欲しいのはただ君一人

hina

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僕は今、悶々としている。


もうすぐ夏休みが終わるけど、その前にもう一度湊さんに会おうと東京までやってきた。
今日の午前中は僕のリクエストで都内のプラネタリウムに行って、お昼は銀座でお寿司ランチをしたりした。ランチ価格で思ったより高くなくて安心したんだけど、僕がトイレに行ってる間に湊さんが会計を済ませていた。

その後原宿に移動して、湊さんが僕に黒いスニーカーをプレゼントしてくれた。
いっぱい履きたいな。

晩御飯はスペイン料理のレストランの個室で食べて、今日は泊まることになっていたので、湊さんのマンションにやってきた。

お風呂を済ませたあとはゆっくりして、あとは寝るだけになったんだけど……僕は無理を言って湊さんのベッドに入らせてもらった。
けどエッチな雰囲気にはならなくて、湊さんはもう既に眠ってしまっている。

寝惚けたのか、僕をきつく抱き締めながら……。

触れ合うならちゃんとしたかった。
中途半端はツラいです……。

濃く香る湊さんのフェロモンで頭がぼーっとするし、下半身は反応してしまってる。


起こすのも忍びなくて、結果、独りで悶えていた。

そ、素数を数えてみようかな……。


それから暫くしてなんとか落ち着いたものの、湊さんの腕の中に閉じ込められたまま、なかなか寝付けなかった。



「湊さん。この二日間、色々有難う御座いました」
「楽しかったよ、律くん」

東京駅の構内を歩きながら、僕は隣を行く湊さんの小指をそっと握った。
今日も湊さんは帽子とマスクで顔を隠している。
でも背が高いから、よく目立っていた。

昨日も今日もすれ違う女の子やオメガと思われる男子にチラチラ見られたりしていた。
湊さんだとはバレていなかったみたいだけど、下手したらスクープされてしまうかもしれない。

そんな中でデートしてくれたことは凄く嬉しかった。

「しばらく東京には来られないと思うので、ファンタジーワールドで会いましょうね」
「うん。待ち合わせて遊ぼう」
「はいっ。湊さん、僕、湊さんのことが……」
「律くん、チーズタルトは買って行かなくていい?」
「え、あ、はい……」
「そっか。お土産はもういいか」
そう言う湊さんは僕にお土産のお菓子まで買ってくれていた。
「はい。有難う御座います……」

好きって言いそびれてしまった僕は、すっきりしないまま帰ることになってしまった。
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