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第20話 学内事件の核心
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「嫌な空だな」
憂鬱な灰色に染まりつつある空を見上げ、武琉は溜息を漏らすように呟いた。
午後12時11分。
左棟・校舎裏の駐輪場である。
無数の自転車が停められている駐輪場には自分を除いて誰1人いない。
多くの生徒たちは今頃、学生食堂や空中通路と呼ばれるラウンジで昼食を取っていることだろう。
現にこの駐輪場にくるまでに、学生食堂や空中通路に向かう多くの生徒たちと擦れ違った。
では、そんな生徒たちとは対照的に武琉は何をしているのか。
駐輪場で1人悲しく昼食を取る?
このまま裏門を掻い潜って早退する?
どれも違う。
武琉が人目を避けるように駐輪場にやってきたのは別の理由だった。
「さて」
武琉は視線を彷徨わせて周囲に人がいないことを再確認した。
幸いなことに駐輪場を通って早退する生徒は皆無のようだ。
それに駐輪場の端まで移動すると、校舎からも死角になって自分の姿はまったく見えない。
好都合である。
今から自分が行う行為は誰にも見られるわけにはいかなかった。
さっと周囲を見渡した後、武琉は上着の内ポケットから小さな箱を取り出した。
全体的に薄ビニール袋でパッケージングされている。
煙草の紙箱だった。
銘柄はラッキーセブン。
すでに開封されて中には包装された煙草が合計で四本入っている。
どこから見てもごく普通の煙草である。
紙箱自体も本物であり、銘柄も外国でしか入手できないような特殊な銘柄ではない。
未成年は当然ながら買えないが、成人ならばコンビニなどで簡単に手に入る代物だ。
紙箱の中から煙草を1本取り出すと、武琉は妙に慣れた手付きで口に咥えた。
そして紙箱の中に煙草と一緒に入っていた100円ライターで火を点ける。
「――――ごほっ、ごほっ!」
数秒後、武琉は咥えていた煙草を吐き捨てて大仰に咳き込んだ。
「まさかとは思ったがな……」
先端に火が残ったまま地面に落ちている煙草を見つめ、武琉は鼻腔の奥に漂ってくる匂いに表情を歪めた。
間違いなかった。
今吸った煙草は煙草ではない。
肺一杯に吸い込んだときの違和感は普通の煙草を吸ったときの比ではなかった。
煙草自体が持っているいがらみが少なく、どちらかと言えばやや甘めの味がする。
「煙草に似せたマリファナか」
マリファナ――いわゆる大麻は麻と呼ばれる植物の種子や葉を乾燥させて作り出す麻薬である。
栽培された環境や出来栄えにもよるが、使用すると幻覚症状や肉体的、または精神的な充足感を与えてくれる。
その他にも夢幻的な快楽や錯乱状態に陥る場合もあり、長く使用すると精神的な依存症に陥る場合もあるという。
武琉は何度も深呼吸を繰り返して肺に残っていた煙を排出すると、地面に落としたマリファナを拾い直した。
まさか、こんなところでマリファナにお目にかかるとは思わなかった。
沖縄にいた頃はアルバイト先であった米軍御用達のバーで一度だけ吸った覚えがある。
もちろん、友人たちと酒に酔った末に強引に吸わされただけだ。
そこはアメリカの軍人たちが多く訪れる店だったことで、簡単にマリファナが入手できる場所だったことも要因の1つだった。
ともかく、後にも先にもマリファナを吸ったのはそのとき一度だけ。
だが、そのときの味は今でも記憶に残っている。
またマリファナを吸い過ぎた結果、精神分裂症に似た中毒症状を発症させた友人たちの姿も何人か見ていた。
だからこそ、もう絶対にマリファナは吸わないと決意していた。
例えマリファナがソフトドラッグと呼ばれるほど中毒症状が覚醒剤やLSDなどよりも低く、医学的な見地から見て人体によい影響を与える薬になると分かってもだ。
どんなに大昔から良薬として活躍してきた植物だとしても、今の日本ではマリファナの服用は完全な違法なのだ。
煙草とは違って精神的に強い影響を身体に与えるマリファナはやはり服用しないに限る。
「どうやら色々と見えてきたな」
マリファナの効果は言わずもがな精神に強い影響を与える点だ。
恍惚状態に陥り夢幻の世界へトリップする。
中毒症状から立ち直った友人によるとトリップが成功したときは本当に天にも昇るような幸福感と浮遊感を得て、赤の他人であろうとも親しい友人のような親近感を覚えたのだという。
しかし、これは俗に言うグッドトリップと呼ばれるものであり、マリファナの効果が精神的によい方向に陥ったときの場合であった。
では、グッドとは反対にバッドの場合もあるのだろうか。
もちろんある。
それはバッドドラッグと呼ばれ、主に悲観的になったり記憶力や判断力が著しく低下していく。
他にも数分間の出来事が数年間の出来事のように錯覚し、喉の渇きや激しい動悸を伴うことも多いという。
また〝錯乱状態に陥ったり人が変わったように暴力的〟になったりもする。
武琉は煙草に似せたマリファナの先端を校舎の壁に擦りつけて消した。
証拠が残らないよう再び煙草の紙箱の中に仕舞い込み、校舎の壁にどっと背中を預ける。
この鷺乃宮学園に渦巻く一連の事件の真相が見えてきた。
ほぼ間違いなく、奇行を起こした生徒はマリファナを使用してバッドトリップに陥ったに違いない。
いや、もしかすると中にはグッドトリップの状態故に問題を起こした生徒もいたかもしれない。
どちらにせよ事件の原因は分かった。
生徒会へ上がってきた報告書には生徒たちの喫煙が何度か発覚しているとあったが、その生徒たちは煙草に似せたマリファナを喫煙している可能性が高い。
ならば一刻も早くその生徒たちを問い質し、真相究明に努めるのが生徒会に入会した人間の役目……と思うだろうが。
「さすがに一筋縄ではいかないだろうな」
今にも大粒の雨が降ってきそうな空を見上げ、武琉は苛立たしげに舌打ちする。
問題を起こした生徒はマリファナを使用したせいで奇妙な行動を取った。
これは分かってしまえば簡単に想像できる。
実際にマリファナを使用した際には同じような行動を取る場合が多いのだ。
ただ、この学園に渦巻く闇はそれだけではない。
武琉は手に持っている煙草の紙箱に視線を落とすと、開封口から中に納められているジョイントを見つめる。
マリファナが煙草に似せられて生徒たちが喫煙していることは間違いない。
だが、武琉が懸念していることは別にあった。
それはこのマリファナにはジョイント――刻んだ葉を巻いた白紙部分――の他にフィルターが存在しているところだ。
先ほど吸ったときも口触りなどは市販製のフィルターとほとんど大差がなかった。
おそらく、毎日喫煙している人間でもそう簡単に見分けられないほどだろう。
つまり――。
「このマリファナを製造したのは普通の高校生じゃないな」
そうである。
1本1本の包装が個人で楽しむ域を超えているのだ。
あまり考えたくはないが、この煙草に似せたマリファナを製造・販売しているのはおそらく……
そこまで思案したとき、武琉は自分に突き刺さる視線に気がついた。
ほぼ反射的に視線を感じる場所に顔を向ける。
「ィヤー(君)は」
視線を向けた先には1人の女子生徒が影のように佇んでいた。
背中まで伸ばされた長髪は黒曜石のように黒々と映え、無感情に見えながらも整った端正な顔立ちには不思議と吸い寄せられる魅力……いや、魔力があった。
瞠目したまま固まっている武琉に女子生徒――堀田花蓮は小さな箱を握っていた右手を差し出してきた。
その瞬間、武琉の脳がフラッシュバックを起こした。
そうだ。
あれは初めてこの綾園市にやってきた日の……
二の句を繋げない武琉に対して、花蓮は口を歪めて蟲惑的な笑みを浮かべる。
「あのときは受け取らなかったね。でも、今回はどうする?」
憂鬱な灰色に染まりつつある空を見上げ、武琉は溜息を漏らすように呟いた。
午後12時11分。
左棟・校舎裏の駐輪場である。
無数の自転車が停められている駐輪場には自分を除いて誰1人いない。
多くの生徒たちは今頃、学生食堂や空中通路と呼ばれるラウンジで昼食を取っていることだろう。
現にこの駐輪場にくるまでに、学生食堂や空中通路に向かう多くの生徒たちと擦れ違った。
では、そんな生徒たちとは対照的に武琉は何をしているのか。
駐輪場で1人悲しく昼食を取る?
このまま裏門を掻い潜って早退する?
どれも違う。
武琉が人目を避けるように駐輪場にやってきたのは別の理由だった。
「さて」
武琉は視線を彷徨わせて周囲に人がいないことを再確認した。
幸いなことに駐輪場を通って早退する生徒は皆無のようだ。
それに駐輪場の端まで移動すると、校舎からも死角になって自分の姿はまったく見えない。
好都合である。
今から自分が行う行為は誰にも見られるわけにはいかなかった。
さっと周囲を見渡した後、武琉は上着の内ポケットから小さな箱を取り出した。
全体的に薄ビニール袋でパッケージングされている。
煙草の紙箱だった。
銘柄はラッキーセブン。
すでに開封されて中には包装された煙草が合計で四本入っている。
どこから見てもごく普通の煙草である。
紙箱自体も本物であり、銘柄も外国でしか入手できないような特殊な銘柄ではない。
未成年は当然ながら買えないが、成人ならばコンビニなどで簡単に手に入る代物だ。
紙箱の中から煙草を1本取り出すと、武琉は妙に慣れた手付きで口に咥えた。
そして紙箱の中に煙草と一緒に入っていた100円ライターで火を点ける。
「――――ごほっ、ごほっ!」
数秒後、武琉は咥えていた煙草を吐き捨てて大仰に咳き込んだ。
「まさかとは思ったがな……」
先端に火が残ったまま地面に落ちている煙草を見つめ、武琉は鼻腔の奥に漂ってくる匂いに表情を歪めた。
間違いなかった。
今吸った煙草は煙草ではない。
肺一杯に吸い込んだときの違和感は普通の煙草を吸ったときの比ではなかった。
煙草自体が持っているいがらみが少なく、どちらかと言えばやや甘めの味がする。
「煙草に似せたマリファナか」
マリファナ――いわゆる大麻は麻と呼ばれる植物の種子や葉を乾燥させて作り出す麻薬である。
栽培された環境や出来栄えにもよるが、使用すると幻覚症状や肉体的、または精神的な充足感を与えてくれる。
その他にも夢幻的な快楽や錯乱状態に陥る場合もあり、長く使用すると精神的な依存症に陥る場合もあるという。
武琉は何度も深呼吸を繰り返して肺に残っていた煙を排出すると、地面に落としたマリファナを拾い直した。
まさか、こんなところでマリファナにお目にかかるとは思わなかった。
沖縄にいた頃はアルバイト先であった米軍御用達のバーで一度だけ吸った覚えがある。
もちろん、友人たちと酒に酔った末に強引に吸わされただけだ。
そこはアメリカの軍人たちが多く訪れる店だったことで、簡単にマリファナが入手できる場所だったことも要因の1つだった。
ともかく、後にも先にもマリファナを吸ったのはそのとき一度だけ。
だが、そのときの味は今でも記憶に残っている。
またマリファナを吸い過ぎた結果、精神分裂症に似た中毒症状を発症させた友人たちの姿も何人か見ていた。
だからこそ、もう絶対にマリファナは吸わないと決意していた。
例えマリファナがソフトドラッグと呼ばれるほど中毒症状が覚醒剤やLSDなどよりも低く、医学的な見地から見て人体によい影響を与える薬になると分かってもだ。
どんなに大昔から良薬として活躍してきた植物だとしても、今の日本ではマリファナの服用は完全な違法なのだ。
煙草とは違って精神的に強い影響を身体に与えるマリファナはやはり服用しないに限る。
「どうやら色々と見えてきたな」
マリファナの効果は言わずもがな精神に強い影響を与える点だ。
恍惚状態に陥り夢幻の世界へトリップする。
中毒症状から立ち直った友人によるとトリップが成功したときは本当に天にも昇るような幸福感と浮遊感を得て、赤の他人であろうとも親しい友人のような親近感を覚えたのだという。
しかし、これは俗に言うグッドトリップと呼ばれるものであり、マリファナの効果が精神的によい方向に陥ったときの場合であった。
では、グッドとは反対にバッドの場合もあるのだろうか。
もちろんある。
それはバッドドラッグと呼ばれ、主に悲観的になったり記憶力や判断力が著しく低下していく。
他にも数分間の出来事が数年間の出来事のように錯覚し、喉の渇きや激しい動悸を伴うことも多いという。
また〝錯乱状態に陥ったり人が変わったように暴力的〟になったりもする。
武琉は煙草に似せたマリファナの先端を校舎の壁に擦りつけて消した。
証拠が残らないよう再び煙草の紙箱の中に仕舞い込み、校舎の壁にどっと背中を預ける。
この鷺乃宮学園に渦巻く一連の事件の真相が見えてきた。
ほぼ間違いなく、奇行を起こした生徒はマリファナを使用してバッドトリップに陥ったに違いない。
いや、もしかすると中にはグッドトリップの状態故に問題を起こした生徒もいたかもしれない。
どちらにせよ事件の原因は分かった。
生徒会へ上がってきた報告書には生徒たちの喫煙が何度か発覚しているとあったが、その生徒たちは煙草に似せたマリファナを喫煙している可能性が高い。
ならば一刻も早くその生徒たちを問い質し、真相究明に努めるのが生徒会に入会した人間の役目……と思うだろうが。
「さすがに一筋縄ではいかないだろうな」
今にも大粒の雨が降ってきそうな空を見上げ、武琉は苛立たしげに舌打ちする。
問題を起こした生徒はマリファナを使用したせいで奇妙な行動を取った。
これは分かってしまえば簡単に想像できる。
実際にマリファナを使用した際には同じような行動を取る場合が多いのだ。
ただ、この学園に渦巻く闇はそれだけではない。
武琉は手に持っている煙草の紙箱に視線を落とすと、開封口から中に納められているジョイントを見つめる。
マリファナが煙草に似せられて生徒たちが喫煙していることは間違いない。
だが、武琉が懸念していることは別にあった。
それはこのマリファナにはジョイント――刻んだ葉を巻いた白紙部分――の他にフィルターが存在しているところだ。
先ほど吸ったときも口触りなどは市販製のフィルターとほとんど大差がなかった。
おそらく、毎日喫煙している人間でもそう簡単に見分けられないほどだろう。
つまり――。
「このマリファナを製造したのは普通の高校生じゃないな」
そうである。
1本1本の包装が個人で楽しむ域を超えているのだ。
あまり考えたくはないが、この煙草に似せたマリファナを製造・販売しているのはおそらく……
そこまで思案したとき、武琉は自分に突き刺さる視線に気がついた。
ほぼ反射的に視線を感じる場所に顔を向ける。
「ィヤー(君)は」
視線を向けた先には1人の女子生徒が影のように佇んでいた。
背中まで伸ばされた長髪は黒曜石のように黒々と映え、無感情に見えながらも整った端正な顔立ちには不思議と吸い寄せられる魅力……いや、魔力があった。
瞠目したまま固まっている武琉に女子生徒――堀田花蓮は小さな箱を握っていた右手を差し出してきた。
その瞬間、武琉の脳がフラッシュバックを起こした。
そうだ。
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