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「しばらく街には戻って来られないから、しっかり食べてね」
「は、はい」
街のレストランで昼食のポークソテーをナイフで切り分けて、フォークに刺して口に運ぶ。
厚みがあって噛みごたえのあるお肉を咀嚼しながら、この後のことを考えた。

ダンジョンに行き、攻略する。
言葉にすれば簡単だけど、魔物と戦うし、階段を探してダンジョン内を彷徨うことになるのだろう。

経験のないのことだからドキドキする。

逃げ出したくならないだろうかと思って、でもイーサンとグレンがいるから頑張ろうと思い直す。

何事もなく攻略出来るといいな。
ボスもあまり強くないといいな。

でも怖くなるから、あんまり考えないようにしよう。

そう決めて、ポークソテーに向き合いなおした。




「スバルは力が弱いから、素早さを上げて連撃を狙った方が良さそうだ。身体も小さいから、間合いにも気を付けなければいけないか」
「はあはぁはぁ……」

物凄く手加減してくれているであろうイーサンと打ち合いをして、自分の至らなさに盛大に凹んだ。

「俺、見込み、ありますか……?」
「それはまだわからないかな」

苦笑するイーサンに食いつきたいけど、疲労が凄くて、膝に両手を置きながら息を整えることが優先された。

「まあ、ゆっくりやろう。鍛錬は継続することが大事だからな」
「はい……」

日は落ちかけて、周囲をオレンジ色に染めている。
平原の片隅でテントを張って、明日から挑むダンジョンに向けて、今日はもうゆっくりするらしい。

グレンはテントの中で魔術書を読んでるみたいで、外には出てきていない。

イーサンの手合わせの前に、グレンの魔術講座も受けていた。

魔術は座学からで、実技はまだ。
だから、俺はちゃんと魔術が使えるかまだ分からない。

ダンジョンでは完全にお荷物になりそうだ。


早く二人の力になりたいのにそれはまだ先になりそうで、俺は無力感に苛まれた。
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