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池沢の友人

彼氏がいるとバレたら高校時代の友達に告白されて困ってます(1)

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出張から帰った篠田は約束の抹茶八橋を買ってきてくれた。

「おかえり!ありがとう篠田。これ好きなんだ~」

「何も変なことなかった?」

スーツを脱ぎなら篠田が聞いてくる。

「うん。剣志が来てくれたから大丈夫たった。俺のこと頼んでくれたんだって?」

「まぁね。目を離すとすぐ変なのが寄ってくるから」

あはは、と俺は笑い飛ばした。

この夜は篠田が移動で疲れてたから俺が篠田のを舐めて奉仕した。そして最後は騎乗位で。

「ああ…すごい良かった。先輩上乗るのうまくなったよね」

「そんなとこ褒めるなバカ」

篠田はふふ…と笑って、胸の上でぐったりする俺の顔を持ち上げキスしてくる。
チュッとわざと派手に音を立てる。

「ん~、帰ってきたら可愛い奥さん居るのマジで最高」

「イケメンの旦那さまが帰ってくるの待つのも楽しいよ♡」

それ聞いて篠田は目を丸くした。

「えっ、なに。なんか今日は先輩甘めだね?」

「だって篠田いない間寂しかったんだもん」

するとぎゅーっと抱きしめられる。
苦しい…けどいい気分。

「あ、そう言えば今度の金曜飲みに行っていい?」

「職場の飲み会?」

俺は首を振る。

「いや、高校のときの友達。ほら、俺ここに引越しただろ?新しい住所の連絡したら、偶然向こうも最近引っ越したんだって。それでなんか相談あるって言うから」

「そうなんだ。金曜の晩御飯は外で適当に済ませるからごゆっくりどうぞ」

「ありがと♡」


* * * * *


そして金曜日俺は友人の菊池と待ち合わせして居酒屋で飲んだ。

同じサッカー部で、菊池とは3年間ずっと同じクラスだったのもあり仲が良かった。
クラスの人気者で男前のいい奴。2~3年前にずっと付き合ってた年上彼女と結婚して、披露宴では友人代表の挨拶をさせられたんだよな。
たしか子どもはまだだったかな?

「ええっっ!?離婚したぁ!?」

「おい、一樹声でかいって」

「あ…ごめん。びっくりしちゃって」

俺は声のトーンを抑えた。

「めちゃくちゃ仲よさそうだったじゃん。なんで?」

「いやー…今も別にお互い嫌いってことはないんだけど…」

菊池は言いにくそうにしながらも続けた。

「実はずっとその…レスでさ」

「え?!」

俺はまた大きな声が出てしまい、周りを見回して口を押さえた。
そういう話かよ。

「なんか…結婚するまで長く付き合いすぎててもう家族っていうかあいつのこと姉みたいに感じるようになっててさ。向こうは子どもが欲しかったのに、タイミング取ろうとしても肝心なときに俺…なんか勃たなくて」

「まじかぁ…」

男女の夫婦もなかなか大変なんだな…

「そんで最初は俺もしかしてEDなのかなって思って」

ああ、なるほど。その可能性もあるよな。

「それで…試しちゃったんだよ。風俗」

「え~~!…それで?」

「バキバキに勃った」

うわぁ…なんか聞いててしんどい…
けどこいつも俺のこと仲いい友達と思って意を決して話してくれてんだよな。
俺は精神を正常に保つためについつい酒のピッチが上がる。

「しかも相手は男」

「ぶーーーっっ!!」

口に含んだハイボールを吹き出してしまった。

「きったねえな。ほらおしぼり!」

「ご、ごめんびっくりして…」

「一樹には黙ってたけど、俺バイなんだよ」

えーーーーー!
一番仲いいと思ってた友人の性的指向知らんかった!!
俺は驚きすぎて固まってしまった。
自分のことを棚に上げて。

「そ…そ…そうだったんだ?な、なんで今まで一言も…」

「だって言っても仕方ないじゃん。俺普通に女もいけるからバレなかったんだよな」

「へー…」

菊池はビールを飲み干しておかわりを注文した。
俺もカラカラの喉を潤す。
すると菊池が俺の手元を見ながら言った。

「なあ、お前結婚すんの?それ、結婚指輪だろ」

「あ…」

そういや指輪付けたままだった。
どうしよう。こいつがバイなら俺別に彼氏いるの話しても良い気がしてきた。

「いつの間に彼女できたんだ?たしか前の女と別れたって聞いてから新しい女の話なんてしてなかったよな」

きゅうりのピリ辛漬けをボリボリ食べながら菊池は俺の返事を待っている。

「ああ…その…」

「付き合って何ヶ月目だ?スピード婚じゃないか。あ、まさか前の彼女とより戻したとか?」

薬指に指輪までしておいて、こいつに隠し通すの無理だよな。

「あのさ。実は……この指輪くれたの男なんだ」

「………え?」

菊池は皿に伸ばしかけた箸を止めた。
俺も箸を置いてなぜか正座する。

「まだ知り合いには誰にも言ってないんだけど。男と付き合ってるんだ俺」

「お、おいおい…冗談よせよ。俺がバイだからって…からかってんのか?」

「いや。本当に。同じ会社の後輩と今一緒に住んでる」

菊池がはっとした顔をする。

「引っ越したってまさか…」

「うん。彼氏の家に引っ越したんだ」

驚きすぎて菊池は言葉が出ないようだった。
ビールを一口飲んでから言う。

「だって…お前今まで女としか…」

「うん。俺も自分でも女しかダメだと思ってたんだ。でもちょっと色々あって…」

さすがに付き合うようになった経緯は省く。

「嘘だろ…だって俺、お前がノンケだと思ったから…なんでだよ…なんで今さら…」

「菊池?」

「いや、なんでもない。そっか。お前がまさか男と付き合うとはなあ」

「うん」

「彼氏、どんな人?」

そしてその後は篠田の話をしたり菊池の離婚話やこれまでの恋愛話を聞いたりしてだらだらと飲み続けた。
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