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第11章 分岐点

第310話 ★分岐点3★エルヴィーノの罰 @

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とある場所で・・・

「それで・・・これは一体どう言う事なんだ?」

そこには下界に転移する一行と、未来へ転生する一行を壁に映し出される映像で見ている者達が居た。
先の一行達よりも早く起こされた男が、コラソンと龍人たちに紹介されたのは探し求めていた女性で、2人きりで事の成り行きを見守っていた。

「見ての通りよ。一組は下界へ戻ったわ。もう一組は未来へ転生したでしょ?」
ありのままの事を告げる女性。

「そんな事は解かっているさ。どうして俺だけ1人でメルヴィと一緒なんだ?」
「あら、私と一緒は嫌なの? お兄ちゃん」
「い、イヤじゃ無くて、何故なのか気になるからさ」
「私と、どれだけ離れ離れになっていたか知ってる?」

思い出そうとするエルヴィーノだが、どうでも良さそうに話しを続けるメルヴィ

「私が居ない間に沢山浮気した罰を与える為よ」
眼光を輝かせて獲物を見定める様にして語るのは、長い間行方を探し求めていた女性だ。

メルヴィの事をいつも気に掛けて、事有る毎に冒険者ギルドに捜索願を出していた事を盾に、妻が増えたのは自らが求めた事では無く、不可抗力だと説明しても「全部見てたからね」と言われ、今現在のように離れた場所で愛し合う場面を見られていたと自覚してしまい「あうっ、だけど・・・」言葉に詰まるエルヴィーノだ。

「本体のお兄ちゃんは、永遠にここで私と暮らすのよ」
「本体!?」
本体と言われて気になるので問いただす。

「二組のお兄ちゃんはどちらも複製なの」
「複製!?」
「ええ、身体は全く同じよ。ただし魂を分割したの」
「どういう事だ!?」
「体は複製できるけど、魂は複製出来ないの。それをしても別の人格になるのよ」
「だから魂の分割をしたと?」
「ええ」
「それって、何か影響は無いのかよ」
「大丈夫。龍人たちが長い時間を費やして研究したそうだから」

事の次第と面倒な説明を龍人になすり付けるメルヴィと、龍人が検証したのであれば・・・と鵜呑みにし、既に転移も転生も終わっているので、どうにも出来ない状況を理解するエルヴィーノ。

そして本体のエルヴィーノに用意されたのは1人だけ罰を受ける事。
浮気の罰は永遠にメルヴィと2人だけの世界で愛し合う事だ。

勿論、本体である本人にとっては罰とは考えず”望む所”だが、”とりあえず10日”もヤリまくれば他の話題をネタに外に出る事を考えるも、今は”目の前の妻”だけに集中しようと思っていた。

一方のメルヴィも”とりあえず10年ほど”ヤリまくって・・・と同様の思考だが、2人の時間軸がずれている事に気づくのはエルヴィーノが飽きた頃になる。


※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez


「ところでお兄ちゃん。久しぶりに愛し合う前にいろいろ説明する事が有るの」
“長い間”待ち望んでいたが、目の前にその対象者が居るので後しばらくは我慢しようと思ったメルヴィだ。

今は無き実家を思い出させる材料と色合いを使って造られた場所で、居住空間は広く応接室の様な落ち着いた場所に、2人の寝室、風呂場、エルヴィーノの部屋、メルヴィの部屋、それに小部屋が三つ存在する。

そして応接室に置かれているフカフカのソファに座り、寄り添いながら腕を絡めて壁面に映る映像を見ていたが、2人だけだと誰の目も気にする事無く何度も唇を重ねていた。
当然のように相棒も脈動するが「話しが終わってからよ」と、あしらわれる始末だ。

メルヴィにとって”我慢した時間”に比べれば、説明する間など瞬きする程度以下の瞬間的な時間の感覚だった。とは言いながら抱き付き、以前よりも豊満になった霊峰を押し付け足も絡めての説明だ。
当然ながら拘束具下着の中で脈動する相棒はいつでも準備万端の状態になっていた。

「まず、この場所は亜空間だけど転移で移動する事は出来ないわよ」
そう言われ、無言で転移を試して見るが一向に魔法が発動することはなかった。
即ち、この空間からの自力での脱出は不可能と言う事だ。
その事で嫌な汗が額から出るがメルヴィに見透かされてしまう。

「ホントにもう、出来ないって言ったでしょ。ルルディが居る所とは違うのよ」

一瞬だが固まってしまったエルヴィーノだ。
ヴィオレタの事までバレていると自覚してしまった。
(まさかコラソンが告げ口するはずは無いし、イヤもしかすると・・・)
虚ろな目線で思考に渦にハマっていると、メルヴィが耳元で囁く。

「全部見たって言ったでしょ」

ビクッとして言い訳をしようとすると唇を重ねて来たメルヴィ。
「後でタップリお仕置きだからね」
いつか誰かに言われたような言葉を違う女性に告げられるエルヴィーノだ。

(しかしこの仕組みは不味いなぁ。何処で何していても全部見られているのかぁ。困ったななぁ・・・) 
脱出不可能と解っていても、何故か脱出した後の事を想定しているエルヴィーノだ。



この特別に作られた場所は異空間に作られた部屋で、例の紫の愛人が居る場所と同様の空間だそうだ。
そして”メルヴィの本体”が持つ宝玉の中に封印されている。
無論出入りする方法は有るがエルヴィーノには教えないメルヴィだ。



メルヴィ自身の事と龍人との関係性は伏せて、今後の生活主に愛し合う事を中心に、気晴らしの方法を説明するメルヴィ。

「お兄ちゃんが本体だから、分身体に思考を移す事が出来るの。勿論戻って来る事も出来るよ」
「それは・・・身体では無くて魂が転移すると言う事か?」
「・・・まぁ、そんな感じ。魂じゃなくて意識だけどね」
「でも分身体にも魂が有るだろ? どうなるんだよ」
「大丈夫。分身体に移っても身体を動かせる訳では無いの」
「うん???」
「感覚的には身体が勝手に動く感じらしいよ」
「それって・・・気持ち悪いな」
「そうだけど、匂いや、味、身体で触る感覚は有るらしいよ。まぁ早く慣れた方が良いかもね」

だが、ある事が気になって聞いて見た。
「それって・・・夜もか?」
「お兄ちゃんのスケベ!! でも、夜も同じような感覚になるそうよ」
頬を膨らませてメルヴィが怒るが、ちゃんと答えてくれた。

腕組みして考えるエルヴィーノ。
「戻る時は?」
「勿論、専用の魔法が有るよ」
「そうか」

それを聞いて安心したエルヴィーノ。
いつでも下界に”降りる”事が可能だと言う事だ。
分身体を介しての行動だが、思考は同一なので本来の自分の行動とも言える生活を体感できるのだ。
もっとも本体である意思の自由行動は出来ないが、家族や妻達との”触れ合い”は楽しめるはずだと考えた。

「安心して、お兄ちゃんが勝手な事をしない様に強制的に戻す方法も有るから」
笑顔で説明するメルヴィだが、隙を見て抜け出す方法を考えていたエルヴィーノは苦笑いしていた。


※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez


「後さぁ、私も三人でしたいなぁ」
ここで何をしたいのかは聞かないエルヴィーノにニコニコと微笑むメルヴィ。

「それでね、特別に”あの子”を呼ぼうと考えているの」
ドキドキしながら誰の事を言われるのか不安でたまらないエルヴィーノだ。

「だ、誰を呼ぶんだ?」
(チッ、焦ってドモッてしまった)
「気になるの? お兄ちゃん」
「べ、別に」
クスクスクスと笑うメルヴィ。

「その時のお楽しみよ。それまでタップリと時間をかけて・・・ふふふっ」
そしてメルヴィに誘われて寝室に連行される愛しい男だった。
☆25






今後の予定

物語冒頭の会話から、転生するまでの間にかなりの脱線が有りましたが、ようやく行方不明だったメルヴィに再開したと思ったら2人で愛の空間に隔離されてしまいました。

全てが妄想の暴走ですが、これで終わりではありません。
むしろ、やっと”前説”が終わった感じです。

当初からの構想は、メルヴィの転生とエルヴィーノの転生でしたが、残った者達の今後も気になります。
そこで計画しているのは下記の通りの予定です。
☆現在の継続。メルヴィの帰郷、シーラの結婚式、子供達の冒険、亡国の復興など。
☆全員の転生。6人が生まれ変わってからの物語。
☆メルヴィの転生。先に転生したメルヴィに何が起こったのか。龍人達の謎を含めた真実の物語。なぜ何の違和感も無くエルヴィーノ達が転移したのか? などなど

主に三つですが、順番は思案中です。
当初はメルヴィの話しを先に考えていましたが、物語の妄想が加速して全員が転生すると言う暴挙に発展しました。
しかし、私自身が一度に三つの物語を進める能力が無い事は十分に知っております。

その週に三つの物語を一話ずつ投稿するのもどうかと考えましたが、即座に愚考だと思い知りました。
やっても無い事を、やらずに諦める私ですが、投稿してから一年足らずなので、日々自身のレベ上げと考えていました。
おまけに消失したエロパワーも改善の兆しが有る様な無い様な、腑抜け状態なので”亡国の血統”に余り転移出来ていません。

考えあぐねた場合は”現在の継続”を差し込む予定です。
あぁ、でも愚考だとしてもチャレンジしてみようかなぁ・・・いやいや・・・でも・・・
そんな繰り返しで前に進んでいない状況です。

取りあえず継続の投稿の場合はお知らせします。

そして再度、誤字脱字の編集も行ないたいと思っています。
以前一度編集しましたが、睡魔と闘いながらの編集はダメですね。
所々にミスが残っていました。
現在進行形で誤字が有るし・・・

そんな訳ですが今後とも宜しくお願い致します。
流転 小石
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