。・・・また頼んでもいい?」

 ベッドに座ってるあいつの隣に腰掛けて、自然と見上げる格好になりながら、俺は恥ずかしいのをこらえてお願いした。

「ウズウズして眠れそうにないから・・・また、マッサージ、してくれないか?」
「っ・・・・!!!も、もちろんよろこっ・・・」

 ・・・よろこ?何語?

「・・・もちろん、いいよ。・・・おいで」

 なぜか一回噛んだ雅孝は、そっとワセリンを受け取ってくれて、ベッドの上に優しくポンポンして誘導してくれた。

 うう、何度してもらっても、恥ずかしいし、緊張するし、いくら親友といえど、すごく申し訳ない。
 俺はベッドに仰向けにごろんして、パジャマがわりに着ているこんぶのおにぎりの描いてあるダサTシャツの前を、すそからそっとめくっていった。

 俺には、雅孝以外には誰にも話してない、恥ずかしい秘密がある。
 それは・・・

「ああ・・・お風呂上りだからかな。今日もきれいなピンク色だし、恥ずかしがって隠れちゃってるね」

 雅孝が、妙にうれしそうな声で・・・俺の最大のコンプレックスである、乳首を見下ろして言った。

「よせよっ・・・。こんな・・・男らしくないの、恥ずかしいんだぞ!」

 これでも、すっげー気にしてるんだからな。
 俺は、乳首の色が普通からしたらだいぶ・・・薄い。子猫の肉球みたいな、ピンク色だ。しかも、左側だけ、ちょっとだけ・・・陥没気味。
 体育の授業の着替えや、水泳の授業ではなるべく隠すように心がけてるけど、たまに物凄い顔で目をそらされるから、きっと見た人には内心で笑われてるんだろうと思う。

「どうして、可愛いのに。そんなに泣きそうなほど、気にしなくていいと思うよ。・・・どうせ、誰にでも見せるものでもないんだしさ。」
「男の乳首がかわいくてどうすんだよ。俺は、むしろまっくろがよかったの!」

 だってこう、男の乳首が黒いとかっこいいじゃん!男らしくて、強そうでさ!
 俺みたいなのはこう・・・いかにも軟な感じがするっていうか・・・デリケートそうっていうか。いや、実際、軟弱すぎて困ってるんだけど。
 実は、毎日朝晩の2回、こうしてワセリンをぬって、ニップガードっていう丸い乳首をガードするシートを貼って過ごしてる。
 前は絆創膏を貼ってたんだけどさ。独特のにおいが苦手なのと、成分があわないのか、長時間貼りっぱなしにしてると、かゆかゆになっちゃうから、これにしている。
 俺、どうしてこんなみっともない乳首なんだろう。
 かたっぽ陥没気味のくせにさ。寒いとすぐ立っちゃうし。形のせいか、こすれやすい。
 直に服を着ると、こすれて擦りむけて、すぐ痛くなっちゃうし。乾燥もピリピリしてよくないんだ。

 それに・・・

「ごめんごめん。気にしてるのに、ごめんね?・・・さあ、マッサージするから、Tシャツ、ちゃんとめくっててね」
「ん」

 俺は、言われたとおり、Tシャツのすそをしっかりとめくって、雅孝からちゃんと見えるように、胸を露出した。
 なんとなくそこをガン見しているのもいたたまれなくて、そっとベッドわきに追いやられたお気に入りのぬいぐるみ、『ガブやん』をみつめる。

「んっ・・・んうっ・・・!」

 左側の乳首に、温かい吸い付く感触。ちゅぱっ、ちゅぱっと恥ずかしい音をさせながら優しく吸われて、

「んぁっ・・・!やだよお、音、やだぁ・・・ぁっ!」
「だって、恥ずかしがって引っ込んじゃってるから、刺激して、ちゃんと出してあげないとね。僕がマッサージしてあげないと・・・ウズウズして、眠れないんでしょう?」

 ちゅぱちゅぱしているのの合間に、ちょっと意地悪そうに見上げながら、雅孝が言う。

「ん。おねがい、ぁっ!・・・します・・・」

 吸われたり、陥没気味の左乳首を、舌の先でこじるようにされると、ジンジンが強くなって、持っているTシャツのすそをギュッとして、情けない声が出てしまう。
 そうなのだ。ワセリンを塗ってシートを貼るのは、もちろん自分でできるんだけど。今日みたいにときどきウズウズして眠れないってときは、雅孝にマッサージしてもらわないとなかなかおさまらない。
 自分でマッサージしようとしたことも何回もあるけど、下手なのか、よけいウズウズが酷くなって、どうしても無理だった。
 だから、何を喘いでんの、俺。これはマッサージでしょ。しかも友達にお願いしてご厚意でやってもらってるやつ。我慢しなさい、メッ。

「んっ!んあっ・・・!っやあ、両方だめ、ぁんっ!・・・やぁっ!」

 自分自身にメッてして、声を必死で我慢していたら。右の乳首もくりくりとワセリンを付けた指先でなでなでされて、わきあがってくるジンジンが我慢できなくなってきて、ビクビクッと体を震わせた。

「んちゅ、ちゅっ。・・・声、我慢しないで。ウズウズがひどくなっちゃうよ。」

 湧き上がってくるジンジンが強くなってきて、すごく辛くて、目にじわっと涙が浮かんで来る。
 声も、抑えようとするとマッサージが指でなでなでから、爪先で優しくカリカリひっかいたり、指二本ではさんでねじねじしたり、つまんだりする責めるような動きになって、こらえきれない声がこぼれた。

「ひっ、ひっ、もう、や、ジンジンが!ジンジンがぁ・・・ぁん!ぁん!やああなのぉぉ・・・!」

 かるく背中をのけぞって、俺は完全に泣きながら頭を左右に振って、イヤイヤをした。
 足の指が、ぎゅーって丸まっちゃう。
 もうやだ、もうつらい!
 熱心に吸い上げて、嘗め回していた左乳首から、ちゅぽんと口を離した雅孝は、ニヤッとどこか悪い顔で笑って、言った。

「泣いちゃうほどつらい?じゃあ、そろそろ仕上げといこうか・・・楽にしてあげる」

 そして、両方の乳首を、容赦なく両手の人差し指の側面で、ピピピピッと高速で弾き始めた。

「ふぁっ!!ぃっひああああああああ!!!」

 強烈な感覚が津波のように襲ってきて、俺はたまらず背をそらし、目をギュッとつむった。
 そこに、ぎゅううううううっと強く両方の乳首を摘ままれて、全身を突き抜けるような、激しく上り詰める感覚があった。つぶった目蓋の奥で、星がチカチカ明滅する。
 昇って昇って・・・・・そして、落ちた。

 ベッドの上でぐったり弛緩する。まだひくっ、ひくっ、と軽い痙攣を続ける体。強い疼きの余韻をこらえながら、俺は荒い呼吸を繰り返していた。

「じょうずにおっぱいでイケたね。ウズウズはおさまったかな?いいこ、いいこ。」

 まだ整わない苦しい呼吸の中、動けずにいると、満足そうな顔をした雅孝が、両方の乳首にいいこいいこをするように、新たに優しくワセリンを塗り付けている。

 ねえ、その、よしよしするのもうやめて。マッサージは、もう十分だからさ。
 せっかくウズウズがおとなしくなったのに、またそんなんしたら。

「じゃあ、シート貼ろうか。眠れそう?」

 ニップガードのシートのパッケージを手に取って、また意地悪そうに聞いてくる雅孝。
 パッケージからシートを取り出そうとするその手を、震える手でつかむ。

「んっ・・・・ま、待って」
「ん?・・・どうしたのかな?みつき。」

 意地悪。絶対わかってて聞いてる目だ。そして、言うまで欲しものをくれないやつ。

「きっ、・・・気持ちいいから、もうちょっとだけ、マッサージ、して?」

 恥ずかしさをかなぐり捨てて、一生懸命お願いしたら、ぺろり、と肉食獣みたいに唇を舐めた雅孝が、

「おおせのままに」

 と獰猛に笑った。

※※※

「・・・き、みつき、そろそろ着くよ」

 優しく揺り起こされて、俺ははっと覚醒した。
 なんだか、凄い夢見ちゃったぞ。以前に実際にあったことの夢。
 俺、いつのまにか、車の中でちょこっとだけうたた寝しちゃってたみたい。くっついてた雅孝が、子供体温であったかいからかもね。
 学校の裏手の駐車場に車を停めて貰って、ぴょいっと降りた。
 そして、サイドミラーを覗き込みつつ、幼くなって、ちょっとぽにょっとしているマイほっぺをサスサスする。
 クラスが別々になることを寂しがった雅孝に、さっきわりと強めにおでこぐりぐりされてたからね。形変わっちゃってない?大丈夫?

「どうしたの?みつきはいつも通り可愛いよ?」
「んぶう、それはどうも、ありがとう?」

 降りていきなりサイドミラーとにらめっこをはじめたから、雅孝に不思議そうに見られた。
 というか、そういうことサラッと言っちゃうのが雅孝クオリティよね。反応に困るやつ。

 たったったったった!

「おはようございま~す!東雲さま、並河さま!」
「んおひょい!」

 急に後ろから大勢の元気な声でご挨拶されて、思わず、変な声が出て飛び上がった。
 あ、違います、いまのは正式なお返事じゃないです。やり直させて。

「おはようございま~す!」
「ああ、おはよう、みんな」

 俺は振り向いて、あらためてちゃんと挨拶をした。雅孝もクールに応えている。
 そこには・・・

「え・・・?え・・・?みんな・・・?なんでいるの・・・?」

 そこには、小学校の入学当時にはまだ結成されていなかったはずの、親衛隊の腕章を付けたシャキシャキのマメシバみたいな、元気いっぱいの同学年の子供たちが十名、整列していた。
 精いっぱいのキリリとした表情で、びしっとおそろいの敬礼ポーズをキメて立ってるけど、・・・みんな同級生だからさ。ちっちゃくて、ぽにょっ。かわいい感じになっちゃってる。

「え、なんでって、みっちゃんを守るためじゃん!」

 親衛隊の中でも、仲良しの友達のひとり、しのぶくんがちょっとキザにウインクしようとして両方半目気味になりながら言った。

「そうだぞ~、今日から小学生。東雲様がご不在でもおんなじクラスのクラスメイトとして、バッチリ守るからな~!」

 力強くぽん、と小さな胸をたたいてちょっとむせちゃてるのが、もう一人の仲良しのじんくん。ちょっと脳筋風味。
 や、そうじゃなくてさ。親衛隊って中学生の時に、タチのわるいファンや危害をくわえようとしてくる生徒達から、俺や雅孝を守るために有志で集まった、同級生のグループだったはず。
 ほら、俺はともかくさ。大きくカッコよく成長した雅孝ってモテるからね。学園生活に支障が出る規模で。
 それなのに、なんで小学校に入る時点でもうこんなに集まっちゃってんの?まだ早くない?
 まあ、俺の中では時間が戻っちゃってる~なんて話せないし、そこは追及しにくいんだけどさ。
 でも、こんなかわいいマメシバみたいなちびっ子たちに守ってもらうとか、ちょっと気がひけちゃうよね~。高校の頃には、みんなぐんぐん成長して屈強さん予備軍みたいになるとはいえさ。

「フン、同じクラスだからって、みつきにあまりなれなれしくするなよ。絶対守れ!」
「「「はっ!肝に銘じます!」」」

 雅孝が、キリッと親衛隊のみんなにゲキをとばしてる。
 う~ん、正直ここにきて、前回の小学校の時と、いろいろ違いが出てきちゃってるのも、どういう意味があるのか気になりはじめてる。
 
 っていうかさ、みんな、マジでなんで入学前にクラスのこと知ってるの?
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