6 / 15
6
しおりを挟む
◇
〈湊さん、湊さん〉
〈ん?〉
〈ファンタジーワールドってVRゲーム知ってますか?〉
〈あー、うん。やった事はないけど、有名だね〉
〈一緒に始めてみませんか?〉
〈んー……そうだね?〉
〈なんではてなマーク?〉
僕はクスッと笑って小型端末をテーブルに置き、いちご牛乳を飲んだ。
それは湊さんが帰ってからしばらく経った日のこと。
湊さんのことは伏せてお客さんが運命の番で、今その人は東京にいると友達に言ったら、VRゲームを勧められたのだ。
まるでそこにいるみたいに感じられて、触った感触もあるって聞いたら、湊さんとやってみたくなるのは当然で。
湊さんは必要なものを揃えるからと言って、始めるのは明後日からになった。
◇
「こんなものかな」
「湊さん、本名で遊ぶんですか?」
「うん。律くんも?」
「ゲームを遊ぶと言うより、湊さんと会うという目的の方が重要なので」
「そっか。それにしても結構リアルだよな。びっくりした」
「湊さんの見た目は金髪碧眼にはなってますけど、顔の造形はそのままですね」
「律くんなんて更にそのまんまじゃないか」
「だって早く会いたかったし、めんどくさかったんです」
拗ねながら言ったら、湊さんが笑いながら頭をぽんぽんしてきた。
「湊さんってバレないかな?」
「寄せてると思われて終わりじゃないか?」
「そうだといいんですけど……」
「もしもの時は見た目を変えるよ」
「わかりました。あ、フレンド登録してパーティ組みましょう」
「うん」
冒険はあんまりしないかもしれないけど、機能を使うためにもフレンド登録は欠かせない。
その日は少しだけファーストタウンを歩いて、弱いモンスターがいる草原に出てみたりして、ゲームを終えた。
僕と同じで普段VRゲームをやらないと言う湊さんは、でも僕より上手にゲームを楽しんでいた。
食べ物を買ったり、自分のホームに家具を増やしたりするにはゲーム内通貨が必要なので、湊さんとの時間を充実させるためにちょっと頑張ろうと思ったりした。
〈湊さん、湊さん〉
〈ん?〉
〈ファンタジーワールドってVRゲーム知ってますか?〉
〈あー、うん。やった事はないけど、有名だね〉
〈一緒に始めてみませんか?〉
〈んー……そうだね?〉
〈なんではてなマーク?〉
僕はクスッと笑って小型端末をテーブルに置き、いちご牛乳を飲んだ。
それは湊さんが帰ってからしばらく経った日のこと。
湊さんのことは伏せてお客さんが運命の番で、今その人は東京にいると友達に言ったら、VRゲームを勧められたのだ。
まるでそこにいるみたいに感じられて、触った感触もあるって聞いたら、湊さんとやってみたくなるのは当然で。
湊さんは必要なものを揃えるからと言って、始めるのは明後日からになった。
◇
「こんなものかな」
「湊さん、本名で遊ぶんですか?」
「うん。律くんも?」
「ゲームを遊ぶと言うより、湊さんと会うという目的の方が重要なので」
「そっか。それにしても結構リアルだよな。びっくりした」
「湊さんの見た目は金髪碧眼にはなってますけど、顔の造形はそのままですね」
「律くんなんて更にそのまんまじゃないか」
「だって早く会いたかったし、めんどくさかったんです」
拗ねながら言ったら、湊さんが笑いながら頭をぽんぽんしてきた。
「湊さんってバレないかな?」
「寄せてると思われて終わりじゃないか?」
「そうだといいんですけど……」
「もしもの時は見た目を変えるよ」
「わかりました。あ、フレンド登録してパーティ組みましょう」
「うん」
冒険はあんまりしないかもしれないけど、機能を使うためにもフレンド登録は欠かせない。
その日は少しだけファーストタウンを歩いて、弱いモンスターがいる草原に出てみたりして、ゲームを終えた。
僕と同じで普段VRゲームをやらないと言う湊さんは、でも僕より上手にゲームを楽しんでいた。
食べ物を買ったり、自分のホームに家具を増やしたりするにはゲーム内通貨が必要なので、湊さんとの時間を充実させるためにちょっと頑張ろうと思ったりした。
35
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。
悪役令嬢と同じ名前だけど、僕は男です。
みあき
BL
名前はティータイムがテーマ。主人公と婚約者の王子がいちゃいちゃする話。
男女共に子どもを産める世界です。容姿についての描写は敢えてしていません。
メインカプが男性同士のためBLジャンルに設定していますが、周辺は異性のカプも多いです。
奇数話が主人公視点、偶数話が婚約者の王子視点です。
pixivでは既に最終回まで投稿しています。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
悩める文官のひとりごと
きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。
そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。
エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。
ムーンライト様にも掲載しております。
王道学園なのに、王道じゃない!!
主食は、blです。
BL
今作品の主人公、レイは6歳の時に自身の前世が、陰キャの腐男子だったことを思い出す。
レイは、自身のいる世界が前世、ハマりにハマっていた『転校生は愛され優等生.ᐟ.ᐟ』の世界だと気付き、腐男子として、美形×転校生のBのLを見て楽しもうと思っていたが…
またのご利用をお待ちしています。
あらき奏多
BL
職場の同僚にすすめられた、とあるマッサージ店。
緊張しつつもゴッドハンドで全身とろとろに癒され、初めての感覚に下半身が誤作動してしまい……?!
・マッサージ師×客
・年下敬語攻め
・男前土木作業員受け
・ノリ軽め
※年齢順イメージ
九重≒達也>坂田(店長)≫四ノ宮
【登場人物】
▼坂田 祐介(さかた ゆうすけ) 攻
・マッサージ店の店長
・爽やかイケメン
・優しくて低めのセクシーボイス
・良識はある人
▼杉村 達也(すぎむら たつや) 受
・土木作業員
・敏感体質
・快楽に流されやすい。すぐ喘ぐ
・性格も見た目も男前
【登場人物(第二弾の人たち)】
▼四ノ宮 葵(しのみや あおい) 攻
・マッサージ店の施術者のひとり。
・店では年齢は下から二番目。経歴は店長の次に長い。敏腕。
・顔と名前だけ中性的。愛想は人並み。
・自覚済隠れS。仕事とプライベートは区別してる。はずだった。
▼九重 柚葉(ここのえ ゆずは) 受
・愛称『ココ』『ココさん』『ココちゃん』
・名前だけ可愛い。性格は可愛くない。見た目も別に可愛くない。
・理性が強め。隠れコミュ障。
・無自覚ドM。乱れるときは乱れる
作品はすべて個人サイト(http://lyze.jp/nyanko03/)からの転載です。
徐々に移動していきたいと思いますが、作品数は個人サイトが一番多いです。
よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる