上 下
273 / 430
第10章 冒険編

第273話 旅の予感

しおりを挟む
相手の事を受け入れたロリとシーラを含む四人は、身体を洗う為に露天風呂に行く事にした。
ちょっと高ぶった下半身を綺麗にする為だ。
高級旅館なので部屋にも風呂は付いているが、今回は2人に認めさせる第一段階なので個室の風呂に入るとそのまま・・・になりかねないからだ。

貸きり状態の露天風呂で四人は身体を洗い湯船に入るが1人だけ様子のおかしな者が居た。
姉嫁三人を前に”それぞれ”を見比べて首を傾げるシーラ。
「どうしたのシーラ」
ついさっき仲良くなったロリが質問してきた。
「前からパウリナお姉様とロザリーお姉様の身体はとても美しいと思っていたけど、ロリお姉様と三人が並ぶとやっぱり変だわ」
「ええっ私が変なの?」
「違います。三人並ぶと、胸が異常よ」

そう、三人の霊峰は重力に逆らって浮いているのだ。
それは湯船に浮いているわけではなく立って居る時も、寝ている時も同じだ。
パウリナと初めての時は、獣人の胸は凄いと思っていたシーラが、ロザリーを見てエルフもそうなのかと、他種族である自分の胸部が重力に支配されている状態と比べると羨ましく思っていた。
しかし、目の前の人族が加わると明らかに違和感を覚えるのだった。

だが、理由を知っている三人はニコニコと微笑みを浮かべるだけで、新参者がどんな面白い事を言いだすのか楽しそうに見ていたのだった。
大きさと形は全員同じ程度だが見慣れている自分の形が仲間外れのような感じがしてパウリナに詰め寄る。

「ねぇお姉様ぁどうして、みんなの胸はフワフワと浮いているのぉ?」
パウリナの胸を揉みながら問いただすシーラ。
「それは・・・」
チラッとロザリーとロリの顔を見る仕草に反応して、順番に聞く事にしたシーラだ。

「ロリお姉様ぁ、シーラにも教えて欲しいなぁ」
甘える末妹予定に「お姉様の許可が出たらね」とロザリーに押し付けた。
そうなると、既に関係の有る2人なのでシーラはべったりとロザリーに抱き付いておねだりする。

「あなたは何もしなくても抜群の身体を持って居るから良いでしょ?」
「嫌よ、お姉様達と同じが良いの」
鼻先まで近づいておねだりすると
「仕方ないわねぇ。2人が許可するなら教えるわ」
連帯責任と仲間意識を持たせる為に三人の許可を得てロザリーが教えると。

元はロザリーの魔法だったが、エルヴィーノが改良して魔導具を利用した低魔素で常時発動型の部分的重力制御魔法陣と、体内脂肪を加工する至高の美容魔法だと聞いて驚いたシーラだ。

「えええっあの人の魔法ぉ! それも至高の魔法だなんて!」
自分だけ教えられていない事に激昂するシーラだがパウリナとロザリーになだめられる。
「シーラは魔法を使わなくても、スッゴク大きいから良いじゃない。私なんて全然無かったのよぉ」

その無かったパウリナの胸が霊峰と呼べるほどの巨大な胸で重力に逆らっているのだ。
しかも、とても柔らかくてシーラはパウリナの胸が大好きだった。

詳しく聞けば聞くほど内緒にされていた事に嫉妬の炎が燃え上がって行くシーラだ。
そこにロザリーから第一夫人として命令が下された。
「後はロリと一緒にだけど、いつするのかしら?」
分かっていた事だが、改めて言われると冷静に相手の顔が見れない2人だ。
黙ったままの2人にかわり「じゃ私が旦那様に聞いて置くから」とパウリナが口を挟むが否定しない2人だ。

「それよりシーラはどうして胸を隠しているの?」
さり気無い素振りで隠していたが不自然に隠す胸をロリが指摘したのだ。
「えっ、私はお姉様達の様に魔法が掛っていないから恥ずかしいわ」
明らかに嘘だと解かる言い訳にロリが詰め寄る。
「私達は女同士よ。それにあの人の妻となるのなら、もっと堂々としなきゃダメよ。さぁ見せて頂戴」
第二夫人からの命令に恥ずかしくてモジモジする仕草を見ながら楽しそうに微笑んでいる第一夫人と第三夫人だ。

一向に隠す事を止めないシーラにロリが強引に腕を解こうとする。
「嫌っ、止めてお姉様」
「何故そんなに恥ずかしがるの? 隠す必要なんて無いでしょ」
「それは・・・」
シーラの目線はお湯に足を入れ、長湯で火照った身体を冷ましていたロザリーとパウリナを見た。
その事を気が付かないロリでは無い。
「お姉様達には見せて私には見せないと言うのね」
「違うわ。ちょっと恥ずかしいだけよ」
「じゃ見せなさいよ」

いずれロリともその時を迎えるのであれば、覚悟を決めてユックリと両腕で隠していた胸を露わにする。

「何これっ! どういう事か説明して頂戴!」

初めて見る第二夫人の怒った顔だがそれでも可愛いロリだ。
ロザリーは怒った表情も毅然として美しかった。
パウリナは怒りよりも興味深々な顔をしていた覚えが有るシーラだ。
三人の妻全員が夫の魔法だと決めつけたのは仕方が無いが、目の前のロリはシーラを特別扱いにしている事に怒っているのだ。
この可愛い形を自分にはしてくれない夫に激昂するロリ。

シーラの霊峰を両手で鷲掴みし、先端を味わってみるロリ。
「だめっ、お姉様。こんな所じゃ嫌っ。みんな見てるぅ」
シーラを無視してのハート型を確かめるロリだ。
自らが確認してロザリーとパウリナに詰め寄る。
「シーラだけ特別扱いするのは納得いかないわ。私達も同じ形にするべきよ」
と勢い良く話すが真実を知る2人は微笑むだけだ。

ハート型に対してシーラを責める気は無いロリ。
悪いのは1人だけだと決めつけている。
ロザリーの時も同様だったがパウリナの説明にも納得せずエルヴィーノを含め真実を話しても嫉妬の炎は夫に向うのがモンドリアン家の嫁だ。
ロリも同じ行動をとるだろうと2人は思っていた。

「ロリィ、聞いて。それはね、生まれながらの物らしいの。あの人の魔法では無いのよ」
「嘘よ。絶対あの人の魔法だわ」
「私もそう思って随分と追及したけど違うそうよ」
シーラを睨みつけるロリだが当事者にはどうする事も出来ない。

「本当なの?」
ロリに聞かれ頷くシーラだ。
「じゃ色は?」
妻達同様に綺麗なピンク色だ。
「これはあの人が」
「ほら、やっぱりそうよ」
「でも形は昔からこうなの」
「・・・本当に?」

何度も問いただしようやく矛を収めたロリだったが
「お仕置きが必要よ」
ロリの嫉妬を発散する為には性奴隷をいたぶって欲情を満たすしかないと、いつもの様に考えるロリであった。


※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez


改めてロザリーからモンドリアン家の嫁について妻達の決まり事を説明されて今回の顔合わせは終了する。
一旦それぞれが戻ったが翌日シーラがパウリナに連絡しロリにペンタガラマに来てもらう。
それは絶対的な存在からの命令である”腕輪を持つ者”同士の話しあいだ。
ラソンから言われた事がパウリナからシーラに伝わっている事だが、ロザリーの前では話せない事だからだ。

確認する中で腕輪の同調も行ない、お互いのアルマドゥラを見せ合う2人だ。
「すごおぉい! 光り輝いてるよぉ」
ロリのサント・アルマドゥラを見てはしゃぐシーラに気分を良くしたロリだった。
「アナタのも見せなさいよ」
シーラもアルマドゥラを顕現させて説明する。
「普段はこれだけど、本気で敵を倒す時はコレよ」
リャーマ・デ・ラ・エクスプロシオン・アルマドゥラの最終形態を見せるシーラだ。
「うわっ何て熱いのぉ」
「大丈夫よお姉様。私達は同調しているから多少熱いけど危害は受けないわ」
そう言ってパウリナが燃え盛るシーラに抱き付いた。

「ちょっとパウリナッ! 本当に熱く無いの?」
恐る恐る手を伸ばすロリ。
温かいがツンツンしても火傷するような熱量では無い。
「凄いわねぇ腕輪の力って」
感心するロリに、今が好機とお願いするシーラだ。
それは城の地下に有る闘技場で魔法の練習をしたい事と、エルヴィーノを含む四人で冒険者のパーティを組みたいと言うお願いだった。

「ちょ、ちょっと待ってシーラ。闘技場を使う事は良いけど、私は王妃なのよ。パウリナだって同じだわ。王妃が冒険に出るなんて無理に決まっているじゃない」

普通は、一般的にも、第三者が聞いても、あたりまえの返答だが例外が1人居た。
「私は冒険したぁい! 旦那様も一緒なら尚更したぁい!」
飛び跳ねて喜ぶパウリナだった。

そこから始まるシーラとパウリナの誘惑的説得だ。
三人がそれぞれのアルマドゥラを纏い、パウリナは神獣となって敵を殲滅。
もしくはロリの防御。
ロリは後衛から戦闘補助や防御に回復など四人が全員で魔法攻撃も可能だ。
接近戦はシーラとエルヴィーノが担当するのがシーラとパウリナの考えだ。
直接は見ていないがパウリナからの説明ではシーラもロリも強力な魔法を行使できると言う。

とは言うものの、冒険者であれば目的が重要だ。
「それで、何が目的なの?」
「それは・・・」
「私も聞いて無いなぁ」
パウリナも問いただすが、シーラ以外はエルヴィーノとジャンドール王にエルフ王しか知らない事だ。

「まだ教えてもらって無いの」
その場を回避するシーラだ。
とても”古のドラゴンを倒す”だなんて言えるはずが無い。
自分だったら絶対に引き受けないからだ。
笑って誤魔化すシーラが解ったら教えるからと2人に話し、”婚約者”にも口裏を合わせる小細工を労する事にした。





裏工作を考えるシーラ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

冷宮の人形姫

りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。 幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。 ※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。 ※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので) そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

美しい姉と痩せこけた妹

サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

処理中です...