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2.計画実行と兄妹登場

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  サーシャさんの不調は、正直に言うと結構気になる。
  けど、僕は、それを周りに伝えることが出来ない。

  そうして、内心ビクビクしながらサーシャさんとナギの稽古を眺めていると、セルシェーダさんがお父さんとラスタリアさんの片腕をそれぞれ極めた状態で引き摺りながら、中庭へ歩いてきた。


  ラスタリアさんはまだ、意識が朦朧もうろうとしているのか譫言うわごとをこぼしている。
  お父さんの方は、寝ているところを無理矢理叩き起されたのか、ものすごく機嫌が悪く、不満をぶつけるようにわめき散らしている。

  この様子だけ見ていると、セルシェーダさんの方がお姉さんに見えるし、お父さんとラスタリアさんの方がよっぽど双子のように見える。

  そんな三人の様子に苦笑いをしていると、反対側、中庭の中心の方では、サーシャさんが何か少しだけ高い位置を見ては頭を抱えている。
  少し気になって、サーシャさんの視線を辿っていくと、二階の窓から中庭を見下ろし、満面の笑みを浮かべて写真を撮っている、二人の女性がいた。
  片方は、間違いなく僕のお母さんだ。

  でも、もう一人がどうしても分からない。
  
  というのも、相手が今日初めて城内で感知した気配の持ち主だったからだ。
  しかし、私的な時間でありながらお母さんと並んでいる、ということは、お母さんと仲の良い人だと思う。
  そして、中庭に接近出来るということは、かなり高い身分を持っている人なのだろう、と予想できる。

  容姿だけ見ると、お母さんの身内・・・・・・・・・では、ない気がする。
  どちらかというと、サーシャさんに近い。

  あれ、そういえば、サーシャさんって確か、お姉さんがいるんだっけ?
  もしかしたら、お母さんと一緒に居る人は、サーシャさんのお姉さんなのかもしれないなぁ。


  そう考えながらサーシャさんの方をもう一度見ると、小さな声で、

「姉上、何故ここにいるんですか。アスタヴァネル領からはかなり遠いですし、何の用事があれば王都まで来るようなことになるのですか?」


って、呟いている。
  やっぱり、お母さんと一緒に居る人は、サーシャさんのお姉さんなんだ。

  アスタヴァネル領に住んでいる?ってことは、サーシャさんのお姉さんは、アスタヴァネル公爵家に嫁いだのかな?

  アスタヴァネル公爵家領は、確かベイルマート王国南西部で南部と西部の火山に挟まれた所だったよね?
  それで、シーゼルン大公家領は南部のイルグリア半島の東側だったはず。

  っていうことは、アスタヴァネル公爵家とシーゼルン大公家はご近所さん?同士だった、って事なのかな?


  そういえば、お母さんの実家のあるトレイズ公爵家領から王都は、馬車で半日くらいの距離だったけど、サーシャさんの実家のあるシーゼルン大公家領やサーシャさんのお姉さんが嫁いだ先のアスタヴァネル公爵家領はどのくらい離れているんだろう?
  今度調べてみよう。
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