上 下
380 / 430
第13章 建国

第379話 お見合い?

しおりを挟む
悶々と考えていると更なる難問を投げかけられた。

「あと私の親衛隊だけど、結婚相手を探してほしいの」
「・・・ああ。ええっ!? 何で俺がぁ!?」
「あなたの国に嫁ぐのよぉ、あなたが考えてよぉ」
「自国だって近いし転移して探せばいいだろう。それに、あいつら角無しは嫌いだろ?」
「それがねぇ・・・トゥルボが生まれて、あの子たちの考えが変わってきたようなの」

女心の何がどう変わったのか理解できないエルヴィーノだ。
「ど、どう変わったんだ?」
「自分たちの相手も角無しでも構わないと。むしろダークエルフを紹介して欲しいと言ってるのよ」
「・・・」

自分たちの主の行動を真似たがるのだろうが、都合よく男が十人もいるのか疑問だった。
同朋のダークエルフに人数は把握しているが、既婚未婚や関係性までは知らないからだ。
戻り次第アルコンに相談する事をシーラに告げた。

これは後から執拗に問いただしたシーラがエマスコで教えてくれたが、既に成人となった自分たち親衛隊が身ごもりトゥルボの嫁を生む計画らしい。
ダークエルフのトゥルボには同じくダークエルフの嫁が望ましいと忠義の上に成り立っている妄想だ。


エルヴィーノは一旦”自城”に戻り家族に説明した。

「あらシーラちゃんと赤ちゃんの部屋は用意してあるわよ」
以外にもリーゼロッテからの返事だった。
「あなたの話を聞いて勝手に用意したけど駄目だった?」
妊娠中の妻に反する愚行はしないのだ。
「ありがとうメルヴィ、助かるよ。ただシーラ親衛隊の十人も一緒に移住するらしいんだ」

親衛隊の真意を説明すると、オリビアとメルヴィにリーゼロッテも微笑んで受け入れてくれた。
ただし、流石に十人の受け入れは出来ないから、城内に一部屋用意して誰が務めるかは任せる方法をとる。
そうなると城下町に部屋の確保だ。
アルコンに連絡して会いに行った。


アルコンにはシーラ親衛隊の計画を伏せて説明した。
今からの部屋の手配に難色を示したが、同族の結婚相手の募集を依頼すると目が輝いた。

「モンドリアン!! すまん、殿下。それは何人募集なのだ?」
「シーラ親衛隊は全員似たような年齢で成人しているから十人だ」
「よし!!」
鼻息も荒くコブシを作るアルコン。
「言っとくけど未婚の男だぞ」
「勿論だ」
「あと、なるべく若い方が良いな」
「未婚となると300歳以上だが大丈夫だろう?」
「もっと若いのは居ないのか?」
「若い奴は勝手に”出来た”からな、あとは未成年だ」

未成年は絶対にダメだ。と経験者は心で叫んだ。

「じゃシーラ達がこっちに来てから会う事にしようか?」
「それはいつ頃だ?」
「親衛隊の住む場所が決まらないと呼べないなぁ」
「解った、すぐに手配しよう」


数日後、準備を済ませシーラ達を連れてサルクロスの自城に転移してきた。
トゥルボを抱いてシーラが家族に挨拶する。
「お義母様、不束者ですがよろしくお願いします」
「シーラさん、同族を生んでくれて本当にありがとう。もう家族だから遠慮はいらないのよ」

全員が挨拶を済ませるとメルヴィが率先して声をかけた。
「シーラちゃん、まずは貴女の部屋に行きましょうか」
「はい、お姉さま」

シーラの自室に案内されると、親衛隊の半数を引き連れてメルヴィが城内を案内し、残りの半数をエルヴィーノが城下町に用意した住まいに案内する。

シーラとトゥルボにはリーゼロッテとオリビアが付き添っている。

エルヴィーノは親衛隊に与える部屋で問いかけた。
「お前たち本当にダークエルフと結婚するつもりなのか?」
「はい。私たちはシーラ姫様とトゥルボ様の為に存在する者。しかるに将来のトゥルボ様に相応しい相手を用意するのも我らが使命です」
「だけどさぁ、都合よく女の子が生まれるか? クエルノ族が生まれる可能性も有るぞ」
「もっともなご意見です」
同意すると別の親衛隊が語りだす。
「我らは考えました。産まれる可能性はどちらの種族だとしても男女共に一人ずつ。ならば全員でダークエルフの女児を身ごもるように努力すれば良いと」
「確かにな。アロンソも男、トゥルボも男、今後生まれる子はまだ解らないけど女児が居た方が助かる」
「大魔王様が承認されましたのでお相手を紹介して頂きたいのですが・・・」
「その事だが、相手の年齢は高くても良いのか?」
「どのくらい高齢の方でしょうか? 出来れば未婚の方を要望します・・・」
「ジャンドール王よりもはるかに年下だが、デセオよりも上でも良いか?」
「はい、その程度であれば全く問題有りません」
(全く問題無いのかよ・・・)
「解った。準備するから待っててほしい」


一方でシーラたちは。

「本当にエルヴィーノの産まれた時とそっくりだわ」
「本当ですか? お義母さま」
「ええ、そうよ」
「あのぉ、オリビア様の事は何とお呼びすれば良いですか?」
「様はいらないわよ。呼び捨てにして構わないわ」
「そんな事は出来ません」
ふぅぅとため息をついて説明するオリビア。

「私たち家族はずっとそのように生活してきたの。様を付けるのは一族の長であるリーゼロッテ様だけよ。だから貴女も、親衛隊でしたっけ? あの子たちもそのようにしてほしいわ」
「・・・わかりました。でもあの子たちは命令しても従わないです」
「あらあら、どうしてかしら」
「上下関係だけはきっちりとしていますから、私と旦那様とお姉さまの親族には全て敬称を付けるはずです」

確かにシーラだけならば説得も容易だろうが、十人の召使となれば統一した方が良いし、城内に召使は居なかったからだ。
手伝いをしている獣人女性は見かけるが、城内の勤務は獣人の兵士だけなのだ。

「シーラさん、お願いが有るのだけど、親衛隊の皆さんに交代制で城内の管理もお願いできないかしら」
「大丈夫です、お義母様。任せてください」






城内の入居完了。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜

mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!? ※スカトロ表現多数あり ※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

冷宮の人形姫

りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。 幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。 ※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。 ※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので) そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

処理中です...