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第7章 レース編

第175話 レースの準備

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ブエロ・マシルベーゴォのレース準備は全体をマルソ殿に運営委員会の管理してもらう事になっている。
エルヴィーノ以外で三ヵ国を飛び回っている者は他に居ないからだ。
そして専属の部下も居る。
冒険者になったインディセとアヌラスにブエロ・マシルベーゴォを与え、おおよそのコースを各国で回らせて見た結果、大体の時間配分が掴めたので具体的な計画を立てる。

まずは規定だが多少変更した。

1、【動力源は魔石を配給する】
出発してから到着して、更に三割増しの量を渡されるので、獣人達の魔素切れの心配は無い。

2、【飛行魔法陣は全て同じ性能】
加速、減速、上限速度、上限高度、上昇下降、急停止。
最高速度はおよそ80kmで、地上15mまでしか上昇しない設定にした。
そして旋回能力で差を付けた。

3、【攻撃は体当たりと、速度低下魔法を1日10回だけ使用できる】
ただし、魔法は使いきりで翌日に持ち越しは出来ない。
この魔法以外は一切の魔法使用禁止。
対人攻撃は魔法も魔導具を使った攻撃も全て禁止。
速度低下の魔法の効果は15秒間速度が半減し、魔法の有効範囲は前方20m。
乗り物に当たると発動。

4、【乗り物は同じ性能で大きさを変えて三種類支給する】
大きさを大中小にして、中を基準に大の攻装を頑丈にして、小を中の半分の大きさにした。
速さの差は無く、全て同じ上限速度だ。
基本的な耐久性能も同じなので、魔法による速度低下で順位と時間を競う。
また、衝撃により自走不可能になった場合は制御不能になって自動的に下降して地上に漂う事になり、その場合は棄権として失格となる。

5、【一番重要な道順】
通過検査場所を作り、そこを必ず通らないと失格になる。
運営委員会は事前に各国の予定を聞いて準備をしていた。

6、【勝負の分かれ目】
大きさにより速度低下の魔法が当りずらくなる事と、旋回性能で差を付けた事だ。
大きな乗り物はかなり損傷しても頑丈だが限度は有る。
だから同じ速さで曲がろうとすると大きな乗り物は事前に速度を落とさなければならない。
だが、追い越して先に行く者には速度低下魔法を当てる事が可能になる。
勿論、当ればの話だが。

それに対して小さい乗り物は小回りが利き、後方からの魔法攻撃を回避しやすい。
大は簡単操作だが、小は操作が難しい。
それぞれに特徴が有り、作戦が重要になる。
だから大、中、小と乗る者達三人の協力態勢が優勝の決め手となるだろう。



※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez



スタートはエルフ国の城下街アルバで1日目の目的地はクラベルだ。
昼前に式典が始まり、午後からのスタートで、エルフ国は国土が狭いから海沿いを一周し、国内の山脈を使った森の中を駆け抜けて、標高約3000mの山を越える順路になる。
街中、郊外、森林、山越えと初日から技術の必要な順路で順位主体だ。
検問所候補地がパルデルカ町、カルビィ町、ナコル町を予定している。

2日目は北の都市グリシナを経由して王都イグレシアが目的地だ。
これは、グリシナで先着順に用意される”くじ引き”を引いて、お買い物をこなし持ったまま王都に向う買い物競争になる。
順位主体で検問所を設置しない順路の自由度の高い超長距離レースだ。
ただし、ゴールした時点で指定した物と持って来た物が妥当かの審判がある。
くじは事前にマルソ殿と決めて有り、”名物料理、綺麗な花、特産人物石像”だ。
言うまでも無いが重い石像がハズレだ。

3日目は港街リベルタを経由して古都アレグリアが目的地。
これは、内陸から海沿いを通過しリベルタを経て古都に向うが、この順路は決められた時間に合わせて通過点を通りゴールするのが目的で、早くても遅くても減点になる難しい順路だ。
決められた到着時間から前後の時間差を、翌日のスタート時点で遅れての出発になる。
検問所候補地はニナル町、ビクカラ町、港街リベルタに終点の古都アレグリアだ。

最終日は城下街ペンタガラマがゴールだ。
最後は一番距離が短い順路になる。
割と平坦な砂漠や荒地なので、速さ重視の順位主体のレースだ。
2日目までの順位に3日目の結果(時間の過不足)を差し引いて順番にスタートとなる。
途中に立っている旗の外側を通りジグザグに進むのだ。



※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez



今回は女性が乗るので、その機体は三割増しで強化する魔法が付与される。
そして、搭乗者にはディサテバル・デスカ衝撃無効魔法ラガスなどの補助魔法を許可して、更に緊急避難転移装置を装備させて有るが使用した時点で棄権使いとして失格だ。
また、全員に機体から落しても浮遊するように魔法を刻印した魔石も渡される。

レースで重要なのは減速だ。
全ての道順には曲がり角が有り、最高速度のままでは曲がれずに壁に激突してしまう。
すると大破したり、道順を大きく外れてしまうと時間の差が産まれ、それが順位に差が出る為だ。
当然だが一部では市街地も道順に入っている。
小さい機体は、ぶつかった時の衝撃が大きければ破損するが、速度低下魔法が当たりにくいので敏捷性が最大の武器になる。
逆に大きいと多少ぶつかっても衝撃に耐久力が有るが、速度低下魔法が当たりやすい。

これは国の威信を賭けて三人の団結と連係を駆使して行う競争にする予定だ。
当日のレースは上空から龍戦隊が不正、事故、負傷などを監視して問題が有れば即座に対応する事になっているが、龍戦隊と言う名前を他国には伏せてある。
一応アルモニアの秘密部隊なので表向きは、あくまでも運営委員の警備隊の監視としての参加だ。

開催一月前には練習用として一台ずつブエロ・マシルベーゴォが貸し出される事になる。
参加者は、エルフ国メディテッラネウスからは王宮兵士長のローガン、公爵家のメイドでカミラ、大抜擢された公爵家の見習い騎士フリオ・カデラの三人。

聖魔法王国アルモニアからはリアム殿、龍戦隊リーダーでバスティアン、親衛隊のブオの三人。

獣王国バリエンテからはネル殿、龍騎士隊の副隊長カニーチェ、ロディジャだったが何故かビエルナスに変更。
これは女性が乗る機体は三割増しで頑丈にする事を聞きつけてネル殿が強引に替えたのだ。



※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez



ゲレミオで賭博の開催。(レースの引換券売り場の設置場所)
参加者の倍率で掛け金を引換券と交換して渡す場所だ。
高額当選は王城での受け渡しになる。
売り上げは各王国の騎士が取りに回って王城に集める。
金の保管場所は王城を使い経費を抜かした分をそれぞれの国と折半せっぱんしゲレミオがもらう。

1,ローガン、2,カミラ、3,フリオ・カデラ、4,リアム、5,バスティアン、6,ブオ、7,ネル、8,カニーチェ、9,ビエルナスの全9人で1位2位3位を単、双、3連と先着順を当てるのが賭博だ。
当然3連(1位から3位までの順位)が一番高額になる。
次に高額なのは双(1位2位の順位)だ。
単は一番安いが多くの者が当りを出すだろう。

そして別枠でリアム殿とネル殿の券を作る。
4-7か7-4なのだが、倍率を双の中でも良くした。
別枠の掛け金は経費を差し引いて各国とゲレミオと勝った者と三等分するのだ。
力が入る2人だが例外も入れた。
それは2人で同着か2人共リタイヤ及び失格の時だ。
その場合は売上を各国とゲレミオが貰い受け当選者も無くなる。

特製の引換券売り場は作成した各国の所有物となり、設置場所と売店をゲレミオが借りる事で進める。
場所は王城の回りと街中に合わせて50ヶ所の予定だ。
エルフ国メディテッラネウスは15ヶ所だ。
更に引きえ券は魔法を付与してある。
当然オスクロ・マヒアだ。
特製の魔導具にかざすとボンヤリと光るようにしたのだ。
これで不正は無くなる。
何故ならばオスクロ・マヒアを扱える者はエルヴィーノの家族しかいないからだ。

着々と準備が進む中だがその前に、ドラゴ族とアンドレアと一度合わせる必要が有る。








レース開催の前に。
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