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第13章 建国

第386話 その男の名は4

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「貴女も座りなさい」
そう言って先ほどまで腰かけていた長椅子に二人で座る。

「それで、ファルソの何を言いたいのかしら?」
トフィは説明した。
自分たちが愛し合っている事。
身分を捨ても別れない事。
この時点で、頭を抱えるロリだ。
そして妊娠の可能性が有り、二人の子を成す事。
更に自分達親子の後ろ盾になって欲しい事だ。

「はぁ!? ちょっと待ってファルソと子供を作ったのぉ?」
「・・・はい」
美しい女性が恥じらうように告白する姿を見て、経緯を想像するロリだ。

そもそもファルソはフォーレが変化していることを知っているのは数人しかいない。
そのファルソがトフィを妊娠させるとしたら・・・
(浮気したのね、フォーレ・・・)

一気に激高するサンクタ・フェミナだ。
「国王のところに行きます。貴女も付いていらっしゃい!!」

激高したサンクタ・フェミナは何度か見た事が有る付き添いの聖女たちだ。
その多くが国王か前国王が原因だ。
そして現れた美しい女性。
激怒の妻。
向かう先は夫の居る場所。
聖女たちは勝手な妄想をして、この後の戦いに参戦しなければならない事を覚悟した。
何故ならば聖女だからだ。
常に女性の味方であり、サンクタ・フェミナの命令は絶対なのだ。


「国王陛下はこちらで会議中です」
サンクタ・フェミナの質問に答えたのは衛兵だ。
バンッと扉を開けて大きな声で叫ぶ女性に全員の視線が集まった。

「あなたっ!! 大事な話が有りますの、ちょっと良いかしら!?」
国政の会議中に現れて代表者を連れて行こうとする女。
時と場所が違えば大問題なのだが・・・
「いや、今は会議中だし・・・」
「そんなのはこの人たちにやらせれば良いでしょう!!」
「恐れながらサンクタ・フェミナ様、国政の大事なので終わり次第・・・」
「はぁ? この程度の問題なんてあなた達が寝ずにやりなさい。いいわね、明日の朝一番に申し出るようにっ!! さぁあなた、行きますわよ」

嵐のように去っていった後には一人の聖女が残っていた。
「皆様、申し訳ありません。只今サンクタ・フェミナ様は大変お怒りのご様子で、明日になれば落ち着くかと思われますので、ご配慮くださいませ」
「「「「・・・」」」」
確認の返事も聞かず、部屋を去る聖女だ。

残った者達は口をそろえて呟いた。
「「「王国は今日も平和だぁ」」」


一行は国王の執務室で話す事になった。
トフィからもう一度説明しろとロリが指示して黙って聞いていた一同だ。

話の内容でロリとは違う解釈をした国王だ。
「いくつか確認したいことが有る。ファルソと子作りをしたのだな?」
真っ赤な顔でうなづくトフィ。
「あなた・・・」
ロリの手を握り黙らせた。

「トフィ、これは大事な事だからもう一度聞く。姿はファルソだな?」
「はい」
「そしてファルソの男を受け入れたのだな?」
「・・・はい」
「ではほかに聞いている事は有るか? 何か固有名称とか」
「特にありません。ファルソが城に勤めているくらいしか教えてくれなかったし、今日初めて城の方たちに師匠と呼ばれていることを知りました。私はファルソがどのような存在でもファルソだけを愛する事を誓います」
すると国王の脇に肘鉄が入った。
「いてっ」

「貴女の気持ちは理解しました。でもね、ファルソは本当に特別な存在なの。そして貴女にその事を教える事は出来ないわ」
「構いません。お二方に認めて頂けるだけで満足です」
(浮気を認めろって言う訳ね。まぁフォーレには色々貸しも有るし、それにこの子も使い道が有るかもしれないわ)
「良いでしょう」
パァッと笑顔になるトフィ。
「おまっ」
「あなたは黙ってて」
(また勝手に決めやがって、知らねぇからな)

「ただし、条件が有ります。ファルソはわたくしと陛下と、わたくしの両親から特別な仕事を依頼しています。その内容は例え貴女にも教える事は出来ません」
(流石に魔族が関わっているなんて駄目よねぇ)
(凄いわ、王族に絶大な信頼を受けているなんて。あぁぁ私のファルソォォ)

「あなた、これで良いかしら?」
「俺から言う事はいくつかある。まず、お前たちの婚姻は認めない」
「ええぇぇっ、一体どうしてでしょうか陛下!?」
「理由は聞くな。ただし子供は認めよう。お前の家の子として好きなだけ産むが良い」
「はい!!」
「そして密命で国を離れる事が有るが、詮索しない事」
「・・・はい」
「いいか、詮索しない事だ。お前の追及が仕事の負担となり、失敗するかもしれん。そうなるとどうなるか解るか?」
首を横に振るトフィ。
「命を落とし二度と会う事は出来なくなる」
「絶対にしません!!」
「解ってくれたか」
「はい」
 (ああぁぁ、ロリ達もこのくらい素直だったら楽なのになぁ)
心のつぶやきを察知したのかロリに睨まれてしまった。

「うむ、ではこの場での事をファルソに話すが良い」
「えぇっ、よろしいのですか?」
「説明は任せる。どうせファルソが聞きに来るからな」
「仰せの通りに致します」

トフィは満足して王城を出て行った。
残っていた国王と王妃は有る事が気になった。
気になるのは、あの獣人だ。

「グラナダがファルソを知っているかって?」
「そうよ、フォーレの奥さんでしょ」
「勿論知っているさ。乳を揉み返されたって言ってたからな」
「ふぅぅん、ねぇあなたも女に変化してみてよ」
「はぁ、やだよ」
「良いじゃない、減るもんじゃないし」
「いやだぁぁ!!」

後日フォーレから丁寧な礼をもらい、”ほどほどにな”と不問にした。
苦笑いのフォーレはどれだけの借りを返せは良いのか、しばらくは大人しくなるようだ。






あの男の知らない所で沢山の貸しを作りました。
ファルソの事をこれからは百合使いと呼ぼうか、それとも百合切り? それとも三刀流?
魔法使いの天才と言うよりもエロの天才か!
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