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第1章 エルフ国編

第21話 浮気の発覚と嫉妬

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これはメルヴィの出産1年前、ある男が外部の亜人を雇い調べさせた報告書だった。


エルフの街から離れた場所に住んでいる”ダークエルフの一家”の調査で、その家にはどの様な人物が存在し、それぞれの1日の行動記録をまとめた物だ。
その中には女A、女B、女Cと男Aが居る。
女Cは女Bと男Aの子供である。
たまに男Bが現れ女Cと男女の関係に至る。
男Bが現れる時、必ず行為に及ぶ。
報告を終えた外部の者には金を与え「全ての関係は何も無い」と告げると「承知」とだけ答え消えて行った。


雇い主の男は、男Bの事を知っていた。
いつも気にかけていた。
男Bの事を気に入っていた。


「ったくあのバカが・・・若いヤツァしょうがねぇなぁ俺も他人の事は言えねぇがよ・・・」
ブツブツ言いながら1人で酒を飲む男。
「さてと、どうしたもんか・・・」
対応手段が講じれず1年が経ってしまう。
その報告書も、他の書類に埋もれてしまい、次第に雇い主の男もその存在自体忘れて行った。


※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez


更に時は流れ、エルヴィーノの行動は規則正しい物となっていた。
屋敷に4泊、実家に3泊するのがスケジュールだ。
4泊の内3泊はロザリーの夜で1泊はエアハルトと過ごす。
実家の3泊は全部メルビィの夜だ。
実家ではオスクロ・マヒア暗黒魔法の修行で疲れているからと、先にエアハルトとロザリーで親子三人の一夜を過ごす。
エアハルトと一緒の時はロザリーが我慢するのだ。
これは以前、俺が魔精の使い過ぎで高熱を出した事が起因してロザリーの欲望にブレーキをかけてくれている。
我慢と言ってもロザリーにとっては至福の我慢だった。
目の前に愛する男と可愛い息子。
ロザリーの望んでいた理想の光景が有るからだ。皆の幸せな時間が過ぎていった。


ある日、滅多にしない兵舎の大掃除をすると言い出したナタリー。
確かに男しかいない兵舎、掃除らしきものをしているが所詮メイドから見れば汚い。
数日後良く晴れた日に、家具のほとんどを外に出し、兵舎中を拭き掃除したあと家具も中に戻しながら整理整頓していく。
それぞれのメイドが担当する部屋。
当然ナタリーが担当する部屋もある。
グンデリックの部屋もその一つだ。

「おい。勝手に何でも見るなよ」
「ハイハイ解っていますよ。見て見ぬふりをしますから」

そう言いながら二人でグンデリックの書斎兼部屋を整理していく。
そんな中で、ナタリーの手が止まる。

マル秘報告書。

ナタリーは心で(もう少しまともな名前は付けられない物ですかね?) と、(どうせ如何わしい報告に決まっている)と思いながら、ページをめくりしばらく読んで見ると、目が見開き「こっ、これは! 」「んっ?」とグンデリックが気づき「何見てんだ。勝手に見るなと言ったろ」と近づいてきた。

グンデリックがスッカリ忘れていた、その報告書。
「ちょっ、チョット待ってくれ」
「何ですかこれは。何故このような大事な事をロザリー様に報告しないのですか?」
「いやっ。それがな、ちょっと話を聞いてくれ」
「なんの話ですか」
「だから、ちょっと魔が差したみたいだからよ・・・」
「大体どうしてあなたがエルヴィーノさんをかばうのですか?これはロザリー様にお見せします」
「あ~もう解ったよ。ただしナタリーよ、それはエルヴィーノが実家に帰っている時に俺達3人で話そう」

ナタリーはグンデリックを睨みながら問いただす。
「何かあるのですか? 」
「俺も初めてその報告書を見た時はビックリしたぜ。お前さんもそうだろ。現に今怒っているだろ?」
「当たり前です」
「だったら当人のロザリー様はどうなる?」

ハっと思ったナタリー。
「何を言いだし、どんな行動をするか分からないからな。だから俺たちが冷静にロザリー様をなだめなければならん。確かに浮気をしたエルヴィーノが悪い。ただなナタリーよ。あの二人は若い。これで終わりでは無いんだし・・・」
「あなたはどっちの味方ですか?」と問いただすナタリー。
「ワシはどっちも味方だ。オメェは違うのかよ」
「私はいつでもどんな時でもロザリー様の味方です」

「じゃエルヴィーノの敵か?」
「そっ、それは・・・」
「だろ。ロザリー様が見初めたんだ。俺達がトヤカク言っても仕方ねぇだろ。それから、その報告書には日付が無い。最近の物だ」

(咄嗟に出たグンデリックの嘘だった)
「わかりました。では、明後日二人でロザリー様にこの報告書を見て頂いてどうするか伺いましょう」
「あぁ、それでいい」



エルヴィーノが実家に帰ってメルヴィと激しく愛し合っている時・・・



屋敷の2階にあるロザリーの執務室にナタリーとグンデリックは例の報告書を持って来ていた。
「ロザリー様。今日は見て頂きたい報告書が有ります」
「はい。どのような報告書でしょうか?」
「あの・・・」
話が詰まるナタリーにグンデリックが横から口を挟む。
「ロザリー様、これはあなたにとって非常に良くない報告書ですがご覧になりますか?」
「あら、あなた達はもう見たの?」
「はい。ロザリー様がこれを読まれどのようなご判断をされても構いませんが、どうかご慈悲を与えてください」
「何を読む前からそんなことを言っているのかしら。早く見せて頂戴」
ナタリーから手渡される報告書。


報告書を読み進めるとロザリーの両目は大きく開き、読み終わる頃には報告書を持つ手は小刻みに震え、目は潤み、我慢しきれずに瞼を閉じると大粒の涙が頬を伝う。


「エルヴィーノが・・・浮気をしたのですね」
「「ロザリー様。落ち着いてください」」
ナタリーとグンデリックがそろって声を掛ける。

グンデリックの助言。
「ロザリー様。エルヴィーノのヤツは一時の気の迷いでさ、悪い事をしている気は無いみたいだし・・・」
ナタリーの助言。
「ロザリー様。確かに浮気をされましたが一時的な事です。現にいつもロザリー様の元に必ず戻って来られています」

大きく深呼吸するロザリー・・・
「大丈夫よ二人とも・・・心配しないで」
ほっとする二人。
ただ、この時ロザリーの心は嫉妬の炎が燃え盛っていた。
その嫉妬の炎は根深く、これからの淫魔ロザリーの原動力になっていった。

(私のエルヴィーノを取られるものか。どんな手段を使ってでも取り戻してやる)
いつかのエルヴィーノみたいな事を考えるロザリー。
「手を出した女には報復を・・・エルヴィーノにはお仕置きが必要ね・・・やはり毎晩だわ」








あとがき
浮気がバレたとも知らずメルヴィと行為を満喫しているエルヴィーノだった。
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