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最終章 ~華やかで煌びやかな地下の世界・元勇者の消滅編~
道場訓 八十六 勇者の誤った行動 ㉘
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長くて深い地下への階段を下りたあと、俺はそのままソドムたちの後をついていった。
その後、ある場所へと辿り着いた俺は大きく目を見開いた。
「ここは闘技場なのか?」
口に出しては見たものの、円形のリングを見る限りではそうとしか思えない。
しかも円形のリングの周囲には、奈落の底へと通じるような穴が空いている。
それだけではなかった。
左右の穴の上には鳥籠のような檻が吊り下げられ、その中には人間が入っていたのだ。
「そうだ。ここは一部の富裕層たちに人気の闇試合の闘技場さ」
闇試合。
聞き慣れない言葉だったが、表の闘技祭とは異質なことはすぐに分かった。
まず観客たちの熱狂振りが半端ではない。
今も円形のリングの上では二人の男が死闘を繰り広げているのだが、まるで自分たちも闘っていると思わせるぐらい観客たちも沸きに沸いているのだ。
中には周囲に大量の唾を飛ばしながら叫んでいるジジイや、顔を紅潮させながら自分の股間を弄っている女など普通の観戦の仕方ではなかった。
などと俺が異様に興奮している観客たちを観ていると、ソドムとゴモラは「おい、行くぞ」と冷静な顔で声をかけてくる。
「ここはあくまでも催し会場だ。俺たちには関係ない」
そう言うとソドムとゴモラは別の場所に向かって移動する。
まあ、俺もこんなところに用はねえからな。
俺は円形のリングから視線を外し、ソドムとゴモラのあとを追った。
やがて俺たちは奇妙な場所へと辿り着く。
そこはあまりにも異質な空間だった。
頑丈な石の壁で四方を覆われたその部屋には、非常に珍しい硝子張りの奇妙な筒が幾つも並んでいたのだ。
しかも硝子張りの奇妙な筒の中には、黄緑色の液体で満たされていて人間と動物が融合したような奇怪な生物が入っている。
現存している亜生物や魔物とはまるで違う。
まさに不気味としか言いようがない新生物の姿がそこにはあった。
「こいつらは実験体に使われた元人間だ」
俺の疑問を察したのだろう。
ソドムは新生物――もとい元人間たちを見つめながら呟いた。
「魔人の……新魔薬の実験に使ったってことか?」
「よかったな、元勇者さんよ。お前さんの適合率が低かったら、この実験ポッドの中にいる連中の仲間になるところだったんだからな」
そう答えたのはゴモラだ。
俺はゴクリと生唾を飲み込んだ。
その後、ある場所へと辿り着いた俺は大きく目を見開いた。
「ここは闘技場なのか?」
口に出しては見たものの、円形のリングを見る限りではそうとしか思えない。
しかも円形のリングの周囲には、奈落の底へと通じるような穴が空いている。
それだけではなかった。
左右の穴の上には鳥籠のような檻が吊り下げられ、その中には人間が入っていたのだ。
「そうだ。ここは一部の富裕層たちに人気の闇試合の闘技場さ」
闇試合。
聞き慣れない言葉だったが、表の闘技祭とは異質なことはすぐに分かった。
まず観客たちの熱狂振りが半端ではない。
今も円形のリングの上では二人の男が死闘を繰り広げているのだが、まるで自分たちも闘っていると思わせるぐらい観客たちも沸きに沸いているのだ。
中には周囲に大量の唾を飛ばしながら叫んでいるジジイや、顔を紅潮させながら自分の股間を弄っている女など普通の観戦の仕方ではなかった。
などと俺が異様に興奮している観客たちを観ていると、ソドムとゴモラは「おい、行くぞ」と冷静な顔で声をかけてくる。
「ここはあくまでも催し会場だ。俺たちには関係ない」
そう言うとソドムとゴモラは別の場所に向かって移動する。
まあ、俺もこんなところに用はねえからな。
俺は円形のリングから視線を外し、ソドムとゴモラのあとを追った。
やがて俺たちは奇妙な場所へと辿り着く。
そこはあまりにも異質な空間だった。
頑丈な石の壁で四方を覆われたその部屋には、非常に珍しい硝子張りの奇妙な筒が幾つも並んでいたのだ。
しかも硝子張りの奇妙な筒の中には、黄緑色の液体で満たされていて人間と動物が融合したような奇怪な生物が入っている。
現存している亜生物や魔物とはまるで違う。
まさに不気味としか言いようがない新生物の姿がそこにはあった。
「こいつらは実験体に使われた元人間だ」
俺の疑問を察したのだろう。
ソドムは新生物――もとい元人間たちを見つめながら呟いた。
「魔人の……新魔薬の実験に使ったってことか?」
「よかったな、元勇者さんよ。お前さんの適合率が低かったら、この実験ポッドの中にいる連中の仲間になるところだったんだからな」
そう答えたのはゴモラだ。
俺はゴクリと生唾を飲み込んだ。
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