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第9章 魔王国編2
第247話 教会内のゴタゴタ
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エルフ国メディテッラネウスから戻ったマルソが教祖エネロと大司教フェブレロに妻アブリルへブリンクス王の考えを報告した。
教会に置ける重要な懸案はこの四人が判断する事が多い。
なぜなら次期教祖と大司教が一緒に考えた方が良いからだ。
そしてプリマベラの魔族に対する偏見は”両親と夫”から説き伏せる事となった。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
パウリナと一緒に起きて2人で手を繋ぎ城へ向かうと言う行為に、大喜びの妻と多少恥ずかしい夫だ。
城につけば義母に実母から説明の要求が有るので、面倒だと思いながら楽しそうにする妻の顔を見て癒されるひと時だった。
第一城門を抜けて城内に入ろうとした時
(モンドリアン、おーいモンドリアン、聞こえるか?!)
(その声はインスティントか?)
(そうよ。アルモニア教がノタルム国への布教に教会の建設を行うには条件が有るわ)
(はぁ? どうして龍人が条件を出すんだよ)
(嫌なら考えが有るけど)
面倒くせぇと思っているエルヴィーノは、急に立ち止まって何処かを睨んでいるから気になっているパウリナだ。
「ねぇ、どうしたの急に」
「えっ? ああ、ちょっと待って」
(それでどんな条件だ?)
(教会が信仰の対象として、新たに赤龍も入れるの)
(そんな事言われても)
(アルモニア教の神にはこちらでお願いしてあるから大丈夫)
(本当かぁ?)
(当たり前よ。私は愛を司る赤龍で、信じる力を与え、裏切りには業火の苦しみを与えん)
(あ、愛なの?)
(何か文句が有るの?)
(無いです)
腕組みして苦悶の表情を浮かべるエルヴィーノ。
それだけ面倒だと言う事だ。
(教会には経典みたいな物が有るんだぜ? どうするんだ?)
(それはこの様に説明すれば良いだろう)
(アルモニア教は調和を司る白龍と、共存を司る黒龍と、愛情を司る赤龍として教えを説きなさい。正しい行いには調和を。共存を乱す者には厳罰が待ち受け、愛情を信じる者には湧き上がる闘志がもたらされます。調和には繁栄と慈しみを。共存には清き心と力の加護を。愛情には思い人と結ばれる可能性と融和が訪れるでしょう。そして調和とは形の無い物を指し、共存とは形の有る物を示します。愛情とは知性ある者の慈しむ感情ですが、愛情に対する裏切りは身を滅ぼす厄災が降りかかるでしょう。愛情とは愛国心、家族愛、友愛、恋愛、万物に対する慈愛です)
全て根回しして準備した様子だ。
(分かったよ、一応話して見る)
(一応では駄目。ノタルム国での布教は赤龍の信仰無くして広まらないと言えばいいでしょう)
(分かった。連絡する)
(期待していますよ)
さっきまでの楽しい気分が台無しになった。
目の前では腕組みして睨みつけるパウリナが立って居た。
「あのさぁ、パウリナ」
「誰と念話してたの?」
バレている。
ハァと溜息を付いて城の周りに有る遊歩道を歩きだした。
ノタルム国にアルモニア教が布教活動をする為に現地で交渉していたが、新たな難題が増えた事を説明した。
「パウリナも知っているだろう龍人を」
無言でうなづくパウリナ。
「ノタルム国が管轄の龍人が居て、その龍人も信仰の対象にしないとダメだと言って来たんだ」
同情を得ようと思ったが、いまだに睨んでいるパウリナだ。
「なんで龍人様が出て来たの?」
核心を付く質問にたじろぐエルヴィーノ。
「そ、それは」
「新しい嫁が出来たのね」
ギョッとした顔になった時点でバレてしまった浮気者だ。
「それは・・・」
「もう解っているのよ。お姉様達もそう思ってる」
(マジかっ!)
「それで、その人に龍人様が付いたのね」
「・・・」(鋭い)
「龍人様の事は私とロリ姉様の秘密だから、ロザリー姉様には話さないけど、ロリ姉様にも内緒にしてあげる」
「パウリナァ」
そう言って抱き付いた。
「ただし、条件が有るわ」
(ゲッ、なんてこった。いつからそんな子になったんだ?)
「それで、どんな条件だ?」
「次は私も一緒に行く」
「ダメダメダメ。絶対ダメ」
「何でよう」
「大体アンドレアが絶対に許可しないさ」
「こっそり行くもん」
「ダメだ。国中からお前に会いに来ているだろ?」
「ほんの数日休みにするわ」
「そしたら内緒にならないだろぉ。それに護衛たちが騒ぎ出す」
「じゃペルフメ達も連れて行く」
「ぜえぇぇったいダメだ」
「ぜえぇぇったい行くもんね」
愛しい妻とにらみ合いが続く中、難題を棚上げする。
「兎に角、俺は教祖様に会いに行くから」
「本当に行くからね」
「その件は戻って来てから話そう」
新たな難題が降り注ぐが、逃げるようにイグレシアに転移するエルヴィーノだった。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
イグレシアに転移したが城には向かわず中央教会に訪れた。
既に親衛隊がシーラの事を報告してあるので騒がれたくないし、ロリに会えば顔に出ると思ったからだ。
トボトボと歩いて大司教フェブレロに会いに行った。
「おおぉ国王、忙しそうじゃな」
苦笑いするしかない国王だ。
「それで、ここに来るとは珍しいが何か有ったのか? 例の姫との婚儀の打ち合わせかのぉ?」
本人がどのように思っているか定かでないがエルヴィーノには見えない言葉の槍が何本も刺さっていた。
「実は・・・」
新たな龍人の事を説明し教祖と一族に相談したいと説明した。
「それは又厄介な話しじゃな。しかし、龍人様の言葉ならば仕方ないのではないかのぉ。教祖に説明すれば良い」
まるで他人事のように接するフェブレロだ。
全くその通りだと心で思い大司教様に連絡を取ってもらう。
それぞれから連絡が来た。
「では行くかのぉ」
2人で転移し、教祖の応接室に向った。
ロリ以外の直系家族が集まりエルヴィーノが説明する。
「俺が来たのは急遽新たな問題が発生した為、皆さんに集まってもらいました」
新しい嫁や、大魔王と言う大問題でも、その場に居合わせなかったのに、それ以上の問題が出たのかとフェブレロ以外は戦々恐々としていた。
「実は・・・」
語られるのは新たな龍人の話しで、アルモニア教に取り入れなければノタルム国での活動は許さないと言う内容だ。
「そして重要な事ですが、アルモニア教の神に許可を得たと言われました」
「「「何いぃ!」」」
「それは誠か国王」
「ハイ、そしてこのように言われました」
【アルモニア教は調和を司る白龍と、共存を司る黒龍と、愛情を司る赤龍として教えを説きなさい。正しい行いには調和を。共存を乱す者には厳罰が待ち受け、愛情を信じる者には湧き上がる闘志がもたらされます。調和には繁栄と慈しみを。共存には清き心と力の加護を。愛情には思い人と結ばれる可能性と融和が訪れるでしょう。そして調和とは形の無い物を指し、共存とは形の有る物を示します。愛情とは知性ある者の慈しむ感情ですが、愛情に対する裏切りは身を滅ぼす厄災が降りかかるでしょう。愛情とは愛国心、家族愛、友愛、恋愛、万物に対する慈愛です】
「愛情!? 愛なの?」
食いついたのはプリマベラだ。
もとより、つい最近黒龍を信仰に加えたばかりの教会だ。
ましてや今度の対象は”愛”なのだから女性には分かりやすかった。
この時点で聖女達の心は半分以上受け入れていた。
「国王はその龍人様に有ったのか?」
「ええ会いました」
「一体どのような方なのだ?」
マルソ殿が聞いて来た。
「見た感じですが、あの人はまるで空から照らす太陽の様な方で、真っ赤な衣装がまるで炎が燃えているように揺らめき、とても美しい真紅の長い髪に宝石のような赤い瞳。透き通る白い肌とのコントラストが目にまぶしい程の女性です。そう言えば髪と瞳はリアム殿と似ていますねぇ」
「あなた! どういう事なの!」
突然、飛び火したリアムが驚いた。
「私は関係無いぞ。たまたま同じ色だろう」
確かにタマタマだ。
偶然にも、奇遇により義父は赤髪赤眼だが内心は必然だったのかも知れないとエルヴィーノは思っていた。
「しばし時間をくれないか国王」
「分かりました」
とりあえず重要な報告は済ませたのでロリの顔を見に行こうとすると、リアム殿が付いて来た。
てっきり、余計な事を言って小言を言われるのかと思った。
「国王、次回ノタルム国へ出向くときは、私も一緒に同行するからな」
「何故ですか?」
アルモニア生まれの者には魔族の思い込みが強いので聖女の変わりに現地を視察したいのが理由らしい。
だが、エルヴィーノにはお見通しだ。
「プリマベラさんの許可は?」
「も、勿論説明して有る」
(嘘だな)
「他の方達の許可は?」
「当然してある」
以前、厳しいお仕置きを受けながら、又もや冒険心が疼いているのだろう。
「では」
許可してくれたと思ったリアム。
「嘘がバレた時に俺のメリットは?」
「うぐっ」
既に嘘だと見抜かれた事を理解したリアム。
「頼む国王、たまには冒険したいんだ。何でも言う事を聞くからなっ、頼む、この通り」
ずいっと近寄りたずねた。
「本当ですね。”何でも”言う通りにしてくれるのですね」
「あ、ああ」
安請け合いするリアムだった。
(良し、これで貸1つだな)
「では、たまたま、偶然に転移する時に近くに居て、魔法を発動した時にリアム殿が勝手に飛び込んで来た事にしてください」
「おおおっ国王おぉ!」
抱き付かれてしまった。
「それとネル殿には内緒ですよ」
「勿論だ。私を信じてくれ」
☆
またもや無謀な事をする義父だった。
教会に置ける重要な懸案はこの四人が判断する事が多い。
なぜなら次期教祖と大司教が一緒に考えた方が良いからだ。
そしてプリマベラの魔族に対する偏見は”両親と夫”から説き伏せる事となった。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
パウリナと一緒に起きて2人で手を繋ぎ城へ向かうと言う行為に、大喜びの妻と多少恥ずかしい夫だ。
城につけば義母に実母から説明の要求が有るので、面倒だと思いながら楽しそうにする妻の顔を見て癒されるひと時だった。
第一城門を抜けて城内に入ろうとした時
(モンドリアン、おーいモンドリアン、聞こえるか?!)
(その声はインスティントか?)
(そうよ。アルモニア教がノタルム国への布教に教会の建設を行うには条件が有るわ)
(はぁ? どうして龍人が条件を出すんだよ)
(嫌なら考えが有るけど)
面倒くせぇと思っているエルヴィーノは、急に立ち止まって何処かを睨んでいるから気になっているパウリナだ。
「ねぇ、どうしたの急に」
「えっ? ああ、ちょっと待って」
(それでどんな条件だ?)
(教会が信仰の対象として、新たに赤龍も入れるの)
(そんな事言われても)
(アルモニア教の神にはこちらでお願いしてあるから大丈夫)
(本当かぁ?)
(当たり前よ。私は愛を司る赤龍で、信じる力を与え、裏切りには業火の苦しみを与えん)
(あ、愛なの?)
(何か文句が有るの?)
(無いです)
腕組みして苦悶の表情を浮かべるエルヴィーノ。
それだけ面倒だと言う事だ。
(教会には経典みたいな物が有るんだぜ? どうするんだ?)
(それはこの様に説明すれば良いだろう)
(アルモニア教は調和を司る白龍と、共存を司る黒龍と、愛情を司る赤龍として教えを説きなさい。正しい行いには調和を。共存を乱す者には厳罰が待ち受け、愛情を信じる者には湧き上がる闘志がもたらされます。調和には繁栄と慈しみを。共存には清き心と力の加護を。愛情には思い人と結ばれる可能性と融和が訪れるでしょう。そして調和とは形の無い物を指し、共存とは形の有る物を示します。愛情とは知性ある者の慈しむ感情ですが、愛情に対する裏切りは身を滅ぼす厄災が降りかかるでしょう。愛情とは愛国心、家族愛、友愛、恋愛、万物に対する慈愛です)
全て根回しして準備した様子だ。
(分かったよ、一応話して見る)
(一応では駄目。ノタルム国での布教は赤龍の信仰無くして広まらないと言えばいいでしょう)
(分かった。連絡する)
(期待していますよ)
さっきまでの楽しい気分が台無しになった。
目の前では腕組みして睨みつけるパウリナが立って居た。
「あのさぁ、パウリナ」
「誰と念話してたの?」
バレている。
ハァと溜息を付いて城の周りに有る遊歩道を歩きだした。
ノタルム国にアルモニア教が布教活動をする為に現地で交渉していたが、新たな難題が増えた事を説明した。
「パウリナも知っているだろう龍人を」
無言でうなづくパウリナ。
「ノタルム国が管轄の龍人が居て、その龍人も信仰の対象にしないとダメだと言って来たんだ」
同情を得ようと思ったが、いまだに睨んでいるパウリナだ。
「なんで龍人様が出て来たの?」
核心を付く質問にたじろぐエルヴィーノ。
「そ、それは」
「新しい嫁が出来たのね」
ギョッとした顔になった時点でバレてしまった浮気者だ。
「それは・・・」
「もう解っているのよ。お姉様達もそう思ってる」
(マジかっ!)
「それで、その人に龍人様が付いたのね」
「・・・」(鋭い)
「龍人様の事は私とロリ姉様の秘密だから、ロザリー姉様には話さないけど、ロリ姉様にも内緒にしてあげる」
「パウリナァ」
そう言って抱き付いた。
「ただし、条件が有るわ」
(ゲッ、なんてこった。いつからそんな子になったんだ?)
「それで、どんな条件だ?」
「次は私も一緒に行く」
「ダメダメダメ。絶対ダメ」
「何でよう」
「大体アンドレアが絶対に許可しないさ」
「こっそり行くもん」
「ダメだ。国中からお前に会いに来ているだろ?」
「ほんの数日休みにするわ」
「そしたら内緒にならないだろぉ。それに護衛たちが騒ぎ出す」
「じゃペルフメ達も連れて行く」
「ぜえぇぇったいダメだ」
「ぜえぇぇったい行くもんね」
愛しい妻とにらみ合いが続く中、難題を棚上げする。
「兎に角、俺は教祖様に会いに行くから」
「本当に行くからね」
「その件は戻って来てから話そう」
新たな難題が降り注ぐが、逃げるようにイグレシアに転移するエルヴィーノだった。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
イグレシアに転移したが城には向かわず中央教会に訪れた。
既に親衛隊がシーラの事を報告してあるので騒がれたくないし、ロリに会えば顔に出ると思ったからだ。
トボトボと歩いて大司教フェブレロに会いに行った。
「おおぉ国王、忙しそうじゃな」
苦笑いするしかない国王だ。
「それで、ここに来るとは珍しいが何か有ったのか? 例の姫との婚儀の打ち合わせかのぉ?」
本人がどのように思っているか定かでないがエルヴィーノには見えない言葉の槍が何本も刺さっていた。
「実は・・・」
新たな龍人の事を説明し教祖と一族に相談したいと説明した。
「それは又厄介な話しじゃな。しかし、龍人様の言葉ならば仕方ないのではないかのぉ。教祖に説明すれば良い」
まるで他人事のように接するフェブレロだ。
全くその通りだと心で思い大司教様に連絡を取ってもらう。
それぞれから連絡が来た。
「では行くかのぉ」
2人で転移し、教祖の応接室に向った。
ロリ以外の直系家族が集まりエルヴィーノが説明する。
「俺が来たのは急遽新たな問題が発生した為、皆さんに集まってもらいました」
新しい嫁や、大魔王と言う大問題でも、その場に居合わせなかったのに、それ以上の問題が出たのかとフェブレロ以外は戦々恐々としていた。
「実は・・・」
語られるのは新たな龍人の話しで、アルモニア教に取り入れなければノタルム国での活動は許さないと言う内容だ。
「そして重要な事ですが、アルモニア教の神に許可を得たと言われました」
「「「何いぃ!」」」
「それは誠か国王」
「ハイ、そしてこのように言われました」
【アルモニア教は調和を司る白龍と、共存を司る黒龍と、愛情を司る赤龍として教えを説きなさい。正しい行いには調和を。共存を乱す者には厳罰が待ち受け、愛情を信じる者には湧き上がる闘志がもたらされます。調和には繁栄と慈しみを。共存には清き心と力の加護を。愛情には思い人と結ばれる可能性と融和が訪れるでしょう。そして調和とは形の無い物を指し、共存とは形の有る物を示します。愛情とは知性ある者の慈しむ感情ですが、愛情に対する裏切りは身を滅ぼす厄災が降りかかるでしょう。愛情とは愛国心、家族愛、友愛、恋愛、万物に対する慈愛です】
「愛情!? 愛なの?」
食いついたのはプリマベラだ。
もとより、つい最近黒龍を信仰に加えたばかりの教会だ。
ましてや今度の対象は”愛”なのだから女性には分かりやすかった。
この時点で聖女達の心は半分以上受け入れていた。
「国王はその龍人様に有ったのか?」
「ええ会いました」
「一体どのような方なのだ?」
マルソ殿が聞いて来た。
「見た感じですが、あの人はまるで空から照らす太陽の様な方で、真っ赤な衣装がまるで炎が燃えているように揺らめき、とても美しい真紅の長い髪に宝石のような赤い瞳。透き通る白い肌とのコントラストが目にまぶしい程の女性です。そう言えば髪と瞳はリアム殿と似ていますねぇ」
「あなた! どういう事なの!」
突然、飛び火したリアムが驚いた。
「私は関係無いぞ。たまたま同じ色だろう」
確かにタマタマだ。
偶然にも、奇遇により義父は赤髪赤眼だが内心は必然だったのかも知れないとエルヴィーノは思っていた。
「しばし時間をくれないか国王」
「分かりました」
とりあえず重要な報告は済ませたのでロリの顔を見に行こうとすると、リアム殿が付いて来た。
てっきり、余計な事を言って小言を言われるのかと思った。
「国王、次回ノタルム国へ出向くときは、私も一緒に同行するからな」
「何故ですか?」
アルモニア生まれの者には魔族の思い込みが強いので聖女の変わりに現地を視察したいのが理由らしい。
だが、エルヴィーノにはお見通しだ。
「プリマベラさんの許可は?」
「も、勿論説明して有る」
(嘘だな)
「他の方達の許可は?」
「当然してある」
以前、厳しいお仕置きを受けながら、又もや冒険心が疼いているのだろう。
「では」
許可してくれたと思ったリアム。
「嘘がバレた時に俺のメリットは?」
「うぐっ」
既に嘘だと見抜かれた事を理解したリアム。
「頼む国王、たまには冒険したいんだ。何でも言う事を聞くからなっ、頼む、この通り」
ずいっと近寄りたずねた。
「本当ですね。”何でも”言う通りにしてくれるのですね」
「あ、ああ」
安請け合いするリアムだった。
(良し、これで貸1つだな)
「では、たまたま、偶然に転移する時に近くに居て、魔法を発動した時にリアム殿が勝手に飛び込んで来た事にしてください」
「おおおっ国王おぉ!」
抱き付かれてしまった。
「それとネル殿には内緒ですよ」
「勿論だ。私を信じてくれ」
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またもや無謀な事をする義父だった。
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