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第12章 戻ってから四度目の儀式
第351話 大魔王杯闘技大会その後9
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(何処に居るの!?)
エマスコで送り出し名の無い、簡潔な内容で送って来るのは1人しか居ない。
返信が遅れても下手な言い訳はせず現在地の場所を送ると再度返信が有った。
(ピラタを連れて来て。ペンタガラマの大聖堂で待ってる)
どうやら結果が出たようだ。
その事を書いて無いのは会って話した方が早いからだろう。
だが、ダメだったのであれば、わざわざ獣王国に呼び寄せる必要が無いので、多分ファルと言う女性がピラタを受け入れる事を承諾したと深読みするエルヴィーノだ。
よっぽどの事が無い限り会議や国事でも妻達を優先する夫は、やはり奴隷的な思考なのだろうか?
特にロリはそうさせる傾向が強い。
ロザリーは国内では認知されていないので”今では”大人しくしている。
戻ったばかりのメルヴィは現在種族総出で国作りの最中だ。
パウリナは多少ロリを真似る傾向が有ったが最近はシーラの所へ遊びに行くことが多い。
そしてシーラだが・・・最近大人しいのだ。
過去に何度も似たような妻達を見ているので、多分間違いないと思うが本人の口から聞くまで黙っていようと思っているエルヴィーノだった。
シオンにエマスコしてピラタと2人でペンタガラマに来るように伝えた。
獣人の中でも角が生えている種族が存在する。
それもかなりの種族数だ。
城下街に城内、兵士にも角が生えている者達が存在する。
もっとも、クエルノ族とは角の形状が大きく異なる。
ヒラファ族も実は角が生えている。
一見して分かりづらいがクビクの角は尖って無いからだ。
他にも多種多様な角や牙に近いような角も有るらしい。
そんな面白い話を妻達が共有しているとは一切知らないエルヴィーノだ。
事前に角の有る獣人達を集める様にパウリナに依頼したロリの考えは、実は角の生えている種族が多く、その中からシオンに挨拶させて警戒心を無くしてからピラタが角を生やして登場する計画だ。
自分の時は物凄く抵抗していたが、他人事だと角が当たり前だと認識してしまえば素直に受け入れるはずだと、相手の気持ちを考慮しないロリの勝手な発想だ。
とは言え、ロリの指示でアルモニア人が”恐れる単語”は使わないように心がけている教会関係者だ。
準備は整い、ペンタガラマの大聖堂は角を生やした獣人が大勢居た。
そこに転移してきたのはサンクタ・フェミナとブオにファルだった。
「凄い・・・みんな角が生えてる・・・」
ファルの印象は角の種類が多い事だった。
その中に角を出したシオンが三人の前で敬意を示した。
「サンクタ・フェミナ様、我が配下の為に御足労頂きまして感謝いたします」
「良いのですよシオンさん。ファル、このシオンさんはピラタさんと同じ種族でも有り、ピラタさんの上役の方です」
「は、はい。ファルと申します。宜しくお願いします」
ニッコリと満面の笑みで応えるシオンだが、遠くから見ていたエルヴィーノは異様な雰囲気にドキドキしていた。
(シオンと言い、ガンソと言い、ピラタもそうだが厳つい顔が笑うと不気味だよなぁ)
エルヴィーノの勝手な思い込みを余所に、主役のピラタが登場した。
「ファル・・・お前無しでは生きていけない。どうか我の側に来て欲しい」
「私で良いの・・・?」
「ああ、お前が欲しい」
涙して抱き付くファルに、周りから大きな声援と拍手が舞上がった。
しかしながら、多少強引とも言える行動にファルの思考が追い付かず、角の有るピラタを見て”カッコイイ”と内心思っているようだった。
実際は獣人とクエルノ族では、同じような角に見えても根本的に違うのだと、後日コラソンに教えてもらったエルヴィーノだ。
何がどのように違うかは意味が無く、ピラタ達が幸せならば問題無しと長引いた件が解決してホッとしたエルヴィーノに追撃が訪れたのは後日の事だった。
ファルの件と言う支払が王家に回って来てロリから追及が有った。
結局リアム殿夫婦に頼る事はせずに解決した為、ロリに回って来たと言う。
当たり前だが、ロリはそんな支払いには応じないので、ファルの身受け金は”総責任者”のヘソクリから捻出するしか無かった。
(何で俺から・・・)
それでもようやく自国の街づくりに専念する事が出来るので気持ちを切り替えてメルヴィの元へ向かった。
メルヴィはノタルム国に居るダークエルフの半分を引き連れて建国する島の開墾に専念していた。と言っても魔法での開墾だ。
簡単な住居施設を作り、大まかな街の整地を進めているようだった。
「おぉぉぉい、メルヴィィィ!!」
「あなた、もう仕事は終わったの?」
「ああ、面倒な事は全部終わったよ」
「そう、じゃ行きましょう」
「えっ、何処へ?」
「決まってるでしょ!!」
腕を掴まれて転移したのはイグレシアの”あの旅館”に作った”離れ”だった。
「さぁ、タップリと楽しませてよぉ」
そこには可愛い妹では無く、明らかに淫靡に満ちた獣が襲い掛かろうとしていた。
もう何も出ない程、絞りつくされたエルヴィーノは、ベッドで小説を呼んでいた。
それはフォーレから”最近の売れ筋”だと言って渡された物だった。
そんな”売れ筋”も結構溜まっているので、妻達との休憩時間を使い読破していた元小説家になる事を宣言して挫折した男だった。
☆
誰もが出来る事と出来ない事が有るよねぇ。
エマスコで送り出し名の無い、簡潔な内容で送って来るのは1人しか居ない。
返信が遅れても下手な言い訳はせず現在地の場所を送ると再度返信が有った。
(ピラタを連れて来て。ペンタガラマの大聖堂で待ってる)
どうやら結果が出たようだ。
その事を書いて無いのは会って話した方が早いからだろう。
だが、ダメだったのであれば、わざわざ獣王国に呼び寄せる必要が無いので、多分ファルと言う女性がピラタを受け入れる事を承諾したと深読みするエルヴィーノだ。
よっぽどの事が無い限り会議や国事でも妻達を優先する夫は、やはり奴隷的な思考なのだろうか?
特にロリはそうさせる傾向が強い。
ロザリーは国内では認知されていないので”今では”大人しくしている。
戻ったばかりのメルヴィは現在種族総出で国作りの最中だ。
パウリナは多少ロリを真似る傾向が有ったが最近はシーラの所へ遊びに行くことが多い。
そしてシーラだが・・・最近大人しいのだ。
過去に何度も似たような妻達を見ているので、多分間違いないと思うが本人の口から聞くまで黙っていようと思っているエルヴィーノだった。
シオンにエマスコしてピラタと2人でペンタガラマに来るように伝えた。
獣人の中でも角が生えている種族が存在する。
それもかなりの種族数だ。
城下街に城内、兵士にも角が生えている者達が存在する。
もっとも、クエルノ族とは角の形状が大きく異なる。
ヒラファ族も実は角が生えている。
一見して分かりづらいがクビクの角は尖って無いからだ。
他にも多種多様な角や牙に近いような角も有るらしい。
そんな面白い話を妻達が共有しているとは一切知らないエルヴィーノだ。
事前に角の有る獣人達を集める様にパウリナに依頼したロリの考えは、実は角の生えている種族が多く、その中からシオンに挨拶させて警戒心を無くしてからピラタが角を生やして登場する計画だ。
自分の時は物凄く抵抗していたが、他人事だと角が当たり前だと認識してしまえば素直に受け入れるはずだと、相手の気持ちを考慮しないロリの勝手な発想だ。
とは言え、ロリの指示でアルモニア人が”恐れる単語”は使わないように心がけている教会関係者だ。
準備は整い、ペンタガラマの大聖堂は角を生やした獣人が大勢居た。
そこに転移してきたのはサンクタ・フェミナとブオにファルだった。
「凄い・・・みんな角が生えてる・・・」
ファルの印象は角の種類が多い事だった。
その中に角を出したシオンが三人の前で敬意を示した。
「サンクタ・フェミナ様、我が配下の為に御足労頂きまして感謝いたします」
「良いのですよシオンさん。ファル、このシオンさんはピラタさんと同じ種族でも有り、ピラタさんの上役の方です」
「は、はい。ファルと申します。宜しくお願いします」
ニッコリと満面の笑みで応えるシオンだが、遠くから見ていたエルヴィーノは異様な雰囲気にドキドキしていた。
(シオンと言い、ガンソと言い、ピラタもそうだが厳つい顔が笑うと不気味だよなぁ)
エルヴィーノの勝手な思い込みを余所に、主役のピラタが登場した。
「ファル・・・お前無しでは生きていけない。どうか我の側に来て欲しい」
「私で良いの・・・?」
「ああ、お前が欲しい」
涙して抱き付くファルに、周りから大きな声援と拍手が舞上がった。
しかしながら、多少強引とも言える行動にファルの思考が追い付かず、角の有るピラタを見て”カッコイイ”と内心思っているようだった。
実際は獣人とクエルノ族では、同じような角に見えても根本的に違うのだと、後日コラソンに教えてもらったエルヴィーノだ。
何がどのように違うかは意味が無く、ピラタ達が幸せならば問題無しと長引いた件が解決してホッとしたエルヴィーノに追撃が訪れたのは後日の事だった。
ファルの件と言う支払が王家に回って来てロリから追及が有った。
結局リアム殿夫婦に頼る事はせずに解決した為、ロリに回って来たと言う。
当たり前だが、ロリはそんな支払いには応じないので、ファルの身受け金は”総責任者”のヘソクリから捻出するしか無かった。
(何で俺から・・・)
それでもようやく自国の街づくりに専念する事が出来るので気持ちを切り替えてメルヴィの元へ向かった。
メルヴィはノタルム国に居るダークエルフの半分を引き連れて建国する島の開墾に専念していた。と言っても魔法での開墾だ。
簡単な住居施設を作り、大まかな街の整地を進めているようだった。
「おぉぉぉい、メルヴィィィ!!」
「あなた、もう仕事は終わったの?」
「ああ、面倒な事は全部終わったよ」
「そう、じゃ行きましょう」
「えっ、何処へ?」
「決まってるでしょ!!」
腕を掴まれて転移したのはイグレシアの”あの旅館”に作った”離れ”だった。
「さぁ、タップリと楽しませてよぉ」
そこには可愛い妹では無く、明らかに淫靡に満ちた獣が襲い掛かろうとしていた。
もう何も出ない程、絞りつくされたエルヴィーノは、ベッドで小説を呼んでいた。
それはフォーレから”最近の売れ筋”だと言って渡された物だった。
そんな”売れ筋”も結構溜まっているので、妻達との休憩時間を使い読破していた元小説家になる事を宣言して挫折した男だった。
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誰もが出来る事と出来ない事が有るよねぇ。
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