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第8章 魔王国編
第205話 蠢く者達
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聖魔法王国アルモニアと獣王国バリエンテの2大陸から遥か彼方に存在し、海を隔てて別の大陸に存在する国の王城では、王の執務室で報告書を読み上げる男達が居た。
「・・・それでこの報告書を見る限りでは、この男エルヴィーノ・デ・モンドリアンは人族となっているが本当はダークエルフでは無いかと思います」
「ふむ。まず名前が怪しいなぁ」
「はい。我が友と同じ名であれば、同族の可能性がありますが・・・如何せん。あのアルモニアの国王とは、一体どう言う訳か・・・」
「ふむ、同時にバリエンテの国王とも報告書には書いてある。まさかとは思うが、間違いではないのか?」
「はっ、私もそれは懸念しましたので、5つの班で計50人を送り込んだ結果です」
「ふむ、全部同じだったか」
「はい」
「しかし仮に人族でも二ヶ国の王とは大した男だ。素直に会って見たいと思う。だが、ダークエルフで二ヶ国の王である可能性も有るな」
「はっ、黒龍召喚ですな」
「ふむ。人族に龍の召喚など出る訳が無い」
「はっ、おっしゃる通りです」
「それに、いつの間にか存在したと言う城と街の件だ」
「はっ」
「報告書には、例の森の跡地に一夜で出来たと書いてある。そんな事が有るのか? 間諜達は嘘を聞かされたのか?」
「はい、その件は私からも再三確認しましたが、一夜、もしくは数日と言う答えが多いようです」
「明らかに魔法の類いだが・・・」
「おっしゃりたい事は理解しています。オスクロ・マヒアではそのような事は出来ません」
「ではこれもディオス系だと?」
「いえ、私もディオス系の魔法は分からないのですが、それに準ずる魔法だと思われます」
「しかし、仮に一晩で城と街を作るとは相当な魔素だぞ」
実際その事に戦慄を覚えていた面々だ。
「その事と、いったいどのようにして聖魔法王国の国王になったのか不思議だ」
「はっ、全くです。人族で有れば可能でしょうが、我らとディオス・マヒアは相い反する属性存在。いくら考えても想像も付きません」
「お前はどう思っているのだ? アルコンよ」
「この者に非常に興味が有ります。そして、友の名を使う理由を知りたいです」
「ふむ、我も興味が有る。必要で有れば強引に召喚する事も可能だが、もう少し調べさせろ。お前に行かせるのも良いが目立って存在が明るみに出るのも面白く無い。それにお前には、まだやるべき事が有るしのぉ」
「はっ、仰せのままに」
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
(アロンソの事で話しが有ります)
リーゼロッテからのエマスコだ。
(何だろ? ワザワザ呼び出すとは何か重要な事件でも起きたのか) と思い(直ぐ行く) と返信した。
実家に戻り、久しぶりに一族全員で話す事となった。
「どうしたんだい、かあさん」
「アロンソも大きくなったしカスティリオ・エスピナへ引っ越そうと考えているの」
「ふぅん、良いんじゃない」
そこに入って来るデイビットだ。
「実はアロンソを学校に入れたいと思うのだが、ペンタガラマには獣人以外に人族の子供は居るのか?」
「そうだなぁ、調べた事が無いから聞いて見るけどアロンソが行きたいって?」
「クラベルでも少しは友達が出来たが、人族は成長が早いからなぁ」
「向こうに行っても同じだぜ」
「それはそうだけど、城の中の者には説明出来るでしょ?」
これはオリビアからの提案だ。
(確かにメイド達に説明すれば引っ越す必要も無くなるか)
「解かった。それを含めて調べてみるよ」
「お願いね」
再び城へ戻りアンドレアに相談した。
偶然にもパウリナが子供達と一緒に居たので聞いていたらしい。
「私も行きたぁい!」
「ダメに決まっているでしょ」
「ええぇぇ」
母娘の会話で駄々をこねるパウリナに優しく教えてやった。
「確かに幼少期に眠らされていたから子供同士で遊ぶ機会も無かったと思うけど、今は可愛い子供達も居るし、お前は聖戦士なんだぞ。子供じゃ無いのだから周りの獣人達が遠慮するだろ」
頬を膨らませて御立腹の様子だ。
知識は未だ子供染みた部分もあるが、欲望だけは人一倍のパウリナは義姉2人の妊娠が発覚してからは、エルヴィーノの独占状態が続いているので、公私共に我が儘言いたい放題だった。
更に義姉からは最低一年は妊娠禁止を言い付けられている。
これは絶えず妻の監視の目を絶やさない事だ。
避妊はロリから伝授されていて、夫婦の時間を”いつでも楽しめる”のが特典だ。
パウリナを宥めて見学で有れば許可して納得してもらった。
実際ペンタガラマの学校と言う施設は一般獣人と教会関係者が作った機関なのでアンドレアも良く知らず、全員で見学することにした。
アロンソが優先だが、母娘にとってはセサルとアナにも将来必要なのでロディジャとビエルナスも伴って見学することになった。
場所は教会近くの建物に10歳以下の子供を学ばせる学校が有る。
10歳から成人までは別の学校だ。
成人以上は高度な学校で、進学する者は限られていた。
獣人のほとんどが成人前ら働き出すからで、高度な学問は城勤めや人族にエルフなど魔法を扱える者達が学ぶのが一般的だった。
石作りで四階建ての建物一棟が全部学校だ。
因みに計算、言語、歴史、職種、行儀作法が主な内容で、体力作りは街の外で行なうらしい。
事前の調査では割と計算と行儀作法は問題無く、職種と言う色んな仕事を教える授業が人気で、言語と歴史が難しいらしい。
何故ならば、三ヵ国の言語に獣人は種族言語が有るからだ。
基本的には共通獣人語と、三ヵ国の同意単語を徐々に教えているそうだ。
(なるほど言葉よりも単語だけでも知っていると通じるからな。あの時の便所が良い例だな)
先生は獣人がほとんどで人族は数人だった。
しかし、生徒は人族がちらほら紛れている。
やはり教会関係者の子供だろう。
大まかな歳で教室が決められていて、同じ学校がペンタガラマには三か所あると言う。
多いのか少ないのか良く解らないが、人口が増えれば子供達も増え、上級の学校も今後増えると説明された。
(なるほどねぇ、俺も学校には行ってないから解らないけどアロンソには寂しい思いをさせたくないからなぁ)
因みにエアハルトはブリンクス王の指示でロザリーや選任者が指導に当たっていて、学校には行かせてもらえない。
一応、入学の手続きを聞いてその日は帰った。
そして家族会議だ。
今回はアンドレアからの要望で獣人だけの会議だ。
ダークエルフ一族とアロンソを迎え入れる事は全く問題が無く、重要な要望は別の所だった。
「まず、専任の先生を送ります」
「えっ?」
「聞いて頂戴。パウリナにはビエルナスとロディジャを用意して専任させていました。孫達もその様にしたいのですが”アロちゃん”にお願いして先生にも勉強させたいの。子供の扱い方をね」
エルヴィーノは黙っている。
ビエルナスとロディジャは、既に国の中枢に関わっているからセサルとアナの相手は出来ないだろう。
その変わり若い教育係りを学校に入れて専任とすれば、後々に他の生徒も影響されて向上するだろう。
(しかし、アロちゃんかぁ。そんな風に呼ばれていたのか)
確かに見た目は子供でも”先生より大人”だからな。
(逆にやりづらいと思うけどなぁ)
「黒龍王の考えを聞きたいわ」
腕を組み考え込んでいると義母からの指名だ。
「教育係りを先生とするのは問題無いですよ。アロンソも兄弟の為に協力するでしょう」
「そうですか。良かったわ」
「俺からの要望は1つだけです」
全員が固唾を飲んでいる。
「城の住居区画に勤めている召使い全員と新しい教育係りにはアロンソと、一族の事を説明して欲しいのです」
驚いたアンドレアが問いただす。
「それはダークエルフだと教えるのですか?」
「はい。獣王国と我が種族は対立が無かったと思いますし、既に家族ですから子供達の為にも身内には隠し事を無くしたいのです」
バッと立ちあがったアンドレアが宣言した。
「皆さん、今黒龍王が言われた事。黒龍王と聖戦士の名に誓って約束しましょう」
「ハッ」「ハイ」「ウム」と色んな返事が聞こえた。
「それでですね、近々引っ越そうと思っているのですけど」
(ふぅ、やっと目的を言えた)
「そうねぇ、新しい教育係りを至急選抜するから少しまって頂戴」
「どのくらいかかりますか?」
「そうねぇ30日ほどかしら」
「分かりました。実家にもそのように伝えます」
その後アンドレアの指示でビエルナスとロディジャが、セサルとアナ用の教育係りを選抜してアロンソに子供の教育について大人の目線で手伝ってもらう事になった。
そしてアンドレアとビエルナスとロディジャが問題視しているのは何人必要かだ。
パウリナは女の子1人なので同性で側付きのビエルナスが対応したが、ロディジャは本来学問などを教えるはずだったのだ。
「やはり最低三人」
「もしくは四人ですか」
「あなた達はどうだったの?」
「パウリナ様はとても元気な幼少でしたので」
ジロリとビエルナスを睨む聖戦士だ。
「・・・とて御淑でした。はずです。たしか」
気まずくなるので話を戻すロディジャ。
「学校に派遣する者と城内に従事する者を分けた方が良いと思います」
「それは良い考えです」
すかさず便乗するビエルナスだ。
カスティリオ・エスピナで揉めている獣人達をよそに、実家に戻ったエルヴィーノは、その事を家族に説明し準備に取り掛かる。
一応アロンソにもその旨を話すと「良いよぉ」と軽い返事が帰って来た。
クラベルの実家は別荘として今後も使う予定だ。
しかし、全員が挨拶周りをする事となった。
クラベルに住んでわずか数年だが街は大きく発展し旧市街では、かなり大きな土地を持ち高い塀で囲まれた守衛付きの屋敷に住んで居るのだから有名なのだ。
リーゼロッテ、アロンソ、オリビア、デイビットが今後も別荘として使い、たまに戻って来る事を世話になった人達に話して来るようだ。
クラベルの教会では司祭のプルガルにインディセとアヌラスが丁度戻っていた様だ。
因みにメディオとメニケはマルソ殿の仕事で遠出しているらしい。
”宿屋くらべる”の主人ミゲルと奥さんのカタリナに挨拶をしてから、以前は村長だった新しい市長にも顔をだした。
御忍びで国王も一緒に挨拶をしているのだから誰も邪険にはしていない。
むしろ、ずっと滞在して欲しいと懇願されるほどだ。
丁重に断って、今後は別荘として不定期に使用する事を伝えて家路に着いた。
☆
何処かで誰かが何かを企てる。
我が子が学校へ行く。
「・・・それでこの報告書を見る限りでは、この男エルヴィーノ・デ・モンドリアンは人族となっているが本当はダークエルフでは無いかと思います」
「ふむ。まず名前が怪しいなぁ」
「はい。我が友と同じ名であれば、同族の可能性がありますが・・・如何せん。あのアルモニアの国王とは、一体どう言う訳か・・・」
「ふむ、同時にバリエンテの国王とも報告書には書いてある。まさかとは思うが、間違いではないのか?」
「はっ、私もそれは懸念しましたので、5つの班で計50人を送り込んだ結果です」
「ふむ、全部同じだったか」
「はい」
「しかし仮に人族でも二ヶ国の王とは大した男だ。素直に会って見たいと思う。だが、ダークエルフで二ヶ国の王である可能性も有るな」
「はっ、黒龍召喚ですな」
「ふむ。人族に龍の召喚など出る訳が無い」
「はっ、おっしゃる通りです」
「それに、いつの間にか存在したと言う城と街の件だ」
「はっ」
「報告書には、例の森の跡地に一夜で出来たと書いてある。そんな事が有るのか? 間諜達は嘘を聞かされたのか?」
「はい、その件は私からも再三確認しましたが、一夜、もしくは数日と言う答えが多いようです」
「明らかに魔法の類いだが・・・」
「おっしゃりたい事は理解しています。オスクロ・マヒアではそのような事は出来ません」
「ではこれもディオス系だと?」
「いえ、私もディオス系の魔法は分からないのですが、それに準ずる魔法だと思われます」
「しかし、仮に一晩で城と街を作るとは相当な魔素だぞ」
実際その事に戦慄を覚えていた面々だ。
「その事と、いったいどのようにして聖魔法王国の国王になったのか不思議だ」
「はっ、全くです。人族で有れば可能でしょうが、我らとディオス・マヒアは相い反する属性存在。いくら考えても想像も付きません」
「お前はどう思っているのだ? アルコンよ」
「この者に非常に興味が有ります。そして、友の名を使う理由を知りたいです」
「ふむ、我も興味が有る。必要で有れば強引に召喚する事も可能だが、もう少し調べさせろ。お前に行かせるのも良いが目立って存在が明るみに出るのも面白く無い。それにお前には、まだやるべき事が有るしのぉ」
「はっ、仰せのままに」
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
(アロンソの事で話しが有ります)
リーゼロッテからのエマスコだ。
(何だろ? ワザワザ呼び出すとは何か重要な事件でも起きたのか) と思い(直ぐ行く) と返信した。
実家に戻り、久しぶりに一族全員で話す事となった。
「どうしたんだい、かあさん」
「アロンソも大きくなったしカスティリオ・エスピナへ引っ越そうと考えているの」
「ふぅん、良いんじゃない」
そこに入って来るデイビットだ。
「実はアロンソを学校に入れたいと思うのだが、ペンタガラマには獣人以外に人族の子供は居るのか?」
「そうだなぁ、調べた事が無いから聞いて見るけどアロンソが行きたいって?」
「クラベルでも少しは友達が出来たが、人族は成長が早いからなぁ」
「向こうに行っても同じだぜ」
「それはそうだけど、城の中の者には説明出来るでしょ?」
これはオリビアからの提案だ。
(確かにメイド達に説明すれば引っ越す必要も無くなるか)
「解かった。それを含めて調べてみるよ」
「お願いね」
再び城へ戻りアンドレアに相談した。
偶然にもパウリナが子供達と一緒に居たので聞いていたらしい。
「私も行きたぁい!」
「ダメに決まっているでしょ」
「ええぇぇ」
母娘の会話で駄々をこねるパウリナに優しく教えてやった。
「確かに幼少期に眠らされていたから子供同士で遊ぶ機会も無かったと思うけど、今は可愛い子供達も居るし、お前は聖戦士なんだぞ。子供じゃ無いのだから周りの獣人達が遠慮するだろ」
頬を膨らませて御立腹の様子だ。
知識は未だ子供染みた部分もあるが、欲望だけは人一倍のパウリナは義姉2人の妊娠が発覚してからは、エルヴィーノの独占状態が続いているので、公私共に我が儘言いたい放題だった。
更に義姉からは最低一年は妊娠禁止を言い付けられている。
これは絶えず妻の監視の目を絶やさない事だ。
避妊はロリから伝授されていて、夫婦の時間を”いつでも楽しめる”のが特典だ。
パウリナを宥めて見学で有れば許可して納得してもらった。
実際ペンタガラマの学校と言う施設は一般獣人と教会関係者が作った機関なのでアンドレアも良く知らず、全員で見学することにした。
アロンソが優先だが、母娘にとってはセサルとアナにも将来必要なのでロディジャとビエルナスも伴って見学することになった。
場所は教会近くの建物に10歳以下の子供を学ばせる学校が有る。
10歳から成人までは別の学校だ。
成人以上は高度な学校で、進学する者は限られていた。
獣人のほとんどが成人前ら働き出すからで、高度な学問は城勤めや人族にエルフなど魔法を扱える者達が学ぶのが一般的だった。
石作りで四階建ての建物一棟が全部学校だ。
因みに計算、言語、歴史、職種、行儀作法が主な内容で、体力作りは街の外で行なうらしい。
事前の調査では割と計算と行儀作法は問題無く、職種と言う色んな仕事を教える授業が人気で、言語と歴史が難しいらしい。
何故ならば、三ヵ国の言語に獣人は種族言語が有るからだ。
基本的には共通獣人語と、三ヵ国の同意単語を徐々に教えているそうだ。
(なるほど言葉よりも単語だけでも知っていると通じるからな。あの時の便所が良い例だな)
先生は獣人がほとんどで人族は数人だった。
しかし、生徒は人族がちらほら紛れている。
やはり教会関係者の子供だろう。
大まかな歳で教室が決められていて、同じ学校がペンタガラマには三か所あると言う。
多いのか少ないのか良く解らないが、人口が増えれば子供達も増え、上級の学校も今後増えると説明された。
(なるほどねぇ、俺も学校には行ってないから解らないけどアロンソには寂しい思いをさせたくないからなぁ)
因みにエアハルトはブリンクス王の指示でロザリーや選任者が指導に当たっていて、学校には行かせてもらえない。
一応、入学の手続きを聞いてその日は帰った。
そして家族会議だ。
今回はアンドレアからの要望で獣人だけの会議だ。
ダークエルフ一族とアロンソを迎え入れる事は全く問題が無く、重要な要望は別の所だった。
「まず、専任の先生を送ります」
「えっ?」
「聞いて頂戴。パウリナにはビエルナスとロディジャを用意して専任させていました。孫達もその様にしたいのですが”アロちゃん”にお願いして先生にも勉強させたいの。子供の扱い方をね」
エルヴィーノは黙っている。
ビエルナスとロディジャは、既に国の中枢に関わっているからセサルとアナの相手は出来ないだろう。
その変わり若い教育係りを学校に入れて専任とすれば、後々に他の生徒も影響されて向上するだろう。
(しかし、アロちゃんかぁ。そんな風に呼ばれていたのか)
確かに見た目は子供でも”先生より大人”だからな。
(逆にやりづらいと思うけどなぁ)
「黒龍王の考えを聞きたいわ」
腕を組み考え込んでいると義母からの指名だ。
「教育係りを先生とするのは問題無いですよ。アロンソも兄弟の為に協力するでしょう」
「そうですか。良かったわ」
「俺からの要望は1つだけです」
全員が固唾を飲んでいる。
「城の住居区画に勤めている召使い全員と新しい教育係りにはアロンソと、一族の事を説明して欲しいのです」
驚いたアンドレアが問いただす。
「それはダークエルフだと教えるのですか?」
「はい。獣王国と我が種族は対立が無かったと思いますし、既に家族ですから子供達の為にも身内には隠し事を無くしたいのです」
バッと立ちあがったアンドレアが宣言した。
「皆さん、今黒龍王が言われた事。黒龍王と聖戦士の名に誓って約束しましょう」
「ハッ」「ハイ」「ウム」と色んな返事が聞こえた。
「それでですね、近々引っ越そうと思っているのですけど」
(ふぅ、やっと目的を言えた)
「そうねぇ、新しい教育係りを至急選抜するから少しまって頂戴」
「どのくらいかかりますか?」
「そうねぇ30日ほどかしら」
「分かりました。実家にもそのように伝えます」
その後アンドレアの指示でビエルナスとロディジャが、セサルとアナ用の教育係りを選抜してアロンソに子供の教育について大人の目線で手伝ってもらう事になった。
そしてアンドレアとビエルナスとロディジャが問題視しているのは何人必要かだ。
パウリナは女の子1人なので同性で側付きのビエルナスが対応したが、ロディジャは本来学問などを教えるはずだったのだ。
「やはり最低三人」
「もしくは四人ですか」
「あなた達はどうだったの?」
「パウリナ様はとても元気な幼少でしたので」
ジロリとビエルナスを睨む聖戦士だ。
「・・・とて御淑でした。はずです。たしか」
気まずくなるので話を戻すロディジャ。
「学校に派遣する者と城内に従事する者を分けた方が良いと思います」
「それは良い考えです」
すかさず便乗するビエルナスだ。
カスティリオ・エスピナで揉めている獣人達をよそに、実家に戻ったエルヴィーノは、その事を家族に説明し準備に取り掛かる。
一応アロンソにもその旨を話すと「良いよぉ」と軽い返事が帰って来た。
クラベルの実家は別荘として今後も使う予定だ。
しかし、全員が挨拶周りをする事となった。
クラベルに住んでわずか数年だが街は大きく発展し旧市街では、かなり大きな土地を持ち高い塀で囲まれた守衛付きの屋敷に住んで居るのだから有名なのだ。
リーゼロッテ、アロンソ、オリビア、デイビットが今後も別荘として使い、たまに戻って来る事を世話になった人達に話して来るようだ。
クラベルの教会では司祭のプルガルにインディセとアヌラスが丁度戻っていた様だ。
因みにメディオとメニケはマルソ殿の仕事で遠出しているらしい。
”宿屋くらべる”の主人ミゲルと奥さんのカタリナに挨拶をしてから、以前は村長だった新しい市長にも顔をだした。
御忍びで国王も一緒に挨拶をしているのだから誰も邪険にはしていない。
むしろ、ずっと滞在して欲しいと懇願されるほどだ。
丁重に断って、今後は別荘として不定期に使用する事を伝えて家路に着いた。
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