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第2章 聖魔法王国編

第58話 肉体の若返りと秘密の発覚

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その夜、役得とばかりにロリはエルヴィーノに襲いかかってきた。
ピンクの髪を持つ性獣は2人きりになると思考もピンクになるらしい・・・が、割と大人しく終わる。
以前の様に際限無しで求めて来ない。
(実家だから恥ずかしいのか?) とその程度に思っていた。

翌朝、普通に朝食を取りロリの一族と会話すると
「まだあの2人は来ませんねぇ・・・」

プリマベラがぼやく。
「まぁ良いではないか・・・」

リアムがほっといてやれと言う。
祖父マルソと祖母アヴリルの事だ。
マルソは燃えたのだろう・・・

「所でエルヴィーノさん」
「ハイ」

「ロリにした事を私にもしてもらえるのかしら?」
バン! とテーブルを叩き怒る国王。
「何言っているんだお前は!」

激オコのリアム。
プッと笑いだすプリマベラとロリ。
困った顔のエルヴィーノ。

「なっ、何が可笑しいのだ」
「だって貴男は何を想像しているのかしら?」
「なっ、何も想像しとらん!」
プンプンのリアム。

「ロリ、ちゃんと説明してあげて」
「えぇ~・・・」
明らかに面倒臭そうな態度。

「あのぉ・・・」
「何だ」
怒ってる怒ってる。
自分だけ仲間外れにされていると思っているのだろう。

「しょうがないわねぇ」
プリマベラが話し始めた。

「一昨日にロリと久しぶりにお風呂に入ったのよ。そしたら貴男、ロリの体がモノ凄い事になっていたわ」
「なんだ」
「胸が浮いているの!」
「あぁ? 浮いているだと?」
「そうなのよ。身体が立っていても、横になっても。上を向いても胸は重力に逆らっているの!」

実は隠れパイオツマニアであるリアムの耳はヒクヒクと動き、頬が紅葉していた。

「貴男昨日の魔法見たでしょ?」
「あぁ」
「まだ、他にも魔法が有ってね・・・」
「そ、それはどんな魔法だ」
「・・・貴男そんな態度で良いのかしら?」
「ん、何がだ?」
「ふぅ~ん・・・エルヴィーノさん」
「ハイ」
「国王は貴男の魔法は要らないそうよ」
「ハイ。分かりました」
「その駄肉のベルトをもっと増やせば良いんだわ!」
「何を言っているんだお前は!」
「俺から説明します」
「頼む」



「俺が開発したスプレモ・デセオ・マヒア(究極魔法)は全部で5つあります。昨日アヴリルさんに使った魔法は、体内の異分子除去と、体内の血管や臓器器官の細胞活性化の後に若返り魔方陣を使いました」
「なるほど・・・」
「あと、部分的なシミ取りや傷を消す為の皮膚の活性化と、脂肪除去、脂肪移動、シワ取りの魔法が有ります」
「脂肪除去? 脂肪移動? それはどのような・・・」
「脂肪除去は身体の脂肪を取る魔法操作で、これは男性向きです。脂肪移動とは体の脂肪を移動して固定させる魔法操作です。これが今問題になっています」
「何が問題だ」
「脂肪の移動は俺の手を使って移動させます。ロリは問題ないのですが・・・」

「私もそれがしたいの・・・」
「馬鹿な事を言うな!」
「でも貴男。もっと胸が大きくなって・・・垂れないのよ!」
リアムの頬が紅葉する。

「しかし・・・」
エルヴィーノの顔を見るリアム。

「提案が有ります」
そう言うと間髪入れずに答えた。
「聞こう」
前のめりになるリアム。

「まず、国王には部分的なシミ取りや傷を消す為の皮膚の活性化、体内の異分子除去、体内の血管や臓器器官の細胞活性化、脂肪除去、シワ取りの魔法を受けてもらいます。それでかなりの健康体になり、若返りが可能です」
「おおおぉぉ!」

「プリマベラさんも同じですが、更に脂肪移動をして固定し、部分的な重力制御を低魔素で常時発動する魔導具を差し上げます」
バッと立ち上がりエルヴィーノに近づき抱き付いて来るプリマベラを睨むリアムと引き離そうと腕を引っ張るロリ。

「そこで、施術の際は国王とロリが立ち会い、俺は目隠しするので俺の手を使って脂肪の移動をすれば可能だと思います」
「良し。それで行こう!」

リアムは即決した。
クスクスと笑うプリマベラとロリ。
こうなる事は母娘で想定済だった。

「では、今から始めるぞ」
クスクス。
これも想定済。
しっかりとプリマベラの手の平で転がっているリアムだった。




リアムは早かった。
実質30分位だ。
魔法を使う前と後では

「「全然違ぁ―――う!!」」

と2人から絶賛されて満足のリアム。
腰に有った駄肉ベルトは跡形も無く。
6つに分かれた腹筋に惚れ惚れするプリマベラ。

「あぁ、これが貴男よ。懐かしいわ。この肌触り・・・」
満足げなリアムだった。

「では、プリマベラさんの番です。が、その前に2人に意見を聞きたいです」
「何ですか?」
「はい、どの程度盛り上げ、身体のどの贅肉を取り除くかを事前に決めないと、脂肪の操作が出来ません。まずどこをどの程度大きくしますか?」
2人に問いただす。

「・・・・・」
恥ずかしがって答えてくれない。

「では、ヒントを。プリマベラさんは過去を思い出してください。国王は、欲望の化身になってください。そして、1人に一度しか使えませんよ~」
エルヴィーノは嘘をついた。

「世界一大きくしてくれ」
「馬鹿な事を言わないで!」
妻に叱咤される国王。

「欲望の化身になれって言うから言ったのに・・・」
「たとえばの話しです! ではロリと同じくらいに!」
母と娘が微笑み合う。

「解りました。あと大きくするのは胸だけですか?」
「何! それはどういう事だ?」
「まぁ大体女性の要望は胸とお尻ですから・・・」
「なるほど、尻も少しデカくしてくれ」
「あなた!」
「良いじゃないか! ちょっと位・・・」
目の前で夫婦が揉めているが、エルヴィーノとロリは今幸せの中に居る。

ようやくケンカも終わり、尻の大きさが決まる。
聞いてみると
「尻は形だ。今のままで一回り大きくさせてくれ。形を整えてな」
「違うでしょ。大きさは変えずに形を整えるのでしょ!」
「ムム・・・」
「では、最後に特に無くしたい脂肪の場所は有りますか?」

これは脂肪を気にする女性に対する思いやりだ。
その部分は徹底的に取る。
まぁ基本的に胸と尻以外全部だけどね。
聞くと聞かないのでは女性の心理が違うらしい。
これはロリのアドバイスだ。
結果はお任せだった。

魔法は王の寝室で行なう事にした。
脂肪除去と脂肪移動以外終わらせて3人に言った。

「俺の手は道具だと思ってください。最初は脂肪移動して固定させる魔法。この魔法は胸と尻を触ります。俺は見ていないので恥ずかしいとは思わないでください。ですが、どんな形になっても国王の責任ですからね。ただし、出来ないと判断されるのならその時点で交代します。形も国王の指示通りにします。尻に5分、胸に5分ですからね。では始めますよ!」

土壇場になった腹を括った国王だ。
「待ってくれ。エルヴィーノよ。お前を信じよう。私は見ているからお前がやってくれ」

「では1つだけ確認が有ります。リアムさんの形と俺の思う形が違う可能性が有りますが、俺はロリの形を目指して作ります」
「解ったそれでいい」
プリマベラとロリも聞いている。

「俺が1人でやるので脂肪除去と脂肪移動を同時に行います。ロリ。股の大事な部分はタオルを当てて」
「ハイ」
「では足首から行きます」

エルヴィーノは魔法を発動させた。
両手が虹色に輝きだす。
そして素早く足を両手で掴み上へ上へと脂肪を押し上げて行く。
太ももの辺りはそれなりに付いている。
両足の脂肪を取り背中から脂肪を尻に集める、更に両脇からも集め丸いお尻に形成して行く。
裏面が短時間で終わった。

続けて表面だ。
こちらも足首から上に集め除去する、太ももも念入りに除去する。
そして腹の脂肪を上に押し上げて行く。
元々大きな双丘のプリマベラだ。
重力制御の魔法を事前に掛けて置いて良かった。
集めて形を整えて行く、二回り大きく張り出した双丘にリアムの顔を見ると満足そうに頬を紅葉させて頷いた。

後は、仕上げの脂肪除去だ。
腹回りと双丘に段差を付けて徹底的に取る。
そして二の腕も全て取る。
最後に顔だ。
特に顎をクッキリとさせて、首回りも同様に。
お腹はうっすらと筋肉が分かる程度に残した。
魔法を解き「終了です」と言うとプリマベラは立ち上がり姿見の前へ。
エルヴィーノは後ろを向き疲れたので椅子に座った。

「お母様凄い!」
「ウム見違えたぞ! 以前よりも美しいぞ!」
2人して褒めまくっているのが聞こえてくる。

「もう良いですわ」
プリマベラがそう言ってきた。
振り替えるエルヴィーノ。
下着を付けたプリマベラが立っていた。

エルヴィーノは難しい表情をした。
何故ならば2人の姿を見て"老夫婦"から絶対に何か言われるだろうし、この2人は絶対に自慢したがるはずだ。

「どうした? 難しそうな顔をして」
「いえ、ちょっとやり過ぎたと思いまして・・・」
「エルヴィーノよ」
ガシッと肩を掴まれて国王が宣言した。

「お前を信用しよう」
「えっ」
「そうよ。こんな若返ったのだから」
「そうだ、このような第1級の極秘扱いの魔法を私達に使ってくれたのだからな」
「あのぉ御2人に1つ進言と、1つお願いが有ります」
「何だ、言って見ろ」

「1つは着る物を確認された方が良いと思います。サイズが合わなくなっているので作り直しが必要です」
「おぉそうだな。この腹筋が収まる物に作り直さないといかん」
「貴男はズボンだけで良いけど私は全部よ」
嬉しそうに文句を言って来るプリマベラ。

「1つは初めてお会いした時も聞かれたと思いますが、俺は国王にも大司教にもならないのが条件でロリとの結婚を約束しました。ただ、それは歴史を踏みにじる行為なのは承知しています。なので、どのような罰が下るのか事前に知りたいだけです」

リアムとプリマベラは顔を見合わせて高笑いした。
「ハッハハハハッ」

(笑われた・・・約束は反故か・・・それならそれで方法は有る)

「いやスマンスマン。実はな、まだ何も決めてない」
「は?」
「決めて無いとは結婚自体をですか?」

「貴男は説明不足です! エルヴィーノさんの希望を叶える方法がまだ決まっていないのよ」
「決めたぞ!」
「何をですか?」
「私はエルヴィーノの味方に付く。誰が反対しようともだ」
国王が味方になってくれた。

そして・・・
「私達が国王代理を務めれば良いではないか!」
「そうですわ! そうしましょう! では早速お母様に報告を!」
「ちょっと待ってください」
「何かしら? 」
「もう1つ重要な件が有ります」

「「「 ? 」」」
「俺からも後でアヴリルさんに言いますが、御2人も第3者に言い訳を使ってください」
「「「 ? 」」」

まだ解っていないようだ。
「御2人が少し前とは全く違う人に見えますから」
「おぉそうか!」
「因みに痩せ薬とか食事制限と身体を鍛えたと偽る事がお勧めです。魔法の事は隠してください」
「解った」
「解りました。私から全員に伝えます」

そうこうしている内にお昼近くになった。
「さっき朝食を食べたのに、もう昼食か」
「御2人共今の姿を維持したいなら本当に食事制限しないと戻りますよ!」
「今我らが一番怖い言葉だな」
「えぇ。料理長に言って私達専用の食事を作らせましょう」
「あぁ頼む」

すると・・・ロリが青ざめた顔でバッと立ち上がり手で口を押えて走り出した。
扉も開けっ放しで。

「何を急に飛び出して行ったのだか。こんな粗相をする娘ではないのだが・・・」
リアムが愚痴る。
だが、プリマベラはピンと来た。
「直ぐ戻りますわ」

ゆっくりと後を追いかける母親は行き先は解っている。
廊下の端にある誰でも使える便所だ。
さっきいた寝室にもあるが恥ずかしいのだろう。
と、プリマベラは即座に思った。
それは、自身も同じだったから。

便所に着くとロリが居た。
やはり"もどして"いる。

優しく背中を擦り
「大丈夫?」
「ロリ。いつからなの?」
「最近です」
「お医者さんには?」
「まだです」
「ではこれから行きましょう」
「ハイ」

城内にある医師達の部屋に来た2人。
「お母様・・・私怖いです」
「大丈夫よ、私もそうだったから」

診察の結果
「ロリ様、王妃様おめでとうございます。現在は2ヶ月程と思われます」
ロリが泣きだす。
「おめでとうロリ」

「所で王妃様」
「ハイ」
「随分と御痩せになった御様子で」
「えっえぇ。食事制限と運動でね・・・」
(良かったわ・・・聞いていなかったら魔法だって言うところだったわ)











あとがき
アレ? 出来ちゃった結婚か?
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