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第12章 戻ってから四度目の儀式
第344話 大魔王杯闘技大会その後2
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賑やかな宴会場の中を腕組みして難しい顔で考え事をしながら歩く大魔王。
回りのクエルノ族は畏れ多く近寄っては来ない。
(ファルソに求婚したいとピラタの要望だが・・・どうしたものか)
既に解かりきった事だがピラタの要望を叶えてやることは出来ない。
また、この件をフォーレ本人に言うべきかどうかも問題だ。
何故ならピラタもゲレミオの一員でフォーレと面識が有る。
フォーレに事情を説明し、”ごめんなさい”と言って諦めてもらえば良いだろうと考えながら、ゆっくりと準優勝者の席に近づくと、気を効かせて人の壁が割れて行った。
「パウリナ、良かったな」
「あなた、うふふふ。二位よ、凄く無い!?」
「ああ、俺も驚いたよ。紹介してくれるか?」
改めて紹介されたのはクビクと言うヒラファ族の戦士で、獣王国一の長身で手足が長い特徴を生かして槍を使い”遠距離接近攻撃”を得意とした戦法で見事に準優勝を勝ち取った者だった。
「クビク、見ていたぞ。良くやったな、大したものだ」
「は、黒龍王様にお褒め頂き恐悦至極でございます」
「まぁそう硬くなるな、国に戻ったら大きな祝宴をしような」
「は、有り難き幸せです」
エルヴィーノは簡単な挨拶を交わし、圧倒的な存在感を出す隣の巨漢に声をかける。
「お前の戦いも見ていたぞ。実に良い戦いだった」
こちらも改めて自己紹介してきたのはゾゾと言うエレ族の戦士で、獣王国一の巨漢で耳が大きく鼻が長いのが特徴の、”双剣のファルソ”と死闘を繰り広げた男だ。
「は、無様な醜態を晒してしまい申し訳ありません黒龍王様」
「ん? 気にするな。お前の相手とはまさしく大と小、体術と魔術、静と動の戦いであったな」
「は、まさしく仰る通りです」
「勝負は時の運も有る。運を掴めるように精進しろ」
「「ははぁ」」
何故かゾゾとクビクまでも返事を返してきた。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
シーラは主催者側として同族の対応に追われ声をかける事も出来なかったが、パウリナも”聖戦士”と言う肩書がクエルノ族に余計な挑発を言われているようだった。
何処かのクエルノ族が問いかけてきた。
「時にパウリナ妃は聖戦士と呼ばれているそうですなぁ。クビク殿でしたら互角以上のお力でしょうか?」
「御冗談を。我やこのゾゾが百人、いや千人居ようとも我らが聖戦士様に傷1つ付ける事は不可能。その位の差が有るのだ」
「ははははは、クビク殿は御冗談がうまい」
「いや、冗談では無いぞ。クビクが申しているのは本当の事だ」
「いやいやゾゾ殿までも・・・」
「我らが黒龍王様の正妃である聖戦士様がお力を使えば御1人で国の1つや2つを落とすなど造作も無いでしょうな」
「全くだ」
ゾゾの言葉に頷いて同意するクビクだ。
因みにこの2人は龍王杯闘技大会でパウリナとロリの戦いぶりを会場で見ていたらしい。
クビクとゾゾがこの場に居るのは元獣王から借りている”魔道具の腕輪”を使っているからだ。
同じ条件ならば龍王杯闘技大会の結果も違っていただろう。
そんなやり取りを冗談でかわす程クエルノ族は知識が豊富では無く、周りのクエルノ族が一斉にパウリナを凝視するのだった。
そんな敵意剥き出しの視線に気付く。
(あれ、みんな見てる? 何か凄く注目されてるぅぅ)
一人ぼっちが長き、友達と言えるのがコラソンだけだったパウリナが、王妃となって国民との距離も身近になって来た今日この頃。
異国人からの注目の眼差しに戸惑うどころか王妃としての態度で接するように努力する?
(でも何の話しかしら・・・)
違う話題で夢中だったパウリナはゾゾたちの内容を聞いて無かった。
「ねぇ、何の話し?」
隣のクビクに問いかけた。
「我らが獣人族では聖戦士様が最強でその気になれば他国など簡単に落とせると申した所、クエルノ族の方々がパウリナ妃を凝視されているのです」
「あら、そんな事無いわよぉぉ」
満面の笑みで否定するパウリナ。
「でも私とロリ姉様にシーラとだったら世界をこの手にする事も出来るわ!!」
「「「おおおおおおおおぉぉぉぉぉっ!!」」」
宴会会場で一部のクエルノ族が絶叫して喜んだと言う。
残念な事にその場で否定する者はおらず、エルヴィーノはロリの所へ向っている最中だった。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
それは遠巻きでもわかる程だった。
サンクタ・フェミナと双剣のファルソ、いや聖騎士ファルソと言った方が良いのかもしれないが、取り巻きの教会関係者に守られながらも長蛇の列に対応していた。
当初は適度に対処していたが、余りにも長い列なので教会関係者が時間で区切るようになっていた。
流石にこの2人には何時でも話しが出来るので、この場の挨拶は止める事にしたエルヴィーノだ。
所で毎度お騒がせの義父達が見当たらないので気になったエルヴィーノ。
エマスコで呼べば応えてくれるだろうが、見る限り会場には居ないようだった。
そうであれば城外だろう。
珍しくジャンドール王達も普通に? している様だ。
気にはなるが、首を突っ込んで災いの渦中に巻き込まれたくないので放置しておく事にした。
(ようやく面倒な大会も終わったし後はフォーレに断らせて、やっと自国の城作りだ)
もう何も面倒事が起きない事を心から祈るエルヴィーノだった。
☆
面倒事とは
本人にとっては不本意な事で
他人の不幸は面白いネタだから
続けて起きる・・・
まぁ、そうなるよねぇ。
回りのクエルノ族は畏れ多く近寄っては来ない。
(ファルソに求婚したいとピラタの要望だが・・・どうしたものか)
既に解かりきった事だがピラタの要望を叶えてやることは出来ない。
また、この件をフォーレ本人に言うべきかどうかも問題だ。
何故ならピラタもゲレミオの一員でフォーレと面識が有る。
フォーレに事情を説明し、”ごめんなさい”と言って諦めてもらえば良いだろうと考えながら、ゆっくりと準優勝者の席に近づくと、気を効かせて人の壁が割れて行った。
「パウリナ、良かったな」
「あなた、うふふふ。二位よ、凄く無い!?」
「ああ、俺も驚いたよ。紹介してくれるか?」
改めて紹介されたのはクビクと言うヒラファ族の戦士で、獣王国一の長身で手足が長い特徴を生かして槍を使い”遠距離接近攻撃”を得意とした戦法で見事に準優勝を勝ち取った者だった。
「クビク、見ていたぞ。良くやったな、大したものだ」
「は、黒龍王様にお褒め頂き恐悦至極でございます」
「まぁそう硬くなるな、国に戻ったら大きな祝宴をしような」
「は、有り難き幸せです」
エルヴィーノは簡単な挨拶を交わし、圧倒的な存在感を出す隣の巨漢に声をかける。
「お前の戦いも見ていたぞ。実に良い戦いだった」
こちらも改めて自己紹介してきたのはゾゾと言うエレ族の戦士で、獣王国一の巨漢で耳が大きく鼻が長いのが特徴の、”双剣のファルソ”と死闘を繰り広げた男だ。
「は、無様な醜態を晒してしまい申し訳ありません黒龍王様」
「ん? 気にするな。お前の相手とはまさしく大と小、体術と魔術、静と動の戦いであったな」
「は、まさしく仰る通りです」
「勝負は時の運も有る。運を掴めるように精進しろ」
「「ははぁ」」
何故かゾゾとクビクまでも返事を返してきた。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
シーラは主催者側として同族の対応に追われ声をかける事も出来なかったが、パウリナも”聖戦士”と言う肩書がクエルノ族に余計な挑発を言われているようだった。
何処かのクエルノ族が問いかけてきた。
「時にパウリナ妃は聖戦士と呼ばれているそうですなぁ。クビク殿でしたら互角以上のお力でしょうか?」
「御冗談を。我やこのゾゾが百人、いや千人居ようとも我らが聖戦士様に傷1つ付ける事は不可能。その位の差が有るのだ」
「ははははは、クビク殿は御冗談がうまい」
「いや、冗談では無いぞ。クビクが申しているのは本当の事だ」
「いやいやゾゾ殿までも・・・」
「我らが黒龍王様の正妃である聖戦士様がお力を使えば御1人で国の1つや2つを落とすなど造作も無いでしょうな」
「全くだ」
ゾゾの言葉に頷いて同意するクビクだ。
因みにこの2人は龍王杯闘技大会でパウリナとロリの戦いぶりを会場で見ていたらしい。
クビクとゾゾがこの場に居るのは元獣王から借りている”魔道具の腕輪”を使っているからだ。
同じ条件ならば龍王杯闘技大会の結果も違っていただろう。
そんなやり取りを冗談でかわす程クエルノ族は知識が豊富では無く、周りのクエルノ族が一斉にパウリナを凝視するのだった。
そんな敵意剥き出しの視線に気付く。
(あれ、みんな見てる? 何か凄く注目されてるぅぅ)
一人ぼっちが長き、友達と言えるのがコラソンだけだったパウリナが、王妃となって国民との距離も身近になって来た今日この頃。
異国人からの注目の眼差しに戸惑うどころか王妃としての態度で接するように努力する?
(でも何の話しかしら・・・)
違う話題で夢中だったパウリナはゾゾたちの内容を聞いて無かった。
「ねぇ、何の話し?」
隣のクビクに問いかけた。
「我らが獣人族では聖戦士様が最強でその気になれば他国など簡単に落とせると申した所、クエルノ族の方々がパウリナ妃を凝視されているのです」
「あら、そんな事無いわよぉぉ」
満面の笑みで否定するパウリナ。
「でも私とロリ姉様にシーラとだったら世界をこの手にする事も出来るわ!!」
「「「おおおおおおおおぉぉぉぉぉっ!!」」」
宴会会場で一部のクエルノ族が絶叫して喜んだと言う。
残念な事にその場で否定する者はおらず、エルヴィーノはロリの所へ向っている最中だった。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
それは遠巻きでもわかる程だった。
サンクタ・フェミナと双剣のファルソ、いや聖騎士ファルソと言った方が良いのかもしれないが、取り巻きの教会関係者に守られながらも長蛇の列に対応していた。
当初は適度に対処していたが、余りにも長い列なので教会関係者が時間で区切るようになっていた。
流石にこの2人には何時でも話しが出来るので、この場の挨拶は止める事にしたエルヴィーノだ。
所で毎度お騒がせの義父達が見当たらないので気になったエルヴィーノ。
エマスコで呼べば応えてくれるだろうが、見る限り会場には居ないようだった。
そうであれば城外だろう。
珍しくジャンドール王達も普通に? している様だ。
気にはなるが、首を突っ込んで災いの渦中に巻き込まれたくないので放置しておく事にした。
(ようやく面倒な大会も終わったし後はフォーレに断らせて、やっと自国の城作りだ)
もう何も面倒事が起きない事を心から祈るエルヴィーノだった。
☆
面倒事とは
本人にとっては不本意な事で
他人の不幸は面白いネタだから
続けて起きる・・・
まぁ、そうなるよねぇ。
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