37 / 430
第2章 聖魔法王国編
第37話 リカルドの奮闘
しおりを挟む
小川に残されたロリとリカルドは激論を交わしていた。
「そうは仰いますが聖女様」
「何!?。私の何がいけなかったと言うの? リカルド」
「では、まず聖女様は何の目的でここにお越しなられましたか?」
「それは・・・運命の人を探して・・・」
「では、何故それほどお怒りですか?」
「だって、私の事を興味も無い。失せろって言ったのよ! どうして怒ってはいけないの?」
「聖女様」
「何よ」
「1つだけ覚えていて欲しい事が有ります」
「何」
「どんな言葉を使っても私は聖女様の味方です」
「・・・解ったわよ」
「まず、いきなり”顔を見せろ”は良くなかったと思われます」
「そぉかなぁ」
「聖女様が知らない男性に、もしくは女性にいきなり顔を見せろと言われたらどう思いますか?」
「そっそれは・・・余り良い感じはしないかも・・・」
「それは普段からフードを被っているのは何かしらの理由が有るからです。聖女様もそうですね?」
「まぁ私の髪は珍しいから・・ジロジロ見られるのは嫌だし・・・」
「その通りです。人それぞれ理由がございます」
「それがあの方を怒らせた原因だと思われます」
「えぇっ、怒っていたの? なんでそんな事で怒るかなぁ」
頭を抱えるリカルドだった。
「聖女様」
「何」
「名案がございます」
「言ってみて」
「ハイ。先ほどあの方は私には普通に接して頂けました」
「ふーん、そぉだったの?」
「ハイ。一応説明はしましたが、余り信用されていない様子でした」
「なんで司祭の服を着ているのに信用しないのかなぁ」
「それは」
周りを見てリカルドが答える。
「多分この服が原因でしょうか? このような町はずれの誰も居ない所で野宿をされていて、そこに滅多に見る事も無い聖女様が法衣を着て司祭と二人だけで向かってきたら・・・普通の村人でも警戒します」
「そうなの? 法衣って珍しいの?」
「そうですね・・・私のような司祭は小さな町にも居ますから割と見られますが、聖女様の法衣となると村人であれば一生会う事も無いかと存じます」
「そうか・・・」
段々と解ってきたロリ。
「でさ、どうするのこれから?」
「ハイ。作戦を練りましょう」
「どんな?」
「聖女様の印象を良くするのです」
「どうやって?」
「ハイ。まず、約束してください」
「言ってみて」
「あの方に向かって魔法は使わないと」
「えぇぇっだってあの時はさぁ・・・」
「聖女様、今後です。これからあの方とお会いして、お話をする中で些細な事でお怒りになられても決して攻撃魔法は使わないでください」
「・・・解ったわよ・・・」
その表情を見て不安げなリカルド。
「聖女様は普段の可愛い雰囲気を出してください」
「えっそれだけなの?」
「はい。聖女様の可愛らしさを見て優しくならない男はいません」
「本当に?」
「はい。そして私が御2人の間に座ります」
「何で?」
「話を円滑にする為です」
「ふ~ん」
「聖女様」
「何」
「あの方と2人だけで何を話されますか?」
「え? えぇっとぉ~何話そうかなぁ~」
「直ぐに出て来ないでしょ?」
「当たり前じゃない。そんな、男の人と話した事なんて無いし」
モジモジするロリだが、ガックリするリカルド。
(司祭の私も男なんだけど・・・)
「とにかく聖女様」
「何よ」
「話は私が進めますから、聖女様は聞きたい事があれば、私に話してください」
「何でよ」
「あの方に分かりやすく説明し、そして聖女様にも説明致します」
「解ったわ」
「ふぅ~っ」
何とか聖女様にもご理解頂けた様子。
「では、行きますか」
「どこに行くのよ」
「クラベルの宿屋です」
「何で? まだ食事には早いし・・・」
「あの方がクラベルの宿屋でお待ちになっておいでです」
「はぁっ? 嘘! なんでよ」
「はい、先ほど約束して頂きました」
「本当に?」
「ハイ」
「先ほどは緊張して上手に話せませんでしたが、もう一度機会を頂ければ普段の可愛い聖女様がご覧いただけます。っと、伝えてあります」
「リカルド」
「ハイ」
「・・・ありがとう」
その一言でロリは普段の可愛い聖女様に戻った。
「ただし聖女様」
「なぁに」
「先ほどの聖女様の行動はあの方に謝らなければなりません」
「そうですか・・・仕方ありませんね」
「その際にどの様な言葉が帰って来ても決して怒ってはいけませんよ」
「何故ですか?」
「それは聖女様の目的が有るからです。解りますね?」
「ハイ。決して忘れている訳ではありませんわ」
「決してケンカや殺し合いをする為にこの場所へ来た訳ではありませんね? 宜しいですか?」
「解りました。肝に銘じます」
「では、参りましょうか」
「ハイ」
一時的に侍従関係が逆になったような錯覚を感じたリカルドだった。
歩きながら話すリカルド。
「聖女様」
「何? リカルド」
「このまま行くと丁度昼前になりますので、お食事をご一緒されたら如何でしょうか?」
「そんな男性と一緒に食事だなんて・・・」
恥ずかしがる聖女様。
毎日一緒に食事をする自分とミゲルは何なんだか・・・
「では、まず宿に着いたらご自身の部屋にお戻りになって、普段着にお着替えください」
「何故ですか?」
「ハイ。普段着の可愛い聖女様を見て頂きたいと考えております。御夫婦となられるには普段の姿を見るのが1番だと思います。このお姿は聖女としての仕事着ですから。ダメではありませんが、先ほどちょっと失敗しましたから、雰囲気を変えてみたいと思います」
「リカルド」
「ハイ」
「全て貴方に任せるわ」
「ハッ」
「やはりこの町に貴方が司祭で居たのは天命でしょう」
「ありがたきお言葉、感謝致します」
「あの方に説明し食事の準備が出来ましたらお呼びに伺います」
「解りました」
「良いですか聖女様」「ハイ」
「笑顔」「ハイ」
「優しい言葉使い」「ハイ」
「怒らない」「ハイ」
「魔法を使わない」「ハイ」
「聞きたい事は用意してくださいね」「ハイ」
「聖女様から何も質問が無いと、あの方が聖女様も関心が無いものだと思われますよ」
「ハイ分かりました。考えます」
「そうだ、部屋にお迎えに伺った時に教えてください。私は聖女様が考えられた事以外をお聞きしますので」
「そんなに直ぐに出てくるものですか?」
「安心してください。大丈夫です」
「そうですか」
そうこう言っているうちに宿屋に着いた2人。
「ミゲル」
「おぉリカルド。これを返して置くぞ」
そう言って渡してくれたのは魔法石だった。
「ありがとうミゲル」
「おめぇ良かったのか? 大事な魔法石を預けてよ」
「あぁ私は信じていたから戻って来ただろ」
笑顔で返すリカルド。
「ところであの方は?」
「あぁ2階に上がって左奥の角部屋だ。聖女様とは1番遠い場所にしておいた」
何を考えているのだかとリカルドは思ったが、直ぐに切り替える。
「では聖女様」
「ハイ。部屋で待っていますわ」
そう言って部屋に向かったロリだった。
「ミゲル食事の準備を頼む3人分だ」
「わかったよ」
「私はあの方の部屋に行って来るから準備が出来たら呼んでくれ」
「わかった」
そして2階の左奥の部屋に来て扉を叩く。
コンコン
「すみません、先ほど小川でお話しさせて頂いた司祭のリカルドですが、少しお話がありまして入室してもよろしいでしょうか?」
エルヴィーノはその時、ロザリー、実家、親父に手紙を書いていた。
「ハイ。良いですよ。鍵はかけていませんから」
そう返すと、リカルドが入って来た。
「えぇっと部屋が狭いし椅子も1つしか無いのだが」
「大丈夫です。私は立ったままで構いませんので」
「いやいや、なんか宿も泊まれるようになったし俺がお礼を言いたいところです。あっこの椅子を使ってください。俺はベッドに座りますから」
2人で遠慮し合う。
「改めてご挨拶を。私はこのクラベルで聖魔法教会の司祭をしておりますリカルドと申します」
「これはご丁寧に。俺はエルフの国メディテッラネウスから来たエルヴィーノ・デ・モンドリアンと申します」
リカルドは発音を確かめるべく訊ねる。
「モンドリアン様ですね?」
「そうです」
エルヴィーノはギルドで作った認識票を見せた。
「はい。確かに確認させて頂きました。先ほどの女性は聖魔法王国アルモニアの王都イグレシアから参りましたロリ・ヴァネッサ・シャイニングと申しまして、1番若い聖女様です」
「はあ・・・」
「聖女様は只今お着替え中でして、食事の準備が出来次第1階で会食となっております」
「それで俺に何の用ですか?」
順を追って説明するリカルド。
エルヴィーノは黙って聞いていた。
説明と同時に先ほどの無礼についてもロリの代わりに言い訳を述べるリカルド。
聖女の事も聞いた。
(メルヴィとは関係無さそうだな・・・)
「で、本人は解っているの?」
「何をですか?」
「いや、婚姻するってどう言う事か?」
「と、申されますと?」
「子孫を作るだろ?」
「あぁなるほど。多分ご存知だと思いますが・・・」
怪しいなぁって目でリカルドを見ていた。
「まぁお付き合いすればそのうちに自然と・・・」
「そうかぁ?・・・自然と聖魔法が付与された炎の矢が飛んで来るのかな?」
「イエあれはですね・・・何と言いますか・・・」
「冗談だよリカルド。あんた良い人っぽいから、からかっただけだよ」
「ハハハッ、モンドリアン様もお人が悪い・・・」
「俺、人族じゃ無いし」
「そうでした。ハハハハハッ」
「それと様は止めてください。その占いだって俺では無い可能性があるわけでしょ? 今月過ぎてもう一度占ってみたらどうだろ。その中央協会に聞いて見たら?」
「そうですね。解りました。後で連絡します」
「それと他にも黒髪黒目が居ないか探した方が良い。人を雇ってでもな」
「ハイ。そのように致します」
「大体いつまでだった?その占いは?」
「来月の予定でしたが、正確では無いので聖女様は20日前から滞在しております」
「じゃ後20日も滞在すれば他の候補が現れる可能性がある訳だね」
「どうでしょうか? 私には何ともお答え出来ませんが・・・」
「ゴメンゴメン。たださ、知らない土地に来て、いきなりそんな事言われたら普通びっくりして警戒しない?」
「最もなご意見です」
その時、コンコンッと扉を叩く音がした。
「食事の用意が出来たぜ」
「あぁ今降りるよ。では参りましょうか。私は聖女様をお呼びして参ります」
あとがき
女性の事も男性の事も全て任せて安心してください。
リカルドが仕切らせて頂きます。
「そうは仰いますが聖女様」
「何!?。私の何がいけなかったと言うの? リカルド」
「では、まず聖女様は何の目的でここにお越しなられましたか?」
「それは・・・運命の人を探して・・・」
「では、何故それほどお怒りですか?」
「だって、私の事を興味も無い。失せろって言ったのよ! どうして怒ってはいけないの?」
「聖女様」
「何よ」
「1つだけ覚えていて欲しい事が有ります」
「何」
「どんな言葉を使っても私は聖女様の味方です」
「・・・解ったわよ」
「まず、いきなり”顔を見せろ”は良くなかったと思われます」
「そぉかなぁ」
「聖女様が知らない男性に、もしくは女性にいきなり顔を見せろと言われたらどう思いますか?」
「そっそれは・・・余り良い感じはしないかも・・・」
「それは普段からフードを被っているのは何かしらの理由が有るからです。聖女様もそうですね?」
「まぁ私の髪は珍しいから・・ジロジロ見られるのは嫌だし・・・」
「その通りです。人それぞれ理由がございます」
「それがあの方を怒らせた原因だと思われます」
「えぇっ、怒っていたの? なんでそんな事で怒るかなぁ」
頭を抱えるリカルドだった。
「聖女様」
「何」
「名案がございます」
「言ってみて」
「ハイ。先ほどあの方は私には普通に接して頂けました」
「ふーん、そぉだったの?」
「ハイ。一応説明はしましたが、余り信用されていない様子でした」
「なんで司祭の服を着ているのに信用しないのかなぁ」
「それは」
周りを見てリカルドが答える。
「多分この服が原因でしょうか? このような町はずれの誰も居ない所で野宿をされていて、そこに滅多に見る事も無い聖女様が法衣を着て司祭と二人だけで向かってきたら・・・普通の村人でも警戒します」
「そうなの? 法衣って珍しいの?」
「そうですね・・・私のような司祭は小さな町にも居ますから割と見られますが、聖女様の法衣となると村人であれば一生会う事も無いかと存じます」
「そうか・・・」
段々と解ってきたロリ。
「でさ、どうするのこれから?」
「ハイ。作戦を練りましょう」
「どんな?」
「聖女様の印象を良くするのです」
「どうやって?」
「ハイ。まず、約束してください」
「言ってみて」
「あの方に向かって魔法は使わないと」
「えぇぇっだってあの時はさぁ・・・」
「聖女様、今後です。これからあの方とお会いして、お話をする中で些細な事でお怒りになられても決して攻撃魔法は使わないでください」
「・・・解ったわよ・・・」
その表情を見て不安げなリカルド。
「聖女様は普段の可愛い雰囲気を出してください」
「えっそれだけなの?」
「はい。聖女様の可愛らしさを見て優しくならない男はいません」
「本当に?」
「はい。そして私が御2人の間に座ります」
「何で?」
「話を円滑にする為です」
「ふ~ん」
「聖女様」
「何」
「あの方と2人だけで何を話されますか?」
「え? えぇっとぉ~何話そうかなぁ~」
「直ぐに出て来ないでしょ?」
「当たり前じゃない。そんな、男の人と話した事なんて無いし」
モジモジするロリだが、ガックリするリカルド。
(司祭の私も男なんだけど・・・)
「とにかく聖女様」
「何よ」
「話は私が進めますから、聖女様は聞きたい事があれば、私に話してください」
「何でよ」
「あの方に分かりやすく説明し、そして聖女様にも説明致します」
「解ったわ」
「ふぅ~っ」
何とか聖女様にもご理解頂けた様子。
「では、行きますか」
「どこに行くのよ」
「クラベルの宿屋です」
「何で? まだ食事には早いし・・・」
「あの方がクラベルの宿屋でお待ちになっておいでです」
「はぁっ? 嘘! なんでよ」
「はい、先ほど約束して頂きました」
「本当に?」
「ハイ」
「先ほどは緊張して上手に話せませんでしたが、もう一度機会を頂ければ普段の可愛い聖女様がご覧いただけます。っと、伝えてあります」
「リカルド」
「ハイ」
「・・・ありがとう」
その一言でロリは普段の可愛い聖女様に戻った。
「ただし聖女様」
「なぁに」
「先ほどの聖女様の行動はあの方に謝らなければなりません」
「そうですか・・・仕方ありませんね」
「その際にどの様な言葉が帰って来ても決して怒ってはいけませんよ」
「何故ですか?」
「それは聖女様の目的が有るからです。解りますね?」
「ハイ。決して忘れている訳ではありませんわ」
「決してケンカや殺し合いをする為にこの場所へ来た訳ではありませんね? 宜しいですか?」
「解りました。肝に銘じます」
「では、参りましょうか」
「ハイ」
一時的に侍従関係が逆になったような錯覚を感じたリカルドだった。
歩きながら話すリカルド。
「聖女様」
「何? リカルド」
「このまま行くと丁度昼前になりますので、お食事をご一緒されたら如何でしょうか?」
「そんな男性と一緒に食事だなんて・・・」
恥ずかしがる聖女様。
毎日一緒に食事をする自分とミゲルは何なんだか・・・
「では、まず宿に着いたらご自身の部屋にお戻りになって、普段着にお着替えください」
「何故ですか?」
「ハイ。普段着の可愛い聖女様を見て頂きたいと考えております。御夫婦となられるには普段の姿を見るのが1番だと思います。このお姿は聖女としての仕事着ですから。ダメではありませんが、先ほどちょっと失敗しましたから、雰囲気を変えてみたいと思います」
「リカルド」
「ハイ」
「全て貴方に任せるわ」
「ハッ」
「やはりこの町に貴方が司祭で居たのは天命でしょう」
「ありがたきお言葉、感謝致します」
「あの方に説明し食事の準備が出来ましたらお呼びに伺います」
「解りました」
「良いですか聖女様」「ハイ」
「笑顔」「ハイ」
「優しい言葉使い」「ハイ」
「怒らない」「ハイ」
「魔法を使わない」「ハイ」
「聞きたい事は用意してくださいね」「ハイ」
「聖女様から何も質問が無いと、あの方が聖女様も関心が無いものだと思われますよ」
「ハイ分かりました。考えます」
「そうだ、部屋にお迎えに伺った時に教えてください。私は聖女様が考えられた事以外をお聞きしますので」
「そんなに直ぐに出てくるものですか?」
「安心してください。大丈夫です」
「そうですか」
そうこう言っているうちに宿屋に着いた2人。
「ミゲル」
「おぉリカルド。これを返して置くぞ」
そう言って渡してくれたのは魔法石だった。
「ありがとうミゲル」
「おめぇ良かったのか? 大事な魔法石を預けてよ」
「あぁ私は信じていたから戻って来ただろ」
笑顔で返すリカルド。
「ところであの方は?」
「あぁ2階に上がって左奥の角部屋だ。聖女様とは1番遠い場所にしておいた」
何を考えているのだかとリカルドは思ったが、直ぐに切り替える。
「では聖女様」
「ハイ。部屋で待っていますわ」
そう言って部屋に向かったロリだった。
「ミゲル食事の準備を頼む3人分だ」
「わかったよ」
「私はあの方の部屋に行って来るから準備が出来たら呼んでくれ」
「わかった」
そして2階の左奥の部屋に来て扉を叩く。
コンコン
「すみません、先ほど小川でお話しさせて頂いた司祭のリカルドですが、少しお話がありまして入室してもよろしいでしょうか?」
エルヴィーノはその時、ロザリー、実家、親父に手紙を書いていた。
「ハイ。良いですよ。鍵はかけていませんから」
そう返すと、リカルドが入って来た。
「えぇっと部屋が狭いし椅子も1つしか無いのだが」
「大丈夫です。私は立ったままで構いませんので」
「いやいや、なんか宿も泊まれるようになったし俺がお礼を言いたいところです。あっこの椅子を使ってください。俺はベッドに座りますから」
2人で遠慮し合う。
「改めてご挨拶を。私はこのクラベルで聖魔法教会の司祭をしておりますリカルドと申します」
「これはご丁寧に。俺はエルフの国メディテッラネウスから来たエルヴィーノ・デ・モンドリアンと申します」
リカルドは発音を確かめるべく訊ねる。
「モンドリアン様ですね?」
「そうです」
エルヴィーノはギルドで作った認識票を見せた。
「はい。確かに確認させて頂きました。先ほどの女性は聖魔法王国アルモニアの王都イグレシアから参りましたロリ・ヴァネッサ・シャイニングと申しまして、1番若い聖女様です」
「はあ・・・」
「聖女様は只今お着替え中でして、食事の準備が出来次第1階で会食となっております」
「それで俺に何の用ですか?」
順を追って説明するリカルド。
エルヴィーノは黙って聞いていた。
説明と同時に先ほどの無礼についてもロリの代わりに言い訳を述べるリカルド。
聖女の事も聞いた。
(メルヴィとは関係無さそうだな・・・)
「で、本人は解っているの?」
「何をですか?」
「いや、婚姻するってどう言う事か?」
「と、申されますと?」
「子孫を作るだろ?」
「あぁなるほど。多分ご存知だと思いますが・・・」
怪しいなぁって目でリカルドを見ていた。
「まぁお付き合いすればそのうちに自然と・・・」
「そうかぁ?・・・自然と聖魔法が付与された炎の矢が飛んで来るのかな?」
「イエあれはですね・・・何と言いますか・・・」
「冗談だよリカルド。あんた良い人っぽいから、からかっただけだよ」
「ハハハッ、モンドリアン様もお人が悪い・・・」
「俺、人族じゃ無いし」
「そうでした。ハハハハハッ」
「それと様は止めてください。その占いだって俺では無い可能性があるわけでしょ? 今月過ぎてもう一度占ってみたらどうだろ。その中央協会に聞いて見たら?」
「そうですね。解りました。後で連絡します」
「それと他にも黒髪黒目が居ないか探した方が良い。人を雇ってでもな」
「ハイ。そのように致します」
「大体いつまでだった?その占いは?」
「来月の予定でしたが、正確では無いので聖女様は20日前から滞在しております」
「じゃ後20日も滞在すれば他の候補が現れる可能性がある訳だね」
「どうでしょうか? 私には何ともお答え出来ませんが・・・」
「ゴメンゴメン。たださ、知らない土地に来て、いきなりそんな事言われたら普通びっくりして警戒しない?」
「最もなご意見です」
その時、コンコンッと扉を叩く音がした。
「食事の用意が出来たぜ」
「あぁ今降りるよ。では参りましょうか。私は聖女様をお呼びして参ります」
あとがき
女性の事も男性の事も全て任せて安心してください。
リカルドが仕切らせて頂きます。
0
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜
mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!?
※スカトロ表現多数あり
※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる