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第13章 建国
第384話 その男の名は2
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ちょっと、からかってやろう。
と、安易な興味本位にファルソに変化して近づくフォーレ。
報告書を見れば、どこの店を利用しているのか察しがつくので先回りして待つことにした。
“いつものように”違う女子と食事を済ませ帰ろうとする獲物。
しかし既にフォーレの罠に掛かっていた。
トフィと女子は向かい合って食事している。
女子の向こう側の席でトフィに向かい1人でゆっくりと食事をしているファルソ。
最初は不思議に思ったトフィだが、自分たちの食事が終えても現れない連れを待つ女子を男に振られたと、勝手に妄想して決めつけた百合姉だ。
そうなればトフィの思考は早かった。
早めに店を出て、”大事な用が有るから急いで屋敷に戻らなければならないの”と、さっきまで一緒に食事をしていた連れと別れて先ほどの店に駆け込んだ。
(なかなか、うまくいかないか。食事中はこっちをチラチラ見ていたと思ったけど、流石に他の子が居たんじゃ仕方ないよなぁ)
そう思い、今夜は失敗したと思っていたその時。
入口から急ぎ足で近づく女性に気づいたファルソ。
「よろしければご一緒しても良いかしら?」
「えっ!?」
ファルソは二つの事に驚いた。
一つは、さっきまで居た女子を返して迎えに来てくれた事。
一つは、自分と同様にスケベな思想を持つ女だと言う事。
(女とデート中に違う女に声をかける奴が居るかぁぁ!!)
心の声を大にするフォーレは即座に撤回した。
(あ、俺だぁぁ)
目の前に腰かけるトフィは美しかった。
トフィはファルソの事を何も知らない。
フォーレはトフィの事をほぼ把握している。
聖魔法王国アルモニアのデキストリン公爵の次女でトフィ・デキストリンと言う。
魔素が少ないので聖女の選考にも選ばれなかった彼女は容姿端麗で明るく、武芸に秀でている為、幼いころから同性に人気があった。
いくら腕が立つとはいえ、聖騎士にも魔素が必要なので実家からは女を磨く事を強いられていた。
実際には聖騎士と同じ魔法は使えるが、戦争を想定するならば”使えない”のだ。
単発や一時的な魔法の発動ではなく、長期間の戦闘には従事出来ないからだ。
そんな鬱憤が自分を慕う女子達をはけ口にすることは容易かった。
気づいた時には複数の美少女をはべらす麗人に変わっていたのだ。
そんなトフィは男装などしない。
実家の名も有り、女性らしい髪は長く、着飾った衣装を纏い、優雅に振る舞うのだ。
そんなトフィが、出会って間もないファルソを口説きだした。
自分でも褒めたいほど良くできた”エサ”に、すぐさま飛びついた”獲物”だからだ。
「もし良かったら明日食事しない?」
ファルソには不快感は無かった。
過去、幾度となくムキムキの男たちに言い寄られ吐き気をもよおしていた時と比べれば、目の前の美人に食事に誘われるなんて、フォーレの生涯で一度も無かったことだから。
「私でいいの?」
「もちろんよ」
「でもぉ、会ったばかりだし・・・」
「君と出会う事が運命だったのよ」
にっこりとほほ笑むトフィ。
(うわっ、まだそんな事言う奴が居たなんて・・・でも、美人が言うと違うよなぁ)
「じゃ明日のお昼に噴水広場で待ち合わせましょう」
「解ったわ、君との初デートね。思い出に残るものにするわ」
そして”健全な逢引き”を重ねて親密度が上がっていく二人だった。
「ねぇファルソォ。そろそろ私を受け入れてくれても良くないかしらぁ」
受け入れるとは、一晩を共にする事だ。
「ダメよ、お城に戻らなきゃ」
「どうしてなのぉ、貴女はいつも城に戻りたがるのね」
「貴女は私の体が目当てなんでしょ!?」
「違うわ」
「違わないわ、知ってるから。貴女が手を付けてきた女の子たちがどれだけ悲しい思いをしてきたのか・・・」
「それは・・・今はファルソ、貴女だけよ」
「そんなに私が欲しいの?」
「ええ、貴女以外の女の子はいらないわ」
「嘘よ」
「本当よ」
「・・・解ったわ」
「じゃぁ」
「待って。明日、大事な話をしたいの。その話をしてからにしましょう」
「明日? どうして今じゃダメなの?」
「どうしてもよ」
明日にした事に意味は無い。
今までトフィの欲求を散々焦らしてきたのだから。
焦らして待たせてトフィの性欲が最大にすることがフォーレの罠なのだ。
翌日、トフィに連れ込まれた宿屋の一室でファルソが問いただす。
「トフィ、貴女は私をどうしたいの?」
「貴女の全てが欲しいの」
「私の何を知っているというの?」
「貴女の事は、ほとんど教えてくれないじゃない。でも貴女の性格は良く知っているわ」
「貴女には私を受け入れる覚悟が有るの?」
「勿論よ。一生貴女だけを愛する事を誓うわ」
「嘘よ。本当の私を知ったら逃げるに決まっているわ」
「絶対に逃げない。全て受け止めてあげるわ!!」
「嘘よ・・・」
「本当よ」
「・・・本当に」
「ええ貴女だけを愛しているわ」
ゆっくりと二人の唇が重なり舌を絡ませた。
「じゃ見て」
☆
みたいみたいみたい!!!
と、安易な興味本位にファルソに変化して近づくフォーレ。
報告書を見れば、どこの店を利用しているのか察しがつくので先回りして待つことにした。
“いつものように”違う女子と食事を済ませ帰ろうとする獲物。
しかし既にフォーレの罠に掛かっていた。
トフィと女子は向かい合って食事している。
女子の向こう側の席でトフィに向かい1人でゆっくりと食事をしているファルソ。
最初は不思議に思ったトフィだが、自分たちの食事が終えても現れない連れを待つ女子を男に振られたと、勝手に妄想して決めつけた百合姉だ。
そうなればトフィの思考は早かった。
早めに店を出て、”大事な用が有るから急いで屋敷に戻らなければならないの”と、さっきまで一緒に食事をしていた連れと別れて先ほどの店に駆け込んだ。
(なかなか、うまくいかないか。食事中はこっちをチラチラ見ていたと思ったけど、流石に他の子が居たんじゃ仕方ないよなぁ)
そう思い、今夜は失敗したと思っていたその時。
入口から急ぎ足で近づく女性に気づいたファルソ。
「よろしければご一緒しても良いかしら?」
「えっ!?」
ファルソは二つの事に驚いた。
一つは、さっきまで居た女子を返して迎えに来てくれた事。
一つは、自分と同様にスケベな思想を持つ女だと言う事。
(女とデート中に違う女に声をかける奴が居るかぁぁ!!)
心の声を大にするフォーレは即座に撤回した。
(あ、俺だぁぁ)
目の前に腰かけるトフィは美しかった。
トフィはファルソの事を何も知らない。
フォーレはトフィの事をほぼ把握している。
聖魔法王国アルモニアのデキストリン公爵の次女でトフィ・デキストリンと言う。
魔素が少ないので聖女の選考にも選ばれなかった彼女は容姿端麗で明るく、武芸に秀でている為、幼いころから同性に人気があった。
いくら腕が立つとはいえ、聖騎士にも魔素が必要なので実家からは女を磨く事を強いられていた。
実際には聖騎士と同じ魔法は使えるが、戦争を想定するならば”使えない”のだ。
単発や一時的な魔法の発動ではなく、長期間の戦闘には従事出来ないからだ。
そんな鬱憤が自分を慕う女子達をはけ口にすることは容易かった。
気づいた時には複数の美少女をはべらす麗人に変わっていたのだ。
そんなトフィは男装などしない。
実家の名も有り、女性らしい髪は長く、着飾った衣装を纏い、優雅に振る舞うのだ。
そんなトフィが、出会って間もないファルソを口説きだした。
自分でも褒めたいほど良くできた”エサ”に、すぐさま飛びついた”獲物”だからだ。
「もし良かったら明日食事しない?」
ファルソには不快感は無かった。
過去、幾度となくムキムキの男たちに言い寄られ吐き気をもよおしていた時と比べれば、目の前の美人に食事に誘われるなんて、フォーレの生涯で一度も無かったことだから。
「私でいいの?」
「もちろんよ」
「でもぉ、会ったばかりだし・・・」
「君と出会う事が運命だったのよ」
にっこりとほほ笑むトフィ。
(うわっ、まだそんな事言う奴が居たなんて・・・でも、美人が言うと違うよなぁ)
「じゃ明日のお昼に噴水広場で待ち合わせましょう」
「解ったわ、君との初デートね。思い出に残るものにするわ」
そして”健全な逢引き”を重ねて親密度が上がっていく二人だった。
「ねぇファルソォ。そろそろ私を受け入れてくれても良くないかしらぁ」
受け入れるとは、一晩を共にする事だ。
「ダメよ、お城に戻らなきゃ」
「どうしてなのぉ、貴女はいつも城に戻りたがるのね」
「貴女は私の体が目当てなんでしょ!?」
「違うわ」
「違わないわ、知ってるから。貴女が手を付けてきた女の子たちがどれだけ悲しい思いをしてきたのか・・・」
「それは・・・今はファルソ、貴女だけよ」
「そんなに私が欲しいの?」
「ええ、貴女以外の女の子はいらないわ」
「嘘よ」
「本当よ」
「・・・解ったわ」
「じゃぁ」
「待って。明日、大事な話をしたいの。その話をしてからにしましょう」
「明日? どうして今じゃダメなの?」
「どうしてもよ」
明日にした事に意味は無い。
今までトフィの欲求を散々焦らしてきたのだから。
焦らして待たせてトフィの性欲が最大にすることがフォーレの罠なのだ。
翌日、トフィに連れ込まれた宿屋の一室でファルソが問いただす。
「トフィ、貴女は私をどうしたいの?」
「貴女の全てが欲しいの」
「私の何を知っているというの?」
「貴女の事は、ほとんど教えてくれないじゃない。でも貴女の性格は良く知っているわ」
「貴女には私を受け入れる覚悟が有るの?」
「勿論よ。一生貴女だけを愛する事を誓うわ」
「嘘よ。本当の私を知ったら逃げるに決まっているわ」
「絶対に逃げない。全て受け止めてあげるわ!!」
「嘘よ・・・」
「本当よ」
「・・・本当に」
「ええ貴女だけを愛しているわ」
ゆっくりと二人の唇が重なり舌を絡ませた。
「じゃ見て」
☆
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