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第1章 エルフ国編

第2話 ダークエルフとエルフの国

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名はエルヴィーノ・デ・モンドリアン。
彼はダークエルフで、生まれたのが大体230年ほど前・・・既に歳を数える事も面倒くさくなり、永遠の200歳で通している。
ダークエルフ族の寿命は長い者で1500年は生きるので、200歳とはかなり若くに見える。人族に例えると10代後半に見えるだろう。

ダークエルフと言っても普通のエルフとの違いは目と髪の色。後は魔素の量だ。
エルフは金髪碧眼の色白。
ダークエルフは黒髪黒目の色白。
肌の色は一緒なのだ。
一般的に浅黒い肌とか、白い髪とか、赤い眼だったり言われ、呼称も違ったりするがそれは人族や獣人族とのハーフや雑種で、ダークエルフ一族の直系「系譜」は黒髪黒目の色白だ。
直系とは王族の事だ。

エルフとダークエルフの魔素の差はかなりある。
個人差もあるが、エルヴィーノは経験よりも親のせいか普通のダークエルフと比べてもかなり多い方だ。
幼い頃は母親しかいない事になっていた(・・・仕方ないさ・・・)。
一緒に暮していたダークエルフはエルヴィーノを含めて4人しかいないから誰も都合の悪い知識を教えてくれなかった。

エルヴィーノが産まれる前にダークエルフは長く続いたらしいエルフとの戦争に負けて絶滅したと伝わっている。
生き残ったのは母親であるダークエルフ王ディラン・デ・モンドリアンの娘リーゼロッテ・デ・モンドリアンと、侍女のオリビアと兵士のデイビットで、3人はエルフに囚われてエルフの王都から離れた場所に隔離されていた。



エルフの国メディテッラネウス
この国には北西部の山脈が標高約3000mと、南東部の標高1000mで低山脈となる2本の山脈が走っている。
標高の違いで美しい農村景観を持ち、山脈は南西岸から北岸にかけて北にむかうほど急峻になり、その向こうは大陸と続いているので、メディテッラネウスは半島のような形状をしている。
どちらの山脈も全体を大森林が覆い海側は石灰岩で構成されており、その浸食作用によって洞窟、湧き水、急流を形成し、沢山の湧水場や魔物の出現する迷宮も存在する。


北東部には湾があり南西部にも湾がある。
中央部には肥沃な平原が広がっており、動植物も多いが低レベルの魔物も多く生命の豊かさで知られている。
オリブ、ブドの栽培など、エルフの農業の大部分はこの平原で行われている。
山脈の恵みが集まる湖から流れでる川が南西側にあるエルフの王都の景観を幻想的な物とする。
戦争前は山脈の北東にダークエルフのバルデモーサ城と街もあったが今は廃墟となっている。


エルフの王都の街アルバから馬車で片道5時間はかかる山脈の山中。来るまでの道のりは街を出たら草原が広がり森林と草原の境界線近くの街道を進み、さほど大きくない小川を越えたら森林に入っていく。
途中ケモノ道を頼りに山を登る。
2時間は登っただろうか、森の中でポツンと木の無い場所に家が建っていた。
小さな家だ。
昔、狩りに出た時や戦争時には兵士が一時的に住んでいた家だった。
2部屋を挟んで居間と台所、一応2階もある。
後は外に物置小屋と魔方陣のある小屋。
その小さな家の場所はケモノ道から認識阻害の魔法を付与され近づいても分からないようになっていた。



3人は囚われた時にエルフ王のディーデリック・ファン・デ・ブリンクスによりダークエルフの魔力を押さえる処置をされた。
それは特定の力を持つエルフしか扱えない魔導具の首輪だった。
ダークエルフの強大な魔力でも壊れないし作動もしないその頑丈な首輪は聖神魔法と特殊な波長でしか作動しない仕組みになっていた。
魔力を抑えられた3人は新たな環境で始まった囚われの生活で、リーゼロッテとオリビアが家に必要な身の回りを整え、デイビットは家の周りを調べた。

家の中の生活必需品は揃っているので彼女たちの好みに模様替えするようだった。
デイビットは家の周りを調べた所、家の横には同じ家が2つ作れそうな敷地があるので、そこに畑を耕す提案をリーゼロッテにする。
また、家の西側の谷を下ると小川があり魚も確認できた。
そして山に登ると沢山のキノコ類と、野生のウサギや猪豚を確認した。
まずは畑を耕し、狩りをして食糧の確保を優先する。
この家の家長は滅びたとはいえ王家の生き残りで姫であるリーゼロッテだ。

家の中は、リーゼロッテとオリビアが1部屋使い、デイビットに1つ部屋を与えられた。
デイビットは毎日畑を耕し、狩りに出かける。
オリビアも畑の手伝いと川に釣りをしたりリーゼロッテと居間の装飾を作ったりと、今の境遇を考えないようにしていた。
ただリーゼロッテは月に1度、小屋にある転移の魔方陣で出かける事がある。
2人はリーゼロッテから聞いていた。
何処に行くのか・・・何しに行くのか・・・








あとがき
主人公が生まれる前のお話です。
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