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「ノア様、男性型魔導人形のハロと申します。よろしくお願いいたします」
「う、うん。よろしくお願いします……」

金髪碧眼な二十代前半くらいの見た目の、ハロと名乗った目の前の人にしか見えない動く人形を見ながら、レーゼルの話を思い出した。

家のことは基本的にこのハロが受け持っているけれど、夜だけ料理人の男性が一人通ってきているらしい。その人はちゃんと人間だとか……。


僕はダルジェンの王都にあるレーゼルの家にやってきていた。
今日からここに住むことになる。
王都までの移動は魔法で一瞬だった。


レーゼルはハロとこのまあまあ大きな一軒家に住んでいるらしい。
魔導人形とはいえ、こんな広い家だと掃除だけで大変そうだ。

表情がほとんど変わらないハロは、口調も淡々としている。ハロがどうやって動いてるのか見当もつかない。
高度な魔法が使われているのだろう。
魔導人形というものを見たのも今日が初だ。

ハロは緻密な制御によって動いているので、危険なことはないとのことで。


ハロを創り出したレーゼルのことがますます分からなくなった。

「今日はノアは俺とゆっくりしよう。先の話になるが生活が落ち着いた頃、俺の両親に挨拶に行こうな」
「本当に僕と結婚するつもりなの?」
「そうでなければ、ここまでしない」
「それはそうだろうけど……レーゼルのご両親は僕なんかじゃ納得しないんじゃ? 伯爵夫妻なんでしょう?」

ミマフェルタ家はダルジェンの東側に広い領土を誇る裕福な伯爵家らしい。

「正直両親がどういう反応をするかは不明だが、結婚するのは俺だからな。反対されれば、家名を捨ててもいい」
「苦労すると思うけど……」
「……俺は特級魔法師だから、心配要らない。それに俺は三男だからか、そもそもそんなに期待されてなかったし、好きにすればいいくらいに思われてそうだが」
「でも僕は、罪人だよ……」
「ノアは真っ直ぐで潔いだけだ。少し思い込みが激しいところはあるけどな」
「だって僕は───」

主人公、だったはずなのだ。イベントは起きなかったし、攻略も上手くいかなかったし、挙句に今は運命の番に出会って絡め取られているけど。
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