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第4章 獣王国編2
第107話 もうすぐ3回目の結婚式3
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リアムからロリ経由でエルヴィーノに連絡が有った。
獣王が条件を全て受け入れ謝罪し2人の要望を聞いて予定を作るので話し合いたいと。
エルヴィーノはパウリナと別荘から獣王国の高級旅館ビクトリアに転移し部屋へ入ってからパウリナの私室に転移した。
リアムにもお願いして、しばらく滞在するので同じ宿を取っていた。
会議室では獣王夫婦、エルヴィーノ、パウリナ、リアムの五人だけだ。
獣王が立ち上がり大きな図体が腰を折ってくれた。
「モンドリアン、パウリナよ。勝手な事をしてすまん」
「分かりました。それでどのような予定にするのですか?」
エルヴィーノの思考は昼の予定はパッパッと決めて夜の打ち合わせて来ている、フォーレとガンソに合流する目的が有ったからだ。
それと知らなかったがマルソ殿がメディオとメニケを連れて教会を作る下見を兼ねて、資材運搬用のブエロ・マシルベーゴォ(飛行魔導具)を持って来ていたのだ。
結婚式は基本的にロリと行なったモノと同様で、多少長く街中を回るが仕方ないだろうと認めてやる。
そして式典が終わった後の龍王杯闘技大会は、エルヴィーノの”条件”に念を押して約束し、破った場合は王城を棘王と同じ目にすると脅しておいた。
「普通、記念碑なんて作りたくても出来るモノでは無いぞ」
リアムの言葉に絆されて神龍降臨記念碑と、神龍と英雄の像の二つは許可をしたが、龍の召喚に関しては難色を示した。
「龍の召喚に関しては、龍の事情もあるので聞いてみないと分からないとビエルナスに伝えたが?」
「召喚するだけだぞ?」
疑問に思ったリアムが聞いて来た。
「召喚して何もしないでいたら、後で俺が文句を言われるからさ」
「それは召喚無しで話せるのか?」
「向こうから一方的に念話して来るんだよ」
感の良いリアム殿に知られるとマズイと思い咄嗟に嘘をついた。
「こちらからは話せないのか?」
「向こうが応えなければ会話にならないからさ」
すると獣王がスッと立ち上がり、座っているエルヴィーノの後ろに来て小さくなった。
それは・・・
【先日の話し合いで(お前がどうしてもやりたい事があれば、今から言う必殺技を使えば、かなりの確率で効果はあるだろう) (そっ、そんな技が有るのか!) (ああ、それはな・・・膝と手と頭を地に付ける事だ) (そ、それは!) 獣人にとって屈辱のポーズだった。完敗を認めるポーズとも言う(お前の意地と見栄、どちらが強いか見ものだな)(くっ!) 】
「モンドリアン」
真面目な顔の獣王は両膝と両手と頭を地に付けて告げた。
「頼むこの通りだ。国民にもう一度見せてやりたいんだ。その代り二度と召喚のお願いはしない」
パウリナが困惑した顔でエルヴィーノの手を握ってくる。
深い溜息をして承諾する。
「分かりました。頼んでみます」
「おお、モンドリアンよ、ありがとう」
「ただし、聞いて嫌だと言われたら、あきらめてください」
「ウム、期待しているぞ。なに、お前に不可能は無いだろう。ガハハハハハッ」
といつもの獣王に戻ったようで、呆れた顔のリアムがエルヴィーノの目に映っていた。
(こいつ”自尊心”を捨てやがった)
「俺から1つお願いが有ります。これを聞いてくれれば、俺も本気で召喚に協力しますが」
「なんだ言ってみろ」
ドキドキしている獣王。
「棘の森跡地を俺にください!」
なんだそんな事かと思いホッとした獣王。
「構わんがどうするつもりだ?」
「獣王国は広大な土地の割に大きな街が少ないと聞いていますから、俺が城と街を作ります」
「ふ~む」
考えるポーズをとる獣王。
「宜しいですわ。あなた達に任せます」
アンドレアが答えた。
「えっ本当に? いいの?」
「あぁ構わん」
仕方なく答えた獣王。
一応大まかな事は決まったので、後は母娘に決めてもらえとリアムの助言通りにしてエルヴィーノは別室で待たせてあったファイサンと共に高級旅館ビクトリアに戻った。
(実は内緒だが親父さんの宿エスピナのリカルド専用部屋には聖魔法王国からの転移魔法陣を設置していたのだ。この事は俺とリカルドと親衛隊の三人しか知らない事で、俺の許可無く誰にも教えるなと言ってある。あっもう1人居た。親父さんだ。親父さんには年契約で部屋を借りているので、他の旅人に貸す事も無い)
リアム殿は獣王とまだ話しがあるようで、帰り際にマルソ殿の事を聞き教会の改装予定地の下見と全員がビクトリアに泊まる事を教えてくれた。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
エルヴィーノはフォーレとガンソに(夕方には戻るから旅の宿エスピナで食事をしよう)と送ってから、フィドキアに会うためにお土産を大量に買おうと思い買い出しに出かける。
今回は数件回り八本やいろんな串焼きを100本ほど買い占めて監視室に転移した。
「オーイ、フィドキアァー居るかぁ~」
エルヴィーノは当たり前の様に通路に転移して歩きながら声を掛けて居間に行く。
「あ!! ごっ、ごめん。来客だった?」
こちら向きのラソンと、背中を向けた水色の髪の人? が座っていた。
「待っていたわ、モンドリアンさん。貴男に紹介するわ。こちらはカマラダと言うの」
「やあ、君が噂のモンドリアン君だね。私はラソンと同じく龍人のカマラダだ。宜しくな!」
エルヴィーノが会う三人目となる龍人のカマラダは水色の長い髪と碧眼よりも濃い青色の瞳をした整った顔立ちの男だ。
(そう言えば、ロリの瞳よりもパウリナの瞳と同じかな?)
「初めましてエルヴィーノ・デ・モンドリアンど申します」
「さあさあ、座ってください。”食べながら”お話ししましょう」
と言って、当たり前の様にさっき買った物を食べる気でいるラソンが紅茶を入れている。
まぁ、その為に買ったのだから良いけどね。
買った物を全部出して「「頂きます」」龍人2人が貪る中
「ところでフィドキアはどうしたの?」
どこかの黒い龍人と違い上品に食べる2人が教えてくれた。
「実はチョット事情があって外出しているの。それで臨時でカマラダが監視を手伝ってくれているのよ」
「・・・監視って俺だろ?」
「まぁ硬い事を言うな。これで私達は知り合いになったのだから」
「困ったなぁ、相談したい事が有ったけど」
「あら、私達から伝えるわよ」
「じゃお願いしようかな」
そして語る現状の問題と計画。
「今、クラベルの町は凄い速さで拡大していて、この先人口も王都並みに増える可能性が高い。王族が考えている都市計画の中に、この迷宮監視室がある山も入っていたが俺の一族の所有にしたから良いけど、いずれこの山の周りにも沢山家が出来るだろう。そうすると間違って洞窟と思い入る奴が居るはずだ。そこで俺からの提案が有るのだが・・・」
「その前に獣王からのお願いを受け入れてくれるか確認したいのだが、居ないならどうしょうかなぁ」
「どんなお願いだったの?」
ラソンが優しく聞いてくれた。
「一度王都に成龍状態で召喚したので黒龍ブームらなっているのさ」
「あらあら」
「へぇ、フィドキアもやるもんだなぁ」
2人の龍人が褒めてるのか? これは?
「暗黒龍だとか、龍王とか言って新しい宗教が出来るかもよ?」
「・・・それは、ちょっと」
嫌な顔をしたラソン。
「分かった。俺が何とかしよう」
パッと明るくなって「本当に?」
「ただし、やり方は任せて欲しい。結果的にアルモニア教が拡大すれば良いだろ?」
「えぇ、お願いしますわ」
「でさ、話しは戻るけど、もう一度召喚して成龍の姿を街の獣人達に見せて欲しいのさ。当然、攻撃なんかは無しで、城の上空を旋回するだけで良いけどね」
「大丈夫だと思うわその位の事であれば」
「本当に?! 良し!」
とりあえず一安心だ。
龍人2人が大丈夫と言ったのだから、もしもの時は責任を取ってもらおう。
「じゃ俺からの提案だけど、この場所が住みにくくなるので新しい場所に移したらどうかなと考えたわけさ」
「でもこの場所は・・・」
「分かってる。俺と”もう1人”を監視する場所だろ? ここはこのまま残して迷宮の入口を塞げばいいのでは?」
「だったら移らなくても良いじゃないの?」
カマラダが当たり前のように答えてきた。
「まあ聞いてよ。俺は獣王と交渉して棘の森の跡地を譲ってもらう事にした。そこに城と街を作る計画を考えているが、城の地下に迷宮作れないかなって思ってさ。別に最初から地下では無く街の中に監視室があってもおかしくは無いと思うし、普段から出入りしていれば誰も龍人と気が付かないと思うぜ!」
「「名案だ!」」
「えっ?」
何故かカマラダも乗り気だ。
「私も協力するから、私専用の部屋が欲しいなぁ」
「ズルいわ、カマラダ。私の部屋の方が先よね?」
どこかで聞いたようなやり取りだが笑って誤魔化した。
「まあその辺は簡単ですから、いつでも作りましょう」
「本当ですか!」
嬉しそうなカマラダだった。
「で、俺はその城を棘城エスピナと命名しようと思っているけど、意見を聞きたかったのさ」
「「素晴らしい!!」」
「是非そうしてくれるかしら」
「私も早くその城が見たいです」
大喜びの龍人だが俺には理由が解らなかった。
「それでね、設計とか外観とか龍人の力でパパッと出来ないかなぁって思ってさ、ハハハッ」
すっくと立ち上がった2人の龍人は両手に”最後の串”を持って上機嫌で告げた。
「直ぐに取り掛かるから君は国で待っていたまえ」
「そうね、私達も直ぐに取り掛かるから準備ができしだい連絡するわ」
なぜこの龍人達がヤル気になったのか分からないエルヴィーノ。
「じゃお願いします。フィドキアからも早目に連絡くれと伝えてください」
(しかし、100本も良く食べるものだ。ラソンも50本は食べたのか? 俺は20本も食べれないのに龍人の胃袋は桁違いだなぁ)
と思いながら早々に監視室を後にしたが、事が早く進めば良い事だと考え王都アレグリアに転移して、待ち合わせの旅の宿エスピナに向った。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
旅の宿エスピナには、マルソ殿とメディオとメニケ、リアム殿とポヨォ、フォーレにガンソ、ファイサンが居て合流する。
エルヴィーノが参加するゲレミオの会議に初参加のマルソ殿とリアム殿にも、夜の名前を”エル・モンド”もしくは陛下と呼んでもらうようにお願いしてある。
今回の内容はいくつかあって、”昼”の意見も聞きたかったからだ。
親父さんの店でだが”個室”での夕食会議だ。
エルヴィーノからの提案はいくつかあり順番に説明した。
1、獣王国でゲレミオを作る。
ガルガンダをゲレミオに引き込み、この国の責任者にしたいが意見を聞く事。
「この件で質問はありますか?」
「そのガルガンダと言う奴は信用出来るのか?」
マルソ殿からの質問に「この宿の主で俺とフォーレ、リカルドが棘の森を攻略する時からの知り合いで、世話になった元冒険家でこの国では一番信頼している男です」と全員に説明した。
2、棘の森の土地を譲ってもらうので、城と街を作る計画がありゲレミオとしてはこの大陸の拠点と考えている事。
「この件で質問はありますか?」
「「「賛成」」」
「全員の賛成を確認しました」
続けて
「具体多的な都市計画にはマルソ殿も交えていろんな意味で”効率”の良い街を作りたいと思っています」
3、城の名前は棘城エスピナに決めたので旅の宿エスピナと同じになるが、この際”超高級旅館エスピナ”に作り変えようと思っている事。
「この件で質問はありますか?」
「名前は問題ないが超高級旅館はどうするのだ?」
リアムからの質問に応える。
「王都の絶景の宿アルディリアと提携して人材の教育や宿その物の設計もお願いして姉妹店となり”お互いの国の客を紹介”すればどちらも得をするはずですので、これは良く利用されるリアム殿にお願いしたいのですが、宜しいですか?」
「んんっ! 分かった交渉してみよう」
4、まずは慈善団体のベルデボラ(緑玉)を派遣して、調査や店の場所を確保させてゲレミオの各部門を順次王都アレグリアに設置して欲しい。
まずは聖魔法王国に有る三割の店の支店を目標にする。
「この件で質問はありますか?」
「「「賛成」」」
「全員の賛成を確認しました」
「出来れば式典前の方が良いが、今は区画整理もしているからチャンスかもしれないな」
「承知しました。早速ベルデボラを連れて来させます」
ガンソが答えた。
5、最後にガルガンダの勧誘にはフォーレとガンソとファイサンの三人で説得して欲しい。
「「「畏まりました」」」
「ガルガンダには棘城に行ってもらいたいから昼の事も話していいが順序良く説明してくれガンソ」
「ハハッ、このガンソにお任せあれ」
「ここまでで、何か気になった事や意見が有れば聞きたいが? ・・・・では以上だ」
場が落ち着いてから
「所で陛下、この宿には”三人”の個室が常時有るそうだが、私達も新しい棘城下に別荘が欲しいですな」
「おお、それは良い考えだ、リアム殿!」
エルヴィーノは溜息をついて
「そんなこと言っていたら獣王も同じ事言ってきますよ」
”うぅっ”とリアムは態度を崩し
「それは・・・仕方あるまい」
まったく何をしたいのかと思いながら、後はおしゃべりをしてお開きになるが
「あっ、2人はちょっと残ってください」
エルヴィーノとマルソ、リアムの三人になる。
「リアム殿。以前龍人からの話をロリに聞いたのですが、アルモニア教の神である神龍も他の龍も元を辿れば全て1つになると聞きました。獣王国バリエンテでは今回の”騒動”で間違いなく龍の信仰が産まれるでしょう。聖魔法王国アルモニア以外で龍を奉る異教が産まれるのか、龍をひとくくりにしてアルモニア教で黒龍の信仰も対象にするか教祖様や一族に聞いてください。異教とした場合の展開と、取り込んだ場合の教徒などの数字は全く違う物となる事も判断してください。まず獣王国の半分以上が信徒になると思いますがね」
「ウム分かった。至急会議に掛けよう」
リアムがうなずく。
「この国の半数となると、かなりの人口だぞ! 新たに教会がいくつ必要なのだ!」
「マルソ殿、この国だけではありませんよ。近隣の国にも圧力をかければアルモニア教の支配下が更に拡大します。目指すはこの大陸制覇ですよ!」
「「おおおぉ!!」」
「リアム殿、私は教会予定地の下見があるのでお願いできますか?」
「分かりました」
快く引き受けたリアム。
「転移は"このリカルドの部屋"から中央教会に直接行けますから」
「「なんと!! ココからか!」」
「その為のリカルドの部屋です」
「流石は国王。いや陛下」
「良いですよ、もう誰も居ませんから」
あとがき
棘城復活かも。
獣王が条件を全て受け入れ謝罪し2人の要望を聞いて予定を作るので話し合いたいと。
エルヴィーノはパウリナと別荘から獣王国の高級旅館ビクトリアに転移し部屋へ入ってからパウリナの私室に転移した。
リアムにもお願いして、しばらく滞在するので同じ宿を取っていた。
会議室では獣王夫婦、エルヴィーノ、パウリナ、リアムの五人だけだ。
獣王が立ち上がり大きな図体が腰を折ってくれた。
「モンドリアン、パウリナよ。勝手な事をしてすまん」
「分かりました。それでどのような予定にするのですか?」
エルヴィーノの思考は昼の予定はパッパッと決めて夜の打ち合わせて来ている、フォーレとガンソに合流する目的が有ったからだ。
それと知らなかったがマルソ殿がメディオとメニケを連れて教会を作る下見を兼ねて、資材運搬用のブエロ・マシルベーゴォ(飛行魔導具)を持って来ていたのだ。
結婚式は基本的にロリと行なったモノと同様で、多少長く街中を回るが仕方ないだろうと認めてやる。
そして式典が終わった後の龍王杯闘技大会は、エルヴィーノの”条件”に念を押して約束し、破った場合は王城を棘王と同じ目にすると脅しておいた。
「普通、記念碑なんて作りたくても出来るモノでは無いぞ」
リアムの言葉に絆されて神龍降臨記念碑と、神龍と英雄の像の二つは許可をしたが、龍の召喚に関しては難色を示した。
「龍の召喚に関しては、龍の事情もあるので聞いてみないと分からないとビエルナスに伝えたが?」
「召喚するだけだぞ?」
疑問に思ったリアムが聞いて来た。
「召喚して何もしないでいたら、後で俺が文句を言われるからさ」
「それは召喚無しで話せるのか?」
「向こうから一方的に念話して来るんだよ」
感の良いリアム殿に知られるとマズイと思い咄嗟に嘘をついた。
「こちらからは話せないのか?」
「向こうが応えなければ会話にならないからさ」
すると獣王がスッと立ち上がり、座っているエルヴィーノの後ろに来て小さくなった。
それは・・・
【先日の話し合いで(お前がどうしてもやりたい事があれば、今から言う必殺技を使えば、かなりの確率で効果はあるだろう) (そっ、そんな技が有るのか!) (ああ、それはな・・・膝と手と頭を地に付ける事だ) (そ、それは!) 獣人にとって屈辱のポーズだった。完敗を認めるポーズとも言う(お前の意地と見栄、どちらが強いか見ものだな)(くっ!) 】
「モンドリアン」
真面目な顔の獣王は両膝と両手と頭を地に付けて告げた。
「頼むこの通りだ。国民にもう一度見せてやりたいんだ。その代り二度と召喚のお願いはしない」
パウリナが困惑した顔でエルヴィーノの手を握ってくる。
深い溜息をして承諾する。
「分かりました。頼んでみます」
「おお、モンドリアンよ、ありがとう」
「ただし、聞いて嫌だと言われたら、あきらめてください」
「ウム、期待しているぞ。なに、お前に不可能は無いだろう。ガハハハハハッ」
といつもの獣王に戻ったようで、呆れた顔のリアムがエルヴィーノの目に映っていた。
(こいつ”自尊心”を捨てやがった)
「俺から1つお願いが有ります。これを聞いてくれれば、俺も本気で召喚に協力しますが」
「なんだ言ってみろ」
ドキドキしている獣王。
「棘の森跡地を俺にください!」
なんだそんな事かと思いホッとした獣王。
「構わんがどうするつもりだ?」
「獣王国は広大な土地の割に大きな街が少ないと聞いていますから、俺が城と街を作ります」
「ふ~む」
考えるポーズをとる獣王。
「宜しいですわ。あなた達に任せます」
アンドレアが答えた。
「えっ本当に? いいの?」
「あぁ構わん」
仕方なく答えた獣王。
一応大まかな事は決まったので、後は母娘に決めてもらえとリアムの助言通りにしてエルヴィーノは別室で待たせてあったファイサンと共に高級旅館ビクトリアに戻った。
(実は内緒だが親父さんの宿エスピナのリカルド専用部屋には聖魔法王国からの転移魔法陣を設置していたのだ。この事は俺とリカルドと親衛隊の三人しか知らない事で、俺の許可無く誰にも教えるなと言ってある。あっもう1人居た。親父さんだ。親父さんには年契約で部屋を借りているので、他の旅人に貸す事も無い)
リアム殿は獣王とまだ話しがあるようで、帰り際にマルソ殿の事を聞き教会の改装予定地の下見と全員がビクトリアに泊まる事を教えてくれた。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
エルヴィーノはフォーレとガンソに(夕方には戻るから旅の宿エスピナで食事をしよう)と送ってから、フィドキアに会うためにお土産を大量に買おうと思い買い出しに出かける。
今回は数件回り八本やいろんな串焼きを100本ほど買い占めて監視室に転移した。
「オーイ、フィドキアァー居るかぁ~」
エルヴィーノは当たり前の様に通路に転移して歩きながら声を掛けて居間に行く。
「あ!! ごっ、ごめん。来客だった?」
こちら向きのラソンと、背中を向けた水色の髪の人? が座っていた。
「待っていたわ、モンドリアンさん。貴男に紹介するわ。こちらはカマラダと言うの」
「やあ、君が噂のモンドリアン君だね。私はラソンと同じく龍人のカマラダだ。宜しくな!」
エルヴィーノが会う三人目となる龍人のカマラダは水色の長い髪と碧眼よりも濃い青色の瞳をした整った顔立ちの男だ。
(そう言えば、ロリの瞳よりもパウリナの瞳と同じかな?)
「初めましてエルヴィーノ・デ・モンドリアンど申します」
「さあさあ、座ってください。”食べながら”お話ししましょう」
と言って、当たり前の様にさっき買った物を食べる気でいるラソンが紅茶を入れている。
まぁ、その為に買ったのだから良いけどね。
買った物を全部出して「「頂きます」」龍人2人が貪る中
「ところでフィドキアはどうしたの?」
どこかの黒い龍人と違い上品に食べる2人が教えてくれた。
「実はチョット事情があって外出しているの。それで臨時でカマラダが監視を手伝ってくれているのよ」
「・・・監視って俺だろ?」
「まぁ硬い事を言うな。これで私達は知り合いになったのだから」
「困ったなぁ、相談したい事が有ったけど」
「あら、私達から伝えるわよ」
「じゃお願いしようかな」
そして語る現状の問題と計画。
「今、クラベルの町は凄い速さで拡大していて、この先人口も王都並みに増える可能性が高い。王族が考えている都市計画の中に、この迷宮監視室がある山も入っていたが俺の一族の所有にしたから良いけど、いずれこの山の周りにも沢山家が出来るだろう。そうすると間違って洞窟と思い入る奴が居るはずだ。そこで俺からの提案が有るのだが・・・」
「その前に獣王からのお願いを受け入れてくれるか確認したいのだが、居ないならどうしょうかなぁ」
「どんなお願いだったの?」
ラソンが優しく聞いてくれた。
「一度王都に成龍状態で召喚したので黒龍ブームらなっているのさ」
「あらあら」
「へぇ、フィドキアもやるもんだなぁ」
2人の龍人が褒めてるのか? これは?
「暗黒龍だとか、龍王とか言って新しい宗教が出来るかもよ?」
「・・・それは、ちょっと」
嫌な顔をしたラソン。
「分かった。俺が何とかしよう」
パッと明るくなって「本当に?」
「ただし、やり方は任せて欲しい。結果的にアルモニア教が拡大すれば良いだろ?」
「えぇ、お願いしますわ」
「でさ、話しは戻るけど、もう一度召喚して成龍の姿を街の獣人達に見せて欲しいのさ。当然、攻撃なんかは無しで、城の上空を旋回するだけで良いけどね」
「大丈夫だと思うわその位の事であれば」
「本当に?! 良し!」
とりあえず一安心だ。
龍人2人が大丈夫と言ったのだから、もしもの時は責任を取ってもらおう。
「じゃ俺からの提案だけど、この場所が住みにくくなるので新しい場所に移したらどうかなと考えたわけさ」
「でもこの場所は・・・」
「分かってる。俺と”もう1人”を監視する場所だろ? ここはこのまま残して迷宮の入口を塞げばいいのでは?」
「だったら移らなくても良いじゃないの?」
カマラダが当たり前のように答えてきた。
「まあ聞いてよ。俺は獣王と交渉して棘の森の跡地を譲ってもらう事にした。そこに城と街を作る計画を考えているが、城の地下に迷宮作れないかなって思ってさ。別に最初から地下では無く街の中に監視室があってもおかしくは無いと思うし、普段から出入りしていれば誰も龍人と気が付かないと思うぜ!」
「「名案だ!」」
「えっ?」
何故かカマラダも乗り気だ。
「私も協力するから、私専用の部屋が欲しいなぁ」
「ズルいわ、カマラダ。私の部屋の方が先よね?」
どこかで聞いたようなやり取りだが笑って誤魔化した。
「まあその辺は簡単ですから、いつでも作りましょう」
「本当ですか!」
嬉しそうなカマラダだった。
「で、俺はその城を棘城エスピナと命名しようと思っているけど、意見を聞きたかったのさ」
「「素晴らしい!!」」
「是非そうしてくれるかしら」
「私も早くその城が見たいです」
大喜びの龍人だが俺には理由が解らなかった。
「それでね、設計とか外観とか龍人の力でパパッと出来ないかなぁって思ってさ、ハハハッ」
すっくと立ち上がった2人の龍人は両手に”最後の串”を持って上機嫌で告げた。
「直ぐに取り掛かるから君は国で待っていたまえ」
「そうね、私達も直ぐに取り掛かるから準備ができしだい連絡するわ」
なぜこの龍人達がヤル気になったのか分からないエルヴィーノ。
「じゃお願いします。フィドキアからも早目に連絡くれと伝えてください」
(しかし、100本も良く食べるものだ。ラソンも50本は食べたのか? 俺は20本も食べれないのに龍人の胃袋は桁違いだなぁ)
と思いながら早々に監視室を後にしたが、事が早く進めば良い事だと考え王都アレグリアに転移して、待ち合わせの旅の宿エスピナに向った。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
旅の宿エスピナには、マルソ殿とメディオとメニケ、リアム殿とポヨォ、フォーレにガンソ、ファイサンが居て合流する。
エルヴィーノが参加するゲレミオの会議に初参加のマルソ殿とリアム殿にも、夜の名前を”エル・モンド”もしくは陛下と呼んでもらうようにお願いしてある。
今回の内容はいくつかあって、”昼”の意見も聞きたかったからだ。
親父さんの店でだが”個室”での夕食会議だ。
エルヴィーノからの提案はいくつかあり順番に説明した。
1、獣王国でゲレミオを作る。
ガルガンダをゲレミオに引き込み、この国の責任者にしたいが意見を聞く事。
「この件で質問はありますか?」
「そのガルガンダと言う奴は信用出来るのか?」
マルソ殿からの質問に「この宿の主で俺とフォーレ、リカルドが棘の森を攻略する時からの知り合いで、世話になった元冒険家でこの国では一番信頼している男です」と全員に説明した。
2、棘の森の土地を譲ってもらうので、城と街を作る計画がありゲレミオとしてはこの大陸の拠点と考えている事。
「この件で質問はありますか?」
「「「賛成」」」
「全員の賛成を確認しました」
続けて
「具体多的な都市計画にはマルソ殿も交えていろんな意味で”効率”の良い街を作りたいと思っています」
3、城の名前は棘城エスピナに決めたので旅の宿エスピナと同じになるが、この際”超高級旅館エスピナ”に作り変えようと思っている事。
「この件で質問はありますか?」
「名前は問題ないが超高級旅館はどうするのだ?」
リアムからの質問に応える。
「王都の絶景の宿アルディリアと提携して人材の教育や宿その物の設計もお願いして姉妹店となり”お互いの国の客を紹介”すればどちらも得をするはずですので、これは良く利用されるリアム殿にお願いしたいのですが、宜しいですか?」
「んんっ! 分かった交渉してみよう」
4、まずは慈善団体のベルデボラ(緑玉)を派遣して、調査や店の場所を確保させてゲレミオの各部門を順次王都アレグリアに設置して欲しい。
まずは聖魔法王国に有る三割の店の支店を目標にする。
「この件で質問はありますか?」
「「「賛成」」」
「全員の賛成を確認しました」
「出来れば式典前の方が良いが、今は区画整理もしているからチャンスかもしれないな」
「承知しました。早速ベルデボラを連れて来させます」
ガンソが答えた。
5、最後にガルガンダの勧誘にはフォーレとガンソとファイサンの三人で説得して欲しい。
「「「畏まりました」」」
「ガルガンダには棘城に行ってもらいたいから昼の事も話していいが順序良く説明してくれガンソ」
「ハハッ、このガンソにお任せあれ」
「ここまでで、何か気になった事や意見が有れば聞きたいが? ・・・・では以上だ」
場が落ち着いてから
「所で陛下、この宿には”三人”の個室が常時有るそうだが、私達も新しい棘城下に別荘が欲しいですな」
「おお、それは良い考えだ、リアム殿!」
エルヴィーノは溜息をついて
「そんなこと言っていたら獣王も同じ事言ってきますよ」
”うぅっ”とリアムは態度を崩し
「それは・・・仕方あるまい」
まったく何をしたいのかと思いながら、後はおしゃべりをしてお開きになるが
「あっ、2人はちょっと残ってください」
エルヴィーノとマルソ、リアムの三人になる。
「リアム殿。以前龍人からの話をロリに聞いたのですが、アルモニア教の神である神龍も他の龍も元を辿れば全て1つになると聞きました。獣王国バリエンテでは今回の”騒動”で間違いなく龍の信仰が産まれるでしょう。聖魔法王国アルモニア以外で龍を奉る異教が産まれるのか、龍をひとくくりにしてアルモニア教で黒龍の信仰も対象にするか教祖様や一族に聞いてください。異教とした場合の展開と、取り込んだ場合の教徒などの数字は全く違う物となる事も判断してください。まず獣王国の半分以上が信徒になると思いますがね」
「ウム分かった。至急会議に掛けよう」
リアムがうなずく。
「この国の半数となると、かなりの人口だぞ! 新たに教会がいくつ必要なのだ!」
「マルソ殿、この国だけではありませんよ。近隣の国にも圧力をかければアルモニア教の支配下が更に拡大します。目指すはこの大陸制覇ですよ!」
「「おおおぉ!!」」
「リアム殿、私は教会予定地の下見があるのでお願いできますか?」
「分かりました」
快く引き受けたリアム。
「転移は"このリカルドの部屋"から中央教会に直接行けますから」
「「なんと!! ココからか!」」
「その為のリカルドの部屋です」
「流石は国王。いや陛下」
「良いですよ、もう誰も居ませんから」
あとがき
棘城復活かも。
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そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
冷宮の人形姫
りーさん
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冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
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貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
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魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
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お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
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注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
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45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
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2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
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スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
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小説家になろうで執筆中の作品です。
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美しい姉と痩せこけた妹
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若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
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貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
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