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第3章 獣王国編
第91話 2回目の結婚式当日4
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日が沈みかけてから結婚披露の夕食会が始まり国賓、国内の有力者、聖女一同などなどが一か所に集まり王国自慢の料理を楽しんでいた。
場所は王城の一番多きなホールで、ざっと500人は居るだろう。
1つの催し物となってしまった獣王の登場と、獣王国との正式な国交と友好関係を結ぶ事に内外の関係者は驚き、今後の関係性を示唆していた。
もっとも今回エルヴィーノの配下になった連中は、国王が獣王と交渉してそうなった物と”勘違い”しているようだが、自分達には確実に情報と”うま味”が流れてくると思っているのか慌てず騒がず平静を装っているように見えた。
逆に騒いでいるのは普通に友好な関係の者達だった。
「いったいどのようにして獣王を招いたのか?! 何時から動いていたのか? まさか獣王自らが婚儀に駆けつけるとは!」
などと様々な声が聞こえてくるが、それ以上の問題は起きずに楽しく過ごしたひと時だった。
「リアム殿に明日の打ち合わせで呼ばれているから先に寝ててくれ」
食事会が終わりリカルドを連れて身重の妻の負担を無くし頑張っていると、ロリはリカルドから報告を受けているのでここ数日は特に疑われてはいないようだ。
部屋を出る時、舌に丁重な”オヤスミ”をしてから出かけてリアムが待つ部屋に向った。
その部屋にはエネロ、フェブレロ、アヴリル、マルソ、プリマベラ、リアム、パウリナ(子猫状態)、ビエルナス、ライオネル・モンドラゴン、アンドレアとロリ以外ほぼ主要人物が待っていた。
「お待たせしました」
エルヴィーノとリカルドが入室し席に座る。
因みにロザリーはナタリーと一緒に王都観光に出ていて、”主役”のロリが居る城には近づかないようにしていた。
「婿殿!」
「ハイ」
「いや国王よ」
「ハイ」
「悪いが居ない間に一族の意見が決まったぞ」
「ハァ」
エルヴィーノは不安で一杯だったが後で聞いたらマルソが裏で手を回したそうだ。
「わしら王家一族は国王エルヴィーノ・デ・モンドリアンと獣王の娘パウリナ・モンドラゴンの婚姻に・・・賛成じゃ」
「・・・えっ・・・」
エルヴィーノは頭が真っ白になった。
反対され怒られ殴られ罵詈雑言を浴びせられると思い込んでいたからだ。
「ガッハハハハハッ良かったな、モンドリアンよ」
そう言ってくれたのは獣王ライオネル・モンドラゴンだった。
ただし条件があってロリが出産した後最低でも半年後の婚姻にして欲しいので、具体的には今から約一年後だが獣王は快諾してくれたそうだ。
獣王は聖魔法王国よりも派手な結婚式にしたいから準備が必要だと考えていて、獣人以外その真意は誰も分からなかった。
「1つの血族で三つの国が強く結ばれ事により繁栄し栄華を極めよう」
これはマルソが全員に問いただした結果だ。
流石に三つの国だとは知らなかった獣王は大陸の発展を予感して大喜びだった。
そして国交を行うための細かな取り決めの内内的な話し合いをしていた所だった。
エルヴィーノからはいくつか守って欲しい秘密があった。
この聖魔法王国では人族に変身して王になっている事。
また、獣王国でも人族として行動したい事。
最後にエルフ国で俺が隠された王子だと言う事はエルフの中ではほとんど知らないと言う事実。
なぜならばダークエルフだからだ。
その事が公になれば現エルフ王の立場が無い。
下手をすれば反乱が起きるかも知れないからだ。
だからダークエルフの事は秘密にして欲しい件と、既にエルヴィーノの”息子のエルフ”が王の子として次期エルフ王だとエルフ国の民には認識が付いている事。
「分かったぞ、我ら一族は王の願いを守ると誓おう」
その秘密を初めて聞いた獣王は全員の前で誓う。
「今ここに居る我ら獣人族もモンドリアンの秘密は守ると誓おう」
それを聞いて
「ありがとうございます、ありがとうございます」
と何度も頭を下げた。
そんな中、マルソだけがエルヴィーノが誰の為に頭を下げているのか理解していた。
後でマルソとリアムから獣王達に細かくエルヴィーノの説明がされていた。
何故ならつい先程までエルヴィーノの事を人族だと思っていたのだから。
なぜエルフ族の話しが出て来たのか不思議そうな顔を獣人一同がしていたからだ。
エルヴィーノは獣王に余計な隠し事はせず体当たりで行けとリアムから聞いていたので秘密を打ち明けたが、その効果はあったようで一族の、まして国の大事に関わる秘密を打ち明けてくれた事で、エルヴィーノが心を開いて獣人族を受け入れたと思ってくれたようだ。
(まさか魅力がダダ漏れしていないよな? ちょっと不安)
「リアム殿」
「何だ」
「ところでロリには誰が説明するのですか?」
「それは婿殿いや国王だろ!」
「それは分かりますが誰かに”火の粉”が飛びますよ」
「それは自分の責任で何とかしないとな」
「分かりました、では先に謝っておきます、すみません」
「何を言っているんだ」
「俺がどれだけ説明したところで必ず家族に八つ当たりしますよね?」
嫌な顔をするリアム。
「カッカッカッ、分かった分かったワシから言って聞かせよう」
「本当ですか? ありがとうございます」
「だがあの性格じゃ、理解はしても身体は動くからのぉ」
(そうだ、あの時みたいなシュラバが又俺の目の前に現れるのか!)
「あっパウリナは何処に行ったんだ」
「パウリナ様はこちらです」
キョロキョロしていたらビエルナスの膝の上だった。
「パウリナはずっとあのままですか?」
「えぇ元に戻ると何をしでかすか分からないから国に帰るまではアノままよ」
「そうですか」
「もっとも貴方が元に戻せと言うなら直ぐにでも戻しますが?」
エルヴィーノは頭を大きく横に振った。
すると子猫が近づいて来てエルヴィーノの脚に噛みついて来た。
パウリナを抱き上げて「今度ゆっくりな」
そう言い聞かせると「ニャーォ」と返事をしてくれた。
その夜、リアムとライオネルは2人だけで飲み明かしたと聞いた。
しかも何やら秘密の計画を立てているようだとプリマベラが後日こぼしていた。
翌朝、リカルドから今日の予定を聞いていた。
「本日の昼までは国の重鎮や有力者との謁見。御昼食は重鎮の方達と御一緒にお食事です。午後からは王家が認めた国民との個別謁見です。午前までは10組で、午後からも10組を予定しております。フォーレ様は最後尾になっております。因みにフォーレ様に連絡をしたところ、婚儀中の王都は人でごった返すはずなので鬱陶しいからグラナダ様と出かけると伺っていますが、午後にワザワザ戻られるそうです」
「それって”まだ知らない”って事?」
「そのようですね、私への返事には何も書かれていませんでしたから」
「何処に行ったか分かってるの?」
「大体ですが」
エルヴィーノは一計を思い付いた。
「リカルド」
「ハイ」
「警備用のブエロ・マシルベーゴォ (飛行魔導具)有るよな?」
「ハイ」
「アレを使って誰か迎えに行ってよ。で、見つけたら連行して城に直接連れて帰って欲しい。グラナダが居れば一緒でも構わないしさ、何も知らない方が驚くだろ!」
悪者の笑みを浮かべてリカルドを見る。
「賜りました直ぐに手配致します」とお辞儀した。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
フォーレとグラナダは王都の喧騒を離れ海沿いの港町ゴルフィーニョに来ていた。
夜の組織は相談役とリリオに任せて休暇を取っていたのだ。
リリオからクレームが入ったがお土産と"次はあなた達の番よ”と言われ渋々引き受けたそうだ。
連絡を受けた時はクラベルから王都へ馬車で向う途中だったが教会の転移装置を使って良いと許可が出たので引き返している所だった。
「まったく何で私みたいなよそ者が国民の代表に選ばれるのかなぁ?」
「抽選でしょ? 仕方ないわよ、それにせっかくの機会よ、新しい国王様に会って名前を売ってきたら?」
そこに警備用のブエロ・マシルベーゴォ (飛行魔導具)に乗った教会の伝令係りパブロが物凄いスピードでやって来た。
「私は王家から御2人を迎えに参りました教会関係者のパブロと申します。失礼ですが冒険者のフロリッシュドゥ・フォーレビアン様でいらっしゃいますか?」
「ハイそうです」
警備用のブエロ・マシルベーゴォは立ったまま乗るグラス型で、前方には大きな聖魔法王国の紋章が入っている。
「それは良かった、では隣の方がグラナダ様でいらっしゃいますね?」
「ハイ」
何故自分の名前を知っているのか怖かったが王都からワザワザ迎えに来てくれたのだから関係の無い自分の事も調べられたと思っていたグラナダだ。
「では御2人共こちらへお乗りください」
「えっ私もですか!?」
驚くグラナダを無視してパブロといっしょに来た教会関係者が問いかける。
「馬車をクラベルに届けますか? それとも王都に運ばせますか?」
「では王都の私の家にお願いします」
「畏まりました」
「それでは私達はクラベルに参りましょう」
フォーレとグラナダを乗せてパブロはクラベルの教会に戻り乗り物に乗ったまま転移して王都に戻った。
ブエロ・マシルベーゴォに乗ったまま外に出てパブロが問いかけた。
「御2人はそのままのお姿で謁見されますか?」
「はぁ? 私は着替えますがグラナダの謁見は聞いてませんが」
「大丈夫です。王家から御2人をお連れするように仰せつかっております」
首を横に振り拒むグラナダだったがパブロの一言で気が替わったようだ。
「謁見された国民の方々には国王様から記念品と、王都の絶景が見える丘公園にある高級旅館で、絶景の宿アルディリアの宿泊券を二名様分頂けるはずですが、行かれないのでは仕方ありませんね」
「イクイク行きます、私の家に寄ってください、直ぐに用意します」
コロッと態度が変わったグラナダを見て呆れたフォーレだが、それも納得できる。
あの高級旅館、絶景の宿アルディリアは王都で一番高い宿だが予約も中々取れないし平民には一生に一度は泊まりたい宿だった。
国民の方々とは嘘でエルヴィーノから2人へのお礼も兼ねたプレゼントだった。
勿論リカルドとリリオの分も用意してある。
四人で楽しんでこれば良いと思っていた。
フォーレは自前の一番良い鎧を身に付けて帯剣しグラナダを待っていた。
流石に女性の用意は長く大分待たされた。
「ところでパブロさん、私達は何か手土産は要りますか?」
「特に必要は無いですよ。まぁ、いろんな物を持ってくる人も居たとか聞いていますが」
「へぇどんなものですか?」
「料理人の時は自分で作った料理や、鍛冶屋の場合は自作の剣なども有りましたねぇ」
(自作かぁ・・・あの本じゃ不味いよなぁ。まぁ手ぶらでいいか、俺達はよそ者だし)
そして、やっと出てきたグラナダはドレスを纏い御淑やかな”いでたち”で化粧も薄目だ。
「では参りましょうか」
パブロの呼びかけでブエロ・マシルベーゴォに乗り王城に向って飛んで行った。
会場に到着すると、既に謁見は終盤でフォーレの前に二組と今謁見している人たちが居た。
すると案内係りが来て。
「冒険者のフロリッシュドゥ・フォーレビアン様とグラナダ様でしょうか?」
「ハイそうです」
「では、御2人が最後の謁見となりますので、謁見の際の作法を簡単にご説明します」
「ハイ」
不安そうなグラナダの表情だ。
「中に入りますとカーテンが引いてありますから中央の前寄りに片膝をついてお待ちくださいか。カーテンが開き、係りの者がその場の全員の名前を読み上げます。最後に面を上げよと、言われたら顔を上げ正面を向いてください。その後は御自由にお話しして頂いて結構です。時間になれば係りの者が、そろそろ時間となります。と言われますので礼をして退室してください。宜しいですか?」
2人共頷いた。
抽選で選ばれた国民との謁見は今までとは違い、回転式は使わず1つの謁見室を使い順番に会っていた。
一度に会う人数も2~3人で祝い品も必要無いと通達していたので、その分長く会話が出来るようにしたのだ。
先に謁見した人達が出て、前に並んでいた人が入る。
出てきた老年の夫婦が満足そうに話している。
「立派な国王様じゃった」
「うんうん、聖女様もお綺麗じゃったわい」
「ワシ等の事を大事にしてくれたのぉ」
「そうじゃ、この国も安泰じゃ」
他人の意見が凄く気になっていた2人だった。
「どんな王様だろうな?」
「そうね、優しそうな人じゃ無い? それよりも王妃様が気になっているんでしょ!」
「別にそんな事無いよ・・・」
「もう少しお待ちくださいね、直ぐの案内になりますから」
案内係りに言われ2人は緊張しまくりだった。
「ではご一緒に」
案内係りと一緒に入る。
「こちらで片膝をつき俯いてください」
言われた通りにする2人。
そして案内係が告げた。
「"最後の謁見の準備"が整いました」
案内係りが部屋から出るとサササーッとカーテンが開き、リカルドが”今までとは逆に”読み上げた。
「国民代表として最後に選ばれたのは冒険者のフロリッシュドゥ・フォーレビアンとグラナダでございます。こちらにおわすお方は先代国王のリアム様と御妃様のプリマベラ様に、御2人の御息女で全ての聖女の頂点になり、新たな称号を得たサンクタ・フェミナ(神聖女)のロリ・ヴァネッサ・シャイニング様と、新たな聖魔法王国国王エルヴィーノ・デ・モンドリアン様である。2人共面を上げよ」
フォーレとグラナダはどこかで聞いた事がある声の説明を聞きながら俯いていたが、見知った名前が出て来たので、つい「えっ」と言葉が出てしまった。
2人が顔を上げるとビックリして立ち上がり指を刺して口をパクパクしている。
そこには見た事も無い衣装を着たエルヴィーノと黄金の冠に、後ろには普段よりも高級そうな服を着たリカルドが居て、隣には伝説の冒険者”赤髪の悪魔”(冒険者用語)が座っていた。
そして隣に目をやると見た事も無いピンク色の髪で超可愛い王妃と母親が座っていた。
グラナダは驚き手を口に当て目を見開きキョロキョロしていたがフォーレは違った。
「くくくくくっ。はははははっ。そーか。そう言う事か・・・本当にお前には驚かられるよモンドリアン。あの時も、あの時も。くくくっ。決めたぞ! 私は今ここで誓いを立てよう。私は・・・お前を本当の意味で王に、いや世界の王にしてやるぞ! それまで共に修羅の道を行こうぞ!」
「おい、リカルド」
「はっ」
「何か可笑しな物でも食べさせたか?」
「いいえ」
危ない事を喚いているので呼びかける。
「あーフォーレ?」
「はっ大王様!」
「えっ! ええっとグラナダ?」
「ハイ大王様!」
それを聞いていたリアムが話しかけて来た。
「なかなか面白いヤツではないか」
「初めまして冒険者のフロリッシュドゥ・フォーレビアンと申します。まさか伝説の冒険者”赤髪の悪魔”にお会いする事が出来るとは夢にも思いませんでした」
平静になったフォーレが片膝をついて発した爆弾宣言に一族の者は興味深々だった。
「へぇ凄い通り名ですねぇ」
「本当にお父様が?」
「あなた、私は初耳ですが後で説明してくださるかしら」
余計な事を言ってしまったと焦ったフォーレは話を変えた。
「初めましてフロリッシュドゥ・フォーレビアンと、こちらはグラナダと申します。この度はご結婚おめでとうございます」
ロリとプリマベラに挨拶をするフォーレとグラナダ。
「フォーレさん」
「はい」
「貴方の事はリカルドからの報告書で聞き及んでいます。棘の森では王の事を、身を挺して守って頂いたと聞いています。一族に替わりお礼を申し上げます」
「いいえ王妃様、私達は仲間なので当然の事をしたまでです」
「ほう、そんな事が有ったのか」
「はい、フォーレは魔法剣士で左右に違う属性の魔法剣を出して戦うのですよ」
「なるほど! それは凄いな」
フォーレに興味深々のリアム。
謁見の時間を大幅に超えて話していると「そろそろお時間になります」と裏手から聞こえて来た。
「じゃ時間だから、また連絡するよ」
「ははっ」
帰り際にリアムに呼び止められる。
「あー、フォーレよ」
「ハッ」
「今度少し手合せせんか?」
「お父様!」
「何だ、良いじゃないか修羅の道を行くなら稽古も必要だろ」
「あなた、時と場所を考えてください」
シュンとするリアムを放置して、そそくさと退室する2人はお土産と日程の決まった宿泊券をもらい帰って行った。
だがフォーレの目は燃えていた。
そのままクラブ・エストレイヤに向い仲間を集めたのだった。
あとがき
二回目の結婚式はここまでになります。
場所は王城の一番多きなホールで、ざっと500人は居るだろう。
1つの催し物となってしまった獣王の登場と、獣王国との正式な国交と友好関係を結ぶ事に内外の関係者は驚き、今後の関係性を示唆していた。
もっとも今回エルヴィーノの配下になった連中は、国王が獣王と交渉してそうなった物と”勘違い”しているようだが、自分達には確実に情報と”うま味”が流れてくると思っているのか慌てず騒がず平静を装っているように見えた。
逆に騒いでいるのは普通に友好な関係の者達だった。
「いったいどのようにして獣王を招いたのか?! 何時から動いていたのか? まさか獣王自らが婚儀に駆けつけるとは!」
などと様々な声が聞こえてくるが、それ以上の問題は起きずに楽しく過ごしたひと時だった。
「リアム殿に明日の打ち合わせで呼ばれているから先に寝ててくれ」
食事会が終わりリカルドを連れて身重の妻の負担を無くし頑張っていると、ロリはリカルドから報告を受けているのでここ数日は特に疑われてはいないようだ。
部屋を出る時、舌に丁重な”オヤスミ”をしてから出かけてリアムが待つ部屋に向った。
その部屋にはエネロ、フェブレロ、アヴリル、マルソ、プリマベラ、リアム、パウリナ(子猫状態)、ビエルナス、ライオネル・モンドラゴン、アンドレアとロリ以外ほぼ主要人物が待っていた。
「お待たせしました」
エルヴィーノとリカルドが入室し席に座る。
因みにロザリーはナタリーと一緒に王都観光に出ていて、”主役”のロリが居る城には近づかないようにしていた。
「婿殿!」
「ハイ」
「いや国王よ」
「ハイ」
「悪いが居ない間に一族の意見が決まったぞ」
「ハァ」
エルヴィーノは不安で一杯だったが後で聞いたらマルソが裏で手を回したそうだ。
「わしら王家一族は国王エルヴィーノ・デ・モンドリアンと獣王の娘パウリナ・モンドラゴンの婚姻に・・・賛成じゃ」
「・・・えっ・・・」
エルヴィーノは頭が真っ白になった。
反対され怒られ殴られ罵詈雑言を浴びせられると思い込んでいたからだ。
「ガッハハハハハッ良かったな、モンドリアンよ」
そう言ってくれたのは獣王ライオネル・モンドラゴンだった。
ただし条件があってロリが出産した後最低でも半年後の婚姻にして欲しいので、具体的には今から約一年後だが獣王は快諾してくれたそうだ。
獣王は聖魔法王国よりも派手な結婚式にしたいから準備が必要だと考えていて、獣人以外その真意は誰も分からなかった。
「1つの血族で三つの国が強く結ばれ事により繁栄し栄華を極めよう」
これはマルソが全員に問いただした結果だ。
流石に三つの国だとは知らなかった獣王は大陸の発展を予感して大喜びだった。
そして国交を行うための細かな取り決めの内内的な話し合いをしていた所だった。
エルヴィーノからはいくつか守って欲しい秘密があった。
この聖魔法王国では人族に変身して王になっている事。
また、獣王国でも人族として行動したい事。
最後にエルフ国で俺が隠された王子だと言う事はエルフの中ではほとんど知らないと言う事実。
なぜならばダークエルフだからだ。
その事が公になれば現エルフ王の立場が無い。
下手をすれば反乱が起きるかも知れないからだ。
だからダークエルフの事は秘密にして欲しい件と、既にエルヴィーノの”息子のエルフ”が王の子として次期エルフ王だとエルフ国の民には認識が付いている事。
「分かったぞ、我ら一族は王の願いを守ると誓おう」
その秘密を初めて聞いた獣王は全員の前で誓う。
「今ここに居る我ら獣人族もモンドリアンの秘密は守ると誓おう」
それを聞いて
「ありがとうございます、ありがとうございます」
と何度も頭を下げた。
そんな中、マルソだけがエルヴィーノが誰の為に頭を下げているのか理解していた。
後でマルソとリアムから獣王達に細かくエルヴィーノの説明がされていた。
何故ならつい先程までエルヴィーノの事を人族だと思っていたのだから。
なぜエルフ族の話しが出て来たのか不思議そうな顔を獣人一同がしていたからだ。
エルヴィーノは獣王に余計な隠し事はせず体当たりで行けとリアムから聞いていたので秘密を打ち明けたが、その効果はあったようで一族の、まして国の大事に関わる秘密を打ち明けてくれた事で、エルヴィーノが心を開いて獣人族を受け入れたと思ってくれたようだ。
(まさか魅力がダダ漏れしていないよな? ちょっと不安)
「リアム殿」
「何だ」
「ところでロリには誰が説明するのですか?」
「それは婿殿いや国王だろ!」
「それは分かりますが誰かに”火の粉”が飛びますよ」
「それは自分の責任で何とかしないとな」
「分かりました、では先に謝っておきます、すみません」
「何を言っているんだ」
「俺がどれだけ説明したところで必ず家族に八つ当たりしますよね?」
嫌な顔をするリアム。
「カッカッカッ、分かった分かったワシから言って聞かせよう」
「本当ですか? ありがとうございます」
「だがあの性格じゃ、理解はしても身体は動くからのぉ」
(そうだ、あの時みたいなシュラバが又俺の目の前に現れるのか!)
「あっパウリナは何処に行ったんだ」
「パウリナ様はこちらです」
キョロキョロしていたらビエルナスの膝の上だった。
「パウリナはずっとあのままですか?」
「えぇ元に戻ると何をしでかすか分からないから国に帰るまではアノままよ」
「そうですか」
「もっとも貴方が元に戻せと言うなら直ぐにでも戻しますが?」
エルヴィーノは頭を大きく横に振った。
すると子猫が近づいて来てエルヴィーノの脚に噛みついて来た。
パウリナを抱き上げて「今度ゆっくりな」
そう言い聞かせると「ニャーォ」と返事をしてくれた。
その夜、リアムとライオネルは2人だけで飲み明かしたと聞いた。
しかも何やら秘密の計画を立てているようだとプリマベラが後日こぼしていた。
翌朝、リカルドから今日の予定を聞いていた。
「本日の昼までは国の重鎮や有力者との謁見。御昼食は重鎮の方達と御一緒にお食事です。午後からは王家が認めた国民との個別謁見です。午前までは10組で、午後からも10組を予定しております。フォーレ様は最後尾になっております。因みにフォーレ様に連絡をしたところ、婚儀中の王都は人でごった返すはずなので鬱陶しいからグラナダ様と出かけると伺っていますが、午後にワザワザ戻られるそうです」
「それって”まだ知らない”って事?」
「そのようですね、私への返事には何も書かれていませんでしたから」
「何処に行ったか分かってるの?」
「大体ですが」
エルヴィーノは一計を思い付いた。
「リカルド」
「ハイ」
「警備用のブエロ・マシルベーゴォ (飛行魔導具)有るよな?」
「ハイ」
「アレを使って誰か迎えに行ってよ。で、見つけたら連行して城に直接連れて帰って欲しい。グラナダが居れば一緒でも構わないしさ、何も知らない方が驚くだろ!」
悪者の笑みを浮かべてリカルドを見る。
「賜りました直ぐに手配致します」とお辞儀した。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
フォーレとグラナダは王都の喧騒を離れ海沿いの港町ゴルフィーニョに来ていた。
夜の組織は相談役とリリオに任せて休暇を取っていたのだ。
リリオからクレームが入ったがお土産と"次はあなた達の番よ”と言われ渋々引き受けたそうだ。
連絡を受けた時はクラベルから王都へ馬車で向う途中だったが教会の転移装置を使って良いと許可が出たので引き返している所だった。
「まったく何で私みたいなよそ者が国民の代表に選ばれるのかなぁ?」
「抽選でしょ? 仕方ないわよ、それにせっかくの機会よ、新しい国王様に会って名前を売ってきたら?」
そこに警備用のブエロ・マシルベーゴォ (飛行魔導具)に乗った教会の伝令係りパブロが物凄いスピードでやって来た。
「私は王家から御2人を迎えに参りました教会関係者のパブロと申します。失礼ですが冒険者のフロリッシュドゥ・フォーレビアン様でいらっしゃいますか?」
「ハイそうです」
警備用のブエロ・マシルベーゴォは立ったまま乗るグラス型で、前方には大きな聖魔法王国の紋章が入っている。
「それは良かった、では隣の方がグラナダ様でいらっしゃいますね?」
「ハイ」
何故自分の名前を知っているのか怖かったが王都からワザワザ迎えに来てくれたのだから関係の無い自分の事も調べられたと思っていたグラナダだ。
「では御2人共こちらへお乗りください」
「えっ私もですか!?」
驚くグラナダを無視してパブロといっしょに来た教会関係者が問いかける。
「馬車をクラベルに届けますか? それとも王都に運ばせますか?」
「では王都の私の家にお願いします」
「畏まりました」
「それでは私達はクラベルに参りましょう」
フォーレとグラナダを乗せてパブロはクラベルの教会に戻り乗り物に乗ったまま転移して王都に戻った。
ブエロ・マシルベーゴォに乗ったまま外に出てパブロが問いかけた。
「御2人はそのままのお姿で謁見されますか?」
「はぁ? 私は着替えますがグラナダの謁見は聞いてませんが」
「大丈夫です。王家から御2人をお連れするように仰せつかっております」
首を横に振り拒むグラナダだったがパブロの一言で気が替わったようだ。
「謁見された国民の方々には国王様から記念品と、王都の絶景が見える丘公園にある高級旅館で、絶景の宿アルディリアの宿泊券を二名様分頂けるはずですが、行かれないのでは仕方ありませんね」
「イクイク行きます、私の家に寄ってください、直ぐに用意します」
コロッと態度が変わったグラナダを見て呆れたフォーレだが、それも納得できる。
あの高級旅館、絶景の宿アルディリアは王都で一番高い宿だが予約も中々取れないし平民には一生に一度は泊まりたい宿だった。
国民の方々とは嘘でエルヴィーノから2人へのお礼も兼ねたプレゼントだった。
勿論リカルドとリリオの分も用意してある。
四人で楽しんでこれば良いと思っていた。
フォーレは自前の一番良い鎧を身に付けて帯剣しグラナダを待っていた。
流石に女性の用意は長く大分待たされた。
「ところでパブロさん、私達は何か手土産は要りますか?」
「特に必要は無いですよ。まぁ、いろんな物を持ってくる人も居たとか聞いていますが」
「へぇどんなものですか?」
「料理人の時は自分で作った料理や、鍛冶屋の場合は自作の剣なども有りましたねぇ」
(自作かぁ・・・あの本じゃ不味いよなぁ。まぁ手ぶらでいいか、俺達はよそ者だし)
そして、やっと出てきたグラナダはドレスを纏い御淑やかな”いでたち”で化粧も薄目だ。
「では参りましょうか」
パブロの呼びかけでブエロ・マシルベーゴォに乗り王城に向って飛んで行った。
会場に到着すると、既に謁見は終盤でフォーレの前に二組と今謁見している人たちが居た。
すると案内係りが来て。
「冒険者のフロリッシュドゥ・フォーレビアン様とグラナダ様でしょうか?」
「ハイそうです」
「では、御2人が最後の謁見となりますので、謁見の際の作法を簡単にご説明します」
「ハイ」
不安そうなグラナダの表情だ。
「中に入りますとカーテンが引いてありますから中央の前寄りに片膝をついてお待ちくださいか。カーテンが開き、係りの者がその場の全員の名前を読み上げます。最後に面を上げよと、言われたら顔を上げ正面を向いてください。その後は御自由にお話しして頂いて結構です。時間になれば係りの者が、そろそろ時間となります。と言われますので礼をして退室してください。宜しいですか?」
2人共頷いた。
抽選で選ばれた国民との謁見は今までとは違い、回転式は使わず1つの謁見室を使い順番に会っていた。
一度に会う人数も2~3人で祝い品も必要無いと通達していたので、その分長く会話が出来るようにしたのだ。
先に謁見した人達が出て、前に並んでいた人が入る。
出てきた老年の夫婦が満足そうに話している。
「立派な国王様じゃった」
「うんうん、聖女様もお綺麗じゃったわい」
「ワシ等の事を大事にしてくれたのぉ」
「そうじゃ、この国も安泰じゃ」
他人の意見が凄く気になっていた2人だった。
「どんな王様だろうな?」
「そうね、優しそうな人じゃ無い? それよりも王妃様が気になっているんでしょ!」
「別にそんな事無いよ・・・」
「もう少しお待ちくださいね、直ぐの案内になりますから」
案内係りに言われ2人は緊張しまくりだった。
「ではご一緒に」
案内係りと一緒に入る。
「こちらで片膝をつき俯いてください」
言われた通りにする2人。
そして案内係が告げた。
「"最後の謁見の準備"が整いました」
案内係りが部屋から出るとサササーッとカーテンが開き、リカルドが”今までとは逆に”読み上げた。
「国民代表として最後に選ばれたのは冒険者のフロリッシュドゥ・フォーレビアンとグラナダでございます。こちらにおわすお方は先代国王のリアム様と御妃様のプリマベラ様に、御2人の御息女で全ての聖女の頂点になり、新たな称号を得たサンクタ・フェミナ(神聖女)のロリ・ヴァネッサ・シャイニング様と、新たな聖魔法王国国王エルヴィーノ・デ・モンドリアン様である。2人共面を上げよ」
フォーレとグラナダはどこかで聞いた事がある声の説明を聞きながら俯いていたが、見知った名前が出て来たので、つい「えっ」と言葉が出てしまった。
2人が顔を上げるとビックリして立ち上がり指を刺して口をパクパクしている。
そこには見た事も無い衣装を着たエルヴィーノと黄金の冠に、後ろには普段よりも高級そうな服を着たリカルドが居て、隣には伝説の冒険者”赤髪の悪魔”(冒険者用語)が座っていた。
そして隣に目をやると見た事も無いピンク色の髪で超可愛い王妃と母親が座っていた。
グラナダは驚き手を口に当て目を見開きキョロキョロしていたがフォーレは違った。
「くくくくくっ。はははははっ。そーか。そう言う事か・・・本当にお前には驚かられるよモンドリアン。あの時も、あの時も。くくくっ。決めたぞ! 私は今ここで誓いを立てよう。私は・・・お前を本当の意味で王に、いや世界の王にしてやるぞ! それまで共に修羅の道を行こうぞ!」
「おい、リカルド」
「はっ」
「何か可笑しな物でも食べさせたか?」
「いいえ」
危ない事を喚いているので呼びかける。
「あーフォーレ?」
「はっ大王様!」
「えっ! ええっとグラナダ?」
「ハイ大王様!」
それを聞いていたリアムが話しかけて来た。
「なかなか面白いヤツではないか」
「初めまして冒険者のフロリッシュドゥ・フォーレビアンと申します。まさか伝説の冒険者”赤髪の悪魔”にお会いする事が出来るとは夢にも思いませんでした」
平静になったフォーレが片膝をついて発した爆弾宣言に一族の者は興味深々だった。
「へぇ凄い通り名ですねぇ」
「本当にお父様が?」
「あなた、私は初耳ですが後で説明してくださるかしら」
余計な事を言ってしまったと焦ったフォーレは話を変えた。
「初めましてフロリッシュドゥ・フォーレビアンと、こちらはグラナダと申します。この度はご結婚おめでとうございます」
ロリとプリマベラに挨拶をするフォーレとグラナダ。
「フォーレさん」
「はい」
「貴方の事はリカルドからの報告書で聞き及んでいます。棘の森では王の事を、身を挺して守って頂いたと聞いています。一族に替わりお礼を申し上げます」
「いいえ王妃様、私達は仲間なので当然の事をしたまでです」
「ほう、そんな事が有ったのか」
「はい、フォーレは魔法剣士で左右に違う属性の魔法剣を出して戦うのですよ」
「なるほど! それは凄いな」
フォーレに興味深々のリアム。
謁見の時間を大幅に超えて話していると「そろそろお時間になります」と裏手から聞こえて来た。
「じゃ時間だから、また連絡するよ」
「ははっ」
帰り際にリアムに呼び止められる。
「あー、フォーレよ」
「ハッ」
「今度少し手合せせんか?」
「お父様!」
「何だ、良いじゃないか修羅の道を行くなら稽古も必要だろ」
「あなた、時と場所を考えてください」
シュンとするリアムを放置して、そそくさと退室する2人はお土産と日程の決まった宿泊券をもらい帰って行った。
だがフォーレの目は燃えていた。
そのままクラブ・エストレイヤに向い仲間を集めたのだった。
あとがき
二回目の結婚式はここまでになります。
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