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第14章 Sin fin
第420話 家族旅行2
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同時刻だが、遠すぎるのでイスラでは昼頃だ。
立ち入り禁止のフロルの部屋の鍵を開けて出てきたのは、初代女王と、魔剣王と、”大魔法使い”と三人の料理人だった。
二人は時間短縮の為、そのまま国王や重臣が待機しているであろう会議室に向かうが、エルヴィーノは部外者を理由に街に散策に出ると言い出した。
「何を言い出すんだ親父殿」
「そうよ、お姉さま方が来るのは貴方のせいよ」
「ええっ俺が悪いのかよ」
「当り前じゃない」
「まぁ、母上の考えは解らんが俺としても居てもらわないと困る」
「「「・・・」」」
料理人たちは無言だった。
会議室に入ると総出で迎え入れられる。
「「「初代様!!」」」
「「「魔剣王様!!」」」
「我が主様」
取り囲まれたがボノスが仕切ってくれた。
「わずかな期間だったが皆も元気そうで何よりだ。早速だがお前たちに提案したい議題が二つあるからさっそく始めようか」
まずはフロルの問題からだ。
大魔法使いの妻たちが順番に自国を訪れて観光しに来る件だ。
聞いていた家臣全員が、それのどこに問題が有るのか分からなかった。
フロルとボノスが思い出す限り丁寧に、順序だてて、国、文化、街、料理を説明した。
しかも家臣の予定していた数倍の時間を要してだ。
だが、二人の熱弁が伝わったようだが、料理に関しては無駄だった。
料理だけは言葉では無く、五感で体験しないと理解できないとエルヴィーノから聞かされていた通りだった。
そこで、急遽王宮で出す祝宴料理を作らせることにしたのだ。
ゲレミオの料理人にも理解してもらうには見て食べる事が一番だと判断したフロルだ。
料理が出来るまでは、食事以外の街中の整備の検討を優先させた。
地図を広げ具体的に指示を出すフロルとボノス。
重要なのは清潔で綺麗な街並みだ。
与えられた期間は10日間だが、とても10日では終わりそうも無いような内容だった。
勿論、想定外を予想しての急がせるための10日だ。
また観光する場所は街の外で海辺の海岸くらいしか無いので頭を捻らせる。
「美観と工事は直ぐに取り掛かって頂戴」
「はっ!!」
胸の不安を解消する言葉を一気に吐き出してホッとするフロル。
次はボノスの番だ。
「では皆の者、特にガルダよ、これから話す事を良く聞いてくれ」
ほぼ全員がゴクリと息を呑んだ。
「我が国にいずれ龍騎士を配置する事を、我が偉大なる黒龍王から許しを得た」
「「「おおおおっ!!」」」
「「「ええええっ!!」」」
驚き方は違えども、どちらも歓喜している様だった。
「本当ですか我が主よ」
「まずは試験的にだがな」
「本当におっちゃん、あっ、黒龍王様・・・」
「ふっ、おっちゃんで良いぞガルダ」
「申し訳ありません、良く言い聞かせたのですが・・・」
「良い、今後ガルダが俺の事をおっちゃんと言う事を許す」
「ありがとう、おっちゃん」
ボノスはバリアンテで見聞きした龍の飼育内容を説明し、自国で必要な設備を建築する場所を選んでいた所に、料理が出来たとの知らせがあった。
ゲレミオの料理人たちは、初めて食べる異国の料理に意見を交わしながら食べている。
「ねえ、あなたはこの料理どう思う?」
「美味しいよ」
「本当にぃ!?」
「ああ、お腹すいてるし」
「そんなの、何食べたっておいしいわよ!!」
どうやら余計な事を言ってフロルを怒らせたらしい。
「皆さん、どうでしょうか我が国の料理は?」
「そんなに悲観する事は無いと思いますよ」
「そうですかぁ? 他の国と比べると豪華さが無いと言うか、どれも同じ味というか・・・」
「解りました。フロル様のご要望に沿う料理を現地の食材を使って我々が料理しましょう」
「ありがとうございます。出来れば評判の良い料理を王宮の料理人に教えて欲しいのですが・・・」
「解りました。ただし、フロル様から宮廷料理人に命令が必要ですよ。私たちから学び盗めと」
「解りました、そのように伝えます」
(料理人の自尊心ね。そんなモノより私の見栄に決まってるでしょ!!)
会議の後、アポストルに諭されるガルダが居た。
「国王様は何故黒龍王様がおっちゃんと呼ぶ事を許されたか分かりますか?」
首を横に振るガルダ。
「それは貴方様が子供だからです」
「ええっでも俺国王だし・・・」
「ですが子供だと思われています。だから許されたのですよ。貴方様が国王として自覚が有れば、ご先祖様の事を黒龍王様とお呼びするのが国王としての接し方です」
「自覚・・・」
「貴方様は早くその考えをお持ちになった方が良いです。そうでないと成人する前にワシらが今以上の何倍も厳しい躾けをしますので、ご容赦ください」
「・・・解ったよ」
ガルダが少しずつ国王への階段を登っていた。
☆
異国料理と融合か
立ち入り禁止のフロルの部屋の鍵を開けて出てきたのは、初代女王と、魔剣王と、”大魔法使い”と三人の料理人だった。
二人は時間短縮の為、そのまま国王や重臣が待機しているであろう会議室に向かうが、エルヴィーノは部外者を理由に街に散策に出ると言い出した。
「何を言い出すんだ親父殿」
「そうよ、お姉さま方が来るのは貴方のせいよ」
「ええっ俺が悪いのかよ」
「当り前じゃない」
「まぁ、母上の考えは解らんが俺としても居てもらわないと困る」
「「「・・・」」」
料理人たちは無言だった。
会議室に入ると総出で迎え入れられる。
「「「初代様!!」」」
「「「魔剣王様!!」」」
「我が主様」
取り囲まれたがボノスが仕切ってくれた。
「わずかな期間だったが皆も元気そうで何よりだ。早速だがお前たちに提案したい議題が二つあるからさっそく始めようか」
まずはフロルの問題からだ。
大魔法使いの妻たちが順番に自国を訪れて観光しに来る件だ。
聞いていた家臣全員が、それのどこに問題が有るのか分からなかった。
フロルとボノスが思い出す限り丁寧に、順序だてて、国、文化、街、料理を説明した。
しかも家臣の予定していた数倍の時間を要してだ。
だが、二人の熱弁が伝わったようだが、料理に関しては無駄だった。
料理だけは言葉では無く、五感で体験しないと理解できないとエルヴィーノから聞かされていた通りだった。
そこで、急遽王宮で出す祝宴料理を作らせることにしたのだ。
ゲレミオの料理人にも理解してもらうには見て食べる事が一番だと判断したフロルだ。
料理が出来るまでは、食事以外の街中の整備の検討を優先させた。
地図を広げ具体的に指示を出すフロルとボノス。
重要なのは清潔で綺麗な街並みだ。
与えられた期間は10日間だが、とても10日では終わりそうも無いような内容だった。
勿論、想定外を予想しての急がせるための10日だ。
また観光する場所は街の外で海辺の海岸くらいしか無いので頭を捻らせる。
「美観と工事は直ぐに取り掛かって頂戴」
「はっ!!」
胸の不安を解消する言葉を一気に吐き出してホッとするフロル。
次はボノスの番だ。
「では皆の者、特にガルダよ、これから話す事を良く聞いてくれ」
ほぼ全員がゴクリと息を呑んだ。
「我が国にいずれ龍騎士を配置する事を、我が偉大なる黒龍王から許しを得た」
「「「おおおおっ!!」」」
「「「ええええっ!!」」」
驚き方は違えども、どちらも歓喜している様だった。
「本当ですか我が主よ」
「まずは試験的にだがな」
「本当におっちゃん、あっ、黒龍王様・・・」
「ふっ、おっちゃんで良いぞガルダ」
「申し訳ありません、良く言い聞かせたのですが・・・」
「良い、今後ガルダが俺の事をおっちゃんと言う事を許す」
「ありがとう、おっちゃん」
ボノスはバリアンテで見聞きした龍の飼育内容を説明し、自国で必要な設備を建築する場所を選んでいた所に、料理が出来たとの知らせがあった。
ゲレミオの料理人たちは、初めて食べる異国の料理に意見を交わしながら食べている。
「ねえ、あなたはこの料理どう思う?」
「美味しいよ」
「本当にぃ!?」
「ああ、お腹すいてるし」
「そんなの、何食べたっておいしいわよ!!」
どうやら余計な事を言ってフロルを怒らせたらしい。
「皆さん、どうでしょうか我が国の料理は?」
「そんなに悲観する事は無いと思いますよ」
「そうですかぁ? 他の国と比べると豪華さが無いと言うか、どれも同じ味というか・・・」
「解りました。フロル様のご要望に沿う料理を現地の食材を使って我々が料理しましょう」
「ありがとうございます。出来れば評判の良い料理を王宮の料理人に教えて欲しいのですが・・・」
「解りました。ただし、フロル様から宮廷料理人に命令が必要ですよ。私たちから学び盗めと」
「解りました、そのように伝えます」
(料理人の自尊心ね。そんなモノより私の見栄に決まってるでしょ!!)
会議の後、アポストルに諭されるガルダが居た。
「国王様は何故黒龍王様がおっちゃんと呼ぶ事を許されたか分かりますか?」
首を横に振るガルダ。
「それは貴方様が子供だからです」
「ええっでも俺国王だし・・・」
「ですが子供だと思われています。だから許されたのですよ。貴方様が国王として自覚が有れば、ご先祖様の事を黒龍王様とお呼びするのが国王としての接し方です」
「自覚・・・」
「貴方様は早くその考えをお持ちになった方が良いです。そうでないと成人する前にワシらが今以上の何倍も厳しい躾けをしますので、ご容赦ください」
「・・・解ったよ」
ガルダが少しずつ国王への階段を登っていた。
☆
異国料理と融合か
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