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序章 転生から眷族創生

第15話 月の裏側で

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視察の後、改めて本格的な建築の為に転移してきた神龍一向だ。

神龍とは地上に発生した知的生命体が集団で暮らす中、成龍状態で空を飛ぶ姿を見られたり、散歩中や、惰眠をむさぼっている姿を恐れ敬い、崇拝の対象者で神と呼んでいた事に始まる。

本龍達の意見や意思では無く、第1ビダであるロサ達がその呼び方を真似て、眷族の長を神龍と呼び、始祖龍を大神と呼ぶようになっていた。

※Dieznueveochosietecincocuatrotresdosunocero

ボソッと呟いたアルブマだった。
「改めて見ると結構深いわよね・・・お母様の御生まれになった穴は・・・」
「産まれた時は大きかったのよ。それよりも、そうね・・・まず、太陽熱を吸収し、隕石の飛来を防ぐ屋根を作りましょう」
アルブマの呟きを聞き逃さず答えてくれた母親が先頭を切って飛んで行った。
「皆さんついてきてください」

話を誤魔化されたアルブマ。
「まぁ良いですけど・・・」
殻の大きさと比べて成龍状態の母親の大きさに違和感を持つアルブマだった。

新しい家(国)造りに夢中な始祖龍スプレムス・オリゴーに仕方なく後に続く子供達だ。
衛星の裏側で、衛星から横に少し離れた場所に飛んで行く。

「あなた達良く見ておきなさい」
スプレムスの右手が虹色に輝き伸びた。そのまま左側から右に動かすと・・・
さっきまで見ていた衛星の穴の部分の表面がスパッと切れて輪切り状態になった。そしてスプレムスが両手を合わせると切った殻が丸く集まる。今度は上下に手を叩くようにすると、殻が形成されて薄く伸びていく。少し、形を整える仕草をした後。
「よし。この位で良いかしら。あなた達、戻るわよ」
「「「ハイお母様」」」

スプレムスが作り出した”蓋”に近づくと・・・「デカ !!」1000kmは有りそうだ。

「お母様の本体は100km。十分な大さね」
テネブリスが確認すると、まだまだヤル気の母だった。
「さぁ、もう少しやるわよ」
「「ハイお母様」」
「出来ればあなた達も手伝ってくれるかしら?」
「何をすれば宜しいのですか?」
「穴の底から蓋までに、何本か柱を付けるのよ。まずは中心の太い柱を私が作りますから、見ていなさいね」
「「ハイ」」

中心近くでスプレムスは魔素を発散して周りから殻の残骸であろう岩の様な大きさや、白い土壌を集める。下から固まっていき、徐々に上へ積み上げられる円形の柱。かなりの速さで柱が出来た。
穴の底と蓋までの距離は約3,000kmほどで、蓋と月の表面には3kmほどの隙間が有る。

「さぁ出来たわ。じゃこの後3重に円形の柱を作って行くわ。外側の柱ほど細くて多く作るのよ」
「「ハイお母様」」

中心の柱は直径100km、次の円状の柱の太さは50km、その次の円状の柱の太さは20km、最後に作る外周の柱の太さは10kmになった。

親を見習い、丁寧に作られた柱。
親子六体の龍がそれぞれの魔素を使いながら作られた柱だ。柱から特徴のある色と魔素が出ている。スプレムスが作った中心の柱はぼんやりと虹色に輝いている。その周りの柱は色とりどりだ。

黒、白、金、銀、赤、青、黄、緑、紫、ピンク。五体以外の色は二、三体が合同で作った柱だが、属性が混ざり合い色となって出たと言う。

テネブリスの作った柱は全部黒曜石の様に輝いている。
アルブマの作った柱は真っ白な大理石のようなスベスベとした手触りでこちらも白く輝いていた。同様にセプティモの柱は青く、スペロの柱は黄色だ。そしてセプテムの柱は赤い。
因みにピンクの柱はアルブマとセプテムの合作。紫の柱はセプテムとセプティモの合作。セプティモとスペロの合作は緑色だが、ふざけて全員で作ったら金色になった。

そして、テネブリスとアルブマの合作は銀色だ。
所が二体を除く三体で作っても銀色となった。
不思議がる三体だが、アルブマはテネブリスと作った柱に特別な思いを寄せていた。
(ふふっ、お姉様と一緒に作った柱・・・)

出来上がった蓋と柱、深さ約3,000kmもある穴の底の中間に住居空間となる台地を作る。これも厚みは300kmほどだ。正確では無いが成龍状態の自分達が闊歩しても十分な耐久性を考慮しての厚みだ。

そして大地を放射線状に五等分する。それぞれの場所はスプレムスに指示を仰(あお)ぎ、区切られる。
中心の柱から第一の柱まではスプレムスの聖域とする事をテネブリスが提案するとアルブマも賛成したが、逆にスプレムスからの提案で許可を得て誰もが成龍状態に戻れる場所となった。

事実、たまには羽を広げて伸びをしたいのも本音だった一同だ。母の提案に感謝しながら自分達眷族の場所を決める事にする。

※Dieznueveochosietecincocuatrotresdosunocero

「じゃ、私はココにするぅ」とテネブリスが言うと
「じゃ、私はお姉様の隣に・・・」とアルブマが宣言する。すると
「ダメよ。あなたはココですから」
それはテネブリスが選んだ場所と離れた様だ。
「私はお姉様の隣が良いです」
「あなた達は対極をなす者。決して隣にはなれないのよ・・・」
母親の説明を聞いて、ふくれるアルブマ。
「・・・納得いかない・・・」
珍しくご立腹の様子だ。

“はぁぁ”
溜息をついてテネブリスが
「では、私の部屋とあなたの部屋を転移魔法陣で繋げましょう」
この言葉に驚き、奇声を上げながら黒髪黒目の姉に飛び付く金髪碧眼の妹だ。
「キャー本当ですかお姉様! 本当に本当ですか?」
嬉しくてしょうがないアルブマはテネブリスの周りを飛び跳ねていた。

「お母様。これで宜しいでしょうか?」
「まぁ良いわ。仕方ない子ねぇ・・・・」
テネブリスの妥協案を認めるとセプテムからの質問だ。
「では空いている場所はどうするおつもりで?」
「テネブリス、セプティモ、スペロ、アルブマ、セプテムの順に区割りしなさい」
「「「お母様の御心のままに・・・」」」

そんな訳で、色で例えるならば黒、赤、黄、白、青となった。
因みにピンクの柱はアルブマの区域となった。銀色の柱はセプテムの区域で。金色の柱はスペロの区域となる。金色の柱は母の髪色と同じなので、全員の意見で他の区域に一本づつ追加して作った。

※Dieznueveochosietecincocuatrotresdosunocero

「ねぇアルブマ。隣の隣だったら近いよね。部屋の転移は無くても良く無い?」
「ダメです、ダメです、ダメです、絶ぇぇ対にダメです」
「何でよぉ?」
「何でってお姉様。私の部屋とお姉様の部屋が繋がるのですよ?! あぁこんな幸せな事があって良いのでしょうか・・・」
部屋が繋がる事にさして便利性に優位性を感じないテネブリスだ。

「だけど娘達に眷族も居るのよ、お互いの居住区に勝手に出入りしたら変じゃないかしら。ましてや小さな種族たちを受け入れるので有れば規律はしっかりとしないとね」
「それはぁ・・・」
スプレムスの計画では、居住区を作った後は魔法と魔法陣に魔導具開発専門としているそれぞれの第二ビダを中心に、文明を起こした種族の中から秀でた者を特別な区域に移住させる物だ。もっとも、これもテネブリスの提案が元になっている。

「・・・確かに私達が手本となる様にしなければいけないのですわ・・・」
「じゃ止める?」
「ダメですぅぅ、もう決定ですからね。お姉様」
「はいはい」

※Dieznueveochosietecincocuatrotresdosunocero

色はそれぞれの龍の証し。
街の建築にはそれぞれの区域には無酸素空間でも動けるゴーレムを使い、ゴーレムを統括する龍の使徒が常駐する。

始祖龍スプレムスを筆頭に、テネブリス、アルブマ、セプティモ、セプテム、スペロは都市計画を考える。

まず、全体の大きさ。通常活動の大きさと、実態で活動できるストレス発散空間。通常活動は割と直ぐに決まったが発散空間。これを各自で置くか、どこか1か所にするか。後者の方が限られた場所を有効に使える。

変身を解いて成龍になれる場所を中心部であるスプレムスの聖域を一部開放して使う事を許されている。その聖域の中でも子供達が自由に出入る出来る空間を許可すると言うスプレムスに対して、細かな決め事を提案するテネブリスだ。と言っても、騒がない、雄叫びを上げないなど、母の快適空間を邪魔しない内容に過ぎない。


そして各自の部屋だが中心に近い場所となる。
中心から大神、眷族神、使徒、第一ビダ、第二ビダ、龍人達、研究機関、その他居住区などだ。外側に行くほど広い場所が確保される事になる。

※Dieznueveochosietecincocuatrotresdosunocero

「重要な各自の場所と、ある程度の区画整理が決まれば・・・幹線道路ね」
「「「???」」」
「幹線道路?」
スプレムスと妹弟(きょうだい)たちが首を傾げる。
テネブリスは説明を始めた。

「今の実体(龍)であれば、この空間もそれほど広くは無いが、お母様の計画である魔素の封印と温存は、人型の方が遥かに少ない魔素で活動出来ます。ここまでは宜しいですね?」
全員がうなづく。

「小さな人型となるとこの”龍国”は広大な広さです。とても歩いて行けません。そこで、私は私達が乗る物を考えています」
「乗る物?」
「ええ、そうよ」
「その乗り物には魔法陣を付けて自動及び手動で動かせるように考えています。まだ形にはしていませんが、それに乗り街の中を移動するのです」

テネブリスは前世で使っていたブエロ・マシルベーゴォ (飛行魔導具)を使おうと考えていた。

みんなには余り良く理解出来ない様子だったが、スプレムスが子供達に言い放つ。
「ここはテネブリスに任せましょう」
「「「ハイ、お母様」」」
妹弟は反対する気も無く
「何を見せてくれるのか楽しみにしていますよ」
などと言われる。

そして、幹線道路を内側から5つの輪をもって循環するようにし、各龍の境界にも太い道路を作ると提案した。そして細部に至る道はそれぞれが考えれば良いと。

テネブリスから注意事項があり、幹線道路は設置しますが細部の道は各自の敷地内で何を作りたいか考えてからにした方が良いと。また、1度に作るのでは無く段階的に作った方が後から変更できるし、より良い街が作れるはずだと。

「最後にこの国に住む住人はどうしますか? お母様」
「そうね・・・私達と子供達だけなら数は少ないわ・・・魔導の研究発展を望むなら地上から連れてくる必要もあるわね・・・」
「解りました。では段階を経てそれぞれの眷族を連れて来させましょう」

「となると小さき者達の住居も必要か・・・」
「アルブマ」
「ハイ、お姉様」
「暫く皆で考えよう」
「ハイ」
「案が出来たらお母様に見せて承諾を得て建設に取り掛かりましょう」
「ハイ、お姉様」
「お母様は何かお望みの要望はございますか?」
「今は・・・思い着かないからあなたに任せるわ、テネブリス」






Epílogo
成長日記
暗黒龍・・・テネブリス・アダマス(女型)・・・・体長70km、成龍。人化の時1.65m
暗黒龍の使徒であるベルム・プリム(女型)・・・・体長20km、成龍。人化の時1.65m
暗黒龍の使徒の第1ビダであるロサ(男型)・・・・体長2km、成龍。人化の時2m
暗黒龍の使徒の第2ビダであるテンプス(男型)・・体長2km、成龍。人化の時2m
暗黒龍の龍人であるフィドキア(男型)・・・・・・体長100m、成龍。人化の時2m

聖白龍・・・アルブマ・クリスタ(女型)・・・・・体長65km、成龍。人化の時1.6m
聖白龍の使徒であるベルス・プリム(女型)・・・・体長20km、成龍。人化の時1.6m
聖白龍の使徒の第1ビダであるオルキス(女型)・・体長2km、成龍。人化の時1.6m
聖白龍の使徒の第2ビダであるルクス(女型)・・・体長2km、成龍。人化の時1.6m
聖白龍の龍人であるラソン(女型)・・・・・・・・人型1.6m、成龍では100m予定。

七天龍・・・セプティモ・カエロ(女型)・・・・・・体長67kmの成龍。人化の時1.7m
七天龍の使徒であるフォルティス・プリム(男型)・・体長22km、成龍。人化の時2m
七天龍の使徒の第1ビダであるヒラソル (女型) ・・体長2.2km、成龍。人化の時1.7m
七天龍の使徒の第2ビダであるシエロ・・(女型) ・・体長2.2km、成龍。人化の時1.7m

七海龍・・・セプテム・オケアノス(男型)・・・・・体長67kmの成龍。人化の時2m
七海龍の使徒であるリベルタ・プリム (男型)・・・・体長22km、成龍。人化の時2m
七海龍の使徒の第1ビダであるナルキッス(女型) ・・体長2.2km、成龍。人化の時1.65m
七海龍の使徒の第2ビダであるマル・・・(女型) ・・体長2.2km、成龍。人化の時1.65m

翠嶺龍・・・スペロ・テラ・ビルトス(男型)・・・・体長65kmの成龍。人化の時2m
翠嶺龍の使徒であるオラティオ・プリム(男型)・・・体長2km、成龍。人化の時2m
翠嶺龍の使徒の第1ビダであるプリムラ(女型)・・・体長2.2km、成龍。

始祖龍・・・スプレムス・オリゴー・・・・・・・・・人化の時2.5m
人化の時の身長はテネブリスを基準としてアルブマ達が眷族と決めた体長だ。一応男型と女型で身長差が有り、始祖龍は別格扱いだ。


龍の使徒とはそれぞれの龍が力を与え創造した生命体(性別無)
使徒の第1ビダとは、使徒が創造した最初の生命「Primero Vida」の意(性別有、人化になり交配も可)
第1ビダが創造した龍人とは、龍、使徒、第1ビダの使命を実行し他種族との交配する者
(性別有、交配のみ)
注・尺度は目安です

龍達がこの先どうなるの?
と関心を持って頂けたらブクマお願いします。
毎回大安日の更新を予定しています。
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