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59-現実逃避
しおりを挟むひとまずのところタイムリープは行わず、高根と星宮はほとぼりが冷めるまで俺の家には来ないことになった。
高根の方は急に俺と距離を置けば、記事の内容が本当だと周りに示すことになってしまうため、大学が始まれば今までどおり俺と一緒に過ごすつもりだ。
先日、テレビでインタビューを受ける星宮の姿が映った。
そこでは記事に関する質問が飛び交ったが、星宮は笑顔で「私と高根ルイザさんの、共通の友人です。先輩とは今も親しくさせていただいております」とだけ答えていた。
一方で高根の方も、各メディアに対して記事の憶測を否定する文面を送っており、星宮しずくとは今も親しい間柄だと主張した。
それによりドロドロの関係という憶測は和らぎ、メディアの盛り上がりはすぐに収束した。だがそうなると、今度はネットがあれやこれやと騒ぎ立てるようになった。
~~~
「高根ルイザと星宮しずくが仲良いってことは、公認三股ってことか」
「うらやまけしからん」
「女の敵!!あのルイルイとほっしーをたぶらかすなんて最低!!」
「特定班急げ」
「ほっしーと淫行したヤリチン東大生を許すな」
ネットでは俺を叩くコメントで溢れかえった。
俺は今日本で話題の美女二人を侍らすプレイボーイとして、世間中の怒りや嫉妬を買っている。
ヤリチン、クズ、淫行東大生、二股男……罵詈雑言が飛び交い、反論のしようもない暴言の数々が俺の背中に重くのしかかった。
「満保君……大丈夫?」
「あ、ああ……」
リビングで携帯を眺めながら俯く俺に、中山さんが優しく寄り添う。
こんなことになっても、世間が淫行大学生と称する俺にたぶらかされた当事者である中山さんは、俺から離れずにギュッと抱きしめてくれた。
「きっと大丈夫だよ。ルイルイもほっしーも、険悪だなんて誤解は解けたし、満保君のことだって、きっとすぐに収まるよ。
皆望んで満保君と一緒にいるんだから、満保君が皆ととエッチするのだって、悪いことなんか何一つないよ。
満保君の辛い気持ちは―――私が忘れさせてあげるから」
そういいながら中山さんは、俺のズボンに手を伸ばした。だが―――
『スッ―――』
「満保―――君?」
俺は中山さんの手にそっと触れ、首を横に振った。
「元々は―――俺の節操のないスケベ心がすべての原因なんだ……
中山さんもそれを望んでくれたし、皆も楽しんでくれているけど……皆を巻き込んだのは俺だ」
俺は中山さんから始まり、アプリを使ってスケベな欲求を満たすためにやりたい放題ヤッてきた。
そのツケが、今回のように世間からのバッシングという形で回ってきたのだ。
こんな自分のスケベな行動をここまで批判され、なおもエロいことをする気分には、少なくとも今の段階ではなれなかった。
俺は自分の行動を悔いながら、申し訳なくうなだれる。すると―――
「スケベで―――なにが悪いの?」
中山さんは目を潤ませながら、肩を震わせていた。
絞り出した言葉には、言いようのない怒りが込められているのが伝わる。
「人は皆、スケベだから70億人もの人が世界中にいるんだよ?
私だってスケベだよっ! 満保君とエッチすることばっかり考えてるよっ!
それのなにが悪いのっ!?
私の大好きな満保君、それにルイルイ、そしてほっしーと、皆で楽しくエッチなことをするのが、なにが悪いのぉっ!?」
中山さんの声が、部屋に響き渡る。
『グイッ』
中山さんはおもむろに、俺を押し倒して上に跨がる。
「な、中山さっ―――」
戸惑う俺のことなど構わず、中山さんが俺の服を乱暴に引き剥がしていく。
「満保君はっ、エッチが嫌いになったの!?」
「そ、そうじゃないよっ」
「なら満保君がエッチを我慢するのは、誰のためなの……?」
中山さんがガチャガチャと、俺のズボンを脱がせる。
そして俺は返す言葉もなく押し黙った。
「皆満保君に嫉妬してるだけだよっ……!
自分自身のエッチな欲求から目を逸らして、人のことばっかり悪く言う人達のことなんかっ―――どうでもいいよっ!
そんな人達のせいで、満保君からエッチを奪わせたりなんて―――私が絶対にさせないっ!!」
中山さんが俺のチンポに勢いよくしゃぶりついた。
そしてムクムクと大きくなったそれをマンコに当て、ズチュッと音を立てて膣内へと飲み込んだ。
『パンッパンッパンッ』
「皆っ……甘い物が好きだったり……人と違う趣味にのめり込んだりしてるのに……!
好きな人とエッチするのが好きな私達だけ恥ずかしいなんて、間違ってるなんてっ……そんなのおかしいっ!
周りの人がなんて言おうとっ―――私がっ……スケベな満保君のままでいさせてあげるっ!」
中山さんは涙ぐみながら、激しく腰を振り乱した。
俺は中山さんから与えられる快感に、ただ身を任せることしかできなかった。
こんなに切ない気持ちでセックスをするのは、初めてだ―――
翌日も、その翌日も―――俺は中山さんと二人で、ひたすらセックスにのめり込んだ。
まるで俺に罪悪感や後悔を抱かせないよう振る舞っているのか、中山さんは俺に四六時中エロく迫り続けた。
「好きなだけイッていいんだよっ! 死ぬほどイキまくって満保君っ! 頭真っ白になるまでチンポ汁出しまくって!」
『レロレロレロッ!』
『ドピュルルーーッ!』
中山さんに玉を舐められ、前立腺を責められ、チンポを際限なく擦られる。
「気持ちいいねっ。すっごく気持ちいいねっ!
気持ちいいことしまくって、頭の中エッチまみれになろっ!?」
中山さんのマンコに幾度となく射精し、快楽だけに満たされていく。
「ぎもぢいいっ! つっ、次は5倍にしてぇっ!
頭壊れたままどんどん強くしてぇーーっ!」
コピーした時間も消さず、極限の快楽の影響を残したまま、どんどん快楽にのめり込んでいく。
「イッグウゥゥンッ! イッギュウゥゥゥンッ!」
人外の雄叫びを上げながら、ただひたすらに快楽を貪る。
何度も射精し、エロ以外の感情が失われていく。
「んびぃぃーーーつ! んぎっ! んひっ! ンヒイィィーーッ!」
絶頂を無限ループさせ、真っ白な空間に留まり続ける。
そうすることで、嫌な気持ちから離れられる。現実を忘れられる。
中山さんと二人だけの世界に―――堕ちていける。
俺は自分に向けられた憎悪から逃げるように、中山さんとの情事に没入した。
だが現実は無情にも―――俺を更に苦しめる方向へと突き進んでいた。
~~~
とあるネット掲示板にて―――
「ガリ勉東大生に入れ込むとか、どうせ二人とも学歴しか見てないだろ」
「彼氏って噂の男の格好いかにもウェーイ大学生って感じのリア充感満載だったわ」
「は? 秀才な上にリア充とかふざけんなタヒね」
「キョロ充乙」
「ガリ勉野郎を俺のワンパンでぶっ飛ばしてほっしーの目を覚まさせてやる」
「俺東大生だけど、噂の彼氏は入学生代表な上にマッチョだぞ。お前程度速攻返り討ちだわ」
「嘘乙」
「本人乙」
「東大にマッチョなんているわけねーだろwww」
「東大アメフト部に喧嘩売ってる?」
「今年の入学生代表ってこいつ?」
「スーツ越しにも伝わるマッチョ感」
「イケメンでワロタwww」
「東大生1位合格でイケメンでマッチョでルイルイとほっしーと二股とか勝ち組すぎてワロエナイ」
「素材は凡人。体格と髪型と服装で誤魔化してる雰囲気イケメン」
「少なくともお前の100倍はイケメン」
「鍛えられた首筋でワロタwww」
「これは細マッチョレベル。本物のマッチョには大胸筋の厚みが足りない」
「筋トレエアプ。本物のマッチョは広背筋に出るから」
「つーか本名出てんじゃん。東大に電凸待ったなし」
「電凸祭りキターーー!」
「おたくの学生がJ○と淫行しています! 即刻退学を求めます! でいいか?」
「ルイルイとほっしーをたぶらかしたウェーイ東大生を許すな! 退学するまで追い込め!」
「他人の不幸で飯がウマいwww」
「ニートの嫉妬見苦しい」
「新参か? 祭りは全力が基本」
「電凸してきたったwww」
「うはwww電話繋がらねえwwwお前ら電話かけすぎwww」
~~~
よもや俺の個人情報がネットに晒され、大学にまで苦情が殺到する事態にまで発展してしまったことを、俺は大学からの呼び出しによって知ることとなった―――
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